Tue 160726 再びとりとめのない1日/熊に襲われる ☞ 熊を仕留める ☞ 熊嵐がくる | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 160726 再びとりとめのない1日/熊に襲われる ☞ 熊を仕留める ☞ 熊嵐がくる

 こんなふうにして、日々オリンピックに感激し、高校野球では栃木県代表・今井君の投打にわたる活躍に目を見張り、一方で東京都渋谷区の今井君は、マコトに怠惰でとりとめのない日々を続けている(スミマセン、昨日の続きです)。

「首都圏 熊」の検索から始まったMac君との戦いは、「1980年 熊谷商 vs 川口工」の文字通りの死闘から、次に「1915年 北海道のヒグマ騒動」に飛んだ。さすがMac君、時間も空間もおかまいなしにスイスイ飛び回る。

 1915年と言えば「大正4年」であって、ヨーロッパは第一次世界大戦の真っただ中。甲子園はまだなかったが、第1回全国中等学校野球選手権大会が開催された年である。今井君の母校:秋田高校の前身・秋田中が決勝に進出、京都二中に延長戦で惜敗した。うーん、100年経過しても悔しい。惜しいことをした。
自分撮りを楽しむ
(8月19日、授業収録の合間にモニターで自分撮りを楽しむ)

 その年の12月、留萌の海岸から深く山中に分け入った苫前村三毛別(さんけべつ)六線沢地区を、ハッキリ「化け物」と言っていいドデカいヒグマが襲った。体長は約3メートル、体重340キロというんだから、立ち上がれば2階建てのオウチみたいな巨大なクマどんである。

 この体重、横綱白鵬と日馬富士を足してもまだ届かない。ついでだから白鵬に鶴竜もオンブしてもらって、やっとこのヒグマを超えられるぐらいだ。映画にしたら、「ジョーズ」より迫力があるに違いない。

 たった1頭のヒグマであるが、12月9日から14日にかけて繰り返し繰り返し村を襲い、死者7名、3名が重傷。警察隊が派遣されたがそれでも足りず、ついに旭川から山を越えて陸軍まで投入されることになった。

 マコトに恐るべき熊であって、冬の山に放置された遺体を収容したところ、「奪われた獲物は取り返す」というヒグマの習性を剥き出しにして、遺体を奪おうとまた同じ村を襲う。熊としては、遺体を保存食にするつもりだったのだ。

 襲われた民家から「骨を噛み砕く音が聞こえた」というんだから、100年以上も昔の事件とはいえ、恐ろしさに身も心も震え上がる。熊の嗅覚は犬の10倍の鋭さとも言われ、「100メートルを7秒で走る」という話さえある。それじゃ諸君、ウサイン・ボルトでも逃げ切れない。
国際教養
(現在、早稲田の過去問演習を収録中。写真は国際教養学部。受験生は約35分で解かなければならない。今井君に与えられた解説時間は70分。たいへんなボリュームだ)

 警察・軍隊ともに手をこまねいているのを見た村人が、当時マタギとして勇名を轟かせていた「山本兵吉」という人物に救援を依頼。留萌の近くの鬼鹿村に住み、サバを裂く作業に使う包丁1本で熊を倒したこともあったんだそうな。

 その逸話から「サバ裂きのアニキ」の異名を持ち、大酒飲みとしての悪評も立っている。「アニキ」とは言っても、当時57歳。「鬼鹿」という村の名前から「男鹿」を連想すれば、大酒飲みであることからしても「おおこのオッサン、秋田のマタギの血をひいてるな」と、何だか納得がいくのである。

 この山本兵吉どんがついに熊を山頂に追いつめ、たった2発の銃弾で見事にこの2階建てヒグマを倒す。1発目は心臓、2発目が眉間、今ならリオオリンピックで金メダル確実な射撃名人であって、57歳の金メダルはきっと歴史に残ったに違いない。

「熊を倒すと嵐がくる」という言い伝えがあって、やっぱりこの時も直後に猛吹雪になったんだそうな。一昨日から昨日にかけて東京を中心に激しい雷雨になったのも、今井君が熊退治の話に夢中になりすぎたせいなのかもしれない。

 だから、この事件を描いた小説のタイトルも「熊嵐」。「戦艦武蔵」で有名な作家・吉村昭が書き、1977年に新潮文庫の1冊に加わった。1980年には倉本聰脚本・高倉健主演でラジオドラマにもなっている。おお、錚々たるメンバーじゃないか。
政経学部
(早稲田・政経学部。受験生は25分で解き、今井君は50分で解説する。この英文に設問7問がついて、やはりたいへんなボリューム。これが3問ズラリと並ぶ。詳細は明日の記事で)

 1990年には、「リメインズ 美しき勇者たち」というタイトルで映画化もされている。「勇者」と書いて「つわもの」と読ませる。監督・千葉真一、主演・真田広之。ベテランのマタギ役で菅原文太も出演している。

 村松美香という名前の、当時おそらく17歳か18歳の新人女優さんも熱演。家族を熊に襲われて失い、復讐を誓って山で生活し、山のオキテに背いて「女マタギ」なったわけであるが、真田広之演じる若いマタギ「エイジさん」とともに、ついに巨大な熊を仕留めることになる。

 ホンモノの山本兵吉 ☞「サバ裂きのアニキ」は57歳だけれども、さすがに57歳じゃ映像的にイマイチだということなんだろうか、26年前の真田広之どんが、新人女優と力を合わせてついに熊を倒すと、「スゴいヤツだった」というヒトコトとともに、夕焼けに赤く燃える雪山を映して映画は終わりになる。

 このヒグマどんは「女ばかり食う」「女しか食わない」というイケナイ性質。その名は、映画の中では「赤マダラ」。沖縄帰りの今井君には「赤マダラ」はマムシの名前に聞こえてゾッとするが、その女好きの弱点を狙って、終盤には新人女優のたくましい肉体の露出度がいきなり高まってくる。うーん、これは不必要だったんじゃないかね。
スタジオ
(講師サイドから見たスタジオ風景。座って授業をするセンセもいらっしゃるが、ワタクシは意地でも立った姿勢で授業を進める)

 さて、真田広之が演じたマタギ「エイジさん」の名前から、今井君の灰色の脳細胞はテレビドラマ「Age, 35」を思い出したのである。まだ絶好調だった頃のフジテレビ、誰も視聴率の心配なんかしなかった全盛期のフジテレビ作品である。

 今や「全盛期のフジテレビ」と入力しても、Mac君は「前世紀のフジテレビ」としか変換してくれない。祇園精舎の鐘の音には諸行無常の響きがあり、娑羅双樹の花の色は盛者必衰のコトワリを表すのであって、シャ乱Qの代表作「いいわけ」の熱唱で始まるドラマは、1996年の作品である。

 原作は柴門ふみのコミックであって、確かにストーリーにはコミック独特の「ちょっとムリ?」という部分もあるが、中井貴一・田中美佐子・瀬戸朝香・椎名桔平、さすがにこれだけ俳優を揃えれば、十分マジメな感動を呼ぶ出来映えになっている。

 こちらの主人公「エイジさん」は、マタギではなくて「株式会社 日本フーズ」の課長さん、35歳。詳しいストーリーはここには書かないでおくから、興味のある諸君はググってみるか動画を見るかしてくれたまえ。
板書
(相変わらずウルトラ見やすい今井の板書。詳細は明日の記事で)

 20年も前のドラマを全11話、全て完全な形の動画で見てしまえるのが21世紀の恐ろしいところであるが、中だるみ一切ナシ、中田ルミも登場することなく、最初から最後までピンと貫かれた緊張感は、さすがに前世紀のフジテレビである。

 1996年当時の今井君は、駿台予備校の超人気♡講師。御茶の水・本部校舎で各科目のトップ講師とシノギを削る日々であったが、毎週金曜日に福岡に出張があり、木曜日夜のヒコーキで福岡入りしていた。

 宿泊は天神の西鉄グランドホテル。今はどうか分からないが、当時の駿台講師はマコトに地味な考え方をしていて、超高級ホテルだのスイートルームだのに宿泊など、考えもしなかった。17㎡のシングルルームで十分。その木曜夜に放送されていたのが「Age, 35」であった。夕食のコンビニ弁当を貪りながら画面に見入った。

 タイトルからそのまま取った主人公の名前が「エイジさん」。マタギとは違うから、そんなに肉体美は披露しないけれども、手に汗を握る展開は今も忘れない。これだけ緊張感に満ちていれば、ちょいムリなストーリーぐらい、別に問題にしなくていいのである。

1E(Cd) Joe Sample & Lalah Hathaway:THE SONG LIVES ON
2E(Cd) Akiko Suwanai(v) Fischer & Budapest:SARASATE/ZIGEUNERWEIZEN
3E(Cd) Joe Sample & Lalah Hathaway:THE SONG LIVES ON
4E(Cd) Rubinstein:CHOPIN/MAZURKAS 1/2
5E(Cd) Elgar & London:ELGAR/SYMPHONY No.2
total m130 y1220 d18925