Sat 161029 白鷺、青鷺/鷹ケ峯まで雨が降る/光悦寺のドウダンツツジ/源光庵も真っ盛り | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 161029 白鷺、青鷺/鷹ケ峯まで雨が降る/光悦寺のドウダンツツジ/源光庵も真っ盛り

 11月15日午後1時、京都・四条大橋たもとの老舗「東華菜館」で中華料理の定番を満喫していると(スミマセン、昨日の続きです)、鴨川の水の中から白鷺どんや青鷺さんが、盛んにワタクシを手招きする。「そんなところでヌクヌクしていないで、紅葉真っ盛りの京都を歩いてきたら?」と言うのである。

 コース料理もすっかり平らげ、追加した青椒肉絲ももう残り少ない。ならば青鷺どんのおっしゃる通り、晩秋の京都をのし歩いてきますかね。

 数ある鮮やかな紅葉の中でも、今井君はダラしない桜の葉っぱが好き。真っ赤に染まるでもなく、微妙な割合で黄色や橙色が混じり、ブラリと力なく枝に垂れ下がって冷たい風に揺れる様子が、何となくワタクシの生き方に似ている気がするのである。

 そういう桜の葉っぱを楽しむだけなら、おそらく京都洛中の散歩がベストである。五条・四条から鴨川に沿って出町柳あたりまで。ついでに下鴨神社や糺ノ森、そのまま上賀茂神社まで鴨川を溯れば、晩秋の京都の風情はタップリ楽しめる。

 しかし諸君、白鷺どんも青鷺どんも、そんな中途半端な散策には賛成してくれない。「紅葉の当たり年なんです。もっともっとどんどん深く京都の町に入っていってくんなきゃ」と、例の鋭い眼光でこちらを睨みつけてくる。
鷺さん
(鴨川の青鷺どん&白鷺どんが、京都の町に誘い出す)

 中華料理でパンパンに膨らんだお腹を撫でながらタクシーに乗り込んだワタクシは、思わず「鷹ケ峯、光悦寺のあたりまで」と告げてしまった。北山方面の空には怪しい黒雲が渦巻いていたけれども、何しろ洛中はこんなにカンカン陽が照っている。まさかいきなり豪雨ということはあるまいと高をくくった。

「高をくくる」の「高」とは収穫高のこと。「くくる」は、漢字で書けば「括る」。ひとまとめにして計算することである。中世の武士の戦いでは、敵の兵力は収穫高とか石高によって概算できた。

 つまり石高は敵の総合力を示すわけで、「ま、この程度でしょうな」と高を括り、その計算に基づいて相手を侮って戦いに挑む。思わぬ竹篦返しを食った時、「おのれ、敵の高を括ったばかりに、思わぬ苦戦を強いられたわい♨」みたいに、キリキリ歯ぎしりしたわけである。

 11月15日、京都の今井将軍も、黒雲の高を括ってピンチに陥った。タクシーに乗り込んで10分、出町柳で鴨川を東から西に渡るあたりから、京都は激しい雨にさらされたのである。
光悦寺1
(鷹ケ峯・光悦寺の絶景)

 もうすぐ鷹ケ峯に着いちゃう。「あと3分ぐらい」という段階になっても、ちっとも雨は止んでくれない。運転手さんに甘えてちょっと雨宿りをお願いする手も考えられるが、うーん、さすがに中年のオジサンだ。「甘える」などという行動は、余りにキモイ、キモすぎるじゃないか。

 ところが諸君、鷹ケ峯・光悦寺に到着した瞬間、奇跡のように雨はスカッと&カラッと上がったのである。「おお、日頃の行いがいいおかげですな」と、マコトに勝手なことを呟きつつ、気持ちよくタクシーを降りた。

 光悦寺は、おそらく3年連続である。こんもり茂った北山・鷹ケ峯や、東山方面まで視野に入れた京都市内全域を借景に、これほど見事に設計された紅葉は、なかなか他に見つかるものではない。

 このところの食べ過ぎで、ホンの少し「腹、くだる」な状況であったけれども、そんな体調とは一切無関係に、さすが本阿弥光悦が設計した紅葉は絶景であって、特に濃密な赤に染まったドウダンツツジが美しい。

 ドウダンツツジは、漢字表記によれば「灯台躑躅」ないし「日本吊鐘」。白い釣り鐘状の花が、大昔の「結び灯台」に似ていたことから、この名がつけられた。「ドウダン」は、トウダイからの転訛なのである。
光悦寺2
(光悦寺にて。ドウダンツツジが鮮やかだ)

 ドウダンツツジをググってみると、何故か「満点星」の文字が画面に出てくる。それどころかMac君も、「どうだんつつじ」と入力すると、一瞬も躊躇わずに「満天星」と変換する。満点星と書いて、英語名「the stars of the whole sky」。おお、美しいじゃないか。

 しかし何しろ今井君は「食べすぎで、ちょいと腹 ☞ くだる」な状況。あんまり風流を味わっている余裕はなくなった。とっとと光悦寺をあとにして、丸窓が有名な「源光庵」に移動した。雨は相変わらず小休止のまま、今井君の日頃の行いを誉めたたえている。

 ひと昔前、JR東海の「そうだ、京都行こう」のCMで脚光を浴びた源光庵は、今もオジサマ&オバサマの集団でごった返している。「レンタル着物の若い男女」なんてのも押し寄せて、生々しい幕末の血天井の下で、構わず激しくイチャこら&イチャこら、写真撮影に余念がない。

 ただし11月15日の段階では、まだ例の丸窓は青葉のまんま。あれからちょうど一週間、今日(11月22日)あたりは丸窓も鮮やかな真紅に染まり、イチャこら組はますますイチャこらイチャついて、お寺はますます熱く燃え上がっていることと思う。
源光庵
(京都鷹ケ峯・源光庵の紅葉 1)

 しかし諸君、源光庵のお隣には地元の小学校が存在する。「鷹ケ峯小学校」である。観光客の立場からすれば「何でこんな観光地のど真ん中に小学校?」であるが、逆に地元のヒトビトから見れば「何でこんな山の中の静かな町に観光客?」と、おそらく迷惑千万なのである。

 だから小学校の側でも、体育の時間がくれば遠慮なく大音量の音楽を流す。何しろ小学校の体育では「ダンス」が全盛であって、6時間目、パパイヤ鈴木も真っ青、ルー大柴も真っ青、EXILEもそこのけの激しいダンスで、校庭は盆踊り会場以上の大騒ぎになる。

 源光庵のお庭を静かに眺めていても、EXILE風の音楽が校庭からガンガン流れてくるのは致し方ないのである。まさか「やめてくんろ」「静かにお庭を眺めさせてくんろ」と、学校側に要求するわけにもいかない。

 音楽の響きに、モミジもハラハラ散りはじめた。どうやらさっきの雨は寒冷前線の通過だったらしくて、京都の空気は急激に冷え込み、冷たい風が北山を駆け抜けた。つむじ風とともに、目の前で真っ赤なモミジが数百枚、一度に宙を舞った。
源光庵2
(京都鷹ケ峯・源光庵の紅葉 2)

 源光庵のお隣もまた、モミジの名所・常照寺。紙屋川の坂を降りれば、隠れた名所・吟松寺。もし時間があれば、まだまだ鷹ケ峯の散策を続けていいところである。

 しかし諸君、この段階で時計は16時を指している。夜の公開授業は19時から、京都駅前の校舎での集合時刻は17時半だ。

 こりゃそろそろ引き上げる潮時であって、京都観光はまた明日の朝に再開とした方がよさそうだ。常照寺クンと吟松寺クンには、また来年ないし再来年の再会を約し、今井君はすごすごホテルに戻ることにした。

 すると諸君、おどろくじゃないか、タクシーに乗り込むと、2秒か3秒も経過しないうちに、またまた外では激しい雨が降り出した。今井君がクルマに乗っている間だけは、京都は冷たい雨にさらされるのである。出町柳から三条をすぎて、蹴上のウェスティンホテルに到着するまで、雨は小やみなく降り続いていた。

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3E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 1/11
4E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 2/11
5E(Cd) COMPLETE MOZART/DIVERTIMENTI・SERENADES 3/11
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