Tue 170228 3月下旬、来し方行く末を思う/東京都立川の大盛況/白いおまんじゅう | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 170228 3月下旬、来し方行く末を思う/東京都立川の大盛況/白いおまんじゅう

 こうして諸君(スミマセン、昨日の続きです)、3月19日のワタクシは、深夜の新幹線で山口から福岡に戻った。

 山口で大熱演を演じた後、ちょっと風邪の症状がぶり返して、せっかくのフグもほとんど食べられないぐらいの吐き気に悩んだけれども、とにかく何とか23時半の博多駅にたどり着いた。

 連休の中日、博多の夜はお祭り騒ぎである。博多という街はいつでもお祭り騒ぎが似合うので、これはマコトに結構なことである。お祭り騒ぎじゃない博多なんか、ちっとも博多らしくない。ジージャンもニーチャンもオジサマも、どんどん盛り上がっていこうじゃないか。

 オバサマやオバサマも、真夜中近いというのに、その盛り上がりはなかなか冷めないようだ。博多駅前のタクシー乗り場は長蛇の列。グランドハイアットまでホンの5分の道のりに、タクシーを使うのが何だか申し訳ないぐらいである。

 卒業式帰りのオネーサマたちもワンサと残っている。今井君なんかは思わず「大丈夫かい?」と言いたくなるところだが、袴にブーツ、例の珍妙なカッコの女子連が真っ赤な顔でノシ歩き、深夜のお祭り騒ぎは今や最高潮。このままみんなで山笠でも引っ張りだしそうな勢いだ。

 一方の今井君は、吐き気の最高潮。決して飲み過ぎたのではない。山口で飲んで来たのは、ビール1杯と日本酒1本だけだ。どうやらワタクシは風邪のピークであって、「よっしゃ、これから明日の朝11時までの間に、徹底的に風邪を治しちゃおう」と決意しながらホテルに戻った。
にゃご1
(久しぶりのニャゴロワ。今はこのザブトンが大好きだ)

 ホテル前のコンビニで購入したのは、ポカリスエット3リットル。氷1パック。これとお風呂と備え付けのバスタオル4枚&バスローブで、11時間かけて風邪を完全に肉体から放逐しようと考えたのだ。

 だって諸君、もう風邪を引いて1週間だ。いつまでも吐き気だの熱だの倦怠感だの、そんなことばかり言って怠けてはいられない。3月下旬の10日間は、人の一生で最も濃厚濃密な記憶がトーロトロに蓄積される大切な季節だ。やっぱり春は、ギュッと大切にしなきゃいかん。

 中3から高1の3月、ワタクシは早春の秋田で自転車を乗り回して過ごしたのである。高校入試の7日前、右目の上に出来た大きな腫れ物を切開手術。そういう余裕の高校入試だったが、それでも高校進学にはそれなりに緊張感があって、そこいら中の山道を自転車で快走した。

 高3のオシマイの3月も、やっぱり自転車でそこいら中を快走していた。3年前と同じ自転車であるが、片道40分の自転車通学に3年間付き合ってくれた自転車はもうすっかり傷んで、そこいら中の歯車が悲鳴を上げていた。
にゃご2
(ニャゴは相変わらず元気である)

 高3の11月30日から開始したわずか3ヶ月の受験勉強ではさすがに間に合わず、東京大学の受験にはモノの見事に失敗。医系志望から文転した人間として「満点狙い!!」と公言していた数学は、緊張の余り1問も解けず、3月20日の段階で浪人が決定していた。

 ホントを言えば、あそこで早稲田政経に決めていても良かったのだ。しかしでござるね、3ヶ月の受験勉強で早稲田政経と早稲田法に合格できるなら、「これから1年やったら、理科Ⅲ類でもいけるじゃないか」みたいな妄想がムクムク入道雲みたいに湧き上がってきていた。

 それが18歳の3月。その後も3月下旬になるたびに、怪しい入道雲は常にムクムクするのである。大学学部最終学年の3月もそう。ただし、「さあ就職♨」ということになると、入道雲から大粒の涙が豪雨となって降り注いだ。

 だって、ここからはもう一生、朝9時には出社していなきゃいけないのである。「今日は2日酔いだから昼まで寝ていよう」なんてのはもちろんんのこと、「議論が熱して朝まで飲んでました」「オールで語ろうぜ」もダメだし、午前3時に「映画もう1本行っちゃう?」も、もう許されない。
よこづな
(白いオモチかおまんじゅうに見える)

 社会人になる前の10日間は、そこから始まる40年間ないし50年に対する、そういう暗黒の思いでいっぱいなのだ。「朝までかかって1冊読破した」「議論に夢中になってたら、朝4時だった」みたいな濃厚な日々は、とりあえずいったんみんなオシマイなのだ。

 今井君みたいなダメ人間にとって、日々の心のカテになっていたのは、ああいうトンデモナイ深夜&早朝の熱中である。朝5時、夜明かしした飲み屋から始発電車で帰って、深い溜め息をつきながらネグラに這いずり込む。あの瞬間の至福に勝るものなんか、この世のどこにあるというんだ?

 最高のお友達は、朝5時の自動販売機。それもあんまりメジャーなヤツじゃなくて、名も知らぬメーカーの販売機がいい。ギザギザした缶のピーチネクターとパインナップルネクターが並んでいる販売機があり、ネクターばっかり4本も5本も買いこんで、薄暗い下宿の部屋でイッキ飲みした。

 それからずっとオトナになって、2005年の3月20日には、ヨーロッパ40日の旅から帰国の途についた。2月9日ベルリンから始まったヨーロッパの旅の終点はパリ。コペンハーゲン経由のSASで成田に到着したのが3月21日だった。

 だから、あの時もやっぱり泣きそうだった。帰り着いた早春の日本は連日雨模様で、初めて「公開授業」というものに臨んだ大阪京橋も、その後の松山も、冷たい春の雨に濡れていた。
デザート
(3月21日立川でケーキをいただく。おいしゅーございました)

 諸君、以上のようなむかしむかしの物語をクチャクチャ&クチャクチャ反芻しながら、2017年の今井君はポカリスエットが肉体に吸収されていくのを、ひたすらじっと待っていたのである。

 15歳だの18歳だの23歳だの、もう発酵して芳醇なお酒になりかけているような記憶を頭の中にタポタポさせれば、その温かな夢の中でポカリはじっくり肉体の奥の奥まで染み込んでいく。

 染み込むに連れて、熱は穏やかに引いてゆき、吐き気の潮も悪寒の波も、夏の夕暮れの凪のように収まって、遥かな森の蝉時雨にでも耳と傾けている気分になる。

 ワタクシは、滅多に病気になることはないが、珍しく病気に負けちゃった時には、こうして「来し方行く末を思う」という治療法をとるのである。優しい水分が少しずつ染み渡るのを感じつつ、まずゆっくり「来し方」を思ってみる。これほど気持ちが落ち着く時間の過ごし方は考えられない。

「行く末」のほうは、若干の元気が出てくるまで待つのである。3月20日の今井君は、午前10時までひたすら来し方を思ってニコニコしていた。15歳も18歳も23歳も楽しかった。もちろん2005年もホントに楽しかった。

 だから「行く末を思う」のほうは、雨の福岡から帰りのヒコーキに搭乗するまで、ゆっくり待ってみたのである。こうして3月20日、1週間も悩まされた悪質な風邪を、とうとう肉体のスミズミから追い出すことに成功した。「ポカリ様、ホントにありがとう」の一言である。
立川
(3月21日、東京都立川の大盛況)

 3月21日は、19時から東京都立川で公開授業。毎年この時期に立川で公開授業を実施してすでに5年、会場の「三多摩労働会館」ともすっかり馴染みになった。21時ピッタリ閉館、何が何でも20時45分までにはカンペキに終了にしなきゃいけない会場である。

 21日の東京は雨。傘を差していても下半身がグッショリ濡れるぐらいの雨であって、「ガーラガラの恐怖」を感じないこともなかったが、新宿17時30分発の中央線特急「あずさ」に乗って、時間通りに駆けつけた。

 当初の出席予定者100名。ところが諸君、次から次へと「とびこみ」の出席希望者がやってきて、やれ「補助イスが必要だぞ」、やれ「もっと補助イスが必要だ」と嬉しい悲鳴が上がるうち、最終的にはおよそ120名の出席。狭い会場はおしくらまんじゅう状態になってしまった。

 これはまた素晴らしいじゃあーりませんか。湯気が出そうなおしくらまんじゅう状況を眺めているうちに、「そういえばオウチにも白いフカフカなおまんじゅうが走り回っていたな」と、優しい白いニャゴ姉さんのことを思い出した。久しぶりにニャゴ写真を掲載したのは、そのせいである。

1E(Cd) Sheila E. & The E-Train:HEAVEN
2E(Cd) Tower of Power:URBAN RENEWAL
3E(Cd) Tuck & Patti:CHOCOLATE MOMENT
6D(DMv) IRON CLAD
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