Sun 170409 ポルファボールな日々/5月の決意/井の頭線のこと/下北沢の不思議な夜 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 170409 ポルファボールな日々/5月の決意/井の頭線のこと/下北沢の不思議な夜

 諸君、5月に入った東京は、すっかり夜明けが早くなった。朝4時にはもう東の空が白みはじめ、4時半にはもうスズメ君たちが集まって、あっちでチュンチュコ、こっちでチュンチュコ、今日も今日とて朝から勤勉にコミュニケーションを始めている。

 今朝の日の出は、何と4時48分。げ、太陽さまもスゲー勤勉だ。昨夜は雷雨の後の東京上空にキレイな三日月が浮かんで、お月さまもたいへん勤勉に満ち欠けを繰り返していらっしゃる。おやおや、怠けているのは、このサトイモ入道だけである。

 思えば、キューバ&メキシコの旅から帰国して、すでに5日が経過する。16日に及ぶ中米滞在で、すっかりコンガリたぬき色に焦げまくって帰京、脳の中までコンガリたぬき色。灰色の脳細胞は、日々のラム酒と冷たいビールに溶解して、心も身体もトロトロ夢を見ながら5月を迎えた。

 南米も大好きだが、中米ってホントいいですな。出かける前は何となく怖がってブルブル震えていたけれども、今や精神状態は
「キューバ大好き」
「メキシコ大好き」
「またすぐ行きたい」
「あの熱いお日さまに焼かれていたい」
というアリサマだ。

 もっと正直に言えば、すでにこっそり
「次はジャマイカもいいじゃまいか」
「いんにゃ、またキューバ!!」
「メキシコのオアハカ地方を探険してきたい♡」
と、いろんな計画がボワーッと膨張しはじめている。
フランクと
(中米の16日で、こんがり焦げたサトイモ君。2009年フランクフルトで購入した「クマのフランク」とともに)

 その一方で、何故か「フィヨルドが見たい」「ノルウェーの冷たい夏を旅してきたい」「ムンクどんと夕暮れの橋で遭遇したい」なんてのも浮上。おやおや、気がつくと航空会社のHPを眺め、ホテルサイトを検索する日々である。

 カミナリさまも呆れ果て、「サトイモさん、少しは仕事のことも考えなさい」と、昨日は午後からカミナリ語で「ゴロゴロ♨」「ゴロゴロ♡」とお説教を始めた。昨日の「ゴロゴロ!!」は、あれは実は秘かな今井君との会話だったのである。

 しかしどんなにゴロゴロ叱られても、今のワタクシにはカミナリ語は通じない。日本語もダメかもしれない。だって諸君、4月11日から16日間(=384時間)にわたって、ワタクシはずっと「ポル・ファボール」な生活を満喫していたのである。

 ビールがほしければ、「Una cerveza, por favor!!」。ビールに飽きたら「Habana club siete años, por favor!!」」。ホテルの部屋に帰りたくなれば「La cuenta, por favor!!」。暢気に中米の人々に甘えていればよかった。

 しかし、さすがに5月である。お日さまもお月さまもスズメ諸君も、あんなに勤勉に本来の務めを果たしつづけているじゃないか。「今井君、そろそろ真面目な日々に戻りたまえ」とカミナリさまもゴロゴロ叱責を始めたじゃないか。
本
(英語の本でもバリバリ読むかね)

 そこで実は4月30日、サトイモ法師は「ポルファボールからの脱却作戦」を開始した。もっとマジメに仕事に取り組もう。久しぶりにチャンと難しい英語を読もう。日本中が5月病に苦しむ中、せめて自分は超ベテラン予備校講師として模範的な5月を送ろう。そういう決心でコンガリ燃え上がったわけである。

 しかし残念なことに、仕事のスケジュール表は完全にカラッポだ。頼みの綱の「公開授業」は、6月1日までナシ。確かに6月・7月・8月は強烈な怒濤のスケジュールになりそうだが、とにかく5月のスケジュールはホントにホンマに1つもない。

 ならば、勉強だ。難しい本でもガッツリ読もうじゃないか。手許にあった分厚い本を手っ取り早く開いてみたら、「Love」と「Passion」についてのお話。すると諸君、愛と情熱じゃ、やっぱり中米に勝るものはない。たちまち心はポルファボールに逆戻りする。
ミニマル君
(決意のとき、誰もみな部屋の掃除から開始する。ワタクシの味方は、日立「ミニマル君」とクイックルハンディ君である)

 5月1日、「昼からの夕立」という不思議なお天気が回復してから、爽やかな夕暮れの街に出てみた。要するに「お散歩」であって、単なるお散歩が何故「模範的な予備校講師」の生活なのか分からないが、とりあえず幡ケ谷の駅から電車に乗って、吉祥寺の方まで行ってみた。

 京王・井の頭線である。今年もまた、たくさんの東大新入生が誇り高い顔で井の頭線を利用しはじめていることだろう。一方で、「駒場東大前」の駅にあんなに憧れたのに、「ダメでした」という悲劇の受験生も大勢いたことだろう。

 今井君自身も、今から数万年もむかしのこと、「悲劇」のグループに入った。だから、
「井の頭線に乗るのがイヤ」
「井の頭線に乗るとアタマがクラクラする」
「井の頭線を見ただけで強いハキケを感じる」
という悲しい青年時代を知っている。

 あの悲しみから抜け出すのに、少なくとも10年はかかったのである。だからこそワタクシは、受験生諸君にあの苦しみやハキケやクラクラを味わってほしくない。おお、講師としてもっともっと努力と研鑽を積まなきゃいけない。

 その決意を新たにしただけでも、井の頭線の散歩は大いに役立った。5月の新緑の中で、「いつまでもポルファボール」なんてことをやっていちゃダメなのだ。

 そこで諸君、吉祥寺でちょっと用事をこなした後は、また井の頭線に乗り込んで、下北沢を目指した。もっともっと「駒場東大前」に接近したわけである。下北沢を過ぎれば、各駅停車なら次は「池ノ上」、その次が「駒場東大前」。急行電車はそういう駅をみんな無視して、たった4分で終点・渋谷である。

 下北沢で下車して、大好きな下北沢の街でゆっくり5月の決心を確認してから帰りたい。ギュッと確認しておかないと、あっという間にポルファボールに逆戻りしてしまう。
こうらん
(下北沢の不思議な夜、〆は太子堂の「中国料理 こうらん」のラーメンと決めた)

 5月の決意なんてのは、若葉と同様マコトに脆く危ういものなので、ちょっとでも油断すれば毛虫にムシャムシャかじられ、気がつけば一夜にして穴だらけ。そんな決意が存在したことさえ忘却のかなたに消える。

 決意の確認の場には、冷たく泡立つ黄金色の液体や、徳利の中で「早く盃に入りたい」とチャプチャプ呟いている甘い液体がなきゃいかん。ワタクシの希望は、① ラーメンの「珉亭」② とんかつの「かつ良」③ 焼鳥の「とりを」。マジメな大学受験生なみに「第3志望までゆずれない」と、ずらずらお店の名前が浮かんだ。

 ところが、うまく行かない。まず「珉亭」が「月曜定休」。続いて「かつ良」も月曜定休。「とりを」は珍しく超満員、かつ喫煙者の姿が目立つ。こりゃいかん。「ゆずれない」も何もあったものではない。

 不思議なほどダメな時には、何をやっても不思議なほどダメなものである。そのまま下北沢から三軒茶屋方向へ、茶沢通りに沿って南下していくと、一目見て「ダメそうだな」と感じるお店を一軒見つけた。

 ダメそうな店なら確実に入れるので、すでに疲労を感じていたワタクシは「座る」「黄金色の液体をグビグビやる」の2点だけを優先、大きなタメライとともに店に闖入した。

 外観がダメそうな店は、店員さんもマスターもお客さんたちも、だいたいにおいてみんなダメなことが多い。カウンターに数人、テーブル席にも数人、「クールビズの見本です」みたいな中年男子諸君が、生温い仕事の話でお互いにもたれあっている。

「ビール」と注文しても、あまり見かけないおかしなビールしかない。「お通し」は、モロミとエシャロットとオカラを練り上げたシロモノ。ポテトサラダはカレー味。しかも丼いっぱいの大量なポテサラだ。

「お燗したお酒をください」というと、氷水につけた冷酒が出てくる。新規の中年カップルが、表のドアから入ってきて、何も飲まず&何も食べずに、裏のドアから出て行く。店の裏側は、お寺の墓地が広がっている。不思議な悪夢のようである。

 こうして決意の一夜は、全てがうまく進まない。余りのことにワタクシは「こりゃ熱いラーメンでギュッと〆なきゃ」と固くコブシを握った。
ラーメン
(〆のラーメン、380円)

 向かったのは「代沢十字路」の先、淡島通りを横切って三軒茶屋の手前、「中国料理 こうらん」である。ラーメン380円。ギョウザ390円。学食並みに安いその店に、この10年で3回ほど入ったことがある。

 カウンターに、明らかに店に居着いているジーチャンが1人。「昼からずっとここで飲んでいる」というヒトで、もう時計は22時近いから、もう7〜8時間もそこに座っているのである。やたらにタバコを吸うので、お店の優しいオバサンも少し困っている。

 奥のテーブルには、40歳代のオジサマが4人、職場での人間関係のあり方について熱い討論会になっている。「オマエだけマジメに働くから職場がシラケるんだ」「他のヤツの心を思ったら、あんまりマジメにやっちゃダメなんだよ」と、マジメな男をキツく叱責する。

 叱責されている当の人物は、とっくに熟睡している。あまりにギュッと熟睡しているから、放置すればおそらくあのテーブルに固まったまま、朝までないしお昼までぐっすり眠ったままでいそうである。

 こういうふうで、ワタクシの5月の決意も決心も、どうも高く飛翔できそうにない。タクシーで1200円、茶沢通りを逆戻りしてオウチに帰った後は、それでも「部屋のお掃除ぐらいはしよう」と呟いた。2月に購入したばかりの「日立 ミニマル君」のスイッチをポチッと入れてみたのであった。おお、コイツはホントによく働くヤツだ。

1E(Cd) Nanae Mimura:UNIVERSE
2E(Cd) AFRICAN AMERICAN SPIRITUALS 1/2
3E(Cd) AFRICAN AMERICAN SPIRITUALS 2/2
4E(Cd) Maria del Mar Bonet:CAVALL DE FOC
5E(Cd) CHAD Music from Tibesti
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