Thu 160714 サニーなビアガーデン/ドラ鳴り響く中華料理屋/「したまえ」な夜が更ける | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 160714 サニーなビアガーデン/ドラ鳴り響く中華料理屋/「したまえ」な夜が更ける

 たまには若い先生方を誘って飲みにいくのも悪くない。というか、ワタクシぐらいの年齢のベテランになったら、むしろそんなのは当たり前だ。姫路から帰ってきた翌々日の夕暮れ、新宿の安い中華料理屋で一杯やることにした。

 もともと予定していたのは、西新宿・ヒルトンホテルのビアガーデン。東京都心でも最高気温が35℃に接近した1日、夕方になってもたいへんな暑さだったが、夜風に吹かれながらのビアガーデンは気持ち良さそうだ。

 しかし、この日の予約受付は「15時からのお客様のみ」と断られた。うーん、どうもヒルトンのビアガーデンとは相性が悪い。先月も何度かチャレンジしてみたが「予約は18時からのみとなっております」と却下された。20時半まで新宿で公開授業だったから、「18時からのみ」じゃ最初から不可能なのだった。

 それにしても、こんな酷暑の日に「15時からのみ」だなんて、おかしいんじゃないか。日没が18時半として、最高気温35℃の日に「15時からビアガーデン」などという恐るべき行動をとる人が、いったいどのぐらい存在するんだろう。
美ねこ1
(ニャゴロワ。相変わらずの美ネコである 1)

 2011年の9月、ワタクシはギリシャを旅した(ウワバミ文庫から旅行記「ギリシャ紀行」を参照してくれたまえ)。ギリシャ危機で大混乱中のアテネを皮切りに、ミコノス島 ☞ サントリーニ島を回った。

 サントリーニ島は、美しい夕陽でウルトラ有名。「世界三大夕陽」の一角を担っている。今井君は夕陽が最も美しく見えそうな崖の上のカフェを選んだ。崖の上は昔からポニョと決まっているが、崖の上のテラスは強烈な直射日光を浴びていた。

 午後4時から日没の7時まで、エーゲ海の直射日光に3時間耐える覚悟で、まずビールを1本注文した。ギリシャの代表的ビアは「ミソス」。Mac君、「味噌酢」とかフザケてんじゃないよ。ミソスは味噌酢なんかじゃ決してなくて、MYTHOS、つまりギリシャ神話を指すのである。

 お隣のトルコの代表的銘柄は「エフェス」。こちらは古代の遺跡の名前だが、エフェスもミソスも素晴らしく旨い。直射日光を浴びながらグイグイやれば、ドイツやチェコやイギリスのビアも「足許にも及ばない」という感じ。やっぱりビアは炎暑の真っただ中が似合う飲み物である。

 しかしそれでも、サントリーニのカフェのウェイターは、直射日光のことを心配してくれた。「ホントにそこでいいのか?」「そのテーブルはものすごくサニーだぞ」「そんなサニーな場所にずっと座っているつもりか?」と、呆れた顔で尋ねるのであった。
美ねこ2
(美ネコ・ニャゴどんはスフィンクスのマネが好きである)

 もちろん今井君は日本男児として、どんなにサニーな場所であろうと日没までの3時間を耐えぬいてみせる覚悟。扇子にタオルも用意した。まさに準備万端であって、周囲のお客がみんな日陰のテーブルに退散しても、イカロスよろしく果敢に太陽にチャレンジする気概に溢れていた。

 しかし諸君、やっぱりエーゲ海のお日さまは強烈だ。次々に新しいMYTHOSの助けを借りたが、スゴスゴ撤退することを何度考えたことだろう。5時をすぎ6時に近くなっても、太陽の力はちっとも衰えない。

 クマ助の表面は真っ黒にチリチリ焦げそうなほど熱くなったが、それでも粘り強く耐えに耐えた。普段からオクラとトロロと納豆とタマゴをかき混ぜて貪っているおかげで、今井君の粘り強さは古今東西に類を見ないほどである(スミマセン、3日前の続きかもしれません)。

 とうとう7時が過ぎた。日陰に撤退していたヒトビトを尻目に、チリチリに焦げちゃった今井君ではあるが、いよいよ世界で一番美しい夕陽と、夕陽に染まった葡萄酒色のエーゲ海を、真っ正面から満喫できたのである。ネバネバを貪って粘り強く生きることの大切さは、かくのごとし。

 なお、サントリーニ島の夕陽を画像でご覧になりたい方は、当ブログ「Wed 111109 サントリーニの夕陽を、写真だけでお届けする(ギリシャ紀行27)」を参照のこと。傾いた夕陽がエーゲ海に沈むまでを、見事な連続写真でご覧いただける。

 ついでに今すぐサントリーニに旅立つこともオススメ。せっかくのお盆休み、東洋の片隅でウジウジしていないで、サッサと地球の裏側に飛んでっちゃうのも悪くない。
美ねこ3
(美ネコ、ニャゴどんは綿花のマネも好きである)

 さて、そういうサニーな経験があるから、「35℃の夏の日に15時からビアガーデン」だなんてのは、とても信じがたいのである。しかしホテル側が「15時からの予約以外は承っておりません」と頑として突っぱねるんだから、こりゃ何とも致し方ない。サニーなビアガーデンはスッパリ諦めることにした。

 なお、ヒルトンのビアガーデンには「VIP席」という何だか怪しい席も存在する。「2万円支払いなさい、そうすればスゴい高級なお酒も提供しますし、ちょっとぐらい雨が降っても大丈夫、もちろんベリー♡サニーでも大丈夫。さあ2万円だよ、2万円」というのであるが、ボクチンはそんな贅沢はキライなのだ。

 そこで選んだのは、ついこの間もお邪魔した新宿駅前の「老辺餃子館」。「皇帝鍋」を注文すると高らかにドラを打ち鳴らしながら運んでくるという、マコトに庶民的なお店である。

 庶民的なのはもちろん大好きなのだが、「ドラ」の他に困った欠点があって、「メニューが濡れてベトベトする」というのはどうもいただけない。メニューをめくるたびに嫌悪感がつのり、おしぼりでギューギュー手を拭わずにいられない。
美ねこ4
(ニャゴどんは、狭い所が大好きである)

 しかも、ここに招待したのは予備校の若手ホープのお2人。昔から予備校という所は、若くても実力さえあれば、目ん玉が飛び出るほどの高給を払うことが多いから、30歳ちょいのオカタでも日頃から高級なお店に出入りしていらっしゃる。

 そういうカタガタをお招きして「おごりますよ」と胸を張ったはいいが、メニューはベトベト、運ばれてきたビアは生温く、「おや生温いですね」と顔を顰めた瞬間、耳元でドラがドジャーン、ドジャジャジャジャーンンン!!と、マコトに威勢よく響きわたる。

 うーん、こりゃ困った。今日お招きした2人は、2人とも英検1級 & TOEIC満点のオカタ。授業もたいへんお上手で、むかしむかしの今井君、30歳当時のワタクシと比較するに、ギョッとするほど実力の充実した2名でござる。ドラ鳴り響く中華料理屋で、ベタベタ濡れたメニューなんかめくらせてはいかんのだ。
姫路
(激しく盛り上がるオジサマ @ 姫路)

 とは言うものの、1名はすでに河口湖の合宿で5年もご一緒している顔なじみ。もう1名は「むかしむかしそのむかし『ぜみぎヨヨナール(仮称)』の生徒でした。2002年のことです」とのこと。なんだ、元生徒の一種に過ぎないじゃないか。

 ならば、「ドジャーン」だろうがベトベトだろうが生温いビアだろうが、ちっとも構うことはない。「なんだ、佐々木ゼミに通ってたんだ」「それでいったいいつ、そんなに英語ができるようになったの?」と、今井クマ助の態度は急にエラそうになり、スーパー先輩風もビュービュー激しく吹き荒れ始めた。

 あとはもちろん一気呵成である。ビアは間もなく焼酎に変わり、とても焼酎のロックとは思えない勢いでガブガブ飲み干しているうちに、ますます気が大きくなってきた。「困ったことがあったら、何でも相談したまえ」の世界に突入する。

「...したまえ」&「...したまえ」が続くと、自分がフランキー堺か伊東四朗の演ずる昭和の部長になった気分じゃないか。こりゃいいや。ほら、蒸しギョーザもっと食べたまえ。ほら、焼酎をどんどん飲みたまえ。ほれほれ、チャーハン貪りたまえ。若者たちの小皿にチャーハンを盛りあげつつ、ますます調子良く泥酔していくのだった。

 せっかくだからもう1軒。調子に乗ったクマ助を止めるのは困難だ。そのまま諸君、ヒルトンホテルのバーになだれ込み、飲んだは&飲んだは、いったいどんな話をしたか、サッパリ記憶にないぐらいグビグビやり続け、近いうちの再会を約して23時、ようやく家路についたのであった。

1E(Cd) Art Blakey:NIGHT IN TUNISIA
2E(Cd) Larry Carlton:DEEP INTO IT
3E(Cd) THE BEST OF LUTHER VANDROSS①
4E(Cd) THE BEST OF LUTHER VANDROSS②
5E(Cd) Böhm & Berlin:MOZART 46 SYMPHONIEN③
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