Wed 160629 昨年の扇風機軍団スクランブル/どういうふうに燃えるべきか/ねんね | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 160629 昨年の扇風機軍団スクランブル/どういうふうに燃えるべきか/ねんね

 合宿初日(スミマセン、昨日の続きです)、富士山は雨雲に隠れたまま、一向に顔を出さない。それどころか、雨のせいでどんどん気温が下がってきた。

 翌日の河口湖は、「最高気温20℃、最低気温17℃。5月中旬並みの気温でした」という状況。北東からのヤマセがビュービュー吹いて、猛暑の日本で関東地方だけが冷蔵庫に入れられちゃったかのようだった。

 しかし諸君、教室の中ではヤマセも涼しさもちっとも感じない。何しろ90名超の若者がボーボー燃え上がっているのだ。もしも赤外線カメラで眺めてみたら、でっかい石炭のカタマリが90個、整然と並んだまま真っ赤に燃えているみたいなアリサマだろう。

 今井君ももちろんボーボー燃え上がっている。さすがにチャンとした中年オジサマだから、外見上の燃え上がり方はマコトに控えめであって、絶叫を繰り返すような類いの授業はしない。ごく冷静にサクサク授業を進めていくだけである。

 ま、その辺がオジサマのオジサマたる所以である。20歳代後半とか30歳代前半の若いセンセなら、ここは生徒と一緒に真っ黒く焦げるほど燃え盛り、沸騰し、絶叫し、号泣し、宙返りもバック転も大車輪もやってみせて、ついでなら「教室で鞍馬」「教室で平行棒に吊り輪」、そういうのも悪くない。

 しかしいったん中年のオジサマになったら、「静かに燃える」「穏やかな分、燃焼温度が猛烈に高い」「鉄でも銅でも融けてしまう」というのが理想。沸騰や絶叫が100℃の熱湯だとするなら、オジサマの炎は白く青く、1000℃を超えていなきゃいけないのだ。
扇風機
(昨年は大活躍だった扇風機軍団。今年は「おみやげコーナー」で大人しく出番を待っている)

 我々の燃焼が余りに激しかったせいか、昨年の河口湖合宿では「クーラーが故障する」というアクシデントが起こった。どんなに頑張っても、室温は30℃を超えた。汗はダラダラ流れて止まらず、ついに昨年の今井君は扇風機部隊のスクランブルを要請した。

 まあ、昨年の合宿の記事を読んでみてくれたまえ。雄々しき扇風機部隊の活躍の写真が何枚も掲載されている。教室として使用しているホテルの宴会場に、配置された扇風機は6台。6台のフル回転で少しは涼しく授業ができた。

 昨年の夏合宿は、最初から炎暑の日が続いた。河口湖は、標高は高くても内陸にあるから、いったん晴れれば気温は甲府や熊谷や館林なみに上昇する。フライパンで煎られている感覚である。もし扇風機部隊が登場しなかったら、「蒸し風呂の中で授業」というマコトにシュールな事態になるところだった。

 おっと忘れていた。今井君のクラスには、若いスタッフも6名配属されている。彼ら彼女らもまた、20歳代の若者たちである。ある意味、生徒諸君よりも強烈に燃えている。

 生徒諸君の中には、合宿に参加はしてもまだ何となく「半信半疑」というか「様子見」というか、要するに戸惑っている者も含まれている。しかしスタッフは違う。前日から宿舎に前乗りして、その興奮ぶりたるや、ロッカールームで試合開始を待ち受けるラグビー選手みたいである。
スタッフのシャツ
(燃えるスタッフのTシャツ。「限界突破」、おお、頼もしい)

 燃えすぎて、何だか手が震えているスタッフもいる。泣き出さんばかりに表情を硬直させたスタッフ6名を集めて、授業開始前のミーティングを行う。「あんまり青春しすぎないように」とアドバイスするのである。

 スタッフが青春しすぎると、アドバイスと称してお説教が多くなる。
「キミたちは何のために合宿にきたんだ?」
「自分を変えるためじゃなかったのか?」
「そんなんじゃ、変われないぞ」
「もっと自分を追い込むんだ。限界に挑戦するんだ」
「限界を乗り越えろ。化学変化しなきゃダメだ。奇跡を起こせ」

 まあ、この類いの青春である。4泊5日の合宿で2度か3度ならこういうお説教も悪くないが、連日連夜いろんなスタッフから同じ青春を激烈に語られても、生徒たちは困っちゃうだろう。

 お説教しているヒマがあったら、2ページでも3ページでも音読。奇跡やミラクルを語るヒマに、4ページでも5ページでも音読。ひたすらミルフィーユ。「何のために合宿にきたんだ?」と問われたら、ただ一言「ミルフィーユ作り」と答えるだけのことである。
テキスト
(夏期合宿用テキスト)

 今年は、幸いなのかどうなのか、初日 ☞ 2日目と「5月なみ」の冷涼な風の中でスタート。クーラー君もすっかりご機嫌を直して、快適に機能してくれる。どんなに若者96名(スタッフ含む)とオジサマ1名が熱く燃えても、その熱をしっかり適度に冷やしてくれる。

 だって諸君、さすがに長丁場の合宿だ。冒頭からの燃えすぎはいかん。マラソンの最初の1kmを全力疾走したんでは、20km地点まですら走れない。オジサマというものは、正しいペース配分を心得ている。

 15時から第1講。食事と入浴をはさんで、21時から第2講。合宿のような異次元空間では、どんな行動も計画より早めに進めるべきである。第2講はホントは「21時15分開始」なのであるが、クマ助は21時にはもう教室に現れている。15分早くスタートしちゃうわけだ。
食事の準備
(食事の準備も、さすがに壮観だ)

 センセたちはみんな燃えているから、ついつい授業を延長してしまう。15分延長、20分延長、30分延長。熱くなればなるほど、「延長するけど、頑張れよ♡」みたいなことになってしまう。講師だって興奮するのである。

 ところが、これが困るのだ。生徒には授業後、約2時間の「個別学習」が待っている。たったいま授業で扱ったセンテンスやパッセージを、その2時間で徹底的に音読するのだ。目標は最低10回。授業を延長すれば、そのための時間がどんどん減少する。

 今井君のクラスでは、センテンスもパッセージも「文字を見ないで音読できる状況」を目標にしている。CDに録音されたネイティブのモデルリーディングに合わせ、まあ基本的には文字を見ながらの音読。でもだんだん回数を重ね、自信がついてきたら、テキストを見ないでCDに合わせるわけである。
おふとん
(お部屋にオフトンが敷かれていた)

 だから変にデレデレ&ダラダラ、話したいこと全てを話し、延長なんかするのは愚の骨頂なのだ。講師は限度を心得て、絶対に話さなきゃいけないことを話し尽くしたら、もう生徒とスタッフに全てを任せ、サッサと部屋に引き上げるべきである。

 20歳代のセンセなんかだと、そのあたりのサジ加減がまだ分からない。授業が終わっても教室に残って、「何でも質問しろ!!」「オレが合格へ連れていってやる!!」「オレは英語の天才なんだ」みたいなことを口走る。そんな青春ドラマじゃ、生徒の実力なんか決して伸びはしない。

 というわけで、スッと潔く教室を出て、お部屋に戻る。お部屋にはとっくにお布団が敷かれていて、「どーれ、ゆっくりねんねしますかね」と、安堵のタメイキをつく。

 生徒諸君とスタッフ諸君は、まだこれからタップリ音読に励み、第2講の確認テストを通過しなければならないが、オジサマのほうはキチンと睡眠をとって明日に備えるという仕事があるのだ。ねんね、ねんね。チャンとねんねしないと、明日の授業のクオリティが下がるじゃないか。

1E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE②
2E(Cd) Bernstein:HAYDN/PAUKENMESSE
3E(Cd) Solti:BEETHOVEN/SYMPHONY No.9
4E(Cd) CHOPIN:FAVORITE PIANO PIECES
5E(Cd) Marc Antoine:MADRID
total m153 y1085 d18790