Fri 151113 大阪から三重県津に向かう 名張を通りたい 津の駅前でうな重もりもり | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 151113 大阪から三重県津に向かう 名張を通りたい 津の駅前でうな重もりもり

 12月5日、朝10時のヒコーキを予約して、ワタクシはまず羽田空港に向かった。公開授業としては、今日が2015年最後の遠出であって、クマ助の張り切りようも普通ではなかった。

 今年3月に首都高速・中央環状線が開通してから、渋谷区 ☞ 羽田空港のルートは驚異的に便利になって、オウチから羽田まで30分しかかからない。少なくとも1時間前には空港に着いていたいから、10時のヒコーキなら8時に定額タクシーを予約してオウチを出る。

 今朝もまた羽田はたいへんな混雑である。搭乗口は修学旅行で沖縄に旅立つ高校生でごった返しているし、週末なのにビジネス旅行なのか、ダイアモンドラウンジも珍しく超満員。空席がほとんど見つからないほどであった。

 では、なぜクマ助はヒコーキに乗るんだろう。目的地は、三重県の津である。マトモな人なら新幹線で名古屋へ、名古屋からは近鉄特急で津に向かう。いくら新幹線ギライと言っても、東京から津に行くのにヒコーキというのでは、「常識を疑う」と言われても致し方ない。

 しかし諸君。「常識」とか「マトモ」なんてのは、ツマランのだよ。むしろ若いうちはどこまでも常識を疑い、むしろ非常識の味方になりたまえ。常識的なシタリ顔の世間サマが何と言おうと、意地でも非常識の側につきたまえ。
鰻重
(三重県・津の駅前でうな重の特上を味わう)

 今井君としては、大阪から紀伊半島を西→東に横断して三重県に入ってみたかったのだ。今までの人生で、大阪から奈良まで東進した経験はあっても、それはどうしても奈良どまり。奈良から東に連なる山中に分け入ったことは一度もなかった。

 逆に、名古屋から三重県に入り込むことはあっても、それは桑名 ☞ 四日市 ☞ 津 ☞ 伊勢 ☞ 鳥羽までのこと。三重から奈良への深い山中に分け入ることもなかったのである。

「行ったことがない場所」があるなんて、そんな悔しい人生に耐えられるだろうか。今井クマ蔵に残された人生は、おそらくあと30年か40年。ならば「行ったことがない場所」をこれからの数十年で1つ1つ丹念に塗りつぶし、「ツマラン人生だったが、世界中を残らず見てきたぞ♨」とニッコリしたいじゃないか。

 いや、何もそんな大袈裟なことを言わなくてもいい。例えば大阪在住で近鉄電車を日常的に利用している諸君。難波や鶴橋の駅で電車を待っていると、「準急・青山町ゆき」というのがよく来るじゃないか。それなのに「青山町」というものを一度も見ていないなんて、何だか残念じゃないかね?
名張
(奈良・三重県境の町、名張)

 12月5日の今井君が目撃したかったのは、まず「名張」という町の光景。われわれ昭和世代のオトナたちは、名張というと即座に「名張・毒ぶどう酒事件」というのを思い出す。「名張」と「毒ぶどう酒」はもう渾然一体として、分ちがたく結びついている。

 事件の詳細を知らない諸君は、ぜひ後でググってみてくれたまえ。事件発生は1961年3月。農薬の混入したぶどう酒を飲まされた女性5人が死亡した。容疑者は事件から1週間も経たないうちに犯行を自供した。

 しかしその自供には、いかにも強要されたような不自然な要素が多かった。3年後、一審判決は無罪。事件から8年後、2審では逆転で死刑判決。やがて死刑が確定するが、冤罪であるとして再審請求が出され、戦後最も有名な冤罪事件の1つとなった。

「名張」で思い出すのは、どうしてもそういう悲惨な事件のことなのであるが、しかし名張は人口8万。「準急・青山町ゆき」が走っていることからも分かる通り、ぎりぎり大阪への通勤圏であって、関西の明るい笑いに満ちた町のはずである。

 だからどうしても一度目撃しておきたいじゃないか。いつもとは趣向を変えてエコノミークラスに乗り込んだクマ助は、伊丹空港に11時に到着。空港からはバスで大阪・上本町へ。上本町発12時半の近鉄特急で津に向かうことにした。
車窓1
(名張の田園風景 1)

 途中の大和八木までは、この10年すっかりお馴染みになった奈良盆地の風景。大和八木の駅前で行なった公開授業は、すでに20回近くになる。しかし諸君、大和八木から奈良の山深く入っていくと、風景はまさに未知のものである。

 大和八木から、耳成 ☞ 桜井 ☞ 長谷寺 ☞ 室生寺大野口と、駅名もマコトに奥ゆかしい。やがて山深い「三本松」を過ぎ、「赤目口」のあたりで川の流れの向きが変わる。西の大阪湾に向かって流れていた水は、いつの間にか分水嶺を越え、東の伊勢湾を目指すのである。

 そしてついに、目指す名張の駅に到着。収穫の済んだ田んぼは静かに次の春を待ちわび、急流の縁に真っ白いシラサギがたくさん佇んで、「毒ぶどう酒」の「ど」の字も思い浮かばない穏やかな農村地帯が広がっている。

 やがて「青山町」を過ぎ、電車は伊賀の里へ。忍者ハットリ君なんかが縦横無尽に活躍するあたりに入る。なるほど空気はどんより濃密であって、山々は晩秋から初冬の紅葉の真っただ中、黒い瓦屋根が重々しく続く町並みに、「うぉ、長い歴史がウズウズ渦巻いてるな」と実感する。

 やがて伊賀の山々を大きく左に回り込めば、伊勢方面への分岐点・伊勢中川。初冬の暖かな陽光を浴びた伊勢平野をひたすら北上すれば、10分足らずで津に到着する。
車窓2
(名張の田園風景 2)

 以上、大阪上本町から1時間半の道のり。名古屋からでも1時間かかるんだから、別に非常識なルートでもない。オカネだって、ヒコーキのエコノミーなら新幹線利用と大して変わらない。足の出る分はもちろん自腹。チェ・ゲバラは「ゲバラ日記」を残したが、今井君の旅は自腹な「ジバラ日記」なのである。

 ジバラな旅を満喫した後は、どうしてもハラが減る。仕事の開始は16時半。今井君の津到着は14時。2時間半も早く着いたわけだから、ゆっくり昼メシだって楽しめる。

 津は三重県の県庁所在地だし、近鉄とJRが合流する重要な駅でもあるけれども、駅は至って小ぶりであって、駅前に高層ビルがズラズラ立ち並んでいたりするわけではない。

 駅を出て最も目立つのが、何と「うなぎ屋さん」である。由緒ありげな平屋の店に「津名物 炭焼うなぎ」の大看板。もちろん炭みたいに真っ黒コゲにするんじゃなくて、木炭で丁寧に焼き上げたうなぎ蒲焼きだ。

 うーん、お仕事の前だから、さすがに「白焼きで一杯」「蒲焼きでもう一杯」という訳にはいかないが、長い旅路でお腹もカラッポだ。仕事に備えてうな重をワシワシやるにはちょうどお誂え向きである。
15285 炭焼うなぎ
(駅前「津名物・炭焼きうなぎ」の看板。いい匂いがしていた)

 諸君、デラックスなうな重には2800円の「特上」と、3300円の「特誂」がある。もちろん普通のうな重(松・竹・梅)めもあるが、せっかく貪るなら、うなぎが2段&お米も2段に積み重ねられた特上か特誂がいいじゃないか。

 注文したのは、一歩譲って「特上」。500円の差ではあるが、「特別に誂えた」だなんて、初冬のクマが食らいつくには少々高級すぎると感じたのである。10分待って運ばれてきたのが、今日1枚目の写真のうな重なのであった。

 諸君、写真ではなかなか分かりにくいが、こりゃたいへんなお米の量だ。炭水化物カットな厳しいダイエットの10日分を、一気にドーンと台無しにするのに十分と言っていい。重箱にギュッと詰まった高さ10センチに近いお米の山は、丼3杯分に近い。

 それでもクマ助は、見事にこれに食らいついた。何しろ米どころ ☞ 秋田のクマ蔵だ。お米はもちろん大好物。2時間後に控えたお仕事のためにも、残さずもりもり平らげたほうがいいだろう。この分量でも10分もかからないあたりが、さすがに冬眠前のクマ助である。

 汗ビッショリになって店の外に出ると、初冬の風が爽快だ。これからワタクシは近鉄電車で1駅、津新町の駅前で猛然と公開授業をスタートさせるのであるが、諸君、これだけモリモリやれば、気力&体力ともに充実。間違ってもヘナヘナ失敗ということはなさそうだ。

1E(Cd) Anita Baker:RAPTURE
2E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 14/18
3E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 15/18
4E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 16/18
5E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 17/18
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