Mon 170424 出発/ゆずれない/寒い/オッカナビックリ(キューバ&メキシコ探険記4) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 170424 出発/ゆずれない/寒い/オッカナビックリ(キューバ&メキシコ探険記4)

 欧米のヒトビトの間では、今はキューバがブームであるらしい。首都ハバナの街は欧米からの観光客でごった返し、新しいホテルも続々と建設が始まっている。博物館の類いは長蛇の列ができて、その列を目撃した途端に入館を諦めるぐらいである。

 ハバナの空港には、ヨーロッパ系のヒコーキがどんどん飛んでくる。エールフランスもKLMもルフトハンザも、こぞってキューバ&キューバ。だから今度のキューバ探険は、ホントはヨーロッパ経由でもよかった。

 例えばパリかアムステルダムで2〜3日ゆっくり遊んで、それからキューバに向かう。帰りもやっぱりヨーロッパ経由で、フランクフルトでライン川下りを楽しんでから日本に帰る。そういうことも可能なのだ。

 もちろん基本は北米経由。つい昨年まではアメリカ経由がなかったから「カナダを経由」「トロントから入る」がキューバ探険の基本だった。日本からだと、カナダ航空トロント経由。乗り継ぎが悪かったから、片道25時間とか30時間とか、相当の強行軍じゃないと行けなかった。

 ところが今や、ニューヨークやアトランタからもキューバ便が飛んでいる。いまさらながら「平和はいいね」であり、冷戦終結から30年も経過して「ホントにキューバ危機が終わったんだな」と実感する。
ゆずれない
(アメリカン航空もキューバに飛んでいる。「中南米はゆずれない」らしい。しかしどうもこのコピーが気に入らない)

 しかし諸君、「じゃあアメリカ合衆国を経由してキューバに行きたいか?」となると、話は全く別である。アメリカが間に挟まると、話は一気にメンドーになる。

 まず、① ESTA登録が必要。ま、ESTAぐらいだったらいいや。パソコンをカタカタ&ポチッとすれば、30分もかからない。しかもワタクシは1年半前のサンフランシスコ滞在があるから、もうとっくにESTA登録は済んでいる。

 しかしアメリカの入国審査が言語道断にメンドー。係官の質問は微に入り細を穿って、「肉類を所持していないか?」「どこに宿泊して、どこを見て回るんだ?」「スタンフォード大学に行って、何が見たいんだ?」と、もう留まるところを知らない。

 一昨年のサンフランシスコでは、パスポートを1ページずつめくりながら、1つ1つのハンコについてじっくり質問が続いた。「アルゼンチンとかブラジルとかウルグアイとか、いったい何しに行ったんだ?」とおっしゃる。

 そういう質問の合間合間に、一瞬のスキをつくようにして「肉類は持っていないか?」を挿入してくる。もちろん持っていない。スーツケースの中の緊急用食料は、コンビニの薄焼きセンベイと、スーパーで買った黒豆センベイと、ドラッグストアで買った「柿の種」。それだけである。

 最後にパスポートをパタンと閉じて、「あなたはずいぶん旅をしているが、何故そんなにリッチなんだ?」「普通の人間がこんなに旅をしているのはstrangeな気がする」と来た。余計なお世話じゃないか。
メキシコ紙幣1
(メキシコシティの空港で、まずメキシコ紙幣を入手する)

 あれ以来、アメリカ経由もアメリカ入国もメンドーになった。アメリカン航空もキューバに飛んでいるが、その広告コピーがまた気に入らない。写真1枚目に示した通り、「あれれ、これはどこかの予備校のキャッチフレーズをパクったんじゃないの?」である。

「○○○○は、ゆずれない」。うーん、こんなにパクってどうすんだい? ゆずれないなら、せめて漢字で「譲れない」ぐらいにしなくてどうすんだい? そりゃアメリカン航空なんだから、中南米はゆずれないだろうけれども、やっぱり広告ぐらいはパクらず作成しなくてどうすんだい?

 ましてや今はトランプ政権下。アメリカ入国はもっともっと輪をかけてメンドーになっているに違いない。今やワタクシのパスポートには「モロッコ!!」というデカいハンコが押してある。

 アルゼンチンやウルグアイでもしつこい質問が来るのに、今度は「モロッコ!!」。イスラム圏に2週間も滞在、しかもそれがたった2ヶ月半前。おお、係官の質問は苛烈を極めるに決まっている。

 以上のような経過をへて、今井君のキューバ探険は「メキシコ経由」と決まった。決めたのは、1月のモロッコ探険に出発する前である。ということは、12月下旬のシドニー滞在中のことである。おお、このサトイモ、異様なほどグローバルにコロコロ地球を転がりつづけているのだ。

 ま、せっかくこの世に生まれてきたんだ。この心臓が鼓動しつづけているうちは、意地でもグローバルに転がり続けなくてどうすんだい? 生まれた以上、グローバルに生きる努力をしないでどうすんだい? せめて1年に50日。この旅の継続は、ゆずれない。
メキシコ紙幣2
(メキシコ紙幣。裏はちょっと地味である)

 ちょうどANAが「メキシコ便をはじめます」と、昨年の秋から大キャンペーンを始めた。HPを開くごとに、「メキシコ♡」「メキシコ♡」「メキシコ♡」の文字が躍る。ならばせっかくだ、メキシコ経由でキューバに入ろうじゃないか。

 キューバついでに、メキシコも回っちゃおう。広大な国だから、1回で回るのは不可能だろうけれども、メキシコシティとカンクン、とりあえずメキシコ入門として、その2都市ぐらいはキューバと抱き合わせにできるだろう。旅の計画は、お風呂で1時間半しゃがんでいるうちにまとまった。

 こうして4月11日午前、ワタクシは一気に荷物をまとめたのである。2日前に大阪に宿泊して文楽を満喫したばかり。豊竹呂太夫の襲名披露を眺め、Mac君に「とよたけろだゆう」と入力したら、「豊田ケロ大夫」と恐るべき変換がかえってきて、余りのことにひっくり返ったばかりだ。

 いくら何でも自分の行動が激烈すぎないか、ちょいと不安になりながらも、新品のスーツケースに30分で荷物を詰め終えた(Mon 170417 役に立ちましたか?/スーツケース君の卒業旅行参照)。12時半にオウチを出て、新宿駅には12時40分に到着。いやはや、タクシーはマコトに便利である。
雨
(成田空港発17時。気温10℃、成田も冷たい雨だった)

 ただしこの日は、東京がグッと冷え込んだ1日であった。前々日には「汗ばむほど」「初夏の日差し」という陽気だったのに、4月11日だけは冷たい雨が朝から降り続いて、気温は10℃までしか上がらなかった。

 だから諸君、これからキューバとメキシコ、連日30℃を超えるほどの国々を旅するのに、東京を出る時はセーターとジャンパーが必要だったのである。厄介な荷物が増えてしまったが、やむを得ないものは、やっぱりやむを得ない。

 ANAメキシコ便は、成田空港発である。ワタクシの海外旅行は4〜5年前から専ら羽田発。成田利用は滅多になくなった。やっぱり1年半前のサンフランシスコ以来、ホントに久しぶりの成田エクスプレスに乗った。
ボヘミア
(メキシコシティ空港にて。カンクンへの乗り継ぎ便を待ちながら、早速メキシコのビールを2本。黒ビール「ホヘミア」、これは旨かった)

 空港に着いても、冷たい雨はまだまだ止まないのである。それどころか「ヒコーキは飛ぶんだろうか?」と心配になるほどの荒天になってきた。ラウンジの窓に雨が吹きつけて、メキシコ出発前のサトイモ法師は何だか侘しい気分である。

 こうして、またまたオッカナビックリの旅が始まった。前回のモロッコもオッカナビックリだったが、メキシコ&キューバもやっぱりオッカナビックリ。今井君はオッカナビックリを心から愛している。今まで一番オッカナビックリだったのは、アルゼンチンとウルグアイの旅である。

 そりゃ、余裕タップリ&自信マンマン、「ワタシは旅に慣れてますから」と胸を張るのもカッコいいだろう。でも諸君、オッカナビックリとは、ワクワク&ドキドキの裏返し。オッカナビックリであればあるほど、旅の思ひ出は濃厚濃密、決して忘れられない強烈な記憶になってくれる。

 そのぶん、旅が終わった時のショックと寂寥感も大きいのは確か。しかし、出発の段階でそんなことを心配しても仕方ない。今はあくまでオッカナビックリ、中米で遭遇するであろういろんな困難にワクワクしながら、とりあえず11時間の飛行をエンジョイするのみである。

1E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 2/4
2E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 3/4
3E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER 4/4
6D(DMv) THE MANCHURIAN CANDIDATE
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