Wed 160706 奇跡が起こりそうだ/役に立つ鉄棒?/8回連続満点/パーフェクト達成? | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 160706 奇跡が起こりそうだ/役に立つ鉄棒?/8回連続満点/パーフェクト達成?

 テーヘンだ、テーヘンだ。親分、テーヘンなことになりましたぜ。ホント、テーヘンだ。朝からクマ助はマコトにうるさく叫びながら、河口湖畔「ホテル美富士園」の廊下を疾走したのである。

「テーヘンだ!!」って、何がそんなにテーヘンなんだい? それはこれからジックリ詳しく書くとして、とりあえずテーヘンと言えば、テーヘン×高さ÷2であって、三角形の面積はそういう計算で求めることになっている。

 しかし諸君、我々の人生で「三角形の面積を求める」などというバカバカしい事態に直面することが、いったい何度あるだろう。ついでに言えば、平行四辺形の面積に台形の面積その他、算数も数学も、どうしてそんなフシギなことにばかり夢中になっているんだろう。

 そういう計算が実際の役に立ったのは、太閤検地の頃で終わったんじゃあるまいか。日本中の田んぼや畑や土地家屋の面積を計算し、それに基づいて税金を決めていく。算数や数学は、要するに税金計算のツールとして発展したのである。

 学校というところは、そういう大昔の知識、今ではもう役に立たなくなった知識や技能をオトナがコドモに伝授する場所である。図工でも体育でも理科でも国語でも、「役に立つか立たないか」という基準でみれば、いやはや、役に立たないこと甚だしい。
400点
(50点満点で8回目まで、合計400点のパーフェクト。果たして奇跡は起こるのか)

 世の中で生きていくのに、「役に立つ鉄棒」「役に立つ跳び箱」「役に立つマット運動」なんてものを想像できるだろうか。「二酸化マンガンに過酸化水素水を注ぐと酸素が発生します」「石灰石に希塩酸を注ぎましょう。二酸化炭素がブクブクします」。それって何の役に立つの?

「役に立つ♨立たない」を基準として設定すれば、まあ何とか合格するのは家庭科と地理ぐらいなんじゃないか。日常生活の役に立つベクトル、外国旅行で使える数列と漸化式、グローバルな化学変化、そんなものは想像すらできない。

 それなのに英語の先生ばかりが「役に立つ英語を教えていない」と言って叱られる。「国際化の時代なのに、6年も英語を習ってちっとも役に立たない」「グローバル時代なのに、使える英語を教えていない」。マスコミや隣りのオジサンや町内のオバサンに、ほとんど軽蔑のマナコを向けられたりする。

 しかし諸君、もし役に立たないからと言って叱られなきゃいけないなら、体育のセンセも歴史のセンセも国語のセンセも、みんな同列に厳しく叱られなきゃいけない。「役に立つ古文」なんてものを想像できるかい? 徒然草や鶴屋南北や井原西鶴、いつどこでどんなふうに役に立つと言うんだい?
確認テスト
(彼が満点を取り続けている確認テスト。こんなに難しい)

 ついこの間もワタクシは、とある英語教師の会合で「先生方は悔しくありませんか?」と問いかけた。英数国の先生で全体会をやった後、科目別の分科会に分かれて会合を行った、その冒頭だった。

 「他の科目はラクですよね。50年も100年も前の古い教養をホジクリ返して、それで何にも言われない。英語の先生方だけ、『役に立たない』と言って非難される」

「でも、例えば100年前の英文学の教養を高校生に語って、何が悪いんでしょうね。ディケンズやブロンテやオースティンの文学を『役に立たない』と言って切り捨てるのって、おかしくありませんか」

「古文のセンセは兼好や近松や古今和歌集を語って称賛される。なのにボクらは19世紀の英語を語ってさえ瞬間的に非難の対象になる。いったいどういうわけですかね」

 こういう導入に、高校の英語の先生方はみんな激しく頷いてくれた。つまりカンタンに言えば、英語という科目は、小学校の家庭科や中学校の技術家庭とほぼ同列なのである。今日の役に立つか、明日つかえるか、具体的にどんな利益があって、カネを稼ぐためにどんな役にたつのか。評価基準はそれなのである。
バッドトロ
(授業開始直前。4日目はマドリードで買ったBAD TOROのTシャツで臨む)

 もちろん、英語講師としてそれに不満があるというのではない。求められているのがそれならば、ひたすらその目標に向かって邁進するだけである。とにかく役に立たなきゃ、ボクらの存在意義はゼロらしいのである。

 ホントは国語講師が鴎外や谷崎を語るのと同じように、ディケンズやオースティンを語りたくても、ギュッとそれを封印して「役に立つフレーズ」をどんどん教え込む。まもなく「入試改革」が行われるらしいから、これからはますますそういう日々になりそうだ。

 しかし諸君、もし役に立つ or 立たないを論じるなら、7月21日から始まった我々の河口湖合宿は、異様なほど「役に立つ&立つ&立ちまくる」の世界である。深夜にも早朝にも宿舎には元気な音読の声が響きわたり、17歳18歳の若者たちが、4泊5日を徹底的に役に立つ英語に費やすのである。

 まず授業が90分。続いて個別学習が90分。その90分をすべて音読に費やし、音声面からの鍛錬を徹底させる。「個別」とは言っているが、実際にはクラス約90人が起立して声を揃えて音読するのであって、その一体感はタダゴトではない。

 個別学習が終わると、成果を確かめるために15分の「確認テスト」を行う。出題内容は授業で扱った全て。ディクテーション5問、約30行の長文読解問題、暗記用センテンス20、これに時事英語の単語や会話独特のフレーズも含まれる。確認テスト1回で、50問。50点満点で直ちに採点される。
富士山
(ついに勇姿を現したFujiyama。奇跡の予感がモワモワ漂う)

 これを合宿の4泊5日で11サイクル繰り返す。うぉ、こりゃ役に立つ。役に立ちすぎてコワいぐらいである。4泊5日と言わず、できれば49泊50日ぐらい強烈に続けたい。受験レベルの英語はもちろん一気にクリア、一生困らない英語力が確実に身につく気がする。

 この中で一番大切なのは「確認テスト満点」を常に目標にすること。満点なんか、滅多にとれるものでないテストであることは、今日の写真の2枚目をご覧になれば一目瞭然だ。

 スタッフは「満点を目指せ」「満点をとろう」「50点満点と49点とでは天と地の差があるんだ」と連呼するが、これだけ濃密な授業をした後で、その中身を100%頭脳に刻み込むなんてのは、理想ではあっても現実にはなりにくい。

 ところが諸君、さすがにこんな厳しい合宿に参加しようと決意した諸君だ。奇跡的なことも起こるのである。それが今日の記事の冒頭に書いた「テーヘンだ、テーヘンだ。親分、テーヘンなことになりましたぜ」の中身なのである。

 第1回の確認テストから、彼は満点を取り続けた。第2期のH-1クラスに参加した男子生徒である。2回目、3回目、4回目。彼は1点も落とさない。テキストも授業もスミズミまで制覇して、どこまでも満点を取り続ける。

 ちょうど野球のノーヒットノーランみたいなものである。いや、これはもうパーフェクトゲームの予感だ。合宿第3日、まだパーフェクトが続く。今井君が揚げ物や肉や熱々ハンバーグにウツツをヌカしている間も、まだ彼は満点を取り続けた。
富士山拡大図
(Fujiyama☞拡大図。ミラクルの予感がますますムンムンする)

 4日目の朝、ワタクシは奇跡の予感を感じた。教室の80人も同じようにザワザワ奇跡を囁きはじめた。8回目の確認テストが終わって、彼の総合得点は400点満点。それが今日の写真の1枚目である。

 もちろん、頬を歪めて冷笑するヒトも少なくないだろう。「そんなテストで満点とったって、何の意味もないじゃないか」。なるほどハイハイ、おっしゃる通り。問題は第1志望の本番で実力が発揮できるかどうかであるのは、言うまでもないし、言われるまでもない。

 しかし諸君、考えてもみたまえ。2枚目の写真に示したレベルのテストで、8回連続パーフェクト。すでに400問をミスなしで通過。合宿で1回も満点をとれない生徒が多い中、これほどのパーフェクトぶりは、今井君がこれまで参加した12年 ☞ 24回の合宿の中で、ホントに初めてなのである。

 クラス中が緊張しはじめた。残るはあと3回。11回目のテストが実施されるのは最終日の深夜0時30分である。9回目、また満点。10回目、またまた満点。野球のパーフェクトゲームなら、9回裏1アウトまで来た感じである。

 もちろんクラスの諸君も、単に固唾をのんで見守っているだけではない。彼ら彼女らも「役に立つ英語」の当事者そのものであって、今井君から見ると8回目を終わって395点の2人も、394点393点の諸君も、負けず劣らず驚異的である。

 しかしやっぱり夢のパーフェクトが実現するかどうか、いよいよ「固唾をのむ」な世界に突入する。イチローの3000本安打もさることながら、11回、合計550問、カンペキにやり遂げる生徒が出るかどうかに、大ベテラン今井クマ助でさえ、手のひらにジットリ汗が滲んで来るほどの緊張なのであった。

 その最終結果については、今日は書かないでおく。読者諸君もハラハラ&ドキドキ、明日の記事にワタクシがどんな結果を書くことになるのか、手に汗を握って待っていてくれたまえ。「乞うご期待」でござるとともに、奇跡の接近について、ぜひ友人知人の皆様にも熱く伝えていただきたい。

1E(Cd) Alban Berg:SCHUBERT/STRING QUARTETS 12 & 15
2E(Cd) Richter & Borodin Quartet:SCHUBERT/”TROUT” “WANDERER”
3E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.1 & No.4
4E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.2 & No.6
5E(Cd) Menuhin:SCHUBERT/SYMPHONY No.3, No.5 & No.8
total m25 y1115 d18820