Sat 170415 メソメソとションボリを満喫/水売りおじさんたち(モロッコ探険記40)
大型連休でも外国旅行でも、終わりの前の日が一番悲しいものである。終わってしまえば何と言うこともないので、「よし、いくぞ!!」「じゃ、行きますかね♡」と一声、伸びをするなりコブシを固めるなりすれば、あっという間に元の勇ましい生活に戻ることができる。
そもそも、日常への回帰はたいへんおめでたい。「何をしたらいいか分かんない」「何にもすることがない」「つまんない」と嘆くのは、連休でも旅の最中でも、ルーティンから解放されすぎるからである。
だから連休明けの月曜日は諸君、「ルーティン♡万歳!!」であり「日常回帰♡万歳!!」と叫ぶぐらいがいい。ここでその雄叫びをあげておかないと、5月病は慢性化してどんどん重苦しい事態になっていく。
だってそうじゃないか。厳しいルーティンに責めたてられる日々に回帰すれば、もう何にも悩まなくていい。「今日は何をするか」「どこで何を食べるか」、その種の悩みとは、次のお盆かお正月か来年のゴールデンウィークまで無縁でいられるわけだ。
あまりに楽しかった海外から帰国するのだって、よく考えてみればマコトにおめでたい。もうイスラム圏でお酒が買えずにイライラすることもない。好きな時にキリッと冷えたビールをゴクゴクやって、「ヒイーッ、うめえ」と奇声を発していいのである。
もちろんそんなのは強がりもいいところであって、5月8日や旅の終わりに「よっしゃ、ルーティンに戻れるぞ」「今日から楽しい満員の通勤電車♡」「むしあつーい♨」と、ニタニタしている人物を想像するに、まあそれなりに危うい感じは拭えない。
だから諸君、たっぷりションボリしていいし、思う存分メソメソしてかまわない。ションボリしたまえ。メソメソしたまえ。夢のような日々は終わったのだ。「よし行くぞ!!」はポーズだけでいい。内面のシクシク感やメソメソ感を、大いに肯定したまえ。
その辺、やっぱりサトイモ法師は大ベテランだ。メソメソ感と付き合うのもマコトに巧みである。むしろメソメソ感を満喫し、ションボリを楽しみ、シクシク感覚をたっぷり弄ぶ。
(旅の最終日、朝食は定番のメロンである)
1月19日、モロッコの旅も最終日を迎えた。マラケシュにいられるのは残り24時間、今夜のうちに荷物を作って、明日は早朝6時にチェックアウト。ヒコーキに乗って、ミュンヘン経由で東京に帰る。
外は、重たい曇り空。天気予報では「午後から雷雨」となっていて、明日から山沿いを中心に砂漠も大雪になるらしい。それでもホテルのプールは営業する。ホースでたっぷりの熱湯を注ぎ込み、「朝から是非プールにどうぞ」の態勢を整えている。
こういう日は、飛び起きないことが大切だ。メソメソ&しょんぼり、いつまでもベッドでヌクヌクしているのがいい。そのためにもあえて今井君は朝4時半に起床、「もうブログを更新しちゃった」という安心感を胸に、6時にベッドに戻り、そのままスヤーッと惰眠を貪る。
朝8時、廊下に掃除機の音が響きわたって、「そろそろ起きてください」「いつまでも寝てられると我々が迷惑なんです」という暗示が始まる。旅の終わりの寂しさと悲しさも募って、とてももう寝てなんかいられない。
そこで「あーあ」と少し大きめの声で呟いてみる。「あーあ、終わりかぁ」であり、「あーあ、楽しかったな」「ホントに楽しかったな」「あーあ」「モロッコのネコたちともお別れか」。その類いの、マコトに当たり前で陳腐でつまんねーことを、いろいろ呟いてみる。
メソメソ感を満喫するわけだ。しょんぼりの大っきな飴玉を5個も6個もしゃぶり尽くすわけだ。しくしくラーメンを2杯も3杯も平らげるわけだ。もうお腹いっぱい、飴玉ももういりません。どんなに満喫しても、15分もかからない。
(マラケシュ、クトゥピアの塔。最終日は重い曇り空だった)
それが終わったら、元気に朝食を食べにいく。パパイヤにマンゴーに、メロンに生ハム、食べ放題の朝食を、他の人々の2倍も3倍もワシワシやれば、もう悲しさなんかすっかり忘れている。
マラケシュのホテルは「朝食なし」で予約しちゃったから、お部屋でスープやら薄焼きせんべいやら、ヨーグルトやらプリンやら、そういうもので済ませた。今思えば残念なことをした。その後のキューバ&メキシコの旅では、朝食で他人の3食分を貪って余りに楽しかった。
考えてみればマラケシュの2週間は、口内炎との戦いに明け暮れたのであるから、実際「朝食なし」でかまわなかった。しかし次に旅する時には意地でも「朝食つき」のホテルにして、もっともっと元気にモロッコをのし歩こうと決意する。その決意がまたメソメソ克服に一役買うのである。
ワタクシの旅のスタンダードは、「ここでメロンにナイフを入れる」である。今までの旅行記にも何度も書いたけれども、3日前か4日前に購入しておいて、お部屋でじっくり熟成させる。
部屋がすっかりメロンくさくなって、きっと清掃係のオバサマたちが『メロン部屋』とか悪口を言っているだろうが、ワタクシはちっともかまわない。熟しすぎてジュクジュクしているようなメロンを、前夜から冷蔵庫でキリッと冷やしておいて、最終日の朝食の仕上げとするのである。
このところ、ちょっとメロンに恵まれていない。2016年9月、シチリア島・シラクーサのメロンは「うーん、イマイチ」。2016年12月、シドニーのメロンは、美味しすぎたチーズとハム、チキンとチップスに押されがち。今回マラケシュのメロンも、今日2枚目の写真で見る通り、熟し方がイマイチだった。
それでももちろんかまわない。これは、要するに儀式である。「これで今回の旅は終わりだよ」と、自分に言い聞かせるのだし、言わば「メソメソ感♡満喫」の一部であって、儀式なしにルーティンへの回帰はありえない。
こうして、10時半にはもう準備が完了している。雲はますます分厚くなって、天気予報どおりの展開であるが、ここでまたブルーになっていても始まらない。傘を持って、旅の最後の町歩きに出発しようじゃないか。
毎日挨拶しつづけたクトゥピアの塔も、重い雲の下。馴染みのネコは今日も出てきて、しばらくワタクシの前を歩いていく。旅の2日目、思えばもう10日も前に「そこの茂みにヘビがいますよ」と警告してくれたネコである。ナデシコに似た、小さくて優しいヤツだった。
(ナデシコに似たネコどん。すっかり馴染みになった)
クトゥピアの塔の真下で、「水売り」のオジサマたちのミーティングを目撃(本日の写真1枚目)。砂漠や荒野から出現するこのオジサマたちは、ホントに間違いなく「水売り」。水を売って生活しているというタテマエだ。
しかし諸君、ヤギの皮の袋に入ったその水は、ミネラルウォーターではない。水道水である。「モロッコの水道水って、大丈夫なんですか?」とか、そんな心配をする必要はなくて、もともと彼らの水を買って飲む人は誰もいないのである。
水売りのオジサンたちも、金属の豪華なウツワをジャラジャラさせながら歩いているが、まさか水がホントに売れるだろうなどとは考えていない。彼らの生活の糧は「チップ」であって、観光客と一緒に写真に収まっては「チップ」「チップ」とニコニコ激しく要求するのである。
ジャマ・エル・フナ広場には、そういうオジサマたちがナンボでも存在する。サルまわしのオジサンも、ヘビ使いのオジサンも、写真 ☞ チップが常識であって、気の弱そうな人が相手なら、どんどん相場をつりあげる。そうガイドブックには書いてある。
ヘビ使いの中には、いきなりヘビを人の首に巻きつけておいて、「チップを払うまでそのままです」などという恐ろしいことをする人もいるんだそうな。ネットにはそういう情報が溢れている。
幸いなことにワタクシは2週間もここに滞在して、その類いの強引なチップは1度も払わずに済んだ。ガイドブックやネット情報が大袈裟なのかどうか、ワタクシには分からない。しかしまあ、めでたし&めでたし。こりゃ何とか無事にマラケシュの2週間を乗り切れそうである。
1E(Cd) Rachel Podger:TELEMANN/12 FANTASIES FOR SOLO VIOLON
2E(Cd) Sirinu:STUART AGE MUSIC
3E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS 1/2
6D(DMv) THE TOURIST
total m76 y618 d20576
そもそも、日常への回帰はたいへんおめでたい。「何をしたらいいか分かんない」「何にもすることがない」「つまんない」と嘆くのは、連休でも旅の最中でも、ルーティンから解放されすぎるからである。
だから連休明けの月曜日は諸君、「ルーティン♡万歳!!」であり「日常回帰♡万歳!!」と叫ぶぐらいがいい。ここでその雄叫びをあげておかないと、5月病は慢性化してどんどん重苦しい事態になっていく。
だってそうじゃないか。厳しいルーティンに責めたてられる日々に回帰すれば、もう何にも悩まなくていい。「今日は何をするか」「どこで何を食べるか」、その種の悩みとは、次のお盆かお正月か来年のゴールデンウィークまで無縁でいられるわけだ。
(マラケシュ最終日、クトゥピアの塔の下で、「水売り」のオジサンたちのミーティングを目撃する)
あまりに楽しかった海外から帰国するのだって、よく考えてみればマコトにおめでたい。もうイスラム圏でお酒が買えずにイライラすることもない。好きな時にキリッと冷えたビールをゴクゴクやって、「ヒイーッ、うめえ」と奇声を発していいのである。
もちろんそんなのは強がりもいいところであって、5月8日や旅の終わりに「よっしゃ、ルーティンに戻れるぞ」「今日から楽しい満員の通勤電車♡」「むしあつーい♨」と、ニタニタしている人物を想像するに、まあそれなりに危うい感じは拭えない。
だから諸君、たっぷりションボリしていいし、思う存分メソメソしてかまわない。ションボリしたまえ。メソメソしたまえ。夢のような日々は終わったのだ。「よし行くぞ!!」はポーズだけでいい。内面のシクシク感やメソメソ感を、大いに肯定したまえ。
その辺、やっぱりサトイモ法師は大ベテランだ。メソメソ感と付き合うのもマコトに巧みである。むしろメソメソ感を満喫し、ションボリを楽しみ、シクシク感覚をたっぷり弄ぶ。
(旅の最終日、朝食は定番のメロンである)
1月19日、モロッコの旅も最終日を迎えた。マラケシュにいられるのは残り24時間、今夜のうちに荷物を作って、明日は早朝6時にチェックアウト。ヒコーキに乗って、ミュンヘン経由で東京に帰る。
外は、重たい曇り空。天気予報では「午後から雷雨」となっていて、明日から山沿いを中心に砂漠も大雪になるらしい。それでもホテルのプールは営業する。ホースでたっぷりの熱湯を注ぎ込み、「朝から是非プールにどうぞ」の態勢を整えている。
こういう日は、飛び起きないことが大切だ。メソメソ&しょんぼり、いつまでもベッドでヌクヌクしているのがいい。そのためにもあえて今井君は朝4時半に起床、「もうブログを更新しちゃった」という安心感を胸に、6時にベッドに戻り、そのままスヤーッと惰眠を貪る。
朝8時、廊下に掃除機の音が響きわたって、「そろそろ起きてください」「いつまでも寝てられると我々が迷惑なんです」という暗示が始まる。旅の終わりの寂しさと悲しさも募って、とてももう寝てなんかいられない。
そこで「あーあ」と少し大きめの声で呟いてみる。「あーあ、終わりかぁ」であり、「あーあ、楽しかったな」「ホントに楽しかったな」「あーあ」「モロッコのネコたちともお別れか」。その類いの、マコトに当たり前で陳腐でつまんねーことを、いろいろ呟いてみる。
メソメソ感を満喫するわけだ。しょんぼりの大っきな飴玉を5個も6個もしゃぶり尽くすわけだ。しくしくラーメンを2杯も3杯も平らげるわけだ。もうお腹いっぱい、飴玉ももういりません。どんなに満喫しても、15分もかからない。
(マラケシュ、クトゥピアの塔。最終日は重い曇り空だった)
それが終わったら、元気に朝食を食べにいく。パパイヤにマンゴーに、メロンに生ハム、食べ放題の朝食を、他の人々の2倍も3倍もワシワシやれば、もう悲しさなんかすっかり忘れている。
マラケシュのホテルは「朝食なし」で予約しちゃったから、お部屋でスープやら薄焼きせんべいやら、ヨーグルトやらプリンやら、そういうもので済ませた。今思えば残念なことをした。その後のキューバ&メキシコの旅では、朝食で他人の3食分を貪って余りに楽しかった。
考えてみればマラケシュの2週間は、口内炎との戦いに明け暮れたのであるから、実際「朝食なし」でかまわなかった。しかし次に旅する時には意地でも「朝食つき」のホテルにして、もっともっと元気にモロッコをのし歩こうと決意する。その決意がまたメソメソ克服に一役買うのである。
ワタクシの旅のスタンダードは、「ここでメロンにナイフを入れる」である。今までの旅行記にも何度も書いたけれども、3日前か4日前に購入しておいて、お部屋でじっくり熟成させる。
部屋がすっかりメロンくさくなって、きっと清掃係のオバサマたちが『メロン部屋』とか悪口を言っているだろうが、ワタクシはちっともかまわない。熟しすぎてジュクジュクしているようなメロンを、前夜から冷蔵庫でキリッと冷やしておいて、最終日の朝食の仕上げとするのである。
(ワタクシは滅多にオミヤゲを買わないが、10ディルハムのタジン鍋には一瞬グラッときた)
このところ、ちょっとメロンに恵まれていない。2016年9月、シチリア島・シラクーサのメロンは「うーん、イマイチ」。2016年12月、シドニーのメロンは、美味しすぎたチーズとハム、チキンとチップスに押されがち。今回マラケシュのメロンも、今日2枚目の写真で見る通り、熟し方がイマイチだった。
それでももちろんかまわない。これは、要するに儀式である。「これで今回の旅は終わりだよ」と、自分に言い聞かせるのだし、言わば「メソメソ感♡満喫」の一部であって、儀式なしにルーティンへの回帰はありえない。
こうして、10時半にはもう準備が完了している。雲はますます分厚くなって、天気予報どおりの展開であるが、ここでまたブルーになっていても始まらない。傘を持って、旅の最後の町歩きに出発しようじゃないか。
毎日挨拶しつづけたクトゥピアの塔も、重い雲の下。馴染みのネコは今日も出てきて、しばらくワタクシの前を歩いていく。旅の2日目、思えばもう10日も前に「そこの茂みにヘビがいますよ」と警告してくれたネコである。ナデシコに似た、小さくて優しいヤツだった。
(ナデシコに似たネコどん。すっかり馴染みになった)
クトゥピアの塔の真下で、「水売り」のオジサマたちのミーティングを目撃(本日の写真1枚目)。砂漠や荒野から出現するこのオジサマたちは、ホントに間違いなく「水売り」。水を売って生活しているというタテマエだ。
しかし諸君、ヤギの皮の袋に入ったその水は、ミネラルウォーターではない。水道水である。「モロッコの水道水って、大丈夫なんですか?」とか、そんな心配をする必要はなくて、もともと彼らの水を買って飲む人は誰もいないのである。
水売りのオジサンたちも、金属の豪華なウツワをジャラジャラさせながら歩いているが、まさか水がホントに売れるだろうなどとは考えていない。彼らの生活の糧は「チップ」であって、観光客と一緒に写真に収まっては「チップ」「チップ」とニコニコ激しく要求するのである。
ジャマ・エル・フナ広場には、そういうオジサマたちがナンボでも存在する。サルまわしのオジサンも、ヘビ使いのオジサンも、写真 ☞ チップが常識であって、気の弱そうな人が相手なら、どんどん相場をつりあげる。そうガイドブックには書いてある。
ヘビ使いの中には、いきなりヘビを人の首に巻きつけておいて、「チップを払うまでそのままです」などという恐ろしいことをする人もいるんだそうな。ネットにはそういう情報が溢れている。
幸いなことにワタクシは2週間もここに滞在して、その類いの強引なチップは1度も払わずに済んだ。ガイドブックやネット情報が大袈裟なのかどうか、ワタクシには分からない。しかしまあ、めでたし&めでたし。こりゃ何とか無事にマラケシュの2週間を乗り切れそうである。
1E(Cd) Rachel Podger:TELEMANN/12 FANTASIES FOR SOLO VIOLON
2E(Cd) Sirinu:STUART AGE MUSIC
3E(Cd) Rampal:VIVALDI/THE FLUTE CONCERTOS 1/2
6D(DMv) THE TOURIST
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