Fri 160930 平幹二朗、死去/赤富士/2週連続で沖縄に向かう/牧志の公設市場で | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 160930 平幹二朗、死去/赤富士/2週連続で沖縄に向かう/牧志の公設市場で

 10月24日午前2時、ふとヤフーニュースをクリックして、「平幹二朗さん、急死」の文字を発見。愕然として言葉もない。

 このブログにも、平幹二朗は何度も登場している。蜷川幸雄さん死去の時にも、米倉斉加年さん死去の時にも、懐かしい昔の動画を検索するたびに、必ず平幹二朗の迫力の演技を見ることになった。

 我々の世代としては、何と言っても大河ドラマである。1970年「樅の木は残った」で原田甲斐を演じた。諸君、「樅の木は残った」で動画検索してみたまえ。原田甲斐が登場する以前に、そのテーマ音楽に圧倒されて、まず一晩は眠れない。

 1973年、「国盗り物語」。こちらのテーマ音楽は「圧倒的」という言葉には該当しないけれども、平幹二朗の斎藤道三は、半世紀にわたる大河ドラマの全主役の中で、最も印象的な主役だったと言って過言ではない。

 ドラマの中間点で、主役を織田信長(高橋英樹)と明智光秀(近藤正臣)に譲って討死するのであるが、それにも関わらず、やっぱり「国盗り物語」と言えばまず平幹二朗を思い出すのである。

 平凡なチャンバラドラマではあるが、1972年、フジテレビ「二人の素浪人」での流月之介も思ひ出に残っている。浜畑賢吉と2人連れの素浪人役。平幹二朗は「静」の剣、浜畑賢吉は「動」の剣で、旅をしながら悪を懲らしめる。お馴染みのストーリーだった。

 ちょうどNHKが放送していた「刑事コロンボ」の全盛期と重なる。コドモ時代の今井君としては、土曜夜8時、コロンボにするか、平幹二朗にするか、珍しくテレビのチャンネルのことで悩んだ時期があった。

 舞台もたくさん見に行った。「NINAGAWAマクベス」「ハムレット」「近松心中物語」、どれも大規模な商業演劇であったけれども、化粧品のニオイがプンプン充満する帝国劇場の客席で、不思議な陰影に満ちた彼の演技には必ず魅了されたものである。ご冥福をお祈りする。
富士1
(富士が赤く染まっていた 1)

 さて、10月20日、ワタクシは朝早いヒコーキで沖縄に向かっていた。沖縄県胡屋での公開授業は、午後7時半開始。しかしせっかくの沖縄だ。可能なかぎり長時間滞在して、見られるものは何でも見ておきたい。

 先週も沖縄に出かけたばかり、「2週連続で沖縄」ということになるが、先週の沖縄は激しい雨に見舞われ、さすが旅好きのワタクシでも、ホテルから外に出てウロウロすることを躊躇した。いつもなら遥かな離島を訪ねたりするところを、マコトに大人しく東京に帰ったのである。

 だからこそ、今回の沖縄は目いっぱい張り切っている。どこまでも仕事優先なのは当たり前だけれども、第1希望は離島めぐり、もしも離島が無理なら、本島のずっと北部・今帰仁城と古宇利島ぐらいは回ってきたい。

 沖縄は修学旅行シーズンの真っただ中。羽田空港も那覇空港も、「何事が起こったか?」と驚くぐらいたくさんの高校生集団で溢れかえっている。今井君としては、あんまり正体を見破られたくないから、普段はかぶらないボーシをかぶって、イザというときに備えている。
富士2
(富士が赤く染まっていた 2)

 ヒコーキの窓からは、赤く染まった富士山がキレイに見えた。一瞬「紅葉か」と思ったが、赤く染まっているのは広葉樹林帯よりも上の部分。周囲の山々からグッと高く頭を出して赤く燃えている姿はマコトに美しかったけれども、この赤富士は、岩と土砂が朝の太陽を浴びたせいであるらしかった。

 那覇空港到着、正午すぎ。さすがに羽田発9時のヒコーキに乗っただけあって、今日だけでもいろいろ出来そうである。離島の1つも訪問できそうな勢いであるが、そこはさすがに自重、いったんホテルにチェックインして、それから冷静に計画を練ることにした。

 ホテルは、国際通りからちょっと奥に入った「ハイアットリージェンシー」。2〜3年前に営業を開始した新しいホテルで、容積はそれほど大きくないが、まずは清潔&快適である。

 このホテルチェーンでも、ワタクシはいよいよ「プラチナメンバー」。旅というものは、すればするほどいろんな特典が増えてくる。若い読者諸君も、バイトしてオカネを貯めて、もっともっとバリバリ旅をしたまえよ。
ねこ店長
(那覇「平和通り商店街」にて、ねこ店長と出会う)

 とりあえず昼メシが食べたい。朝のヒコーキは、プレミアムクラスに乗ってもお弁当は小さなサンドイッチが出るだけだ。そんなんじゃ明らかに足りないから、お昼過ぎ、ワタクシのお腹は猛然と沖縄料理を求めている。

 アグー豚のソーセージ、牛エビの塩焼き、本場のゴーヤチャンプルー。その類いがあんまり好きなものだから、先週は「沖縄から帰った晩に、東京でも沖縄料理」という離れ業を演じたほどである。

 向かったのは、牧志の公設市場。「まもなく建て替え工事」という話であって、もしそういうことになれば、戦後のドサクサに端を発する懐かしいこの市場とももうすぐお別れだ。どうしても市場の食堂でもう一度メシを食いたくなった。

 1階の魚屋でイキのいいお魚を購入すれば、その場で料理してもらって、2階の食堂で賞味することができる。そういうシステムが長く続いて、ワタクシは代ゼミ時代の1998年、初めてこの市場で晩飯を御馳走になった。だからもう20年来の付き合いである。
色とりどり
(那覇、牧志の公設市場にて。お魚も色とりどりだ)

「今回こそヤシガニに挑戦」。羽田空港を飛び立つ時から、そういう無謀な計画を立てていた。沖縄独特の色とりどりのお魚やエビ類に混じって、何と言っても他を圧倒する存在感を誇るのがヤシガニである。

 おっと、ググろうと思った諸君、さすがにヤシガニは「閲覧注意」である。紫と焦げ茶を混ぜ合わせたような凶悪な色彩。敵意と悪意と猜疑心を捏ねて練り上げたような醜怪さ。グロテスクを窮極まで追求したその姿は、気の弱い人は例え画像であっても、決して見てはならない。

 しかも諸君、市場で実際に対面してみると、余りにも大きいのだ。大きさ自体がグロテスクであって、タッパーの中に厳重に保管されてあってさえ、近づくと身の危険を感じる。

「あれれ、こんなに大きかったっけ?」「こんなに凶悪な色彩だったっけ?」であって、これは挑戦を思いとどまったほうが身のためだ。少なくとも公開授業の数時間前だ、ポンポンの健康も考えて、ここはあくまで自重すべきなんじゃないか。

 他にも、いろいろ候補がある。セミエビ。伊勢エビ。伊勢エビにはかなり食指が動いたけれども、お魚屋さんに尋ねてみると、「1尾19000円ほどですね。刺身にして、頭は味噌汁にしますよ。どうですか?」と、ググッと乗り出してきた。
セミエビ
(セミエビ。これもそれなりに恐ろしい)

 しかし諸君、今は公開授業の前、お酒は当然のことながら御法度だ。20000円近くも出して伊勢エビ1尾を丸買いしても、そのお刺身はお酒抜きで味わわなければならない。それじゃあんまり味気ない。

 というわけで、この日の今井君はマコトに大人しく、スゴスゴ2階の店に上がって、アグーのソーセージにラフテー、チャンプルーにエビの塩焼き、そういう平凡なものを、平凡にムシャムシャやるだけで我慢した。

 それというのもきっと、ヤシガニのショックが大きすぎたのである。大人の頭ほどもある紫色のヤシガニ、たくさんムシがたかっていそうな甲羅やお腹、そういうものを至近距離から眺めてしまったワタクシの食欲は一気に縮小。「あれれ、食欲って何でしたっけ?」というありさまなのであった。

1E(Cd) Courtney Pine:BACK IN THE DAY
2E(Cd) Dieter Reich:MANIC-“ORGANIC”
3E(Cd) Tuck & Patti:AS TIME GOES BY
4E(Cd) Candy Dulfer:LIVE IN AMSTERDAM
5E(Cd) Patti Austin:JUKEBOX DREAMS
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