Sat 161119 夢の中華料理/凛とした老女将/紹興酒ぐいぐい/はとし/王ちゃんボール | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 161119 夢の中華料理/凛とした老女将/紹興酒ぐいぐい/はとし/王ちゃんボール

 長崎での公開授業後は、もちろん中華街での懇親会が待っている。長崎で250名規模の公開授業になったことは、ワタクシとしても心から感謝&感謝であって、なかなか長崎で200名を超えることはない。

 思えば「中華街での懇親会」も初めてであって、東進に移籍してきて12年、どういうわけか長崎の飲み会は中華街や思案橋を回避、その周辺をグルグル回ってばかりいた。

 だから、「今夜は『江山楼』です」と告げられた時、今井君は快哉を叫んだのである。「よかった&よかった。とうとう江山楼で、正式の忘年会に出られるわけね」であって、すでに昨日のうちに江山楼の皿うどん&青椒肉絲で満腹したことなんか(スミマセン、昨日の続きです)。どうでもいいのである。

 長崎のスタッフの皆さんは、「連日の江山楼」であることをお伝えすると、「すみません」「すみません」「ホントにすみません」とおっしゃるのであるが、いーえ、ホントはワタクシこそ「すみません」であって、先回りして前日に江山楼を訪問したのがいけないのである。
ワンチャンボール
(長崎江山楼「王ちゃんボール」。おいしゅーございました)

 というか、むしろ今井君としては「感謝また感謝♡」なのであって、長崎で江山楼以上に好きな飲食店は存在しない。あえて言えば、卓袱の名店「一力」、同じく卓袱で坂本龍馬が愛した「花月」、もしも「江山楼以上」を求めるとすれば、その2店以外に考えられない。

 しかも諸君、「一力」「花月」ともに、ワタクシはむしろ単独で訪れる方を好むのである。150年以上むかしの坂本龍馬どんが豪快に酒を飲み、豪快に飯を貪った名店なら、この今井君も龍馬の向こうを張って、単独でワッシワッシやりたいじゃないか。

 だから「江山楼」の4階、「牡丹」と名づけられた個室に入った段階で、今井君はもう得意満面。とっくに坂本龍馬になった気分で、日本と世界の近未来を案じはじめた。

「日本の英語教育、本当に今のままでええがかよ?」
「ワシは心配じゃきに。おまん、どう思うぜよ?」
怪しい土佐弁を操りつつ、若いスタッフに絡みはじめた。

 しかしもちろんそんな龍馬気取りも、酒が出てくれば全て解消。特に諸君、さすが長崎の名店だ。凛とした雰囲気の老女将が登場すれば、今井君のケーハクな意見なんか、ちっとも相手にされないのだ。「生ビール!!」と言ってみたら、「ビールは瓶のみでございます」。うーん、さすが老女将、素晴らしい気品である。
北京ダック
(江山楼、北京ダック。老女将に包んでもらえば、北京ダックも3倍旨い)

 懇親会に出席したのは、長崎のオジサマを中心に男子ばかり5名。中には「全米カラテ選手権2位」という猛者も存在したが、70歳代半ばと思われる老女将の迫力には、とてもツベコベ抗弁なんかできない。

 すべて老女将の言いなり、御無理 ☞ ごもっとも。お盆かお正月に田舎の本家を訪ねた若者が、本家のバーサマに圧倒されるような雰囲気である。バーサマ強し。バーサマ恐るべし。ひたすら女将に従ううちに、従うことがむしろ快感になってくる。

 今井君が「紹興酒をください?」と言うと、バーサマは大いに褒めてくれた。中華料理には紹興酒。そんなの当たり前であって、ビールだのチューハイだの、そんな軟弱なことを言われては、店の沽券に関わる。そういう勢いである。

「燗はしなくていいですね」
「お砂糖もいりませんね」
おお、女将の勢いはちっとも衰えない。
「紹興酒は常温が一番おいしくいただけます」
「弱い方はザラメのお砂糖を混ぜたりなさいますが、一番美味しいのは、やっぱり常温のストレートでございます」
なのである。

 おお、まさに今井君と完全に意見が一致するじゃないか。紹興酒は常温。氷なんかいれたら口がシブシブするだけだし、下手にお燗なんかすると、冷めるにしたがってどんどん興ざめな味になる。

 ザラメ? いやはや、そんなコドモみたいなお酒で、龍馬ともあろうもんが満足しててええがかよ? おまん、どう思うぜよ? 甘い酒、アホらしゅうて、飲んでられんきに。がははははは。バサマな女将と、思い切り意見が一致したのである。
円卓
(江山楼のくるくるテーブル。やっぱり中華はくるくる回らなくちゃいかんね)

 クルクル回る円卓も、田舎モンな今井君の憧れの的であるぜよ。中華料理と言えば、やっぱりこのクルクルでなきゃいかんぜよ。クルクル回れば回るほど、中華は旨くなるきに。いよいよ怪しい土佐弁に磨きがかかっていくのだった。

 こうなると、いかにも「主賓」然とした今井君の余りの素直さに、貫禄タップリの女将もホロリと来たのだろう、どんどん優しい母親ぶりを示してくれるようになった。

 そこへ運ばれてきた北京ダックも「お包みしましょうか?」と、ニッコリ笑って申し出てくれた。諸君、こういうとき「若い女子が包んでくれたら、さぞ旨いだろうに」などと思うのは、まだまだ人生のシロート。北京ダックは、やっぱり老女将に包んでもらわなきゃ、旨くないのである。

 この勢いで、紹興酒もどんどん胃袋に収まっていく。最初の一杯こそ、忘年会のメンバー全員でグラス1杯ずつ試してみたが、残りは全て今井君任せ。常温の紹興酒をグイグイ&クイクイ飲める豪傑なんてのは、なかなか存在しないようだ。
ハトシ
(江山楼の「はとし」こと「蝦多士」。おいしゅーございました)

 今日4枚目の写真は、長崎中華街の定番「はとし」。海老のすり身を食パンにはさんでカリッと揚げたものであって、外はカリカリ、中はモッチリ、その食感も独特である。

「パンを揚げる」というのは、たいへん難しい。油断すればパンが油をギュッと吸収して、油を吸い込んだスポンジみたいになってしまう。昨年の秋、京都の某有名天ぷら屋さんで、「パンの天ぷら」を食べさせられたが、まさに「油スポンジ」状態。あれ1つで胃袋が目いっぱいもたれてしまった。

 ホントはパンの天ぷらなんか食べたくなかったのだが、何しろその京都の有名店が「コースのみになっております」「コース以外は提供しておりまへん」という高飛車なお店。「何が何でも油スポンジを食べていただきます」みたいな、マコトにおっかない態度に押し切られた。

 それに比較して諸君、長崎の「はとし」、ホントにおいしゅーございました。仲間がみんなオジサマであるのに気を許して、「トシちゃんかい?」と口走ってしまった。

 若い読者諸君、「トシちゃん」とは、30年以上前のアイドル ☞ 田原俊彦どんのこと。彼のヒット曲に「ハッとしてグー」という恐るべきタイトルのものがあって、今井クマ蔵は「はとし」から「ハッとしてグー」を連想するほどのツマラン人間なのだ。

 それでも長崎の老女将は、ニコニコ笑ってくださる。おお、ありがたい。ならばお客のワタクシも、「紹興酒、もう1本」ぐらいの愛想はふりまかなきゃいかん。紹興酒4合、ほとんど今井1名でカラッポにしちゃったよん。

 なお断っておくが、今井君は決して無知ではないので、「はとし」の語源ぐらいは知っている。漢字で書けば「蝦多士」。「蝦」は中国語で「ハー」と発音し、「多士」が「トゥーシ」。トゥーシの語源は英語のトーストであって、何のことはない「海老トースト」が「はとし」のモトである。
夜明け
(長崎の夜明けは遅い。翌12月12日、午前7時10分の朝焼け)

 ラスト近くに現れたのが、「王ちゃんボール」。「王」と書いて「ワン」と発音するのは、世界のホームラン王・王貞治以来 日本人の常識であって、本日の写真1枚目に示したゴマ団子は、長崎人お馴染み「ワンチャンボール」である。

 普通のゴマ団子は、ゴルフボール大。対するワンチャンボールは、それを高温で蒸してプッと膨らませたもの。野球ボールとソフトボールの中間の驚くべき大きさである。おお、心からおいしゅーございました。

 こういうふうで、老女将ともすっかり打ち解け、「実は昨日のお昼過ぎに…」と、2日連続の江山楼訪問であることを、大胆に打ち明けてしまった。

 一昨日の記事で書いた通り、2皿目の青椒肉絲に「おいしかったんですか?」とビックリマナコをひんむいた豪胆な女子店員の逸話も披露した。

 老女将の爆笑すること、まさに限りなし。こうしてすっかり気に入ってもらって、近日中の再訪を約束し、ガハガハ楽しく豪快に笑いながら、江山楼を後にしたのである。

1E(Cd) Muti & Berlin:VERDI/FOUR SACRED PIECES
2E(Cd) Reiner & Wien:VERDI/REQUIEM 1/2
3E(Cd) Reiner & Wien:VERDI/REQUIEM 2/2
4E(Cd) Wigglesworth & Netherland radio:SHOSTAKOVICH/SYMPHONY No.4
5E(Cd) Mravinsky & Leningrad:SHOSTAKOVICH/SYMPHONY No.5
total m95 y1965 d19670