Wed 170315 下北沢・珉亭でラーメン/ばっかり食べ/カッコいい中年計画を断念する | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 170315 下北沢・珉亭でラーメン/ばっかり食べ/カッコいい中年計画を断念する

 ワタクシは別にグルメでも何でもないが、その食欲については自分でも「なかなか大したものだ」と自画自賛するぐらいであって、中でも「ばっかり食べ」の迫力は周囲を圧するものがある。

 何でそんなに「ばっかり食べ」が好きなのか、全く分からない。しかしフィレステーキならフィレステーキ、ハンバーグならハンバーグ、生牡蠣なら生牡蠣、人の3倍も4倍も食べて「飽きる」ということがない。

 ブリュッセルに14泊して、来る日も来る日もムール貝のワイン蒸しばかりを貪ったことがある。1日60個、2週間で840個、今では考えただけで気持ち悪くなるぐらいだが、あの時はベルギー中のムール貝をちゅるちゅる吸収する化け物になった気分だった。

 ムール大魔王。生牡蠣スーパー大魔王。ハンバーグウルトラ大魔王。ばっかり食べについては、今井君はまさに大魔王の迫力がある。その迫力が、外国を旅している時にはメロンに向くこともあり、チキンやハムに向けられることもあり、トルコの旅の時には何故か「エズメ」に集中した。
みん亭
(久しぶりに下北沢の名門「珉亭」を訪問した)

 諸君、近くにトルコレストランがあったら、ぜひ今日か明日の夕食に、トルコ料理にチャレンジしてみたまえ。「世界三大料理」と言うとき、我々は「フレンチ・中華・和食」と考えるが、「和食」を排してトルコ料理を入れる人も少なくない。

 つまりトルコ料理は和食最大のライバル。ひき肉料理が多すぎる気がするが、とっておきの前菜として供されるのが、今井君の愛する「エズメ」である。いやはや、イスタンブールに滞在した2週間、ばっかり食べのアンテナはひたすらエズメに向けられた。

「そんなにエズメばっかり食べる人は、トルコにもいませんよ」とウェイターのオジサマたちに冷やかされつつ、カドキョイのレストランで口から火を噴くほど辛いエズメを、3人前でも4人前でも食べまくった。いま考えただけで、口からボーッと真っ赤な火炎が噴き上がりそうだ。

 トルコ語の響きと似ているのが、韓国語の響きである。まあ諸君、一度トルコ語をじっくり聞いてみたまえ。「お、これって韓国語?」と呟きたくなる瞬間が、頻繁に訪れる。広大な中央アジアの平原を通じて、トルコ民族と朝鮮民族にははるかな交流の歴史だってあるはずだ。

 エズメは、日本のトルコレストランでは「エズメサラダ」という呼び名になっていることが多い。サラダだから、要するに野菜。真っ赤になるほど辛く漬けて、徹底的に刻み込んだシロモノである。

 朝鮮半島の真っ赤なキムチを、もっともっと真っ赤に漬けて酸味をぬき、包丁で執念深く刻みに刻めば、エズメとそっくりなものが出来上がるはずだ。いやはや諸君、ホントに口から火炎が噴き上がる。
江戸っ子らーめん
(キムチ入り・江戸っ子ラーメン)

 下北沢の名門ラーメン屋「珉亭」を久しぶりに訪ねてみることにした。ここのオススメが「江戸っ子ラーメン」。どうして江戸っ子のラーメンにキムチが入っているのか分からないが、とにかくスッキリ澄んだスープの上に、キムチがどっと載っけられてくる。

 ま、邪道と言えば邪道なのである。そもそも暖簾にデカデカと書かれた「世界で3番目に旨い」という文言も邪道。「じゃあ、1番は」「ついでに、2番はどこなんですか?」と質問されて、店の人がホントに答えられるのかどうか、甚だ心許ないじゃないか。

 ついでに同じ暖簾の上の「味で勝負」という文言も、考えてみればナンボでも不平不満が湧き上がるので、「味で勝負」なのはあまりにも当たり前である。

 もし「味以外で勝負」するとしたら、そんなラーメン屋はまさに論外。予備校講師が「授業で勝負!!」とか、そういう言葉をわめきまくったら、誰だって「そんなの当たり前じゃん」と混ぜっ返すに違いない。

 もちろん「授業以外で勝負!!」というオカタもいる。① ルックス ② 学歴 ③ 雑談。①や②については縁がないが、③のことを言われると、一瞬「その通りかもしれません」とションボリせざるを得ない。授業の中身も抜群、分かりやすさもバツグン、しかし雑談もやっぱり完全に群を抜いちゃっている。
半チャーハン
(珉亭の「半チャーハン」。あんまり「半」じゃない気がする)

 ただ、①について一顧だにされない自らのルックスが悲しくないこともない。春の真っ昼間の下北沢を歩いていると、「北京料理 新雪園」という老舗の前で、今井君そっくりのオジサンの像を発見。うぉ、こんなルックスで、よく四半世紀も予備校の世界をノシ歩いてきたものだ。

 しかし自らの雑談には強烈な自信があって、滋養豊富&栄養豊富、あんなに生徒のやる気を満々に溢れさせるトークが出来るもんなら、誰でもいい、ワタクシにチャレンジしてみたまえ。20秒か30秒で瞬殺にしてくれる。ムール大魔王は、自信満々でチャレンジに応じよう。

 そういう満々の自信を肉体に漲らせながら、授業で勝負なサトイモ入道は「味で勝負」の暖簾を分けて「珉亭」に闖入。2年ほど前にラーメン道の上段者である古文のウルトラ大先生をご案内して以来、ホントに久しぶりの訪問であった。
そっくり
(下北沢「新雪園」の前に立つソックリさん)

 注文したのは、「オススメ」の江戸っ子ラーメン、「半チャーハン」、餃子1皿、瓶ビール1本、日本酒1合。仕事がない1日だし、下北沢もそろそろ桜が満開だ。お花見気分の下北沢なら、昼間からビールにお酒でも全く違和感はない。

 ただし諸君、「半チャーハン」はちっとも「半」じゃない。これが「半」なら、「半×2」つまり「1」の普通チャーハンはどうなるんだ? ついでに、「チャーハンにしてはネチャネチャしすぎないか?」「赤い色も不要」であるが、食通でも何でもない今井君は、発言をその辺にとどめておこう。

 ラーメンは、キムチ投入のせいか、それてもドンブリが平たいせいか、思ったほどのボリュームはなくて、おやおや、あっという間に胃袋に収まった。むかし懐かしい大瓶のラガービールと餃子の相性もよくて、今井君のポンポンはあっという間にホテイ様のポンポンと相似形に成り果てた。

 強い南風が吹いて、都内の気温が急上昇した1日である。熱いラーメンのスープを残らず飲み干し、ギョーザもほとんど咀嚼しないで嚥下、ネチャネチャした赤いチャーハンも目を閉じて飲み込んでしまった肉体から、どっと塩辛い汗が噴き出した。

 みっともないねえ、中年オジサンの汗まみれ。今井君は、いま固く決意するのである。「そろそろ、カッコいいオジサンにならなきゃ」。少なくとも蒸し暑い晩春から梅雨の時期に、「汗まみれの太った中年」などという忌み嫌われる存在にだけはなりたくない。
空っぽ
(スープも酒も残さず飲み干す。春の今井君は意気軒昂だ)

 一計を案じたサトイモ入道は、カッコいい中年になるべく、いろんなお買い物を決意していたのである。① セカンドバッグ ② 下駄 ③ 長ーいおサイフ。ポーチみたいな小さなバッグに、スマホや文庫本やカメラやサイフをスマートにまとめて、涼しげに街をカッポしようと考えた。

 しかし諸君、今のワタクシのシルエットでセカンドバッグなんかをぶら下げたら、その筋の人が用心棒代を集めて回っているみたいじゃないか。で、まず①は断念した。ジャケットのポケットに何でもかんでも詰め込んで歩けばいいだけのことである。

 ②の「下駄」は、昔は蒸し暑い季節のオジサンの必需品。今どき下駄なんか履く人は誰もいないだろうけれども、真夜中の寂しい街をカラン&コロンと下駄を鳴らしながら歩くなんて、スバラシー昭和ロマンの復活だ。

 でも、やっぱりカラン&コロンはうるさいかね。「安眠妨害」とか、そういうメンドクサイことになっちゃうかね。そう思って②も断念。③は、実はずいぶん昔から狙っていた「ワニ革」のメッチャ高い財布があるのだが、これも「悪趣味」という批判を周囲から浴びて断念するに至った。

 かくして、「カッコいい今井君」計画は、次から次へと破綻。断念に断念が続いて、実は4月のサトイモ法師はかなりムクれている。どんな計画であれ、破綻だの断念だのというのは、目いっぱいムカつくものである。

 だからこそこうしてラーメン屋でチャーハンに汗まみれ、餃子くさい中年男になりきっているのだ。こんなに餃子くさいんじゃ、カッコ悪くて街も歩けませんな。

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3E(Cd) George Benson:TWICE THE LOVE
6D(DMv) 12 ANGRY MEN
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