Tue 160209 「卒タクシー」の例外2種 プロペラ機を選択 宇和島鯛めし屋の前島密 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Tue 160209 「卒タクシー」の例外2種 プロペラ機を選択 宇和島鯛めし屋の前島密

 3月3日、朝は松山にいて道後温泉本館でポカポカやっていても、夕暮れまでにはどうしても大阪に移動を完了していなければならない。19時半から兵庫県宝塚で公開授業を控えている。

 だから、せっかくの「温泉ポカポカ」にもあまり精神的な余裕はなくて、本館3階の特別室に収まってお茶をすすってみても、「早くしなくちゃ」「早くしなくちゃ」と誰かに急かされている気分はどうしても拭えない。

 もっとも、道後温泉本館には昨年も来たし、その前にも何度も訪れていて、今さら物珍しいことは何一つない。特別室では3色のお団子も出されるけれども、子供じゃあるまいし、朝っぱらから草色と黄色とアズキ色のダンゴ3兄弟なんかワシワシやって、ニッコリ満足してるわけにも行かないじゃないか。

 そこで諸君、松山のクマ助は湯ざめしないうちにサッサと道後温泉を退散、松山空港に向かうことにした。まもなく耐震化のための大改修が始まり、4年だか5年だかの長期にわたって工事が続くんだそうな。ま、今回は改修前にちょっと挨拶に来た程度のことである。
坊ちゃん列車
(四国松山・道後温泉駅前で「坊ちゃん列車」を目撃)

 ワタクシは今年から「卒タクシー」「脱タクシー」に方針を切り替えて、よほど急ぐ場合か終電に乗り損ねた場合以外は、出来るだけタクシーに近寄らないようにしている。

 前にも書いたけれども、広島空港から広島駅前まで14000円だの、伊丹空港から京都市内に10000円だの、小松空港から金沢駅前まで13000円だの、そういうのを躊躇なしに利用するようになっては、金銭感覚の緩みは尋常なものとは思えない。

 ただし、2月27日の深夜にはちょっと例外をやった。四日市駅前 ☞ 名古屋マリオットホテルまで、深夜料金&高速料金コミコミではあったが、大枚18000円をはたいた。もちろん自腹でござる。

 この場合、Mac君によれば「タイ米18000円」であって、タイ米を2万円近く買ったらきっと膨大な量になるはずであるが、「なぜ?」と尋ねられれば、もちろん「祝勝会があんまり楽しかったから」であり、「えーい、こんなに楽しいなら終電なんか気にしていられない」と決めたのである。
鯛くん
(松山空港、「宇和島鯛めし屋」の看板鯛クン)

 3月3日のワタクシは、再び「卒タクシー」の原則に例外を許すことにした。道後温泉から松山空港まで、一応キチンと空港バスは運行されているのである。しかしこのバスはマコトに暢気に走る。とろとろ&とろとろ、春の瀬戸内を象徴するかのようにノタリ&ノタリ、「全ルートほぼ徐行」という勢いだ。

 特にビックリするのは、停留所の数である。「一番町」という停留所と「大街道」という停留所の間には、距離にして約50メートル、走行時間にして約20秒しかない。しかもその20秒、バスのスピードはニンゲンの徒歩よりゆっくりだ。

 別にセカセカ生きているわけではないが、ここまで徐行と停車が続くと、さすがに優しいクマ助でもイライラを抑えきれない。停留所に着くたび、実にノンビリと荷物の受け取りが行われて、1停留所で5分もかかる。うにゃにゃ、空港 ⇔ 松山市内なら歩いたほうが早いじゃないか。

 てなわけで、3月3日の今井君は道後温泉からビューンとマホーの絨毯に乗って行った。3000円ほどかかるけれども、「とほほ、あのバスだけはカンベンしてくんろ」であって、昨日バスで空港から市内まで50分もかかった道のりを、タクシー君なら15分程度で踏破。マコトに心地よい。
じゃこ天
(手作りジャコ天。表面のシラスのカリカリが最高だ)

 空港に到着して、激しい空腹を感じたワタクシは、前回1月末に立ち寄って大好きになった「宇和島鯛めしの店」で昼食をとることにした。

 という言い方にはウソがあって、「卒タクシーの原則」を破ってまで空港に急いだそのわけは、どうしてもこの店に来たかったからなのである。もっと正直に言うなら、松山から大阪への移動は本来なら鉄道利用。普通はなかなかヒコーキに乗ろうとはしない。

 松山 ⇔ 大阪伊丹の間を飛んでいるのは、20世紀のカホリに満ちたプロペラ機。「ボンバルディア」という会社がつくったプロペラ機は、10年前の2007年3月13日、高知空港で着陸の際に「車輪が出ない」という緊急事態に陥ったりもした。

 ワタクシはあの時の様子を熊本空港のラウンジのテレビで眺めていた。何度か滑走路にバウンドして、「バウンドの刺激で車輪が出るんじゃないか」という恐るべきアナログな解決策を模索したものだったが、ま、あれも10年前のことだ。もう大丈夫だろう。

 一方の鉄道利用だと、まず松山から岡山まで特急「しおかぜ」に乗る。瀬戸内海南岸に沿ってひたすら東進し、瀬戸大橋をわたって岡山まで2時間45分。岡山からは新幹線で再びひたすら東進、新大阪まで45分。「ひたすら東進」が2回も連続するのは素晴しいことであるが、合計で4時間近い大移動になる。
プロペラ機
(列車で4時間より、プロペラ機で1時間。ワタクシは「大阪までボンバルディア」を選択した)

 列車で延々4時間より、ヒコーキでビューンと1時間のほうがいいのは言うまでもない。若干の逡巡を感じるのは、やっぱり「ボンバルディアのプロペラ機」という部分であるが、10年も無事にキチンと飛んだヤツを、そんなに疑ってかかるのは可哀そうじゃないか。

 そう判断したところに、さらなるポジティブ要素として入り込んだのが「宇和島鯛めし屋」の存在である。1月末に食べて大好きになったカリカリの手作りジャコ天を、是非またカリカリやりたい。前回試さなかった宇和島流鯛めしも、今日はどうしてもワシワシやっていきたい。

 というわけで、お店で注文したのは、① 宇和島鯛めし定食 ② 手作りカリカリじゃこ天 ③ タイのアラの唐揚げ。鯛めしは、出汁にタマゴを溶いてタイの刺身を豪快に投入、それを温かいゴハンにブッかけて食す、一種のタマゴかけゴハンであった。

「タマゴかけゴハン」というワイルドな食べ方はコドモの頃から苦手だから、店のオネーサマにお願いしてタマゴを抜いてもらった。しかし、うーん、すると結局この定食は「ゴハンと味噌汁とお刺身だけ」のマコトに平凡なものにならざるを得ない。
鯛めし定食
(宇和島鯛めし定食。ワタクシは、やっぱり普通の鯛めしがいい)

 期待はずれにガッカリしながら、お隣のテーブルの会話に聞き耳をたてた。70歳代後半と思われるオジーチャン4人の会合であったが、話の様子からすると、どうも霞ヶ関がらみのお偉方であるらしい。

 関係省庁のエラいお役人の名前が次から次へと会話に登場。しかもそのお役人を「○○クンは、期待はずれだったな」「△△クンにはまだ期待が持てそうだ」と、ひたすらクン呼ばわりで片付けてしまう。

 ところがどんなにエラくても、記憶力のほうはいろいろ鈍りがちらしい。「ほら、佐賀で反乱を起こしたヤツがいたじゃないか」「郵便制度を確立した何とかヒソカっていたじゃないか」とか、どうも固有名詞が出てこないらしいのである。

「ああ、いたいた。何ヒソカだったけ」
「えーっと、ヒソカ。何ヒソカだったっけ?」
「前山? 前川? あはは、前浜? 違うな。何ヒソカだっけ?」

 4人のオジーチャンは「前島」を求めてひたすら思案に暮れる様子。結局「前島密」にたどり着くまで5分もかかったあげく、
「そうだ、前島だ」
「そうだ、前島、前島」
「前島密だ、前島密」
と、3人よれば文殊の知恵、それが4人も集まったものだから、前島密に激しく感激、嬉しそうに肩を叩き合いながら、鯛めし屋を後にしたのであった。

1E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DAS RHEINGOLD 2/2
2E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 1/4
3E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 2/4
4E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 3/4
5E(Cd) Akiko Suwanai:DVOŘÁK, JANÁĈEK, and BRAHMS
total m45 y200 d17905