Mon 160613 九州新幹線は大混雑/大地震の被災地・熊本に入る/熊本県宇土の大盛況 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 160613 九州新幹線は大混雑/大地震の被災地・熊本に入る/熊本県宇土の大盛況

 前日の「燻製男」の恐怖もさめないまま(スミマセン、昨日の続きです)、今井イカ蔵は福岡から熊本に移動する。「奥の手」を使ってホテルに14時までいられるから、チェックアウト13時半、14時ちょっと前の新幹線に乗った。

 昨夜の焼肉のケムリは、想像以上に執念深い。ホテルの部屋に備え付けのファブリーズを思う存分プシュプシュやっておいたにも関わらず、今井君の肉体は「焼肉を貪りましたね?」と誰もがニヤニヤするような、素晴らしく濃厚&濃密なカホリを発散させている。

 こうなると、「今井イカ蔵」変じてすでに「今井肉蔵」の趣きを呈しているが、うーん、どうだろう、クマ蔵やイカ蔵やエビ蔵はそれなりに悪くないけれども、「肉蔵」となると。自分自身どうも納得がいかない。何だかマコトに肉肉っとして、ガマンならないほど不健康な感覚がある。
駅長
(熊本駅では、くまモンの駅長さんがマジメに仕事に励んでいた)

 博多から熊本は、驚くほど近い。新幹線なら約40分、山手線を一周するより手っ取り早い。新宿から町田、銀座から横浜、池袋から所沢、その程度しかかからない。

 ただし新幹線は混雑している。自由席だと、窓側の席に座れないヒトも出る。すでに窓側の席に誰かがいて、通路側の席を指差しつつ「いいですか?」「はい、いいですよ♨」という気まずい会話を交わさなければならない。

「はい、いいですよ♨」と答えるその♨マークもだいぶ煮えたぎっていて、内心を素直に表現すれば
「ええっ、マジかよ?」
「他にいくらでも空いてるのに、何でオレの隣りなの?」
「やられたぜ!! サイテー!!」
など、そういう隠れた不平不満が思い切り聞こえるほどである。

 窓側の席に座った人間としては、通路側の席にドカンと置いた荷物をどかすか/どかさないか、マコトに微妙な選択を迫られる。善良な市民としてはもちろん「出来るだけ多くのお客様が座れるように、通路側の席に荷物を置かない」が原則だ。

 しかし諸君、荷物をどかした瞬間「ここ、いいですか?」がやってくる。日本人は孤独が大好き。せっかく快適な新幹線の旅なのに、お隣に他人がやってきて窮屈な思いをするのはイヤだ。みんなドッカと荷物を置いて、あとは知らんぷりで狸寝入りなりスマホいじりなりに励むのである。

 そういう駆け引きがキライなので、ワタクシは500円あまり余計に支払って指定席に座る。こちらはこちらでダーレも乗っていない。熊本までたった40分であるが、自由席ヒトビトは虚々実々の駆け引きで、その40分の快適さ意地でも譲らない。この世はマコトにせちがらい。
宇土1
(熊本県宇土、高校生たちは元気だった 1)

 さて、こうしてとうとう熊本にやってきた。4月の熊本大地震から3ヶ月。ワタクシは地震のニュースをフランス・ボルドーからの帰りのヒコーキの中で見た。熊本城の石垣の崩壊も、勇壮な黒い瓦がバラバラ崩れ落ちる衝撃的な光景も、ヒコーキのTV実況中継で見ていたのである。

 熊本県宇土での公開授業の申請があったのが、5月中旬のことである。まだ余震が頻繁に熊本を襲っていた時期であって、中でも宇土や宇城は「市役所の建物が崩壊寸前」というニュースが繰り返し報道された地域である。

 しかし諸君、ならば意地でも公開授業をやりたいじゃないか。地震のせいで受験勉強が遅れちゃうだろうし、たとえグッと歯を食いしばって勉強を進めても、いろんな思いが胸にこみあげて、なかなか集中できない状況になるのは分かっている。ならば、微力ながら今井君だって熊本支援に出かけたい。

 というわけで、熊本県宇土での公開授業、1も2もなく引き受けた。ホントなら、他にナンボでも熊本に出かけたかった。熊本市内にはたくさんの校舎があるし、熊本だけではない、大分でも大規模な被害があったはずだ。

 しかしまあ、呼ばれもしないのに押し掛けていくわけにもいかない。熊本県宇土は、熊本空港至近の益城町ほどではないにしても、地震の被害が最も甚大だった町の1つである。市庁舎の甚大な被害は、テレビでも繰り返し伝えられた。及ばずながらワタクシも、自分に出来るかぎりの支援を申し出たいのであった。
熊本城
(熊本城、2016年7月6日 1)

 新幹線から降りた熊本駅は、すっかり平静を取り戻している。ホントに大したものだ、震度6とか5とか、立っていられないほどの大きな揺れに何度もさらされたはずの市民も、すでにしっかり落ち着いた表情。新幹線ホーム下では「くまもん駅長」がニコヤカな表情で仕事をこなしていらっしゃった。

 宿泊は「ホテル日航」。12階の部屋からは、熊本城の勇姿が正面に眺められるのだった。確かにニュースで繰り返し報道された通り、天守閣の瓦は見る影もなく剥がれ落ち、城のあちこちにブルーシートがかけられた様子は見るも哀れである。

 しかし諸君、熊本城は勇壮に立ち直りつつある。天守閣を見たまえ。酷熱の盛夏の陽光に照らされながら、スックと立ち上がって豊かな夏の熊本平野を睥睨している。瓦なんかなくったって、石垣なんかなくったって、熊本城は全く動じることがない。
天守閣
(熊本城、2016年7月6日 2)

 同じことは、熊本県宇土の生徒諸君にも言えるのである。あれほどの大災害の傷も癒えない今、会場の定員を超える約80名もの受講生が集まってくれた。感謝&感謝♨また感謝である。

 ただし、授業では地震のことには一切触れないようにした。被災地のど真ん中で、その災害の話をするのは傲慢である。災害については生徒諸君の方が遥かによく熟知しているのであって、知ったかぶりでおかしなアドバイスなんかしたら、むしろ失礼にあたるだろう。

 そのぶん、公開授業そのものに思い切り力をこめるのである。使用したテキストは「C」。ホントは「B」をつかって、被災地の生徒諸君に思い切り音読の効用を伝えたい所なのであるが、校舎サイドで事前に「C」を選択してくれたのだから、ここは本格的な授業主体の90分を構成するしかない。
宇土2
(熊本県宇土、高校生たちは元気だった 2)

 小さな教室に、出入り口が1つしかない。「万が一いま地震が来たら」と、話をしながら常に心配がたえない。しかし校舎担当者の話によると、4月の本震の時もこの校舎はあんまり激しく揺れなかったんだそうだ。

 震源からの距離、活断層からの距離。そういう距離の問題とは別に、何か地盤の強弱に関連して、揺れの大きさが違っていたらしい。断層に近くてもあんまり被害が大きくなかった地域もあれば、断層から離れていても激甚な被害を受けた地域もあるんだそうだ。

 最終電車も早い時間帯で出てしまう町である。暢気にダラダラ延長なんかしていると、あっという間に最終電車が出てしまう。クマ助は21時半、ちょうど90分ピッタリで授業を終え、大きな花束もいただいて、逃げるように校舎を後にした。

 ホントならサイン会みたいな催しがあったほうがいいんだろうが、ワタクシの主義は常に「走って帰って今日から猛勉強」である。ダラダラ&ニヤニヤ、サイン会なんかに並んでいるヒマがあったら、単語30語記憶する方がいいし、10ページの音読に励んだほうがいい。

 というわけで、公開授業が終了するや、激しい拍手の響きも消えないうちに、今井君はタクシーで懇親会場に急ぐのである。控え室にすら戻らない。まるで逃げるように懇親会の場にひた走る。うーん、なんて潔いクマ助なんだろう。

1E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE①
2E(Cd) Barenboim:MENDELSSOHN/LIEDER OHNE WORTE②
3E(Cd) Solti:BEETHOVEN/SYMPHONY No.9
4E(Cd) CHOPIN:FAVORITE PIANO PIECES
5E(Cd) Marc Antoine:MADRID
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