Fri 160219 今井の殿様 「花月」の卓袱にトライする 坂本龍馬の刀傷 お茶漬けにしちゃう | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 160219 今井の殿様 「花月」の卓袱にトライする 坂本龍馬の刀傷 お茶漬けにしちゃう

 3月11日、長崎県諫早での祝勝会は、JR諫早駅すぐそばの居酒屋で。2年前もこの店で深夜まで豪快に飲みまくったが、今日は中年のオジサマ5人がそろい、飲み会はますます豪快になった。

 ただ、お店は今井君の苦手な「お座敷タイプ」。畳敷きでも板敷きでも、平たい床に座布団がポンと置いてあるだけのお座敷タイプだと、カラダの固いワタクシはあっという間にアンヨが痛くなって、とてもお酒を楽しむどころではなくなってしまう。

「どのぐらいカラダが固いか」というに、別に自慢するわけであるが、まさに金メダルクラス。前屈なんかやってみると、両手はヒザのあたりまでしか届かない。小さなタクシーにデカい肉体を畳み込もうとしただけで、足がギュッとつって激痛が走ったりする。

 この硬直した肉体で、「座布団1枚♡」というお座敷に座った場合、肉体がそっくりかえってドテッと仰向けに倒れそうになる。アンヨがビリビリ痺れて、「何か食べよう」「何か飲もう」という欲望も欲求も、痺れの向こうにスッと消滅していく。
花月1
(長崎で卓袱の名門「花月」にチャレンジする)

 それをしばらく我慢して、冷たいビールをチビリ&チビリやっていたけれども、きっかり15分経過したところで「もう限界」と感じ、シャイなワタクシとしては最大のワガママを言ってみることにした。「スミマセン、座椅子ありませんか?」というわけである。

 運ばれてきた座椅子は、その辺にあるごく普通の座椅子ではない。座敷の平面から20cmほどの高さに座面があり、しかもその上に座布団が1枚敷いてある。立派な肘掛けもある。これに恐る恐る腰掛けて向かい合ったオジサマたちを見下ろすと、諸君、こりゃ完全なお殿様スタイルだ。

 お殿様と言って悪ければ、「牢名主」な感じ。テレビの時代劇がすっかり減ってしまった今日「ローナヌシ」と言っても何のことか分からない読者も多いだろう。ぜひ「牢名主」ででググッてみてくれたまえ。

 こうして今井のお殿様は、座敷よりも一段高いところに陣取り、「ズが高いっ!! 控えおろう!!」な世界を演じることになった。目線としては、下向き斜め15°ほど。畳の上に居並んだヒトビトを完全な上から目線で睨みつけつつ、熱い日本酒をグビグビ痛飲したのである。
花月2
(長崎「花月」エントランス)

 こうしてシュールなお殿様気分を満喫すれば、「せっかく長崎にきたんだ」「稲佐山の夜景はもちろんだが、シッポクも楽しんでいきたいじゃないか」ということにもなる。数あるシッポクの名店の中から、ワタクシは最も有名な「花月」を選択することにした。

 シッポクとは、漢字で書けば「卓袱」。中華料理や欧風料理を交え、全体を和風にアレンジした宴会料理である。長崎が発祥、丸テーブルを囲んで大人数でワイワイやるのが基本。和・洋・中の入り混じったコース料理であって、個人ではなかなか入り込めない。

 ワタクシもこれまでの長い長い人生で、卓袱を味わったことは2回しかない。1回目は「一力」、2回目は「浜勝」。ともに長崎の名店であるが、今回は名門中の名門 ☞「花月」をどうしても攻略してみたいのである。

 どう言ったらいいんですかね。お相撲になぞらえれば、「一力」は日馬富士、「浜勝」は鶴竜。どちらも立派な横綱だけれども、うーん、真に「金星!!」と讃えてもらうには、やっぱり大横綱:白鵬を倒さなきゃならない。白鵬に勝たずに「横綱に勝った」とは、何となく認めにくいじゃないか。

「花月」は大鵬・北の湖・千代の富士・白鵬に該当するウルトラ級であって、花月に行ったことがないのに「卓袱を知っている」とは、胸を張って言えないのである。
花月3
(花月の大広間。坂本龍馬の刀傷が残っている)

 しかし諸君、「夜の花月」ということになると、個人で潜り込むのは余りにもキツい。ネライ目は、平日のお昼である。水曜とか木曜のランチなら、さすがの花月も閑散としているだろう。おそるおそる電話で尋ねてみると、まあ何とか快諾してもらえた。

 しかもワタクシは、「今井のお殿様♡」ないし「牢名主♨クマ蔵」である。諫早の夜ではあんなにふんぞり返ったわけだから、今や向かうところ敵なし&コワいものなし。花月の卓袱ぐらいで縮こまっていたんじゃ、ローナヌシの名がすたる。

 とは言うものの、実際に「花月」の門前に立つと、やっぱり緊張はするのである。「名がすたる」の入力に「流す樽」と平気で変換してよこすMac君と違って、春先のクマというものは、カラダはデカくても、心はマコトに臆病なのである。
花月4
(頼山陽や蜀山人も愛したというお部屋。キレイな庭にメジロも来ていた)

 美しく着物を着こなした若女将?が、丁寧に店内を案内してくれる。案の定、平日の午前11時だけあって、店内は閑散。こんな時間帯にやってくる表六玉はワタクシぐらいのものなのだろう。

 大広間に案内され、「これが坂本龍馬の刀傷でございます」と古い柱を示される。日本の男たちみんなの憧れ ☞ 坂本龍馬どんも、普段はなかなか困ったイタズラ者であって、こんなところで刀を振り回して大暴れしたらしい。

 この大広間で、明日は大きな結婚披露宴があるとのこと。九州の披露宴はマコトに激烈であって、九州全域から集まったジサマ連が日本酒やら焼酎やらをグビグビ、長時間にわたってクダを巻いたりする。いやはや、1日違いでたいへんな宴会に巻き込まれるところであった。

 披露宴では、新郎新婦が舞台で餅つきをする習わしなんだそうな。「初めての共同作業♡」ということらしいが、普通なら「ウェディングケーキに入刀」で済ませるところ、さすが花月では新郎が杵をふりあげ、新婦は臼の脇にしゃがみ込んでオモチをこねまわすのである。
花月5
(三宝柑をくりぬいて器にしたお料理。おいしゅーございました)

 こうして館内の案内が終わったところで、
「蜀山人もこの部屋を訪れました」
「頼山陽はここが好きで長逗留したんです」
という一室に通されると、もうテーブルの上には最初の1皿が並んでいた。

 若女将に「オヒレをどうぞ」と声をかけられ、お椀のフタを開ける。お椀からフワッと湯気が立ちのぼる。卓袱は、たとえ閑散とした平日のランチでも、「お椀に始まり、お椀に終わる」のである。

 目の前のお庭には、メジロやウグイスがやってくる。まずメジロを2羽発見。続いて庭のずっと奥のほうに、ウグイスも発見。何とかカメラに収めたけれども、ピントがウグイスの手前の木の芽に合ってしまって、とてもここでお見せできるような写真にはならなかった。

 ワタクシは煮豆が大好きな、マコトに変わったクマ助である。「いつも残ってしまうんですよ」と若女将が苦笑した黒豆の煮豆を、イの一番に平らげてしまった。

 最後の「お食事」もホントに傑作であって、お茶碗のゴハンに遠慮なくザブッと焙じ茶をかけて「お茶漬け」にしてしまった。店の格式も一切わきまえず、あという間にお茶漬けを胃袋に収めた。

 ホントのホントのラストは、お汁粉である。「なるほど、煮豆からアズキへ、豆で始まって豆で終わるわけですね」と冗談のつもりで言うと、言下に「違いますよ」と笑われた。「お椀で始まって、お椀で終わるんです」。おお、基本中の基本である。牢名主クマ蔵としたことが、大切なことを失念していた。

1E(Cd) Sheila E.:SEX CYMBAL
2E(Cd) Sheila E.:SHEILA E.
3E(Cd) Incognito:BENEATH THE SURFACE
4E(Cd) Incognito:100°AND RISING
5E(Cd) Incognito:LIFE, STRANGER THAN FICTION
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