Thu 151203 まだクリスマス気分 ヒコーキからのパリ(また夏マルセイユ42 最終回) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 151203 まだクリスマス気分 ヒコーキからのパリ(また夏マルセイユ42 最終回)

 気がつけばもう12月27日であって、マトモな人ならとっくに「新年に向けて決意も新た」というところなんだろうけれども、残念なことに今井君は山の中のクマ助に過ぎない。「決意も新た」どころか、「決意って何ですか?」な日々が続いている。

 滞在中のベルリンでは、むしろクリスマスが過ぎ去ってからクリスマス市が盛り上がりはじめた。24日、イブの夜にはあんなに静まり返っていたのに、25日・26日と何だかすっかり厳粛さを忘れ去ってしまったかのようである。

 ということになると、何しろダラしないクマ助のこと、連日クリスマス市をほっつき歩いて、熱いグリューワインを次から次へとグイグイやる生活が続く。

 今年のベルリンは異様に暖かくて、昼間はコートの必要さえ感じないほどであるが、みんなダラしない笑顔で飲む屋台のグリューワインは、それでもマコトに旨いのである。
断捨離
(まだクリスマス気分。断捨離する靴下をぶら下げてみる)

 フランスやスペインでもクリスマス市は盛んだけれども、今年のドイツで発見したのが、ホットワインの「mit Schuss」という飲み方。もともとダラしないクマ助が、これでますますデロデロしはじめた。

 屋台のオジサマやオネーサマに「mit Schuss」と言ってニヤリと笑い、あとは「ラム」とか「アマレット」と指定すれば、ワインの中にさム酒やアマレットをイヤというほど入れてもらえる。

 そういう日々である。いやはや、クリスマスのヨーロッパは底抜けに楽しいですな。日本の人々はどうも治安の点に過剰反応して、今年の冬はヨーロッパ旅行を自粛しているらしいけれども、あんまり治安&治安とそればかり言ってないで、もっとバンバン旅をしていいと思う。

 もともとJALは好きじゃないが、「成田 ⇔ パリ便を2月から運休へ」というニュースを読んで、ますます大キライになった。「11月の事件をうけ、需要が急激に落ち込んだせいで」というのであるが、そんなことをしたらむしろ「彼らの思うツボ」じゃないか。

 あんな事件があったからこそ、パリをもっと盛り上げよう、ヨーロッパをもっともっと盛り上げよう。クマ助なんかはそう思うのである。実際、ロシアの人々はどんどんクリスマスのヨーロッパを訪れている。ベルリンなんか、ロシア語の洪水みたいだ。
ホテル
(マルセイユ、HOTEL DIEU。また来年もお願いします)

 ま、いいか。少なくとも今井君だけは、へこたれずにまたどんどんヨーロッパを歩き回ろうと思っている。日本で報道されるようなさまざまな暗い影は、現地では全く感じられない。諸君も時間とチャンスがあれば、心配せずクマ助に続きたまえ。

 さて、こんなふうにまだクリスマス気分のワタクシは、今日もブログに靴下を一足ぶらさげてみた。酔っぱらったサンタクロースどんがまだそのへんでクダを巻いていて、残り物のプレゼントを放り込んでくれるかもしれないじゃないか。

 実はこれもまた断捨離を決意した靴下。前々回に掲載した靴下クンよりも、さらに年季が入っていて、おそらく今井君との付きあいは20年を超えている。

 デザインから見ても「何でこんなヤツと20年も付きあったんだろう?」と首を傾げるが、人の一生にはそういう付きあいもありがちなものである。好きなヤツじゃないから、滅多にタンスから取り出さない。その結果、擦り切れる度合いも低くて、何とか20年生きながらえてきた。
眺望
(毎朝この眺望を満喫した)

 コイツの出番は、海外旅行の時だけである。旅の準備をしている時に、仕事用以外の靴下をまとめて2週間分 ☞ 14足を一気にスーツケースにつめる。もともと衣装持ちではないから、もっている靴下を全てとりだすと、13足目か14足目ぐらいに、毎回コイツがノコノコ顔を出すのであった。

「そうか、オマエ、まだいたのか」と苦笑すると、コイツはマコトに済まなそうに身体を縮めてみせる。
「すみませんね、またワタクシでございます」
「今回も、オトモしていいですか?」
「オトモできるのも、今回が最後ですかね」
と、毎度毎度すまなそうに挨拶してくれるのだ。

 こういうやりとりがあると、ニワカには断捨離を決意できない。2015年、3月にナポリに出かける前も、8月にマルセイユに出発する前も、同じようなやりとりがあった。

 10月、サンフランシスコへ。そして12月、ベルリンへ。13足目、14足目という立場に甘んじながら、それでも律儀にオトモしてくれた。2週間の旅の間、結局出番のないことだって少なくなかった。

 こういう長い付きあいだから諸君、今回の断捨離はマコトに心苦しいのである。もっと大切にしてやればよかった、もっと華々しい出番をたくさん用意してやるんだった。そういう後悔の中、さすがにゴムも伸び放題に伸びたコイツを、ベルリンの地に断捨離することに決めた。
凱旋門
(ヒコーキからのパリ。真ん中が凱旋門)

 旅の終わりには、普通のヒトから見たらマコトにクダランこの種の別れが伴うことが多い。9月9日、2週間滞在したマルセイユをとうとう去るのであるが、お世話になったHOTEL DIEU・734号室との別れも、また大いに悲しかった。

 予約していたお部屋よりワンランクもツーランクもアップグレードしてもらったシニアスイートである。夢のように広いバルコニー付き。巨大バスタブは「ベッド」の愛称がつけられていて、確かにバスタブの中でグッスリ眠れそうなほどであった

 アラブ人街のマーケットで購入した鶏の丸焼きだの、スーパーで買ってきたメロンだの、はなはだ非常識なものをこの部屋で解体しては貪った。懐かしい靴下だって断捨離した。いやはやホントにお世話になった。

 9月9日、正午にチェックアウト。すぐにタクシーで空港に向かった。初秋の快晴の一日、日中でももう汗をかくことはない。到着した8月28日、マルセイユはまだ夏の真っ盛りだったが、今日はもう初秋というより秋の真っただ中。南欧でも、秋の進行は日本よりずっと速いのである。
エッフェル塔
(ヒコーキからのパリ。真ん中にエッフェル塔が見える)

 パリ・シャルルドゴール空港に向かうヒコーキの窓から、パリの町並みが美しく見えた。自分で写真に収めたあと、自らの腕前に唸ったほどである。

 凱旋門を真ん中に、パリはまさにデコレーションケーキのようであり、凱旋門から四方八方にもうナイフで切り目が入っていて、うぉ、いかにも旨そうだ。エッフェル塔も、ウソのようにキレイに写っている。

 クマ助のクリスマスは、2007年がニューヨーク、2008年がロンドン。2009年がプラハ、2011年がサンチャゴ・デ・コンポステラだったが、2012・2013・2014年と3年連続でパリ。空いている2010年は、網膜剥離の手術直後で旅を自粛したのである。

 今年はそろそろパリ以外のところで過ごしたくなったので、早いうちにベルリンに決めていた。こうしてキレイな町並みを眺めると、「やっぱりパリもよかったな」と思うのであるが、後悔先に立たず。ラム酒入りのグリューワインをクイクイやりながら、とりあえず今はベルリンを満喫することにする。

1E(Cd) T.Beecham:BERLIOZ/LES TROYENS 1/3
2E(Cd) T.Beecham:BERLIOZ/LES TROYENS 2/3
3E(Cd) T.Beecham:BERLIOZ/LES TROYENS 3/3
4E(Cd) Zagrosek & Berin:SCHREKER/DIE GEZEICHNETEN 1/3
5E(Cd) Zagrosek & Berin:SCHREKER/DIE GEZEICHNETEN 2/3
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