Thu 160526 京都、感激の♡実況中継 スミマセン、写真は翌日の奈良のものです | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 160526 京都、感激の♡実況中継 スミマセン、写真は翌日の奈良のものです

 降りしきる雨は、一向に止む気配がない。6月15日、大阪のホテルにやっとのことでたどり着き、19時半からの京都での講演会に向けて、一応は万全の状況。今日もブログの更新をキチンと済ませて、京都への電車の時間を待つばかりであった。

 しかし諸君、降りしきる雨が、ちっとも止んでくれないのである。止むどころか、どんどん強さを増している。天気予報でも、降水確率は夜に向かってますます高まっていくばかりである。

 26階から眺める大阪は、「雨に煙る」というより、むしろ暗く分厚い雨雲の真っただ中にいるようである。雨雲にさえぎられて、視界も心許ない。梅田のど真ん中にいる割に、阪急デパートや大阪駅の勇姿さえ、雨の中に滲んで見える。

 こんな天候で、果たして京都の生徒諸君は集まってくれるだろうか。当初の予定では「出席者220名」となっている。しかし傘も役立たないほどの豪雨の中、もし自分が父親なら、息子や娘がケナゲに出かけようとするのを、叱ってでも引き止めるかもしれない。

「こんな雨の中をノコノコ出かけていくヤツがいるか」
「ウチにいなさい。風邪でも引いたらどうするんだ」
「ウチでしっかり勉強すればいいじゃないか」
「わざわざ出かけていったって、どうせくだらない雑談を聞いてタイクツするだけだ」

 その種の強いコトバで引き止められれば、どんなにケナゲな女子も男子も、
「ま、そんなもんかな」
「オトナの常識に従っておいた方がよさそうだ」
そう考えて、オウチの中の快適さを、今井君の公開授業よりも優先するに違いない。
志津香1
(翌日は、快晴。奈良で評判の釜飯の店に出かけた)

 だから、ホテルを出る時の今井君も、大阪から乗り込んだJR新快速の中のワタクシも、心の中はまさに暗澹たるもの。予定が220名なら、うーん、こりゃせいぜいで150名、下手をすれば100名を切って、会場はガーラガラになりかねない。

 ブログに写真を掲載することさえ躊躇するアリサマなんじゃないか。こりゃツラいことになった。新快速の停車駅は、新大阪、高槻、京都。「お願いだ、小降りになってくれ♨」という願いとは裏腹に、京都の奥ゆかしい山々が近づくにつれ、逆にどんどん雨が激しくなってきた。

 それも当然であって、京都の山に南東から湿った温かい風が吹きつけて上昇気流となり、次から次へと乱層雲や積乱雲を形成する。平野の真ん中の大阪より、京都の盆地で雨が激しいのは、地形から見て当然なのである。

 京都着、18時20分。スタッフとの待ち合わせは18時30分であるから、今井君は常に品行方正であって、この時間厳守ぶりは特筆に値する。今井が遅刻した、今井が約束の場所に現れなかった、そういう事案が発生する可能性はゼロ、それどころかむしろマイナス符号をつけた方がいいぐらいだ。
釜飯
(奈良「志津香」のうなぎ釜飯。おいしゅーございました。詳細は、明日)

 そして諸君、この時、まさに感動の瞬間が迫っていたのである。出席者予定を見ると、何と「370名」。当初の予定が220名だったんだから、予定の1.5倍の熱心な生徒諸君が、この豪雨をものともせずにやってくる。

 そりゃ若干のサボリは出るだろうが、さすが京都の中学受験を半世紀前から支えてきた「成基学園」の生徒諸君だ。サボリ率は極めて小さい。豪雨をついて、会場の「キャンパスプラザ京都」は、定員を上回る出席者でパンパンの満員。「立ち見」が続出する大盛況となった。

 たくさんの「立ち見」発生について、もちろん難しいことを言えば言えないこともない。立ったまま90分、今井君の強烈なナマ授業を受講するのは、体力的にもたいへんな困難を伴う。

 しかしこんな豪雨の中をここまで駆けつけてくれた生徒に、「満員〆切です。帰ってください」なんてのは、余りに無慈悲じゃないか。少なくとも今井君としては、全ての生徒を温かく迎え入れたいと熱望するのである。

 使用した教材は、何と「大阪大学で出題されたナマの長文読解問題」。こんなに熱心に詰めかけてくれたんだ、こちらも最高の仕事をしたいじゃないか。80行もの長文、しかも高校生のレベルを超えた単語が続出する難問。これを全文キチンと和訳しながら、解き方まで可能なかぎり明快に詳述したい。
おこげ
(奈良「志津香」、釜飯のお楽しみ、カリカリの「おこげ」。おいしゅーございました。詳細は、明日)

「この教材を使用します」と告げられたのは、授業開始40分前である。さすがの今井君でも、一瞬たじろいだ。「では30分間だけ1人にしてください。集中して予習します」とお願いし、控え室に籠って30分。合計5回、夢中で音読してから本番に臨んだ。文章の内容は以下の通りである。

① 北米5大湖の1つスペリオル湖に、ロワイヤル島という孤島がある。大量のヘラジカが棲息、天敵不在のせいで激増、植物を食い荒らし、やがて自らも絶滅の危機に至った。

② そこへオオカミが侵入した。厳寒の中、結氷した湖をわたって侵入したオオカミが、ヘラジカを捕食。植物は復活、ヘラジカも復活。しかし温暖化が原因で湖が結氷しなくなり、島のオオカミは近親交配が続いて、やがて絶滅の危機に陥った。

③ そこで人間がどう対処するかの問題が発生。放置すればオオカミは絶滅し、再びヘラジカが激増し、植物は食い荒らされ、ヘラジカも絶滅する。状況打開のために新しいオオカミを導入するか、手つかずの自然を守るために全てを放置すべきか。

 いやはや、単語のレベルも高い。例えば、boreal, lurch, meddle, inbreeding, herbivore, 講師でも辞書で確認したくなる単語がボンボン、何の容赦もなく連続する。構文的にも、倒置あり、省略あり、修辞疑問文あり、解説に熱中したくなる事項が満載だ。
奈良漬け
(さすが奈良。本場の奈良漬け、おいしゅーございました。詳細は明日)

 これほどの難問を、「予習してません」という生徒が9割の状況で、たった90分で解説する。これはまさに超ベテラン今井の出番であって、授業冒頭「確実に90分で解説します」と宣言。超満員+立ち見の370名の諸君は「まさか♡そんなの♡無理でしょう」と、クマのハッタリにニッコリ笑みを漏らすのだった。

 しかし諸君、随所に爆笑を交えつつ、今井君の解説は実に着実に進むのである。設問も、一切の疑問の余地のない解説で、バッサ&バッサと薙ぎ倒していく。開始30分、キッチリ1/3が終了。開始60分、ピッタリ2/3が終了。もしもビデオがあれば確認してもらってもいいが、途中経過も完璧である。

 生徒諸君も、マコトによくついてきてくれた。英文の中身は「Aを守ることが、直接的にBを破壊することになるジレンマ」。放置か介入か。経済活動を含め、人類のあらゆる行為に伴う表裏一体の宿命のジレンマを、閉ざされた孤島の状況に象徴的に示した重苦しい内容を、講師とともに粘り強く読み解いてくれた。

 開始19時30分、終了21時02分。合計92分。「なんだ2分も延長したじゃないか」であるが、それは解説終了後に①「特別招待講習」②「高速マスター」のCMを入れたから。解説自体は驚くなかれ、90分00秒、マホーのように完結していた。生徒諸君から感激の拍手が自然発生的に巻き起こった。
志津香2
(さすが奈良、釜飯屋さんの風景も誠に奥ゆかしい)

 こうして、生徒も講師もスタッフも大感激、自画自賛して構わない最高のお仕事が完了した。あとはお馴染み「大祝勝会」に突入するだけである。会場は、京都三条「歌舞練場」のお隣、古い民家を移築したお馴染みの居酒屋さんである。

 集まったスタッフも、もうすっかり顔馴染み。1年に2回、7月と11月の公開授業に必ず招待されるようになって、もう10年が経過する。この夜は「入社4年目」という男女3人が新しく参加。日付が変わる頃までマコトに熱く語り合ったのである。

「では、11月15日ごろ、またいろいろ論じあいましょう」と、熱く再会を約して解散。いつもはお酒に強い同年輩のスタッフも、さすがに今夜は疲れたらしく、もう眠気に耐えられない様子で、さっきからガクンガクン激しく舟を漕いでいらっしゃった。

 そりゃそうだ。豪雨の心配、「ガラガラだったらどうすんだい?」、それにも関わらず立ち見さえ出る大盛況。イマイが展開した熱い授業と、それに負けずにかじりついてくる生徒諸君。いろいろ心配した分、みんなの安堵と感激もまた大きかった。

 京都から大阪まで、贅沢を知りつつタクシーで帰った。メーターは1万4千円のところ、運転手さんのご好意で、1万円&チョイに値引きしてもらえた。運転手さんによれば、京都の雨の中で熱心に見送るスタッフの様子に感動したので、「お客さま、むしろこちらから値引きさせていただきます」とのことであった。

1E(Cd) Fischer & Budapest Festival:BRAHMS/HUNGARIAN DANCES
2E(Cd) Hungarian Quartet:BRAHMS/CLARINET QUARTET・PIANO QUINTET
3E(Cd) Alban Berg:BRAHMS/KLARINETTENQUINTETT & STREICHQUINTETT
4E(Cd) Backhaus(p) Böhm & Vienna:BRAHMS/PIANO CONCERTO No.2
5E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/EIN DEUTSCHES REQUIEM 1/2
total m130 y898 d18603