Sun 161002 鉄道廃止計画を悲しむ/伊平屋島・伊是名島と辺戸岬/風鈴ハイビスカス | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 161002 鉄道廃止計画を悲しむ/伊平屋島・伊是名島と辺戸岬/風鈴ハイビスカス

 南のほうでは「JR九州が株式上場」、北のほうでは「路線廃止」、上場はマコトにおめでたいが、たくさんの路線を廃止の方向で検討すると言うのは、昭和な人間にとっては余りにも悲しいことである。

 手許にある1967年の国鉄時刻表を眺めながら、北海道を網の目のように多種多様なローカル線が走っていた時代を懐かしんだ。そんなことをやっているから、こうしてブログ更新の時刻がずれ込んで、いつの間にか明け方になってしまった。

 諸君も気づいているだろうが、この10日ほど、ブログ更新時刻を「日付が変わってすぐ」に変更してみている。日付が変わったらすぐに更新してしまって、それからネグラに潜り込む。

 そっちのほうが安心してネグラの暖かさを満喫できるのだ。東京はすっかり気温が低くなって、昨日なんかまるで11月下旬の寒さ。さっそく酒屋さんに日本酒を注文して、熱燗を楽しんだ。

 熱燗を傾けつつ北海道の時刻表をめくれば、こうして早朝までニヤニヤしていられるのである。もちろんワタクシは鉄ヲタではないから、旧国鉄の鉄道網について難しい知識はないけれども、吹雪の中をキハが頻繁に走っていた当時の活気を、記憶の中にたどることは出来るのである。
桜
(晩夏の今帰仁城にて。避寒桜の道を行く)

 廃止の候補に上がっているのは、懐かしい路線ばかりである。むかしむかし、冬の北海道を「周遊券」で駆け回った頃、今はなき湧網線・興浜南線・興浜北線・天北線・深名線と、極寒の地にどこまでも入り込んだ。駅前の民家の煙突から立ち上る紫色の煙が、しみじみ暖かそうだったものである。

 留萌本線は、昨年の今ごろ旅したばかり。詳しくは「ウワバミ文庫」から「日本スミズミ」をクリックしてくれたまえ。北海道や只見線、奥の細道や沖縄離島の旅を1つのファイルにまとめた。「釧路・留萌探険譚」「留萌ましけ往還記」と題して、深川から留萌・増毛の旅の詳細を記した。

 あの旅の段階で、留萌 ⇔ 増毛間の廃止はほぼ決定していた。確かに旅をしてみるに、留萌から先の日本海を南下するあたりは「こりゃバスのほうが遥かに効率的だな」という風景だった。

 しかし諸君、終点・増毛駅前に木造3階建て、豪壮な旅館の姿を発見。明治大正や昭和初期、ニシンの大漁に沸く繁栄の時代を思うと、「やっぱりこの町には列車で到着したいな」と実感するのである。
海
(今帰仁城の高台から、沖縄の海を望む)

 今回JR北海道から上がった悲鳴のような廃止案には、深川 ⇔ 留萌間も含まれる。要するに留萌本線全線の廃止なのである。他にも、富良野 ⇔ 新得間や、昔の「札沼線」も対象になっている。残念でならない。

 むかしむかしのこと、札幌から釧路まで夜行急行「大雪4号」で旅したことがある。明け方の釧路駅に到着して、すぐに根室ゆきの各駅停車に乗り換え、根室駅からはバスで納沙布岬まで足を伸ばした。

 札幌から旭川まで北上した夜行急行は、まさに深夜の時間帯に富良野 ☞ 新得間を通過する。北海道の昔話を誰にともなく熱弁していたオバーチャンも、新得の間近でついに睡魔に負けた。疲れきった客車内が静まり返る中、車窓から吹雪の新得駅を眺めた。

 白糠駅手前の川から真っ白い湯気が上がっていたのも印象的。白い湯気が仄かな明け方の光に照らされて、あれはきっと湯気が一瞬で凍りついたんだろうけれども、見たこともない硬質の輝きにきらめいていた。昭和までは北海道の幹線ルートだったあたりである。

 これ以上の廃止を避けられないものか。北海道のローカル線は立派な文化遺産であって、その沿線風景を含めれば、世界中の「世界遺産」と比較しても、決してヒケをとるものではない。「ななつ星」「或る列車」みたいなものを走らせろとは言わないが、ギリギリの経営努力を続けてほしいのである。
島
(今帰仁城から、伊是名島と伊平屋島を望む)

 というわけで諸君、この15年、目いっぱい海外を駆け巡ってきた今井君ではあるが、海外のみならず国内についても、日本スミズミの旅をさらに加速させなきゃならない。

 自分自身の体力や精神力だって、中年に足を踏み込めば踏み込むほど、どんどん衰えていくだろう。こうして時代が変わり、ローカル線が次々と廃止になるようじゃ、その面でもやっぱり「早く旅しておかなけりゃ」と、ますます焦りが募るのである。

 東京だって、スミズミまでプチ旅行を楽しんでおきたい。アメリカの旅行雑誌で「旅してみたい世界1位」に東京が選ばれている。旅してみたい世界一の街に住んでいるのに、渋谷区のオウチにドッカと腰を据えたまま動こうとしないんじゃ、旅好きの看板に傷がつくじゃないか。

 とまあ、そんな具合であるから、せっかくの沖縄出張だ、タクシー代が若干かかっても、今帰仁城に古宇利島に万座毛、たっぷり旅しておくことにした。

 幸い10月21日の沖縄は驚くべき快晴、今帰仁城からは「普段は滅多に全貌を見ることができません」という沖合の風景まで、マコトに綺麗に見晴るかすことができた。
岬
(今帰仁城から辺戸岬を望む。ホトケサマが仰向けに横たわっていらっしゃるんだそうな)

 今帰仁城の高台から、まず水平線に見えたのは「伊是名島」と「伊平屋島」。2つの島は那覇に向かって高度を下げたヒコーキからも眺めることができる。今帰仁の運天港からフェリーで80分なんだそうだ。15世紀後半の琉球国王・尚円王の故郷でもある。

 200メートル級の山も多く、島の内陸部には水田が広がり、エメラルド色の海に囲まれて、まさに別世界であるとのこと。いま今帰仁城から眺めても、ポコポコした可愛い山が列を作ってワタクシに手招きしている。こりゃ近い将来、どうしても2つの島を訪ねずにはいられない。

 目をぐぐっと右に移すと、おお、ありがたや&ありがたや、ホトケサマが海上に頭を突き出して仰向けに寝ていらっしゃる。「涅槃図」とおっしゃる方もいるんだそうな。

「あれが頭で」「あれが鼻で」「あれがアゴで」と説明を受ければ、団体ツアーのジーチャン&バーチャンが、みんな嬉しそうに歓声をあげる場面。「ありがたや」のあの岬は、「辺戸岬」。位置は沖縄の地図で確認してくんなまし。これほどハッキリ全容を見晴るかせることは、滅多にないんだそうな。
風鈴
(風鈴ハイビスカス。正式名称・風鈴仏桑花)

 大量のオオシマゼミが、キコキコ&スコスコ、軽金属のこすれるような乾燥した声で鳴き競っている。「風鈴ハイビスカス」もまた可愛い赤い花を咲かせて、沖縄の晩夏を謳歌している。日本での正式名称は「風鈴仏桑花」、「仏桑花」と書いて「ぶっそうげ」と詠む。

 うーん、「ぶっそうげ」、響きがあんまり可愛くないですな。我が友Mac君の変換もさすがに「物騒下」。21世紀の我々としては、出来れば「風鈴ハイビスカス」に名前を変更してあげたいところである。

 カメラの焦点が合わなくて、写真がうまく撮れていないけれども、長い花弁が垂れて風鈴のように見える姿はマコトに可憐。「こんなのがオウチの庭にあったらいいな」という可愛らしい花が、沖縄の海風にゆらゆら揺れていた。

1E(Cd) Keith Jarrett & Charlie Haden:JASMINE
2E(Cd) Ann Burton:BLUE BURTON
3E(Cd) Harbie Hancock:MAIDEN VOYAGE
4E(Cd) Miles Davis:KIND OF BLUE
5E(Cd) Weather Report:HEAVY WEATHER
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