Sun 170122 清水寺に決めた経緯/間もなく大改修/松葉北店/鍋焼きうどんときしめん | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 170122 清水寺に決めた経緯/間もなく大改修/松葉北店/鍋焼きうどんときしめん

 せっかの雪の京都だ。金閣 ☞ 銀閣とウルトラ定番を回った後は、何も大混雑の清水寺なんかに行かなくても、他にいくらでもシックな選択肢はあったのである。

 洛南なら、醍醐寺あたりか。さすがにこんなに足許の悪い日に伏見稲荷じゃ危険だろうし、ましてや今井君はお仕事用の固ーい革靴だ。ホテルのロビーや講演会用のステージでも、スケートみたいにツルツル滑って遊べる。伏見稲荷の石段なら、10回はスッテンコロリするだろう。

 グッと北へ上がって、大原の三千院や寂光院もいい。 岩倉あたり、円通寺なんかもいいですな。雪の比叡山が真っ白く陽に映えて、さぞかし素晴らしい借景になってくれるだろう。

 しかし、これも却下。だって諸君、京都中心部でもこの雪だ。大原あたりでどのぐらいの積雪になっているか、分かったものじゃない。スキーも出来そうな深い新雪の中、固ーい革靴のサトイモ法師は、ここでもスッテンコロリ。人に見られたら恥ずかしいじゃないか。

 同様の理由で、高雄も槙尾も栂尾も却下。高雄の神護寺まで上がって、冷えた空気の中で大好きなカワラケ投げに興じたいところであるが、あの石段でスッテンコロリは目に見えている。そもそも雪の中でカワラケ投げだなんて、そんな不思議なことはしないほうが身のためだ。

 仕方がないから、運転手さんとカワラケ投げの話をするだけでガマンした。別に自慢するわけであるが、今井君はカワラケ投げの名人である。ギュッと下方に抑え込んで指先でスピンをかければ、カワラケは信じがたいほど高く、ワシかタカのように舞い上がる。
清水寺
(清水寺、遥かな子安観音。残念ながら、雪は融けてしまった)

 こうして諸君、訪ねるべきシブいお寺の候補が次々と浮かび上がるのだが、浮かんでは消え、浮かんでは消え、あたかも流れに浮かぶウタカタのようである。考えても考えても全然決まらない。

「ええい面倒だ、この際、比叡山の向こう、琵琶湖西岸に回っちゃおうかな」。そんなこともチラッと考えた。実は今回の京都滞在で、もしもこんなに寒くなかったら、堅田とか坂本とか浮御堂とか、ググッともう一段シブい観光に興じようとも思っていたのだ。

 しかしこの計画も、「滋賀県方面はさらなる大雪の恐れ」という天気予報で消滅。京都市内の他のお寺については、「昼過ぎには雪もほとんど融けました」というニュースで消滅。選択肢はどんどん絞り込まれて、ありゃりゃ、ごく自然に清水寺しか残らなかったのである。

 清水寺の本堂は、まもなく21世紀の大改修に入るんだそうな。改修には10年だか11年だかかかるので、2030年近くまで再び見ることは出来ない。高2の秋の修学旅行以来、すっかりお馴染みになった本堂ともしばしのお別れだ。

 それならば、中国語と韓国語の氾濫も、ペーラペラおキモノの大洪水も、気にしていてはならない。レッツゴー清水寺。坂道の大行列、恐るるなかれ。積極的に彼ら彼女らの渦の中に飛び込むしかない。
大黒様
(清水寺の大黒サマ)

 タクシーを降りたワタクシは、初詣なみの大混雑の中、みたらし団子やらソフトクリームやら焼きオニギリやらをワシワシやっているアジアのヒトビトとともに、黙々と清水の舞台を目指したのである。

 若い日本人カップルもわずかながら存在する。今井君の顔を見て、彼ら彼女らは茫然と立ち尽くす。「笑えるほど今井先生にソックリな人がいる」というわけであるが、そりゃ諸君、無理もない。ワタクシは間違いなくそのサトイモ法師ご本人なのである。

 清水寺を訪れたのは、おそらく3年ぶりか4年ぶりか、そのぐらいである。紅葉の時期、ド派手にライトアップもしているんだから、京都の美しい夜景を見るためにも、もっと頻繁に来ていいのだ。

 しかしやっぱり、どうしても「もっとシブいところがナンボでもあるじゃないか」という思いが先に立つ。「中高生じゃないんだから、今さらキヨミズでもないだろう」なわけであるが、やっぱり大雪の翌日だ。山の上なら雪がまだ残っているだろうと期待していた。

 残念なことにキヨミズの雪もまた、この時間帯にはほとんどが消えていたのである。子安観音のほうにうっすらと雪の痕跡が残っているぐらい。キヨミズの舞台から音羽の滝のあたりは、もうすっかり平常に戻って、雪が降ったことさえ思い出せないような、騒々しい日常的の雰囲気に包まれていた。
棒煮
(祇園「松葉・北店」、鰊の棒煮。おいしゅーございました)

 こりゃ、サッサと引き上げた方がいい。30分ほどブラついた後、すぐにタクシーに戻り、祇園四条駅のあたりで下車。朝9時過ぎからの「貸し切り」だったが、マコトに快適に金閣&銀閣を満喫させていただいた。MKタクシーの運転手さんに、大いに感謝する。

 ここまで来れば、ランチは「にしんそば 松葉」である。南座隣りの本店は大混雑でイヤだから、ワタクシは大好きな「松葉・北店」を選んだ。テーブルが2つ、お座敷席が3つ、カウンター6席。小さく穏やか店であって、入店時は他に1組のお客がいるだけだった。

 他のランチ候補として、「七条 わらじや」という手もあった。一昨日、降りしきる激しいボタン雪の中、熱い鰻雑炊で温まった店である。しかしやっぱり「一昨日訪ねたばかり」と思うと気後れがした。

 松葉・北店は、このブログにもしょっちゅう登場している。京都で単独ランチということになれば、常に第1の候補に上がるのがこのお店である。

 四条大橋をはさんで斜向い、中華料理の老舗「東華會館」もお気に入りだし、洋食の老舗「レストラン菊水」も入ってみたいが、どうしても半年に一度は「松葉」に義理を立てておきたい。前回はいつだっただろう。ずいぶん間が開いてしまった気がする。
からし和え
(松葉・北店にて。熱燗・鰊からし和え・蕎麦味噌の風景)

 今日はこれから東京に帰るだけ。お仕事の予定がないから、お酒も好きなだけ飲んでいい。まず瓶ビール1本。次に熱燗を1本お願いして、ツマミは鰊棒煮。ついでに大好物の「鰊からし和え」も注文する。

 熱い日本酒とともに、「蕎麦味噌です」と言って可愛い小鉢が運ばれてきた。これがマコトに旨いのである。旨くて&旨くて、たまらない。今井君はこの世で一番イヤしい人間であるから、旨いものは骨の髄までしゃぶり尽くしたい。

 小鉢に指を突っ込んで、お箸では鉢から取れない蕎麦味噌を小指の先で掬いとり、その指をペロペロ嘗めては、熱いお酒をチビチビやる。マコトにお行儀が悪い。こんな至福の瞬間があるだろうか。お行儀の悪さと人間の幸福とは、どうやら正比例するようである。

 この5年、すっかりお馴染みになったお店のオバサマに、その一部始終を目撃されていた。「一部始終」、英語で言えばthe whole story、ないしはeverything。ホントに心から優しい笑顔で、店のオバサマは「ありがとうございます」とおっしゃってくれた。
鍋焼きうどん
(悩んだあげく、鍋焼きうどんを選択)

 〆のお蕎麦は何にすっかな。熱燗をもう3本飲みながら、悩みに悩んだ。「にしんそば」?「しっぽくそば」?「助六そば」? 候補が多いと、悩みはますます深くなる。「鴨せいろ」?「鴨助六そば」なんてもあって、悩みはヒマラヤの谷底以上に深まっていく。

 結局、お願いしたのは「鍋焼きうどん」。「にしんそばのお店に入って鍋焼きうどんとはこれいかに?」であるが、この日の京都は午後に入って再びしんしんと冷え込んできた。熱燗4合でも、今井クマ蔵のデカい肉体は完全に温まりきらなかったのである。

 帰りの新幹線に乗る前、まだワタクシは悩みに悩んでいた。悩みの中身が「名古屋で途中下車して、新幹線ホーム『住よし』のきしめんをすするかどうか」だったというのだから恐れ入る。

 でも諸君、どんな高尚な悩みでも、ホントにそれ以上の意味があるのだろうか。人生の悩みのほとんどが、「名古屋で途中下車してきしめんをすするか否か」、そのへんに集約されるんじゃないか。そんなふうに京都で居直ってみせるサトイモ法師であった。

 結論は、No ☞ きしめんは、また今度。だって諸君、ワタクシのポンポンは、「松葉」の鍋焼きうどんでもうとっくにパンパンになっていたのである。

1E(Cd) Barenboim & Berliner:LISZT/DANTE SYMPHONY・DANTE SONATA
2E(Cd) Perlea & Bamberg:RIMSKY-KORSAKOV/SCHEHERAZADE
3E(Cd) Chailly & RSO Berlin:ORFF/CARMINA BURANA
6D(DMv) SWIMMING POOL
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