Fri 161209 賀正&謹賀新年/ユリーカなワイン/父の皿うどんと姉弟(シチリア物語34) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 161209 賀正&謹賀新年/ユリーカなワイン/父の皿うどんと姉弟(シチリア物語34)

 いやはや諸君、「あけましておめでとうございます」であり「賀正」であり「謹賀新年」であって、さすがのお正月は文句なしにおめでたい。こんなにおめでたい日に、もしも文句をつけるようなら、いったい何がおめでたいのか、じっくりインタビューでもやってみなくちゃいけない。

 そこで諸君、本日の写真の1枚目、シラクーサで1番の有名店の白ワインで、楽しく乾杯といこうじゃないか。9月9日、今井君はシラクーサ「Sicilia in Tavola」への闖入に成功。忙しさにテンパった従業員のオネーサマを何とかなだめすかして、路上の一番条件の悪いテーブルに陣取った。

 何しろホンの2〜3日前に「予約がなければダメです」と厳しい門前払いを喰らったお店である。しかも「アジアの客がキライ」とネットでも定評のあるコワい&コワーいオネーサマが相手。闖入には最大限の注意が必要だが、諸君、さすが今井君だ。いつの間にかマンマとテーブルを占領していた。

 どんなに条件の悪いテーブルでも、いったん占領してしまえばこっちのものである。ワインも料理も徹底的に意地悪く味わって、前回の門前払いのカタキはキチンととらせていただこうじゃあーりませんか。
白ワイン
(白ワインで乾杯!! 新年あけましておめでとうございます)

 まずお願いしたのが、白ワイン。うーん、今井君としては「白ワイン」はマコトに珍しい選択肢。単独でボトル1本とか2本とか、スカッと消費してみせなければならない関係上、白は最初から省略して、いきなり赤から入るのが今井君の流儀なのである。

 しかし諸君、今日はとにかく2017年の元旦だ。写真1枚目の「乾杯!!」のシーンを優先させてくれたまえ。乾杯の話なら、どろどろした赤より、サーラサラの白がいいじゃないか。

 実は9月9日、この店に入る前にシラクーサの古代ギリシャ遺跡を見学してきたのであるが、正月早々の記事ということなら、暗い洞窟の中の話より、やっぱりワインで乾杯の話が相応しい。

 しかも諸君、この白ワインのタイトルを見てくれたまえ。「ユリーカ」というのである。アルキメデスどんがお風呂に浸かりつつ浮力の法則を発見、「ユリーカ!!」「ユリーカ!!」と絶叫しながらフリち○で駆け回ったのが、2000年前のこの界隈である。お正月の記事に、こんなにピッタリのおめでたいワインが他に考えられるだろうか。
ユリーカ
(シラクーサのワインは「ユリーカ」。お正月から何ともおめでたい)

 そういうわけで、2017年の1枚目はおめでたい乾杯の写真。2枚目はもっとおめでたい「ユリーカ!!」な白ワイン、こんなに縁起のいい写真が2連続で始まったんだ。受験生諸君も、その周囲にいるオトナの皆さんも、ぜひこのおめでたい写真をダウンロードして、試験の現場にオマモリとして持参してくれたまえ。

 しかしもしもそんなことを言うなら、2016年の大晦日を飾った「ネロ」の勇姿の方が、もっと素晴らしいオマモリになると信じるのである。いやはや、見れば見るほど素晴らしいネコである。こんなオシャレなネコどんを、日本で目撃するのは困難なんじゃあるまいか。

 だからワタクシとしては、ぜひ昨夜のネロどんをオマモリとして使っていただきたい。「受験まで」とか「合格まで」とか、そんなケチなことを言うんじゃなくて、2017年の12ヶ月にわたって、うんにゃ、2019年のラグビーW杯に向かって、2020年の東京オリンピックまで、変わることなくネロ君をオマモリにして欲しいのである。
皿うどん
(シラクーサで1番の名店だが、うーん、パスタはどうも皿うどんだ)

 こういうふうで、9月9日の白ワインまでは、ワタクシの幸福も幸運も、以上のようにめでたく続いていたのである。ところが、マコトに条件の悪いグラグラ揺れるテーブルに、そのとき運命のパスタが運ばれてきたのであった。

 断っておくが、今井君のパスタ人生は長い。経験豊富であることについては、「だってすでに40年もパスタを食べ続けているんですよ」であって、「パスタ人生」というツルツルな世界は、1980年代前半に始まった。

 当時は、「喫茶店」のテーブルにつくやいなや、店の奥に向かって「スパゲッティ!!」と叫んだのである。昭和の日本で「スパゲッティ!!」と言えば、常識的に2種類しかなくて、① ナポリタン ② ミートソース、それ以外を求める人はほぼ皆無と言ってよかった。

 しかも②の「ミートソース」はまだ新参者であって、①が圧倒的な勢力を有し、地方都市でスパゲッティと言えば、無条件でナポリタン。難しいことは一切ナシ、「スパゲッティ=ナポリタン」、そういう素直な人生を今井君は歩んできた。

 そんな素直なパスタ人生に、9月9日のシラクーサの名店で「何だこりゃ。要するに『皿うどん』じゃないか♨」という激しい驚きが加わった。それが今日の写真の3枚目である。
ズッパ
(またまたズッパ・ディ・コッツェ。残念ながらソースが薄い)

 写真の通り、麺はまさに皿うどん。日曜日のパパが冷蔵庫をしばらくゴソゴソやったあげく、よせばいいのに「ヨーシ!!」と腕にヨリをかけて作ってくれた皿うどんである。

「うん、おいしいね」。息子も娘も、最初の一口だけは感激の叫びを上げる。だって待たされに待たされたランチの出来あがりだ。もう時計は1時半を過ぎている。「早くママが帰ってきてくんないかな?」と、弟がコッソリお姉ちゃんの袖を引っ張った頃である。

 ところが諸君、パパの張り切りようと言ったら、冷静沈着なお姉ちゃんにも止められるものではない。「ヨーシ、お父さんが皿うどんを作ってやろう」。そう言って冷蔵庫を掻き回した以上、弟もお姉ちゃんももう黙って犠牲になるより仕方がないのである。

 やがて「さあ出来たぞ!!」の叫びが上がり、弟もお姉ちゃんも小さな絶望を隠してテーブルにつく。見るからにスカスカ、眺めるだにカラカラ、そのノドゴシの悪さは、うどんを口に含むまでもなく、すでに視覚で明らかである。

 嘘つきな弟は「うん、お父さん、おいしいね!!」とニコヤカに叫ぶ。「そうか、おいしいか、ふふふ」。微笑ましくも欺瞞に満ちた家族の幸福の瞬間だ。欺瞞の深さを無意識に知悉しているのは、小6の姉だけなのである。
夕暮れ
(シラクーサに夕暮れが訪れる)

 というか、3つ年下の弟がどれほど信頼の置けないヤツか、このとき姉だけが知り抜いている。そこで諸君、姉はさまざまな改善案を提出してみる。

「おいしいね。でも、そばつゆでつけめん風にしてもいいかもしれないね」
「レタスとかトマトを刻んで、サラダうどんみたいにしたら、もっとおいしいかも」
「玉子をからめて焼いて、『お好み焼き風』なんていうのもいいかも」
「茶碗蒸しにぜんぶ入れちゃって、オダマキ蒸しにするのもいいと思うけど」
ま、要するに全てを変更したいのである。

 それでもパパ&弟の連合軍を撃破することはできない。パパは盛り上がり、弟はマコトに狡猾である。このマズいうどんに耐えぬけば、アイスなり、キャッチボールなり、巨額のお年玉なり、素敵な報酬が待っている。

 姉貴はどうして、その程度の単純なことが理解できず、うどんの改善策なんかをいつまでもグズグズ提案し続けているんだ? 早く食って、早く飲み下して、とっとともっと楽しいステージに進もうじゃないか。

 まあ諸君、シラクーサの名店のパスタは、要するにその程度の水準なのであった。クワバラ&クワバラ。メンドーなら、どんな有名店でもパスしたほうがいい。皿うどんにイワシのパウダーがかかっているだけのこと。君のパパの懐かしい皿うどんのほうが、ずっと美味しいんじゃあるまいか。

1E(Cd) Larry Carlton:DEEP INTO IT
2E(Cd) Anita Baker:RAPTURE
3E(Cd) Anita Baker:THE SONGSTRESS
4E(Cd) Anita Baker:RHYTHM OF LOVE
5E(Cd) Michael McDonald:SWEET FREEDOM
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