Sun 170108 Xmasのボンダイビーチ/サンタ帽が目立つ(シドニー夏のクリスマス16) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 170108 Xmasのボンダイビーチ/サンタ帽が目立つ(シドニー夏のクリスマス16)

 ボンダイビーチまでは、地下鉄とバスで行く。ダブルベイから約10分、爽快な夏の涼風に吹かれながら、エッジクリフ駅まで登っていく。すっかり馴染みになったこの道とも、今回はもうこれが最後である。

 何だか寂しいけれども、また来ればいいことだ。12月の定番にしてもいい。オーストラリアもそれなりに物騒で、目と鼻の先のメルボルンでテロ未遂犯が逮捕されたばかりだけれども、「クリスマスは夏の南半球で」を今後の定番にしたくなるほど、今回のシドニーは快適に過ごせた。

 宿泊先をダブルベイにしたのが、何と言っても大正解。同じインターコンチネンタルホテルでも、もしサーキュラーキーのほうを選んでいたら、こんなに穏やかなクリスマスにはならなかったかもしれない。

 涼風の代わりにジングルベル、静謐の代わりに花火と爆竹と高歌放吟、そんなんじゃ、上海や香港で過ごすお正月と択ぶところがない。ワタクシはやっぱり年をとったのか、何よりも穏やかな雰囲気を優先したいのだ。
ボンダイ1
(12月25日、シドニー・ボンダイビーチにて 1)

 エッジクリフから地下鉄に乗って、終点のボンダイ・ジャンクション駅までは10分弱である。ここで市バスに乗り換える。諸君、バスを待つ長蛇の列に、誰でもビックリするはずだ。

 バスは次から次へと来るけれども、押し寄せる海水浴客の数の方が、バスの頻度を凌駕する。1台が超満員で出発すると、もう次のバスの前に長蛇の列が出来ている。バスなんかでチマチマ運んでいても、とても捌ききれる人の数ではない。

 ボンダイビーチまでは15分ほどの道のり。「立って行ったっていいじゃないか」ではあるが、さすがに外国人観光客としては「座っていきたい」「車窓を満喫したい」という欲求を抑えることができない。

 昔から今井君は、バスの車窓が大好きなのだ。列車の車窓やクルマの車窓、ヒコーキから見下ろす遥かな下界、どれもみんな大好きだが、バスの車窓ほど楽しいものは他に考えられない。

 だからワタクシは、電車やバスでいきなり読書を始める人種のココロの中が分からない。バスに乗り込むや否や、直射日光があたっていようがいまいが、マコトに不機嫌そうにカーテンをギュッと閉め、お外なんか意地でも見ようとしない。

 20年ほど前からはケータイいじりが読書にとってかわり、「ケータイほちほち」はやがて「スマホねろねろ」に代わって現在に至る。人々はひたすら電子の小窓を眺めて時間を過ごし、バスの大窓は全く顧みられない。人々のココロがますます分からなくなった。
プチホテル
(ダブルベイのプチホテル「ロイヤルオーク」。1階のパブがいい雰囲気だった)

 電子の小窓なんかより遥かに楽しい光景が、電車やバスの大きな窓に広がっているのである。バスの窓が一番好きなのは、電車ほど速くもなく、クルマの窓よりずっと高い視点から、街や人々の生活の様子が眺められるからである。

「窓の景色は映画のようで」「映画のオカネはとらないで」「バスは走る」「バスは走る」。佐藤義美作詞、大中恩作曲「バスの歌」はこんなふうに歌う。1962年の作品である。「バスが左へ曲がると、隣りの人も左へ曲がる」「ボクも左へ曲がりまーす」。おお、素晴らしいココロの余裕じゃないか。

 この歌詞の中の「映画のようで」であるが、「映画よりずっと面白い」というのがワタクシの意見だ。だってコイツは作り話じゃないんだし、フィルム上に固定されたものとは違って、時々刻々ナンボでも変化する。同じ路線でも、毎日毎日異なる光景を楽しめるじゃないか。
エッジクリフ駅
(地下鉄エッジクリフ駅。落ち着いた雰囲気が気に入った)

 ワタクシが好きなのは、とりあえず
① 高田馬場駅 → 早稲田正門ゆき(都バス)
② 早稲田正門 → 渋谷駅ゆき(都バス)
③ 若林折返所 → 渋谷駅ゆき(東急バス)
以上3路線である。

 ①は言わずもがな、②は大学の授業をサボって「渋谷ジャンジャン」に芝居を見に行く時に必ず使った路線。寂しく空しいサボリ感覚が伴って、神楽坂 → 四谷 → 赤坂の車窓をションボリ眺めつつ、これから観る芝居のことをいろいろ考えたものである。

 ③は、下北沢に住んで代ゼミで仕事をしていた時代に毎日利用した。「四天王」ではあっても、代ゼミ時代は何となく寂しい日が続いた。授業に集中できないというか、「どうすんだい?」の時代の方が懐かしかったというか、やっぱりバスにはションボリ感が似合うのである。

 海外でも、今井君はバスが大好きだ。マルセイユからラ・シオタやカシスに行くのにもバスを使ったし、ベルリンを路線バスで走り回るのも楽しかった。冷たい雨の中、バイヨンヌとビアリッツを路線バスで往復した日のことも、これまたションボリ感たっぷりの素晴らしい思い出である。

 小さな島なら、路線バスでグルグル回るのが楽しい。ナポリからプローチダ島に渡った嵐の日には、ミニバスで島を2周した。パレルモから3時間のウスティカ島も、ミニバスでの島1周が一番楽しかった。
ボンダイ2
(クリスマス、大混雑のボンダイビーチ)

 そういうサトイモ入道であるから、クリスマスのボンダイビーチに行くにも、やっぱり路線バスがいい。立っていくのはツラいけれども、シドニーの高級住宅街を窓から眺めながらなら、ビーチに着くまでの15分がこの上なく楽しいのである。

 ボンダイビーチの賑わいは、数日前に来てみた時とは数段の違いがある。さすが「クリスマスはボンダイビーチで」という過ごし方がシドニー市民の定番になっているだけあって、夏休み第1週か第2週の江ノ島を思わせるウルトラ大混雑である。

 しかし夏の江ノ島と明らかに違うのは、「クリスマス当日だ」という点であって、おお、やっぱりサンタさんの赤い帽子がビーチに溢れている。

 ジーチャンもパパもサンタ帽、ママもバーチャンもサンタ帽。むしろ冷めているのはコドモたちのほうであって、ビーチの中心♡ボンダイ・パビリオンでつまらなそうな顔をしてムクれているのは、小学生か幼稚園児と思われる幼い諸君である。
ボンダイ3
(男子2名の「危機?」の光景にハラハラしたあたり)

 よく日焼けしたムキムキの肉体で、誇らしげにビーチを歩き回るオジサマもいる。見ていると、おお、同じくサンタ帽の、なかなか美しい(かどうかはよく確かめなかったが)オネーサマの前にひざまずいたじゃないか。おっ、何か小箱みたいなものを差し出した。

 実はそのシーン、ばっちし写真に収めちゃったのであるが、こんなにハッキリ顔まで映っているんじゃ、この場に公開するわけにはいかないだろう。これはおそらくプロポーズのシーン。オカネ以上に、プライバシーは大事だよー。クリスマスのボンダイビーチには、こんな感激の劇的シーンも繰り広げられるのである。

 ビーチがあんまり大混雑なので、「コスタルウォーク」に沿って海岸を散歩することにした。もちろん今井君は見かけによらず水泳はスゲー得意なのだが、日本の中年オヤジは危険を冒すことなく、とぼとぼ岩伝いに散歩するほうを選択したのである。

① 水は意外に冷たそう & 波もスゲー高い。危機に陥っているとしか思えない2人のアップアップ男子さえ存在した。
② 「波打ち際でちゃぷちゃぷ水遊び」のほうが主流で、ザブザブ&ビシバシ泳いでいる人はほぼ皆無。
③ 海パンを持参しなかった。
以上3点が、その選択の理由である。

1E(Cd) Schreier:BACH/MASS IN B MINOR 2/2
2E(Cd) Gergiev & Kirov:TCHAIKOVSKY/SYMPHONY No.6
3E(Cd) Sinopoli & New York:RESPIGHI/FONTANE・PINI・FESTE DI ROMA
6D(DMv) THE LAKE HOUSE
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