Mon 160926 チェファルーへ/パレルモ中央駅と治安/岩山に出発(シチリア物語12) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 160926 チェファルーへ/パレルモ中央駅と治安/岩山に出発(シチリア物語12)

 シチリアに来て丸2日が経過。ふと「東洋人を全く見ないな」と気づく。少なくとも日本人は全く見かけない。韓国人もいない。

 つい2〜3年前までは、世界中どんな街へ出かけても、必ず韓国人カップルと顔を合わせた。「カップル」と言っても韓国の人の場合は、若い女子2名での旅のほうが目立っていた気がするが、彼女らとの遭遇率が、一昨年あたりから急激に低下したように思う。

 もちろん、もしも韓国人の団体ツアーと遭遇すれば、その激しいパワーにびっくりさせられる。50歳代から60歳代のオバサマたち約100名は、マコトにパワフルに観光地を席巻、代わる代わる強烈な笑顔で写真に収まっては、嵐のように去っていく。

 しかし、そういう濃厚オバサマ軍団との遭遇も、2015年4月のソレント・アマルフィあたりが最後である。「あれれ、元気がないな」と、ちょっと寂しい気がするけれども、今回2週間のシチリア滞在でも、2人連れにも大軍団にも1度も出会わなかった。
中央駅1
(パレルモ中央駅。治安は別に悪くない)

 一番驚くのは、中国のカタガタともほとんど出会わなかったことである。大阪や博多やパリやニューヨークでの爆買いに、まだみんな夢中なんだろうか。大型クルーズ船をしたてて、街を占拠するほどの勢いでやってくる中国の皆様と、シチリアではやっぱり全く遭遇しなかった。

 まあその辺は、ワタクシの旅の仕方にも原因があるのかもしれない。初日こそパレルモ中心街を闊歩し、定番のモンレアーレを訪ねた。しかし2日目が誰も知らないウスティカ島、3日目もチェファルー探訪。東洋のヒトビトは、もっとずっと定番の超有名観光地に集っているのかもしれない。

 シチリアなら、何と言ってもタオルミーナ、アグリジェント、シラクーサ。韓国や中国の人はきっとそういう場所にギュッと集合しているのであって、ウスティカだのチェファルーだの、そんな名も知れぬ島や街をうろついているのは、時間の無駄と判断しているのかもしれない。

 マコトに珍しい東洋人代表として、8月31日の今井クマ助はチェファルーの街を訪ねることに決めた。パレルモから電車に乗り込み、進行方向左の車窓に真っ青なティレニア海を眺めながら約1時間。ティファルーもまた世界遺産の街である。
中央駅2
(パレルモ・チェントラーレ)

 ホテルからパレルモ・チェントラーレ駅まで、徒歩で約20分。それこそ「治安は大丈夫なんですか?」と歪んだ表情で質問されるところであるが、大丈夫も大丈夫、危ない雰囲気もなければ、危なそうな人物もほとんど見かけない。

 ただし「油断してかまわない」ということではない。要するにあんまり暑さが厳しいので、危なそうな人も昼間はみんな、どこか涼しい日陰でスヤスヤお昼寝をしているのである。こんな直射日光を浴びながら危ない雰囲気をムンムン発散させているなんて、そりゃ誰だって馬鹿馬鹿しくなるだろう。

 初日から「かなり危ない人かも」と目を付けていたオジサマも、大型犬3頭を連れて日陰から日陰へと巧みに移動を繰り返している。あちらの教会裏からこちらの大型店舗前へ、ひたすら日陰を求めて移動するのである。

 彼が日なたにいるところは、一度も目撃しなかったし、このオジサマの活動時間帯は、あくまで日没後なのである。

 実はパレルモ滞在の終盤、オジサマがどういう危ない活動をして生きているかを目撃することになるのだが、ちょっと治安が心配になるその話は、旅行記終盤のお楽しみということにしておこう。
チェファルー
(チェファルーに到着)

 その他は、むかしのパレルモのイメージとは全く違っている。要するに先進国の典型的な地方都市であって、最近オープンしたばかりらしい大型スーパーは「DOMENICA APERTO」の大きな看板を出して、大繁盛の様子である。

「日曜もオープン」。日曜日、レストランからカフェまでほとんどの店が固くシャッターをおろし、街は熟睡したように静まり返る。食事も買い物も困難をきわめるのだが、こうしてDOMENICAにもAPERTOであるスーパーが出来て、これからますます治安はよくなっていくはずだ。

 パレルモ中央駅についても、日本人が居抱きがちなイメージとは違って、危険なムードは全く感じない。スリに置き引き、カッパライにニセ警官、違法な両替商やフェイクバッグ売り、つい4〜5年前までヨーロッパ中の駅にタムロしていたその種の人影は、とりあえず一掃されている。

 それでも諸君、さすがに鉄道の中央駅となると、用心だけはしたほうがいい。駅の空気はどこも必ず濃厚&濃密であって、うっかり口をあけて油断して歩いていると、数は少なくなったとは言っても、やっぱり悪いヒトビトにつけねらわれる可能性は残っている。

 駅に入ってすぐに鉄道のプラットホームが7つほど並び、その向こうにバスステーションがズラリと並んでマコトに合理的である。新宿で言えば、JRの駅とバスタが徒歩1分で行き来できるような、マコトに便利な構造になっている。
中腹
(チェファルーの岩山「LaRocca」に挑戦する。標高150メートルの絶景)

 チェファルーへは、メッシーナ行きの電車を利用する。電車もまたイメージと違って、たいへん快適である。クーラーがキンキンに効いていて、駅までの道のりで汗みどろになった肉体を、急速に心地よく冷やしてくれる。

 小銭を要求して車内を右往左往する類いの人も見かけない。つい最近まで、イタリア国内のローカル列車には、そういう人が数多く存在した。というか、20分も電車に乗れば、必ずと言っていいほど遭遇した。

 服装もごく普通、高校生ぐらいの女子2〜3名が乗り込んできて、乗客全員にメモ書きを手渡していく。「弟が3人いて、両親はいません。住む場所もなく、食べるものもありません」。そういうメモを手渡す係が先頭を行き、約1分遅れて小銭を集める係がついていく。

 1つの駅から乗り込んで、次の駅で降りるまで、5分程度のハヤワザである。鉄道会社の人に捕まらないように、必ず1駅間で仕事を済ましてしまう。だから急行や準急には絶対に乗り込んでこない。ボローニャとかミラノとか、都会の周辺でも昔はしょっちゅう見かけた光景である。

 今やシチリアでも、そういうヒトビトは見かけなくなった。イタリアはすっかり21世紀タイプの現代国家に脱皮してしまったようである。日本人がやたらに心配する「治安」は良好になったが、ホンの少し寂しい気もしないではない。
七合目
(チェファルーの岩山、標高200メートル付近からディアナの神殿を望む。その向こうはティレニア海である)

 チェファルーまでの車窓は、右が岩山、左がティレニア海。さすがシチリアであって、一番目立つ植物はサボテンだ。ウチワサボテンが熱い陽光の中にズラリと並び、赤や黄色の実をタワワにつけて風に揺れている。

 サボテンの実は食用であって、スーパーでも一袋2〜3ユーロで売っているが、これほどそこいら中にタワワな状況じゃ、オカネを出して買う人なんか、誰もいないんじゃないかね。

 チェファルー到着、11時半。海岸は弓なりの広大な砂浜で、大量の海水浴客がハシャいでいるのが見える。砂浜からはデコレーションケーキ形の岩山が聳えたっている。ケーキは2段で、1段目が標高150メートル、2段目が270メートル。これからワタクシはこの岩山に挑戦する予定である。

 ケーキの1段目は、古代ギリシャ時代のディアナ神殿跡。2段目は中世のアラブ・ノルマン様式の城砦跡。まるでシチリアの長い歴史を、デコレーションケーキの形式で表現したかのような岩山である。

 チケットと500mlのお水を購入して、真夏の熱い岩山を一歩ずつゆっくりと登りはじめたのが、正午。とりあえず目指すのは岩山のてっぺん、270メートルの城砦跡。もしも途中で熱さにへばるようであれば、150メートルの神殿跡で絶景を眺めるだけでもいいじゃないか。

1E(Cd) Bernstein:HAYDN/PAUKENMESSE
2E(Cd) Fischer & Budapest:MENDELSSOHN/A MIDSUMMER NIGHT’S DREAM
3E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE①
4E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE②
5E(Cd) Coombs & Munro:MENDELSSOHN/THE CONCERTOS FOR 2 PIANOS
total m130 y1695 d19400