Fri 160122 巨大な青サギ ムツゴロウ&クッツォコ 春の雷 柳川は雨もまたヨシ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 160122 巨大な青サギ ムツゴロウ&クッツォコ 春の雷 柳川は雨もまたヨシ

 2月13日、福岡県地方の最高気温は23℃。それは県北部の福岡市で観測された気温だから、福岡から特急電車で1時間近くも南下した柳川市の気温は、おそらく福岡市より2℃か3℃高かったんじゃないだろうか。

 西鉄柳川の駅で電車を降りると、南風はもう梅雨時の生ヌルさ。というか、亜熱帯の国を訪れて、空港から1歩外に出た時の驚きと同じである。要するに「モワッ」と音が聞こえそうな湿った風が、ワタクシを包み込んだのである。

 やがて温かな雨も降り出した。5月下旬というか、6月上旬というか、とにかく余りの蒸し暑さに、クマ助の全身から汗が滲みだす。何しろ北国出身だから、蒸し暑さにはめっぽう弱い。たちまちのうちに「ビール♡」「冷たいビール♡」と、内臓クンたちの大合唱が起こった。

 諸君、膵臓・脾臓・胃袋に十二指腸、こういう「モワッ」な空気の中に立たされた時、内臓クンたちの大合唱はマコトに凄まじい。リーダーはもちろん心臓クンであって、それは晋三どんがリーダーの自民党内閣と同じことである。
クッゾコ1
(柳川名物、クッツォコ。今日は唐揚げでいただいた。おいしゅーございました)

 今や晋三どんも日本経済も大ピンチ。株価は年初来4000円も急落、GDPも年率マイナス1%下落ということになると、3年間ションボリしていた野党や左派系メディアのドヤ顔がまた凄まじい。「失敗だ」「失政だ」と、この3年のションボリを一気に巻き返す大合唱が、一昨日あたりから巻き起こった。

 一方の心臓どんは、内臓軍団の「ビア♡」「とにかくビア♡」なシュプレヒコールを見事にまとめあげ、クマ助を居酒屋へ突進させる役割を果たす。素晴らしいコンダクターぶりであって、日本の政治経済を一度このクマ助の心臓クンに任せてほしいぐらいだ。

 柳川は、そういう居酒屋行動のクオリティを高める食品に満ちている。有明海の豊かな恵みを、泥の海の中からまとめてグイッと引き上げ、見たこともない不気味な食品をテーブルの上にズラリと並べてくれる。

 どれほど豊かな海であるかは、人が近づいてもなかなか逃げようとしない白サギどんや青サギどんの様子を眺めるだけで分かる。白サギもそうだが、青サギどんの肉体の大きさは、ほとんど「もしかして、鶴さん?」「青いフラミンゴさん?」と尋ねたくなるぐらいだ。
さげもん
(北原白秋の生家にて。「さげもん」が可愛い)

 お堀の脇のお魚屋さんにも、フシギな魚介類が並んでいる。メカジャ、ワラスボ、クッツォコ、タイラギ。タイラギはムキ身なら食べたことがあるが、緑がかった半透明の貝殻から、オレンジ色の不気味な足が覗いている姿は、やっぱり初めて目撃した。

 アゲマキなんてのもある。スペインのバルセロナに2週間ほど滞在したとき、コイツを目いっぱい貪った。スペイン語名「ナバジャス」。バルセロナの市場でも、ムカつくほどの山盛りで売られていた。

 有明海のものは、ナバジャスより少し丸っこい。別種かもしれないけれども、ワタクシは「丸ナバジャス」で十分だと思う。厚かましくヌッと突き出た2本の角(おそらく出水管と入水管)があんまり力強くて、やっぱり少々ムカつくのである。

 いくらクマ助がイヤしくても、こういうのを次から次へと平らげていれば、「胃袋がいくつあっても足りません」ということになりかねない。お酒の入るスペースなら他人に貸してあげるほどあるけれども、魚介類をそんなに詰め込んじゃ、ポンポンが有明海みたいに泥&泥になってしまう。
タイラギ
(柳川のお魚屋さんで、大量のタイラギを鑑賞する)

 そこで諸君、まず、ムツゴロウどんを食してみる。ムツゴロウといえば、むかしそういう名前でテレビに出まくっていた動物好きのオジサマもいた。自分で自分をムツゴロウだなんて、ずいぶん幼いオカタであるが、ワタクシも「クマ助」だの「クマ蔵」だの「サト助」だの、要するに同じようなもんである。

 高校生の頃、そのムツゴロウのオジサマの「青春記」という本を愛読している友人がいた。「おやおや、高校生にもなって」と冷やかしたりしたが、彼はマコトにマジメな男で、毎日の昼食代200円からオツリをコツコツ貯めて1ヶ月、ついに「今井、本屋に行くから付きあえ」と声をかけてきた。

 毎日の昼メシをパン150円分の菓子パンで我慢して、牛乳も飲みたいだろうに水道のお水で済ませ、ついに「ムツゴロウ青春記」を購入する彼。何だか可哀そうな気がしたが、友人はいたってマジメであって、むかし秋田駅前にあった「加賀谷書店」で、キラキラ光る100円玉を8個レジに並べた。

 いま目の前に出てきた黒いムツゴロウどんを眺めながら、ワタクシの脳裏に去来したのは上記のような光景であった。にもかかわらず、この哀れな小さいお魚にかぶりつくこと、まさに獣のように「容赦」というものがない。仄かな16歳の記憶も、たちまち酸っぱい胃液の海の藻くずと消えた。
クッゾコ2
(柳川のお魚屋さんで。クッツォコ軍団にであう。「靴の底」または「口の底」が語源である)

 つづいてケモノ君が挑んだのは、クッツォコである。お魚屋さんに集団で並んでいる姿には「おやおや、深海魚?」という不気味さを感じるが、これは舌平目の一種である。オシャレなオジサマなら「ムニエルにしてください♡」などとソフトにホザイて、周囲の若い女子の胸をキュンとさせるところである。

 ところが諸君、ワタクシは「オシャレ」からは最も遠い生物であって、ムニエル♡も何も、クッツォコはクッツォコ、その語源は「靴の底」であることを熟知している。

 もちろんその名は「靴の底みたいな平べったいヤツだから」というわけであって、そう言えばボクチンは2014年4月、アムステルダム散策中にいきなりベロッと剥がれた自分の靴の底の姿を忘れない。

 15年も履き続けた靴の底であるが、まずアムステルダム中央駅前で右側がベロッと剥がれ、その事件にも負けずに歩き続けた30分後、今度はクラシックファンの憧れ「コンセルトヘボウ」付近で左側のクッツォコもベラッといった。

 興味のある方は、右の欄「旅行記」から「オランダ先生訪問記」をクリック、「Mon 140915 今井君ライデン危機 靴底の思い出 クツ君とお別れ(おらんだ先生訪問記46)」を読んでみたまうぇ。その写真4枚目が、クッツォコとそっくりの靴の底だ。
船頭さん
(雨の中、掘割りを舟が行く。春の雨もまたヨシである)

 その靴の底を、本日の柳川では唐揚げにしていただく。ホントは唐揚げより醤油と酒で煮付けたほうが好きなのだが、「唐揚げしかメニューにない」というのだから、クマの好き嫌いで無理を押し通すことはない。

「どれもみんなおいしゅーございました」と御礼を述べているうちに、柳川の街を雷雨が襲ってきた。稲妻から雷鳴までの間に10秒ほどの間があるから、カミナリさまとの距離は3kmほど。「遠雷」と呼ぶには近すぎるが、では安心安全が確保されているかと言えば、やっぱりそうも行かない微妙な距離である。

 思い起こせば5日前、2月9日の今井君は北陸・富山で雪の中のカミナリの轟きを聞いた。たった5日後、こうして有明海の春の雷鳴に驚いている。翌2月14日には「春一番」の予報。季節の移り変わりはマコトに早い。

 しかし水郷・柳川は「春の雨もまたヨシ」。川下りの船頭さんも、いつもは赤や緑やオレンジの派手なハッピを着込んでいるが、今日は雨の中、地味な合羽で舟を押してゆく。黒が基調の水墨画のような景色は、まさに水郷の名に相応しい。「雨もまたヨシ」。雨の中で、柳川の魅力はますます深みを加えるのであった。

1E(Cd) Leinsdorf:MAHLER/SYMPHONY No.6
2E(Cd) Solti & Chicago:MAHLER/SYMPHONY No.8 1/2
3E(Cd) Solti & Chicago:MAHLER/SYMPHONY No.8 2/2
4E(Cd) Barbirolli & Berliner:MAHLER/SYMPHONY No.9
5E(Cd) Rattle & Bournmouth:MAHLER/SYMPHONY No.10
total m110 y110 d17815