Sat 161210 ラグビーに酔う/駅伝に酔う/シラクーサの古代遺跡(シチリア物語35) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 161210 ラグビーに酔う/駅伝に酔う/シラクーサの古代遺跡(シチリア物語35)

 お正月2日目のワタクシは、まさに日本中のオヤジの定番、朝から晩までスポーツ中継を眺め、テレビに向かって拍手喝采し、画面を相手に応援の激励を叫び続けて、もうすっかり喉が嗄れてしまった。

 しかも諸君、定番オヤジのスポーツ観戦には、ナンボでもお酒が入るのである。最初は、ビール。次に「お正月らしく」熱燗の日本酒。やがて日本酒じゃ物足りなくなって、いつの間にか左手にはウィスキー。水割りどころかロックでもなく、「ストレート」という恐るべき状況になる。

「先生、そんなに飲んで大丈夫?」と心配する諸君、「大丈夫?」も何も、少しぐらい酔っぱらったって、こうしてチャンとブログの記事ぐらい書けるのだ。今井、恐るべし。この恐るべき今井君が、2017年も公開授業に授業収録に、八面六臂の大活躍を続ける。楽しみにしていてくれたまえ。

 我が愛する早稲田大学は、マコトに残念なことにラグビー準決勝に出場していない。2016年の暮れ、ワタクシがシドニーで夏のクリスマスを満喫しているうちに、愛するライバル同志社大学にサッサと負けちゃった。

 ホンの4〜5年前までは、早稲田ラグビーが勝つかどうかで、その年の吉兆を占ったものだった。しかし今年の準決勝は、同志社 vs 東海大、帝京 vs 天理大。天理の大健闘に感激が続き、終了間際、終了のホーンが鳴った後の猛攻には、思わずソファから立ち上がって絶叫した。
円形闘技場
(シラクーサ、古代の円形闘技場。グラディエーターの夢の跡である)

 まあ諸君、何らかの手段で、今日の試合の動画でも見てくれたまえ。得点差から考えて、明らかに勝敗の決した後半40分、それでも果敢にフォワード勝負を挑み続ける天理大フィフティーンに喝采を送らないとすれば、諸君はまだラグビーの醍醐味をご存知ないのだ。

 相手は大学選手権7連覇中、今年も無敵の戦いで8連覇を狙う王者・帝京大だ。もう物理的に逆転は不可能な状況、それでも天理大の諸君は次々にスクラムを選択した。フォワードの体重差は1人平均で10kg。明らかに不利な戦いでも、彼らは意地を捨てなかったのである。

 インジュアリータイム、ゴールポスト真下に飛び込んだCTB。彼の背後で歓喜の雄叫びを上げる仲間たち。トライの判定でも、きっと誰も反対しなかっただろう。対戦相手の帝京大フィフティーンだって、きっと惜しみない拍手で意地のトライを讃えたはずだ。
円形劇場
(シラクーサ、古代の円形劇場。アイスキュロスにソポクレス、たくさんのギリシャ悲劇がここでも演じられたはずだ)

 しかし諸君、レフェリーの判定は無情にも「グラウンディングできていない」「トライに至らず。ノーサイド」。うーん、勝敗はとっくに決していたあのシーンで、意地のトライシーンについて、なぜレフェリーがあそこまで厳密な判断をしなければならなかったのか。ほんの少しの温情が、なぜ許されなかったのか。

 おそらくあの場面、天理大の選手たちのほうがみんな「トライに至っていない」という真実を知っていたのだ。温情でトライを認められ、「最後に意地を見せました」という讃辞に包まれることを、彼ら自身が拒絶したのだ。

 いさぎよし。マコトにいさぎよし。スポーツに温情は無用である。劇画的マンガ的な奇跡に歓喜するより、「ギリギリまで王者に迫ったが、王者の意地のディフェンスを破れなかった」という事実を認め、熱い涙を流しつつ、グラウンドをコブシで打ちつけるのが、ラガーマンのプライドなのである。

 いやはや、お正月からいいものを見せてもらった。受験生諸君も、本番まであと数十日。その次の年の受験生諸君も、本番まで残り400日足らず。是非ともラグビー準決勝のラストシーンを確認して、残り40日、残り400日に全力を投入していただきたい。
耳
(シラクーサ、古代の石切り場。カラバッジョが「ディオニュシオスの耳」と名づけた。石切り場の奥は50メートル、高さ36メートルに及ぶ)

 駅伝も、素晴しかった。別に早稲田を応援するわけである。絶対王者・青山学院に、わずか30秒+α差まで追いすがった。圧倒的に抜きん出た選手がいたわけではない。5人のランナーがそれぞれ地味に地味に走り続けて、箱根の山道を駆け上がった。

 これが理想の戦い方なのである。抜きん出たものがあるわけではない。しかしあくまで地味な基礎と基本を積み重ねて、気がつくとトップの背中が見えてくる。

「こうじゃなきゃ」と、午後の今井君はすっかり酔いが回って、追いすがる早稲田の選手に喝采を送った。安井君である。11月の全日本駅伝で、彼はアンカーを務めた。トップでタスキをリレーしたが、青学の大スター・一色選手にカンタンに追い抜かれてしまった。その悔しさを2ヶ月後の今日にぶつけた。

 いくら声援を送ったって、安井君に聞こえるわけはない。しかしこの安井君をはじめ、スポーツニュースで話題になるド派手な選手はいない中、基礎と基本を着実に積み重ねて、よくここまで王者を追いつめた。100kmを走り抜いて、わずか30秒の差。熱くならずにいられない。

 別に、威張るわけであるが、この戦い方こそ今井君の理想なのだ。ボクチンは、イケメンとはとても言えない。短足人間の代表である。お顔のイメージはサトイモ、キウィ、ジャガイモの類い。楕円形世界の代表選手。隠し芸も旨くない。テレビウケするタイプからは遥かに遠い。

 しかし諸君、基礎と基本を積み上げて、「今井が先発すれば絶対に負けない」「地味だけど、アイツに任せておけば必ず勝てる」と言わせてみせる。そう考えて生きてきた。気がつけば、「ありゃりゃ。理想を実現しつつあるように思えますな」と、冗談混じりにでも言えるような気がする。
内部
(シラクーサ、古代の石切り場「ディオニュシオスの耳」。最奥部からの光景)

 さてと、これは一応「旅行記」なのであって、9月8日のシラクーサのことも若干書いておかなければならない。昨日の記事で詳述した「皿うどん」の前に、実はシラクーサの古代ギリシャ神殿を数時間、歩き回ってきたのである。

 連日の雷雨が上がって、シラクーサは真夏の炎天に戻っていた。コマメな水分補給 ☞ 略して「コマスイ」が必須の状況。ホテルのあるオルティージャ島から徒歩で30分、古代神殿の町は「ほぼアフリカ」を実感させる白熱した光に熱く輝いていた。

 諸君、ここもやっぱりイタリア独特なのである。チケット売り場がなかなか見つからない。やる気のない土産物屋がどこまでも続き、「トイレかな?」と勘違いするような奥まった小さい建物の中に、やっとのことでチケットのカウンターがあった。

 イタリアのメンドーなところは、「あー、それはありません」の連続である。窓口の看板には「おトクなセット券」「おトクな割引券」「おトクな1日券」みたいな掲示があって、観光客は「おー、こりゃおトクだ」と思い、「じゃ、この割引券をください」と言ってみる。

 しかし諸君、イタリアの窓口では、そんな要求は滅多なことでは通じない。意気込んで「セット券!!」と言っても、「あー、それはありません」。張り切って「割引券」とニコニコしても、「あー。それはここでは扱ってません」。肩をすくめて拒絶されれば、スゴスゴ諦めるより仕方がない。
アポロ神殿
(シラクーサ、アポロ神殿)

 というわけで、結局ごく普通のチケットを購入して、古代の町に闖入することになる。白い光が散乱する紫外線タップリの炎天下、① 古代の円形闘技場 ② 古代の円形劇場 ③ 古代の石切り場の順番で回るのである。

 この数年、こういう場所は世界中どこでも中国の皆さまの団体が席捲していて、われわれ一般の旅行者は、いつでも端っこで大人しくしていなければならない。

 しかしこの日のシラクーサでは、中国の皆さまをほとんど見かけない。紫外線を恐れていらっしゃるのか、ホントに珍しいことに、中国語の響きが全く聞こえない。

 諸君、詳しいことは明日の記事に書こうと思う。明日は早朝から大阪に出かける。大阪の国立文楽劇場で、お正月の文楽を満喫する予定である。「鏡開き」といって、人形浄瑠璃のお人形さんにお神酒を注いでもらって飲むところから始まるのである。

 おめでたい。マコトにおめでたい。大阪の文楽劇場と、シラクーサの古代劇場。その2つを並べて論じるあたりから、2017年のブログを本格化させたいのである。

1E(Cd) THE BEST OF JAMES INGRAM
2E(Cd) Peabo Bryson:UNCONDITIONAL LOVE
3E(Cd) Take 6:BEAUTIFUL WORLD
4E(Cd) Sugar Babe:SONGS
5E(Cd) Kaori Murachi/Kazufumi Ymasita & New Japan Philharmonic:CONCIERTO DE ARANJUEZ
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