Sat 160702 睡魔との戦い/心をオニにする/メモをとりまくる/徹夜より、朝早く | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 160702 睡魔との戦い/心をオニにする/メモをとりまくる/徹夜より、朝早く

 こうして諸君、意外にあっけなく河口湖合宿の第1期は、4日目に入った。最終日は「修了判定テスト」と「閉講式」があるだけだから、授業は4日目が最後である。

 あっさり「最後である」と書いたけれども、それはあくまであっさり書いた場合のことであって、4日目も生授業が3つこなさなければならない。初日から張りすぎて声もかれ、中年のオジサマは足も腰もパンパンに疲れて、ここで「もう3つ」というのは思いのほかキツいのである。

 何と言ってもツラいのは、生徒諸君がいかにも「ネミー」という顔で並んでいることである。「ネミーぜ」「ネミーぜ」「カッタリーぜ」、そういう表情がズラリと並んだ教室で授業をすることがどれほどツラいか、そのへんは予備校講師を経験した人でないと理解できないと思う。

 普段の公開授業なら、ワタクシは一人も寝かさない。意地でも寝かさない。もし生徒が居眠りしたら、それは講師が悪いのだ。若いセンセなんかだと、生徒が居眠りすると思わず怒り狂ったりすることもあるだろうが、「眠くなるような授業をしたアンタが悪いのだ」と考えるのが正しいのである。
授業開始直前
(今年も土偶Tシャツを着てきた。授業開始直前の勇姿である)

 しかし諸君、話が「河口湖合宿」ということになると、さすがに事情が違う。ここまでの3日間、生徒の睡眠時間はマコトに短いのである。1日につき90分授業3コマずつ、確認テスト3回、まとめテスト1回、個別学習6時間。メシの時も風呂の時もヒマさえあれば音読。それを3日続けてみたまえ。

 これで「ネミーぜ」「カッタリーぜ」と呻き声を漏らさないほどのヒトがいたら、そりゃ明らかに意地っ張りだ。特に4日目、「この1日で終わりだ♡」というゴール意識が加わると、それがますます「ネミーぜ」感を高めてしまう。「もうすぐゴール」と思った瞬間、人間の緊張はプツンと切れるものである。

 だから今井君は4日目の朝、まず理学療法の面から「眠くならない法」を教えてあげる。しかし、どんなに爪モミをしても、どれほどお手手の水かきを圧迫しても、眠くなるものは眠くなるんだから仕方がない。

 雑談に逃げるという手もある。今井君の雑談は、全部でタネが約700。どれをとっても抜群に面白いから、爆笑しているうちにネミーもカッタリーも一発で解決する。
優秀者表
(教室の壁いっぱいに優秀者表が貼り出される)

 しかし諸君、5分もかけて雑談に盛り上がり、「では授業に戻りますか♨」と言った瞬間に、90名の表情は一斉に「ネミー」「カッタリー」の状況に戻り、「限界突破♨」の掛け声も空しく響くほどである。

「お願いです、そのまま雑談を続けてください」と、90のお顔が「嘆願」というか「懇願」というか、「神様&ホトケサマ&クマ助さま、何でもいいからそのまま雑談を続けてくださいませぇ」と、手を合わせて拝まれそうな勢いだ。

 ワタクシはホトケサマではないから、ここで心をオニにする。心をオニにした経験なんか、長いオジサマ人生でも数えるほどしかないが、ここで心をオニにしないと、教材にやり残しが出る。やり残しなんかがあると、「確認テスト」も「まとめテスト」もみんな不可能になってしまう。

 それじゃ本末転倒だから、日本一どころかおそらく東洋一優しい今井クマ助の心を無理矢理にでもオニにして、バンバン授業を進めてしまう。それでもなかなかオニになりきれないあたりが、クマ助のクマ助たる所以でもあるのだが、今年は少し成長したのか、オニになりきれる時も少なくない。

 だって諸君、これだけ「ネミーぜ」という状況で、扱うのはほとんど全て長文読解問題なのである。一昨日の記事に書いた通り、「たった80行や120行で超長文とはチャンチャラおかしい」のであるが、それはあくまで睡魔に襲われていない時のハナシだ。
お舟
(夏の河口湖にお舟が浮かぶ)

 眠気の泥沼に足を取られ、ヨロヨロよろめきながら進んでいる状況で、長文読解の授業ほどイヤなものはない。睡魔の泥はネバネバ長く糸を引き、オクラと長芋をコネ回したみたいな面倒な英文を、和訳と文法でますますネバネバにしちゃうような授業なんかしたら、生徒はバタバタ倒れていく。

 そのへんは今井君もよく心得ているから、あらん限りの努力をして、サクサク進むスッキリした授業を心がける。あと、もちろんもうヒト工夫。ワタクシのアドバイスは「眠い時にはメモをとれ」である。

「徹底的にメモをとりたまえ」
「分かりきっていると思うことでも、何でもいいから書いて書いて書きまくりたまえ」
「90分授業でレポート用紙10枚が目標」
「ツベコベ言わずに、メモ&メモ&メモ」

 まさか文字を書きまくりながら睡魔に負けることはないだろう。それでも負けちゃったら、要するにそれがアナタの限界であって、その限界を突破するには、お風呂に行って服を来たまま冷水を洗面器に10杯ぐらい、ザンブザンブと浴びてくるしかない。
補充問題
(今年は補充問題をこんなにやった。むずかしーい長文読解問題ばかりである)

 今回の合宿では、今井君は張り切りすぎて長文読解の補助プリントを20枚も準備した。難関国公立や早慶のレベルで6問。難易度は「やや難」。予備校のセンセが「ミラクル速読が必要だ」とか、そういうクダラン絶叫をする長さとレベルである。

 午後から夕方にかけて、いよいよ睡魔の活動が絶頂となり、広い教室のそこいら中を睡魔クンが跳梁しているのが透視できるほどである。生徒諸君は夢中でメモを取りまくり、跳梁する睡魔クンをペンの力で追い払う。

 すると睡魔クンは彼の後ろの席の彼、彼女の左右の彼女たち、そのまた向こう側の彼らへと、次々に狙う獲物をかえて、八双飛びの源義経よろしく、いつまでもその跳梁をヤメようとしない。夜9時、ついに合宿しめくくりの授業に突入するが、折れかけた心を「これでゴール」という最も危険な安堵が襲う。

 11時、とうとう授業が終了。ここから明日8時45分開始の「修了判定テスト」に向けて、長時間の個別学習が始まる。基本的には朝5時まで。10年も前、朝5時にカーテンを開けると、巨大な富士が朝日を浴びて目の前に迫り、生徒諸君の感動と感激が頂点に達したこともあった。
修了判定テスト
(4日目夜、いよいよ修了判定テストが迫る)

 しかし今年から、今井クラスではその種の徹夜学習を変更することにした。深夜の学習は2時で終わり。5時まで3時間ほどジックリ眠って、5時に再び教室に集合、5時から朝食の出る7時半まで集中して個別学習。そういうスタイルである。

 何しろこの時間帯、首まで眠気の泥沼にズッポリと埋まって、もうニッチもサッチもいかないのだ。この状況で「朝5時まで」「やるぞ、限界突破」「わっしょーい♨」「わっしょーい♡」とか、そんな無理をしても、それに見合った前進は見込めない。

 2時まで、そして5時から8時。そのスタイルでも、合計の学習時間は同じである。3時間の睡眠で泥沼からまずスッキリ外に出る。そこからの3時間集中のほうが、遥かに効率よく前進できるはずだ。

 そういうふうに変更したのも、この12年間合宿に参加した生徒の様子を見てきて、大事なことに1つ気づいたからである。深夜、時間が経過するにつれて、生徒の音読の質が明らかに低下していくのだ。

 音読して効果のあるのは、
① 授業で扱った長文読解問題
② 1センテンスの例文
の2者であるが、夜が深まって朝が近づくにつれて、生徒諸君は知らず知らずのうちにラクなほうへラクなほうへと流されていくのである。

 午前1時、多くはまだ頑張って「長文」を音読している。2時半、長文を音読するのはヤメて、1センテンスの例文を音読する生徒が一気に増える。午後4時、ほとんどの生徒が「単語の音読」に逃げ、ブツ切りの単語を、声を張り上げて絶叫している。

 ブツ切りの単語の音読なんか、要するに眠気覚ましの景気づけに過ぎない。それで「朝5時までやり切った!!」と肩を叩き合いながら感激に浸るのであるが、うーん、「単語の絶叫」で満足してちゃイケナイ。最悪でもセンテンスの音読に励まなくちゃ。ワタクシはそう信じるのである。

1E(Cd) Marc Antoine:MADRID
2E(Cd) Kremer:MOZART/VIOLINKONZERTE NOS.2&3
3E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER③
4E(Cd) Richter:BACH/WELL-TEMPERED CLAVIER④
5E(Cd) CHOPIN:FAVORITE PIANO PIECES
total m10 y1100 d18805