Tue 161025 オレンジ生ジュース/「かなわ」で生牡蠣40個/まだ入る/広島駅で肉蕎麦 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 161025 オレンジ生ジュース/「かなわ」で生牡蠣40個/まだ入る/広島駅で肉蕎麦

 京都の紅葉もさることながら、広島の生牡蠣も今が盛りであって、諸君、とにかく今は貪欲でなければならない。重量感を感じるほどの今年の紅葉を満喫し、貪れるだけの牡蠣を貪って、スーパームーンとともに過ぎゆく晩秋を、残るくまなく味わおうじゃないか。

 広島大盛況の翌日は日曜日であったが、ワタクシは早起きしてランチの生牡蠣に備え、準備万端を整えた。世界で一番旨い日本の生牡蠣君たちを味わうなら、後顧の憂いなんか一切ナシにしなきゃいけない。

 11月13日、目指す牡蠣舟「かなわ」まではホテルから徒歩10分。平和公園から宮島まで40分で直行する船の発着所があって、「かなわ」はそのお隣に浮かんでいる。11時開店、今井君が店の前に到着したのは10時50分であった。

 まだ開店前だったから、付近をブラブラ散歩してみた。おいしそうなオレンジを山のように積み上げたカフェがある。オレンジの生ジュースをウリにしているお店である。

 イタリア語で「スプレムータ・ダランチャ」、スペイン語なら「スモ・ナテュラル・デ・ナランハ」。大っきなオレンジを3個も4個もしぼった贅沢なジュースであって、日本で飲めば確かにお値段もそれなりだ。

 このカフェでも生牡蠣が食べられる。まだお昼前だが、シャンパンも出している。初冬のお日さまがテラスいっぱいに当たって、みんな楽しそうだ。無理して高い牡蠣舟を予約したけれども、ここでも十分に牡蠣を楽しめたかもしれない。若干の後悔が渦巻くのである。
本日の牡蠣1
(本日の生牡蠣10個。とりあえず、コイツを3皿平らげる)

 しかしまあ諸君、高級店の高級牡蠣もまた素晴らしいじゃないか。Buy 広島であり、Buy 生牡蠣であって、今井君のささやかなランチが広島経済の活性化に貢献できるなら、おサイフのヒモをちょっと緩めるぐらい、ヤブサカではないのである。

 11時の開店と同時に「かなわ」に闖入。案内されてテーブルに向かうと、うれしいじゃないか、モミジの景色の美しい窓際のテーブルにしてもらえた。

 予約の段階では、「残念ながら窓際は満員です」「通路側のテーブルです」と言われていたんだから、こりゃまさに天の助けであり、きっと「思うぞんぶん生牡蠣を味わいなされ」という優しい神様の思し召しである。

「おお、ありがたや」であり、「ありがたや&ありがたや」であって、このチャンスを逃しては神様に申し訳が立たない。今井君はテーブルの前で十字を切って、「ありがとうごぜえます。このチャンスを最大限に生かしますだ」と、平身低頭する思いで天に感謝の祈りを捧げた。
本日の牡蠣2
(牡蠣舟「かなわ」の「先端5種」。コイツも2皿平らげる)

 そこでまず、瓶ビールを1本。この日はお仕事が一切ナシなんだから、お酒も飲み放題である。ただし、午後4時から大阪で人形浄瑠璃が待っている。酔いどれの文楽ではグースカ居眠りは必定だから、飲み放題にも限度があって、そのへんのバランス感覚はなかなか難しい。

 ビールが1本カラッポになる頃、今井童子の心はビシッと決まっていた。まず注文するのは「先端5個」と「今日の牡蠣10個」。「先端」とは何が何の先端なのかよく理解できないが、要するに一番旨い牡蠣であるらしい。こりゃ絶対に試してみたいじゃないか。

 生食用の牡蠣は、加熱用の牡蠣とは違う場所で育つのである。同じ海と言っても、陸地に近い場所には、河川からいろんな栄養分が流れ込む。豊富な栄養分があれば、当然いろいろ微生物やらバクテリアやらも海水に同居する。

 そういう海水の中で育った牡蠣を生食すれば、「あたる」「牡蠣 吐き気」「牡蠣 腹痛」「牡蠣 嘔吐」という結果を招くのである。どんなに新鮮でも、陸地に近い海で育った牡蠣は生食には適さない。

 だから、運ばれてきた「本日の生牡蠣」「先端5個」は、全て陸地から遠い海で育ったキレイなヤツらである。貝殻にフジツボがくっついていたり、不気味な丸いポツポツがついていたり、そういうことはない。たいへんご清潔な育ちのいい諸君であって、牡蠣殻はほとんど透き通って見えるほどである。
かなわ
(平和公園近く、牡蠣舟「かなわ」。上品なお店であった)

 そのへんを勘違いして、「キレイな牡蠣だから、鍋物にしましょう」「わあキレイ!! 焼き牡蠣にしよう」なんてことをやると、キレイな海で上品に育った牡蠣君たちは、あっという間に縮んでしまう。

 生の時はあんなに大きかったのに、熱を加えたら長さ3cmに縮んじゃったという悲劇は、生食用の牡蠣を加熱したせいで発生するのである。「生で食べてほしい」と身を捧げた潔い牡蠣どんを、あえて火あぶりの刑にする。そりゃ余りに残酷な所業である。

 今井君はマコトに優しい人間であるから、「そんなに生で食べてほしいなら、ナンボでも生で貪ってあげよう」と、片っ端から咀嚼してあげるのである。牡蠣君たちも嬉しそうであって、歓喜の声を上げながらクマの胃袋に吸い込まれていく。

 最初にお願いした「本日の10個」と「先端5個」は、約5分で胃袋に消えた。すぐに日本酒300mlと「本日の10個」を追加。しかしそれも10分ともたない。さらに「先端5個」も追加。ありゃりゃ、もう予定の30個が胃袋の暗闇に消えちゃった。
紅葉
(牡蠣舟「かなわ」から秋の風景を楽しむ)

 周囲を見渡すに、生牡蠣を召し上がっているお客さんはごく少数である。今井君の後ろのテーブルで、上品な広島オバサマ3人組が生牡蠣を注文するにはしたが、3人で5個を召し上がっただけである。

 他の広島人も、広島人ではない人も、生牡蠣にはびっくりするほど消極的。穴子飯とか、牡蠣の天ぷらとか、小イワシの刺身とか、そういう上品なものを遠慮がちにつついているだけである。

 しかしそれじゃ諸君、せっかく牡蠣舟にやってきた甲斐がないじゃないか。牡蠣君たちだって欲求不満だろうし、広島経済も活性化しない。「もったいない」とかウジウジしていないで、何よりもまず「活性化&活性化」の姿勢が大切なんじゃないのかい?

 そこで今井君は、思い切って「本日の牡蠣10個」をもうヒトサラお願いしてみた。お店のオネーサマやオバサマ従業員が慌てはじめたのはこの段階である。「化け物のように生牡蠣を吸い込むクマがやってきた」とでも言うんだろうか。

 おそらく厨房も慌てだしたのである。
「おい、化け物がきてるぜ」
「生牡蠣、なくなっちゃうんじゃないか」
「生牡蠣用のレモンも少なくなってきましたよ」
「誰か、レモンを買いにスーパーに走れ!!」
もちろんそんなことはないだろうけれども、少なくとも若干の焦燥の叫びが、厨房から漏れ聞こえてきたことは確かである。
肉そば
(広島新幹線ホームで450円の「肉そば」をすする)

 結局、お店にいた1時間で吸い込んだ生牡蠣は40個。しかし諸君、「この辺で遠慮しておかなきゃ恥ずかしい」と思いとどまっただけのことであって、遠慮さえなければまだ20個や30個は、何の無理もなく我がポンポンに収めることが出来たはずである。

 ま、また来ればいいさ。「文句なしにおいしゅーございました」であって、会計をお願いすることにした。お店のオバサマが驚いて「確認させてください」「ホントに40個召し上がったんですか?」と、驚異の目を見張ってワタクシを眺めた。

 だって大好物なんだから、仕方ないじゃないか。1時間で食べたものは生牡蠣のみ。その他は一切ナシ、胃袋の中では、ビールと日本酒の海の中、命を奪われた生牡蠣のタマシーが、ゆらゆら揺すぶられながら天国への旅を開始した頃である。

 ただし諸君、大阪の人形浄瑠璃鑑賞に向かって、広島駅に到着した今井君は、ふと「炭水化物が恋しいな」と、憧れの目を立ち食い蕎麦屋に向けたのである。「肉蕎麦、450円」。気がつくと自動販売機のチケットを買って、カウンターのオバサマに手渡していた。

 こんなことをやってたら、ダイエットも何もかも台無しだ。それは分かっている。しかしお蕎麦屋のオバサマと、ネギ好きとネギ嫌いについて熱く論じているうちに、お蕎麦もあっという間にカラッポになった。

 これで胃袋はますます混沌とした状況。ビールに日本酒、生牡蠣40個に肉蕎麦が絡みつき、「のぞみ」に乗り込んだ今井君はうっとり目を閉じて、とりあえず大阪を目指したのであった。

1E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.10
2E(Cd) Jandó:MOZART/COMPLETE PIANO CONCERTOS vol.11
3E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 1/5
4E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 2/5
5E(Cd) Eschenbach:MOZART/DIE KLAVIERSONATEN 3/5
total m125 y1840 d19545