Wed 160203 鳥取は遠くにありて 出雲から高速バス 箱そばスペシャル(出雲参拝記6) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 160203 鳥取は遠くにありて 出雲から高速バス 箱そばスペシャル(出雲参拝記6)

 初めての島根県訪問、初めての出雲探訪は、こうして無事に終わりに近づいた。「いよいよ残るは鳥取県のみ」なのであるが、4月のボルドー滞在でカルカソンヌやナルボンヌを訪ねるよりも、鳥取県はずっと後になりそうだ。

 しかも諸君、鳥取より先に、6月下旬と9月下旬の岩手県訪問スケジュールのほうが決まってしまった。「鳥取は、遠きにありて思うもの。そして悲しく歌うもの」。47都道府県の最後になってしまって、マコトに申し訳ないのである。

 もしかしたら5月にホーチミン、おそらく9月にハンブルグ。ムンバイも一応の候補に上がっている。そういう予定さえ心の中で少しずつ決まりはじめて、初♡鳥取県はいったいいつになるのやら、今井本人にさえ見当がつかない。

 ま、とは言うものの、今はお仕事ラッシュの真っ最中だ。2016年早春シリーズは、合計34回のうち16回が終了。ちょうど中間地点に差し掛かったばかりである。いつまでも出雲でニタニタしてないで、とりあえず島根県から帰京しなければならない。

 出雲からは、高速バスを利用する。来たとき同様「特急やくも」でJR伯備線に乗って島根にバイバイするのもいいが、完全に同じルートじゃ、余りに芸がないじゃないか。出雲は歌舞伎のルーツ ☞「出雲の阿国」どんの出身地。「芸がない」じゃ、阿国どんに申し訳ない。
阿国
(JR出雲市駅、出雲の阿国どんの勇姿)

 高速バスには、玉造温泉のバス停から乗車する。高速道路の脇に掘っ立て小屋があって、これが高速バスの停留所だ。小屋から遥かに宍道湖の美しい姿が眺められるが、うーん、どうもこの掘っ立て小屋、ぞっとしない風景である。夜遅く女子が一人こんな場所でバスを待ってたら、危険すぎるんじゃないか。

 しかしそれでも、バスは満員である。福岡ゆき、広島ゆき、大阪ゆき。名古屋ゆきに東京ゆき。東京までまるまるバスに乗ったら、いったい何時間かかるんだか想像もつかないが、「それでもバスで行きます」という勇ましい女子&男子が大勢いるらしい。日本もホントに勇ましい国になった。

 ワタクシはそれほど勇猛果敢ではないから、とりあえず一番近い広島まで3時間、狭いシートにギュッと収まって、大人しく島根の旅の締めくくりに励んだ。「締めくくりとは、何ぞや?」であるが、もちろん写真を取捨選択しつつ、この旅行記の構想をめぐらせたのである。
バス待合室
(高速バス、「玉造温泉」の待ち合わせ小屋)

 いやはや、このところどうも麺類好きに拍車がかかっている気がする。2月16日には、西新宿の「魚民」で深夜に盛り蕎麦3枚を平らげた。出雲では「今井先生ですか?」の女子グループ5人を前に、出雲そば5枚をペロリとやった。

 さらに2月22日、岐阜県大垣での公開授業の翌日には、名古屋駅の新幹線ホームで名物「きしめん」を3分で平らげた。その時の様子はまた日を改めて詳述するけれども、きしめん屋のオネーサマがクマを目撃して、激しく目をギョロつかせていた。「お、今井先生だ♡」のヒトだったのかもしれない。

 さらに2月24日、ワタクシは世田谷区経堂の「箱根そば」を訪れた。「箱根そばとは、何ぞや?」であるが、要するに駅の立ち食い蕎麦であって、小田急の急行停車駅ならどこにでもある平凡なお蕎麦屋である。

 今を去ることちょうど1ケ月前、1月26日のワタクシは、ちょっと所用があって経堂駅で下車した。あのとき発見したのが「箱根そば」の名物メニュー「箱そばスペシャル」である。
宍道湖
(高速バスのバス停から、美しい宍道湖を遥かに望む)

 「箱そばスペシャル」は、毎月最終週の月曜と火曜だけに提供される特別メニュー。1ヶ月に2日だけしかありつくことが出来ないとすれば、イヤしいクマどんが夢中になるのもフシギではない。

 どういう種類のスペシャルかというに、とにかく「全部のっけ盛り」なのである。ごく普通の立ち食い蕎麦の上から、お蕎麦に乗っける食品として、考えられる限りのものが全て乗っている。

 ① 竹輪天ぷら ② 海老天ぷら ③ 巨大かき揚げ ④ 温泉タマゴ ⑤ 大量のワカメ ⑥ カレーコロッケ ⑦ 油揚げ2枚。ネギももちろん大量に乗っかっている。特に① 竹輪天と ③ かき揚げが巨大であって、ドンブリの中はもうひたすら揚げ物だ。出汁に浮かぶアブラの量は、厚さ数センチに及びかねない。

 何事にも限度というものがあって、これほど大量に揚げ物を乗っければ、もうお蕎麦の味なんかちっとも味わえない。同じコンセプトで「うどんバージョン」もあるが、大阪の気難しいヒトがこれを見たら、「これはうどんやおまへんで」「ホンマに人間の食べ物でっか?」と、たちまち嫌悪感を露わにするに違いない。
箱そばスペシャル
(箱そばスペシャル。写真ではその迫力の1/10も伝えられない。諸君、是非一度チャレンジしに行きたまえ)

 もちろん大阪にだって、これを凌ぐ困った食物が存在する。例えば南海電車の駅にある「南海そば」であるが、諸君、ここの「コロッケ蕎麦」を、一度味わって見たまえ。冷蔵庫から出してきたコロッケを、熱いお蕎麦にいきなりドブンとやるのである。

 熱いお蕎麦にチョー冷たいコロッケ。コロッケがオン・ザ・ロックスの氷なみにお蕎麦の出汁を急速冷却するから、おお、お蕎麦がチョー生ヌルい。冷たいなら冷たいなりの楽しみ方があるが、コロッケに急速に冷却されたお蕎麦の、何とも言えず気色悪い生ヌルさはタマらない。

 一昨年の秋、高野山に出かける朝に南海難波駅で経験したこの生ヌルさは、あれ以来ワタクシをトリコにして離さない。同じコロッケ蕎麦を、南海難波駅を訪ねるたびに必ず追体験して、何度でも「うぉ、生ヌルい!!」の絶叫を繰り返している。

 2月24日に「箱そばスペシャル」で体験したのは、「うぉ、生ヌルい」ではなくて、「うぉ、油でデロデロだ♡」と言ふ驚きである。諸君、これほど大量に揚げ物を乗っければ、出汁はあっという間に揚げ物に吸い取られてしまう。

「あれれ、出汁はどこへ消えました?」と質問するヒマもなく、「あわわ♨」「あわわ♨」と慌てふためくうちに、揚げ物が出汁に全て溶けだして渾然一体、ドーロドロ&ドーロドロドロ、何とも形容しがたく、どう名づけていいか不可解な食物のカタマリが目の前に出現したのである。

 特に困ったのが、かき揚げとカレーコロッケの2つ。蕎麦屋のオバサマ従業員がワタクシに手渡してくれた段階で、すでにかき揚げはドロドロ溶けだしている。カレーコロッケからは、無惨なカレーのカホリを漂わせつつ、すでにカレーの黄色い汁が出汁に滲みだしている。言っちゃいけないが、要するに○○と択ぶところがない。
箱根そば
(箱根そば、経堂店)

 これを平らげるには、どうしてもビールの助けが必要だ。もちろん30歳以下の若い諸君なら、ビールじゃなくて単なる「水」でかまわないかもしれない。しかしワタクシは、もうちょっとした油にもズッシリ胃もたれを感じる中年オジサマだ。これほどの油に対抗するには、ビールの援軍が必須である。

 しかし諸君、「箱根そば」のカテゴリーは、どこまでも「駅の立ち食い蕎麦」。クマの胃袋が懸命に「ビール!!」「ビール!!」という必須の援軍を求めても、その援助要請は完全に黙殺される。

「何を贅沢言ってんだ?」
「そのぐらいの油で音をあげてんじゃ、『箱そばスペシャル』を注文する資格はない」
「もう1度、胃袋を鍛え上げてからチャレンジしな♨」
というわけである。

 いやはや、たいへんな目に遭った。若い諸君、是非クマのカタキを討ってくんろ。まさに「Avenge me ♨」であって、箱そばスペシャル ☞ 750円、次のチャンスは3月28日と29日だ。

 大学入学が決まって上京する諸君、小田急の駅に集合せよ。東京で初めての晩飯に「箱そばスペシャル」を是非どうぞ。

1E(Cd) Menuhin & Bath Festival:HÄNDEL/WASSERMUSIK
2E(Cd) Diaz & Soriano:RODRIGO/CONCIERTO DE ARANJUEZ
3E(Cd) Cluytens & Conservatoire:RAVEL/DAPHNIS ET CHLOÉ
4E(Cd) Miolin:RAVEL/WORKS TRANSCRIBED FOR 10-STRINGED & ALTO GUITAR
5E(Cd) Queffélec:RAVEL/PIANO WORKS 1/2
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