Mon 160711 マコトにしつこいネバネバおじさん/ほうとう/帰京/古文の大先生に遭遇 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 160711 マコトにしつこいネバネバおじさん/ほうとう/帰京/古文の大先生に遭遇

 諸君、中年のオジサマと言ふものは、そのシツコサこそが真骨頂なのだ。ウンザリするほどのシツコサは、われわれ中年オジサマの短所であるが、もちろん短所は長所の裏返しなのである。

 NHK「みんなのうた」を聞いてみたまえ。トロロをオクラとメカブと納豆が、「食べねばネバネバ」と腕を組んで、熱く激しいダンスを展開中だ。日本男児なら、ヤマトナデシコなら、ネバネバ食品がおぞましい糸を引くほどに掻き混ぜ、これを口の中でもっとネバネバさせて飲み込みなさいと説いている。

「最近の若者はネバリ強さが足りない」と、オジサマやジーサマたちがうるさく口を揃えるのであれば、やっぱり諸君、夏こそネバネバ食品をもっとネバネバやって、強烈なネバリ腰を鍛え上げてほしい。

 ネバリに関しては、この今井クマ助も決してヒケをとらない。下北沢の小さな飲み屋に入るたび、常にオクラとトロロと納豆を掻き混ぜ、タマゴの黄身まで混ぜ込んで、さらにおぞましい食品に仕立て上げ、残念ながらメカブがないから、メカブの身代わりにマグロのブツ切りを混ぜてすすりこむ。

 タマゴの黄身のせいで、粘ったネバリの糸が黄色く染まる。うぉ、おぞましい。おぞましいことにおいて、これに勝るものがこの世に存在するだろうか。淡白な欧米人なら、まず確実に目をそむけ、「Wao!!」などと意味不明のウメキを漏らして店を立ち去るところである。
ほうとう
(河口湖駅前で、甲州名物「ほうとう」を貪る)

 あんまりおぞましいので、このネバネバをメニューに掲載してカネを儲けている店側でさえ、「何でもいい、何か善後策を講じなければ」と考えたらしい。その結果として添えられるのが、「焼き海苔」である。

 黄色く糸を引いたネバネバを、パリパリの焼き海苔に乗っけて貪る。それなら、爽快なパリパリ感がネバネバのオゾマシサを中和するだろう。そういう発想であるが、残念なことにパリパリ感は長続きしない。4月にパリパリしていた新入社員だって、5月にはもうヨレヨレだ。

 7月を過ぎて8月に入れば、ネバネバした先輩社員にとっくに同化して、飲み屋の片隅でベロベロ糸を引いている。全く同じことで、新入焼き海苔の諸君も、咀嚼を10回も繰り返すうちに、もうすっかりベロベロであって、もともと先発メンバーだったはずのメカブどんに、劣るとも勝らぬイヤな糸を引き始める。

 ならば、そんなにパリパリしてないで、潔くサッサを糸を引きたまえよ。先輩のオジサマたちを見習って、どこまでも粘り強く糸をのばし、相手をウンザリさせるネバリ腰を発揮したまえ。

 目指すは、ネバリ係長、ネバリ課長。そこに行き着いた者のみが、ネバリ副部長、ネーバネバ部長代理、やがては経営陣の一角に名を連ねることだってできる。「サバサバ」「イケメン」「サワヤカ」なんてのは、要するに「スカスカ」。人気者でいられるのは30歳代半ばまでがせいぜいなんじゃあーりませんか?
フジサン特急
(河口湖駅に停車中の「フジサン特急」。久しぶりに目撃した)

 ところで諸君、今井君はいったい何を書いてるんだか、余りの勢いに自分で自分の主題というかテーマというか、「何が言いたかったんだっけ?」と首をひねるアリサマである。あれれ、ホントに忘れちゃったぞ。

 記憶をたどれば、そうだ&そうだ、「オレはまだまだしつこくネバリを発揮し、今日もまだ河口湖合宿のハナシを書こう」と考えたのである。「うぇ、まだ書くの?」であるが、これこそ中年オジサマの真骨頂。鶏のモモ肉でも、リブステーキでも、骨の髄までしゃぶらにゃあかんぜよ。

 だってワタクシは、毎年のクラス閉講式で「バスから降りるまでが合宿です♡」と演説している。河口湖からそれぞれの地元まで、バスで2時間ほどの道のり。往路でもひたすら音読に励んでいたなら、もちろん復路も音読に励むべきだ。

 確かに昨夜の睡眠は3時間足らずだったし、深夜も早朝も音読とテストに夢中だったわけだから、生徒諸君の疲労は理解できる。しかし、バスに揺られながらついに心地よい睡魔クンに征服されるまで、1分でも2分でも多く音読を繰り返してほしいのだ。
きっぷ
(復路は「成田エクスプレス」。一気に新宿まで帰る)

 だから今井君自身も、「オウチに着くまでが合宿です」をやらなきゃいかん。まず、河口湖駅前の例の店で、「ほうとう」を注文する。7月25日、第1期の締めくくりに「わかさぎフライ」をワシワシやったあの店である。

 まず、1人で祝杯をあげる。祝杯は、① 生ビール ② 瓶ビール ③ 日本酒300ml。これは「オジサマの1人閉講式」であり、今日はもう授業はないんだから、1人閉講式の儀式にアルコールが入っても、問題は一切ないはずだ。

 ① ☞ ②の連続を「イミフ」とおっしゃるオカタもいるだろうが、①は景気づけ、②でビールの味をジックリ楽しむ。それぞれの役割がキチンと決まっているのである。

「ほうとう」は、甲州の名物料理であって、タップリの野菜とともに、うどんよりグッと太い麺を味噌で煮込んだものである。夏には麺を冷やした「おざら」☞ 夏バージョンほうとうもあるが、うーん、ワタクシはあくまで熱々のほうとうを好むのである。

 ほうとう、漢字で書けば「餺飥」であるが、本来これで「はくたく」と読む。原料の小麦粉を「はたく」が語源という説が有力。「はたいたもの」「はたきもの」が転訛してほうとう。ま、そういうことであるらしい。1人前用の小鍋で供される。

 お店のオバサマたちもとっくに今井君を記憶している。「1年に2回、必ずこの時期にいらっしゃいますね」「CM、見ましたよ」とおっしゃるのであるが、ヒゲ、楕円形の頭部、真四角な上半身、特徴的なお酒の飲み方、どれをとっても、そうカンタンに忘れられる人間ではないだろう。
成田エクスプレス
(久しぶりの成田エクスプレス。このまま海外にビューンと行きたくなるじゃないか)

 2階の店から駅を眺めていると、不思議や、「成田エクスプレス」が停車している。河口湖まで直通の成田エクスプレスは全く見かけなかったから、「廃止されたんだな」とばかり思っていたが、「土日祝日のみ運行」という形で生き残っていたらしい。

 1ヶ月前にネットで購入した渋谷ゆきのバスチケットを、まず大急ぎでキャンセル。14時、ほうとうを完食したワタクシは、迷わず成田エクスプレスのキップを購入した。ちょいと奮発してグリーン車。そのぐらい、いいじゃないか。

 何故なら諸君、この今井君も「オウチに着くまでが合宿です♡」を実践したいのだ。もちろん「中年オジサマが車内で音読」は無理だし、無理というよりヘンタイと見なされかねないから、ひたすらマジメにクラシック音楽に聴き入って帰京したいのである。

 用意したのは、ロシア系のクラシック。ムソルグスキー・ハチャトゥリアン・ボロディン、これに北欧系のグリーク「ペール・ギュント」を加えれば、2時間の列車の旅はさぞかしクールで快適だろう。

 こうして発車前のグリーン車にふんぞり返っていたら、若手の先生方が挨拶に来てくれた。武藤先生、森田先生、お2人とも30歳に手が届くかどうかの超若手であるが、こういうのも諸君、合宿ならではの邂逅の1つである。

 こういうふうで、今度こそホントに&ホントに&絶対ホントに、2016年河口湖合宿の記録は締めくくりになる。いやはや長かった。10日間の合宿を、2週間以上にわたって記録し続けるこのネバネバ、ぜひ若いヒトビトにも見習ってほしいものである。
岩渕城
(大月駅前から、断崖の上の岩殿城跡を望む。難攻不落のこの城が、武田勝頼終焉の日々につながっていく。「真田丸」にも登場したはずだ)

 ネバネバついでに、7月30日夕暮れからのこともヒトコト書いておきたい。新宿まで成田エクスプレス、新宿から小田急電車。マジメな今井君は、相変わらず「卒タクシー」を貫いている。

 小田急を降り、絶好調だった合宿の思い出を噛みしめながら歩いていると、向こうから黒いウルトラ高級車がゆっくりと接近してきた。窓が開いて「イマイサン♨イマイサン♨イマイサン、オレオレ、オレオレ」と、懐かしい古文のスーパー大先生が顔を出した。

「イヌ飼いはじめちゃって」と指差した後部座席で、犬の「ハッピーちゃん」が嬉しそうにハシャいでいる。大先生が「今晩、遅くからでも飲みに行きませんか?」と誘ってくれたので、早速OKのお返事をした。

 ひと寝入りして肉体を復活させた後、夜22時、近くのバー「NAKAGAWA」に行ってみると、スーパー大先生と並んでカウンターで爆笑している大っきなオジサマを発見した。

 これまたウルトラ大先生であって、苦しみ喘ぐ「佐々木ゼミ(仮)」の屋台骨を、今も雄々しく支え続けているエラーい英語のセンセなのである。お2人は先に寿司屋で飲んでからここに来たんだと言って、再び激しくガハガハ笑い続けるのであった。

 具体的なお名前については、ここに書くことを遠慮しておく。知りたい人は、古文のスーパー先生のブログ(7月31日)を参照のこと。オジサマが3人カウンターに並んだ楽しそうな写真を発見するはずだ。

1E(Cd) Lazarev & Bolshoi:KHACHATURIAN/ORCHESTRAL WORKS
2E(Cd) Gergiev & Kirov:TCHAIKOVSKY/Symphony No.6
3E(Cd) Akiko Suwanai(v) Fischer & Budapest:SARASATE/ZIGEUNERWEIZEN
4E(Cd) John Coltrane:IMPRESSIONS
5E(Cd) John Coltrane:IMPRESSIONS
total m55 y1145 d18850