Fri 161028 紅葉の当たり年/同じベテラン運転手さん/静寂の智積院/また東華菜館で中華 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 161028 紅葉の当たり年/同じベテラン運転手さん/静寂の智積院/また東華菜館で中華

 紅葉真っ盛りの京都駅に着いたのは、11月15日の正午すぎである。京都は晴れ。ただし北の空に凶悪そうな黒雲がわだかまって、いつ雷雨がやってきてもおかしくない危険な雰囲気の午後だった。

 新幹線で京都に到着すれば、ワタクシはいつも南口からタクシーに乗る。昨年の秋は滞在中の広島から京都に来て、雨の南口に出た。紅葉真っ盛りの永観堂を見てから、名店「八坂圓堂」で午後2時まで天ぷらを楽しんだ。7時から広島県福山で公開授業の予定があったから、マコトに忙しい日帰りの旅だった。

 今年も同様であって、この日も翌日も公開授業の予定が重なっている。15日は7時から京都で、16日も7時から大阪の河内松原で公開授業、相変わらずスケジュールがギュッとつまって、このワタクシを待ちうけている。

 普通なら「忙しいよ」「紅葉狩りどころじゃないよ」と、ホテルにこもって居眠りでもするところであるが、今井君は常に貪欲に生きている。メシにも貪欲だが、紅葉にも負けず劣らず貪欲だ。昨年は、せっかくの永観堂が黒ずんで見えるほどの紅葉の不作だったから、今年は意地でも取り返したいのである。
紅葉1
(今年は紅葉の当たり年だ。11月15日、定番ではない「智積院」の裏モミジに感激する)

 京都南口から、丁寧なことでは定評のある某タクシー会社のタクシーに乗る。丁寧すぎて「バカ丁寧」と揶揄されるほど丁寧、「そんなに丁寧にされると、かえって気色悪い」と悪口を言う人も少なくない。他のタクシー会社の運転手さんは、そういう悪口を数倍の濃厚さに煮詰めて罵るほどだ。

 しかしワタクシは、このタクシー会社のファンである。
「新入社員でございます、よろしくお願いいたします」
「車内の温度はいかがでございましょうか」
「高速に入ります。シートベルトをお願いいたします」
確かにメンドーだが、空港定額運賃もキチンと設定してくれて、イヤな思いは絶対にしない。

 南口の営業所から乗り込んだクルマの運転手さんは、新人どころか京都の大ベテランでいらっしゃる。いただいた名刺を拝見すると、新人や若手の指導者も兼ねているらしい。

 この運転手さん、何となく以前に一度お世話になったような記憶がある。すると諸君、運転手さんのほうからも
「そのオペラ歌手のようなお声に覚えがあります」
「一度ワタクシのクルマにお乗りになっていませんか?」
と、明るい笑顔おっしゃるのである。

 間違いなさそうだ。何しろ今井君のタクシー乗車回数はハンパではない。しかしいつだっただろうか。去年? 一昨年? どこに行った時だっただろうか。大原? 高雄? 鷹峯から東福寺まで京都を縦断した時? 夏の貴船の川床から京都駅まで? そのへんがどうしても曖昧である。
紅葉2
(静寂の東山・智積院 1)

 運転手さんが記憶しているのは、「オペラ歌手のようないいお声」だけではない。ワタクシ独特の軽妙な話術も覚えていらっしゃる。ボケるかと思えばツッコミ、ツッコムかと思えば受け流す。滅多なことではマネのできない会話術である。

「いつだったでしょうね」「いつだったでしょうね」と、お互い記憶をたどってみるのだが、うまく思い出せない。そうこうするうちに
「今年の紅葉は、近来マレにみるほどキレイですね」
「お客様、どこかいらっしゃるご予定は?」
「どこか京都でオススメはありますか?」
「じゃ、今は『智積院』がオススメです。キレイですよ。ちょっと寄って行きましょうか?」
「おお、行きましょう&行きましょう」
と、思わぬストーリー展開になった。

 だって諸君、「智積院」であるよ。そりゃまさに予想外だ。智積院は、三十三間堂のお隣。有名なのはあくまで「血天井」であって、幕末の血なまぐさい歴史以外に、このお寺が前面に出てくることは珍しい。修学旅行で三十三間堂を訪れたついでに、イタズラな男子が「血天井って、あるらしいぜ」とハシャグぐらいである。
紅葉2
(静寂の東山・智積院 2)

 紅葉真っ盛りの京都なら、やっぱり永観堂・真如堂・東福寺の通天橋。それとも嵐山まで足を伸ばして、常寂光寺・二尊院・大河内山荘。あるいは鷹ケ峯の源光庵・光悦寺・常照寺か、穴場を狙うなら光悦寺から急坂を降りた「吟松寺」。まさか智積院がオススメとは思わなかった。

 それが常識だからこそ、紅葉の智積院を訪れる人はほとんどいない。今ごろ永観堂は大混雑だろう。東福寺の通天橋なんか、前に進むのも難しいぐらいだろう。紅葉より、むしろ観光客の行列を眺めに行くだけだ。それに比較して諸君、智積院の深い静寂はマコトにありがたい。

 運転手さんのオススメをさらにうかがったところ、① 早朝の天龍寺 ② 仁和寺 ③ 化野念仏寺 ④ 午後の洛南・泉涌寺だというのである。永観堂の「え」の字もなければ、東福寺の「と」の字も出てこない。さすが京都のプロフェッショナルであって、貸し切りで京都案内もなさっているのだとおっしゃる。

 モミジの季節の京都を、どんな順番で回るのが理想的か、運転手さんのご意見はこのワタクシ・今井クマ蔵の意見ともピッタリ符合した。どこがどんなふうに符合したのかは、明日明後日&シアサッテの記事を楽しみにしてくれたまえ。
中華
(京都四条、南座と対峙する「東華菜館」の勇姿)

 今年の京都の紅葉は、どうやら明後日ぐらいまでがヤマ場。今井のブログを待ってたら、今年のモミジは終わっちゃうのであるが、そりゃスンマセン。しかし諸君、人生は長いし、モミジは来年も再来年もずっとずっと続くのである。

 もし今井&運転手サン情報が間に合わなかったら、来年&再来年の参考にしてくれたまえ。いやはや、「何時ごろにどの地域を回ればいいか」、そのタイムテーブルまで、今井君と運転手さんの意見は、ほとんどジグソーパズルみたいにギュッと見事に一致したのである。

 こういうふうで、何だかお腹が空いた。人は心から満足するとお腹が減るものらしい。すぐホテルにチェックインするはずだったが、お腹を減らした今井クマ蔵は、チェックイン前にお馴染みの鯨飲馬食をやりたくなった。

 訪れたのは、3日前にも晩飯を満喫した「東華菜館」。四条大橋のたもと、鴨川をはさんで京都南座と対峙する老舗中華料理店である。大正15年から働き続ける古参エレベーターに乗って、「3日前にもいらっしゃいましたね」と、嬉しそうな表情のウェイターと挨拶を交わした。
青椒肉絲
(京都四条「東華菜館」、あまりに定番の青椒肉絲。おいしゅーございました)

 だって諸君、紅葉の季節の和食屋さんは、今日もまた大混雑。予約の電話を入れるたびに
「とっくに満員です」
「ランチは予約を受けておりまへん」
「もう長い列が出来てます」
「並んでもらわなあきまへん」
そういうマコトに冷酷な返答を受け、心も身体も冷え冷えになってしまった。

 冷たい老舗和食屋さんは、うなぎの世界にも広がっていた。京都のうなぎなら、昔は深夜2時まで営業していた祇園四条「浜松屋」が今井君の定番。店の人も今井君を知っていて、店のオバサマ&オジサマとも、昔は大いに話がはずんだものだった。

 しかし5〜6年前、オジサマのほうがご病気で倒れられた。以来、「完全予約制」になったらしくて、直前ではなかなか予約が取れない。他のお店はみんな高飛車もいいところであって、電話をしても「並ぶのが当たり前や」という冷たいニュアンスが声にギュッとこもっている。

 ならば致し方ない。こういう時は、中華に逃げるのが一番。3日前の夜と同様に、一番安い5000円のコースを注文し、これに1500円の青椒肉絲を追加すれば、紅葉の京都に真っ赤な唐辛子をタップリふりかけたような、マコトに豪華な昼ゴハンを満喫できたのである。

1E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 9/10
2E(Cd) Böhm & Berliner:MOZART 46 SYMPHONIEN 10/10
3E(Cd) COMPLETE MOZART/THEATRE & BALLET MUSIC 1/5
4E(Cd) COMPLETE MOZART/THEATRE & BALLET MUSIC 2/5
5E(Cd) COMPLETE MOZART/THEATRE & BALLET MUSIC 3/5
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