Sat 160227 千葉県柏の大盛況 20世紀型・巨大戦艦型店舗のこと 千歳烏山での熱演 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 160227 千葉県柏の大盛況 20世紀型・巨大戦艦型店舗のこと 千歳烏山での熱演

 順番が前後して申し訳ないが、3月17日は千葉県の柏で、18日には世田谷区の千歳烏山で、それぞれ公開授業があった。柏は毎年この時期に呼んでくれるし、千歳烏山は一昨年に続いて2回目の公開授業である。

 柏には、ワタクシはなかなか縁が深いので、何しろ学部時代から29歳に至る10年を、柏のお隣の松戸市で過ごしたのだ。松戸にも小さな古い「伊勢丹」があったけれども、むしろ一番身近な百貨店は柏の「そごう」と「高島屋」であった。

 もちろん20歳代の男子がそんなに頻繁にデパートでお買い物なんかするわけがないが、「大規模店舗の並ぶ街」は、誰の心にとっても支えになるはずだ。常磐線沿線なら、柏と松戸。埼玉なら浦和と大宮、群馬なら前橋と高崎。そういう「二都物語」を形成して、お互いに激しい敵愾心を燃やすことになる。

 もっともこの「柏」という街は、今でこそ押しも押されもしない中核都市であるが、明治&大正期までは顧みる者もない寒村であった。江戸時代から続く水戸街道(現・国道6号)沿いでは、むしろ小金や我孫子の宿のほうが遥かに繁盛していた。

 当時の柏を「見るも苦しき寒村」と表現した書物さえある。1889年、大日本国帝国憲法発布の年にようやく「千代田村」となり、20世紀末になって「柏駅」が誕生。まもなく東武野田線の前身「千葉県営鉄道」も完成。こういうふうで、戦前の柏の歩みはマコトに遅々として、一向に前に進まない。
五反田
(早春シリーズも最終盤。3月16日、五反田で奮闘を続けた)

 柏市の誕生は、ようやく1954年のことである。いやはや、だから柏市の歴史は、まだ60年ぽっち。半世紀チョイで一気に「押しも押されぬ中核都市」に成長したわけである。

 そんな柏を「政令指定都市にしよう」という運動もあるんだそうな。野田や我孫子や松戸と組めば、人口100万を達成するのも夢ではない。しかし諸君、この地域では松戸派と柏派とその他派、3つの地方勢力がいろいろに絡み合って主導権を争い、政令指定都市の夢実現は遥かに遠い目標に思われる。

 そしてどうやら、「沿線二都物語」的な都市文化モデルも、21世紀になってどうも調子が悪いようである。快速や急行や特急の停車する準ターミナル駅の周辺に、そごうや高島屋が巨大戦艦型の旗艦店舗を作り、そこから同心円状に街が拡大していくスタイルである。

 首都圏なら、立川・大宮・津田沼・町田。いきなり予備校の話にすれば、小売の世界でのそごうと高島屋の役割を果たしたのが、かつての3大予備校 ☞(仮名)で示せば、① ゼミ木ヨヨナール ② どうすんだい? ③ Pretty塾であった。

 巨大な旗艦店舗を駅前に建てて、ハード面の偉容で顧客の信用を獲得する。
「こんなデカいのを作ったんだから、顧客は遠くからでも交通費と時間を惜しまずにやってくるだろう」
「むしろ、足を向けない消費者のほうがおかしいのだ」
というドンブリ勘定である。
柏そごう
(千葉県柏で40年、奮闘し続けた「柏そごう」の勇姿。2016年9月に閉店の予定だそうだ)

 1973年、柏そごう開店当時のキャッチフレーズは「緑の町にお城のような百貨店」であって、正式名称「柏スカイプラザ」最上階には、「回転展望レストラン」なんてのもある。時代錯誤の典型みたいな世界である。

 そごうは、埼玉県大宮店にも回転展望レストランがあって、昭和の時代にはこういうお城のようなお店が、郊外のヒトビトの憧れだったのである。メシを食うのに、お空の一角でクルクル回っていたいというのだから、昭和の日本人は今とは全く違った趣味の持ち主だったのだ。

 ところが今や、その柏そごうの営業終了が迫っている。HPによると、営業終了は2016年9月。お城のような百貨店は、今や落城寸前だ。真田丸がまだ好調なのに、21世紀の小売の世界では、郊外のお城は役に立たないらしい。

 その柏そごうから常磐線の線路を隔てた向こう側に、もう1つ「ツワモノどもが夢の跡」がある。言わずと知れたゼミ木ヨヨナール(仮名)であって、20世紀の末まで超満員だった総合病院風の建物は、HPによれば今や「2016年度の新規募集は行っておりません」なのだ。

 旗艦店舗の偉容を信頼して人が集まる安易な時代は、すでに20世紀の彼方に過ぎ去ってしまった。今になってなお空母みたいな巨大店舗を作り続けるのは、時代に取り残されたドンキホーテみたいなもの。若い諸君、ドンキホーテについていくサンチョ・パンサになりなさんな。
ミネストローネ
(羽田空港、ダイアモンドラウンジのミネストローネ。グロッキー気味のワタクシには、マコトに強い味方である)

 3月17日夕刻の今井君は、柏駅前の雑居ビルのワンフロアで頑張り続ける我が東進・柏校に到着した。20世紀のワタクシは、実は「どうすんだい?」柏校の開校メンバー。英語講師の主力として4年、柏は水曜日だけの出講だったが、1日9コマの大奮闘を演じた。

 あの頃は、御茶の水に2日、池袋と大宮と福岡と柏に1日ずつ。1日平均8コマをこなし、マコトに厳しい日々ではあったが、柏は今もマコトに懐かしい街である。

 その点、「ゼミ木ヨヨナール」に移籍してからの今井君は、柏にはほとんど縁がなかった。春期講習とか夏期講習とかで、1日で90分×5コマの講座を一気にやってしまう無理な企画の特別講座をやっただけである。

 東進に来てからの柏は、これで確か7回目の訪問。毎回必ず大教室を超満員にしてくれるので、スケジュール表に「柏」の文字が入っただけで幸せな気分になれる。2016年3月は、約220名が出席。下の写真の通りの超満員になった。
柏
(千葉県柏の大盛況)

 地元県立高校の英語科の先生も見学に来てくださった。2月16日に新宿・京王プラザホテルで実施した「センター試験講評会」にも来てくださった先生で、「今井講師の話があまりに興味深く、あまりに楽しかったから、生徒向けの公開授業にも参加してみたくなった」とおっしゃる。

 おお、こういうのはまさに講師冥利に尽きるのである。多くの先生方が、「10分だけ拝見します」「30分ほどお邪魔します」と申し訳なさそうに教室後方に席を占める。しかしやがて生徒諸君を凌ぐ大爆笑を繰り返し、メモやノートをとりまくり、気がつくと90分ないし100分、席を立つことなく熱中してくれる。

 ま、パパやママや先生方にとっても、今井の公開授業は抜群に面白いのだ。
「最初のツカミや雑談部分は面白くても、授業本番に入れば大したことないだろう」。
そんなふうに思って聴きはじめ、あっという間に夢中になって時の経過を忘れる。ワタクシの授業は、常にそれを理想としているし、理想は常に実現するためにある。
千歳烏山
(世田谷区千歳烏山での奮闘)

 翌3月18日は、世田谷区千歳烏山の駅前で公開授業。京王線の上り電車に乗れば、新宿に向かって左の車窓に見えるマコトに小さな校舎である。一番大きな教室でも、収容できるのは50名に満たない。

 その小さな教室から机を全て取払い、椅子だけを並べて85名の受講生をギューギューに詰め込んだ。お馴染み「椅子が足りません」「酸欠寸前です」「熱気はサウナを凌ぐほど」であるが、この夜はさすがにワタクシの肉体の許容限度を超えた。

 余りに生徒諸君が近いのである。用意してもらったボードも、余りに小さいのである。幅1メートル・高さ1メートル。ほぼ正方形のボードを、椅子の上にガムテープで固定して使用する。

「腰がダルいよ」「腰がダルいよ」と、珍しく弱音を連発しはじめたのは、千歳烏山の開始15分後ぐらいのこと。冗談でも何でもなくて、「今夜は最後まで話し続けられないかもしれない」と危機感を覚えるほどのダルさなのだ。空間が狭すぎ、生徒諸君が近すぎ、空気が濃密すぎたのである。

 翌日には山口県山口市の大ホールで300名近くを相手に大熱演を演じたのだし、もう「ダルいよ」と感じることは1度もなかったのだから、ダルさはあの場だけの事態。やっぱり諸君、いくら何でも定員40数名の部屋にギュー詰めのギューチャンというのは、カラダも態度もデカいワタクシには、やっぱり狭すぎたようである。

1E(Cd) George Benson:STANDING TOGETHER
2E(Cd) Chicago:CHICAGO
3E(Cd) Take 6:BEAUTIFUL WORLD
4E(Cd) Kazuhiko Komatsu & Saint Petersburg:貴志康一/SYMPHONY ”BUDDHA”
5E(Cd) Akiko Suwanai, Dutoit & NHK響:武満徹 ”FAR CALLS” ”REQUIEM FOR STRINGS”etc
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