Wed 151111 札幌で座席クルクル 睨むオジサマ 突如ヒコーキ欠航(留萌ましけ往還記6) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 151111 札幌で座席クルクル 睨むオジサマ 突如ヒコーキ欠航(留萌ましけ往還記6)

 11月30日は月曜日であって、夕闇迫る深川駅で新千歳空港ゆきの特急を待っていると、そろそろ夕暮れの通学ラッシュが始まった。15時ちょいではさすがに通勤客の姿は見えないが、通学の女子高生たちがだんだん駅に集まり始めたのである。

 おやおや、こりゃヤバいですな。今井クマ蔵の姿を生徒諸君が発見したら、まあそれなりの騒ぎになるし、休日の旅の途中、クマ助は少なからず酒が入っている。酔っぱらっている姿なんかを目撃されるのは、講師としてやっぱりイヤなのである。

 そそくさと特急に乗り込んで、これでまずはヒト安心だ。深川駅のオミヤゲ屋さんで購入したのは、ホタテの貝柱30個×2袋。日本酒1カップ、缶ビール1本、焼酎1カップ。ホタテをつまみながらお酒を飲んで、深川から新千歳まで2時間余りの退屈を凌ごうという算段であった。

 いやはや、さすが北海道であって、ホタテの美味であることは言うまでもない。昨年と今年の春は、洞爺の駅前「五十鈴食堂」でホタテラーメンを満喫した。札幌から釧路に向かう列車でも、大雪で運休になりそうな大ピンチの中、ホタテ貝柱で日本酒をクイクイやっている間に、無事に釧路に着いていた。

 今回の冒険も、やっぱり無事に終結しそうである。心配なんかするだけ損だ。心配してもダメな時はダメだし、心配しなくてもうまく行く時はうまく行く。フマジメなクマ助はここまで長い人生で「心配」ということを殆どしたことがないが、物事はほぼ100%うまく行き続けてきた。
入場券
(増毛駅入場券。留萌駅で購入する)

 北海道の列車は、札幌で進行方向が変わる。車内ではみんなが一斉に座席をクルクル回して、進行方向を向いて旅を続けようとする。札幌から乗り込んでくる人々も一緒に座席クルクルやって、5分ほど車内は混乱する。

 欧米の人々はその辺についてマコトに無頓着であって、進行方向に背中を向けたまま座席がガッチリ固定された列車でも何とも思わない。というか、こんなに便利に座席がクルクル回転するだなんて、そもそもそんなことは思いつきもしないのかもしれない。

 これが関西だと、ガッチャン方式に変わる。知らない人に「ガッチャン方式」を説明するのは難しいが、要するに座席に手をかけて「ガッチャン」と言わせると、後ろ向きの席でもうまく進行方向向きにワンタッチで直せるシカケである。

 関西はJRでも私鉄でも同じであって、みんなまるで当然のことのように、そこいら中で「ガッチャン」「ガッチャン」をやる。それを知らずに後ろ向きのままでいると、即座に「田舎者やで」と判定される。関西の人にとって「田舎者」は、一番の笑いの対象であるらしい。
列車止め
(増毛は終着駅。厳然と列車止めがあって、その先に線路はない)

 ところが、このガッチャン騒動やクルクル騒動に意地でも参加しないオジサマが、時として存在するのである。ホタテ&日本酒&焼酎でちょうどよく酔っぱらっていた今井君の後方座席に、この種の面倒くさいオジサマが一人いらっしゃった。

 まず、今井君の後ろが30歳ぐらいのオネーサマ。オネーサマの後ろがその面倒なオジサマ。札幌に着くまでオジサマがあんまり熱心にPCをカタカタやっていらっしゃったので、そのキー打撃音でオネーサマはすでにかなり苛立っておられたようだ。

 札幌に近づいても、オジサマがクルクルにちっとも参加しようとせず、いつまでもPCカタカタに夢中になっている様子に、オネーサマの苛立ちは頂点に達した。列車が札幌に到着した瞬間、PCオジサマにヒトコトも言わないまま、力任せに「クルリ」をやろうとしたのである。

 いたはや、PCオジサマの睨むこと睨むこと。白眼まで真っ赤にして、口をモゴモゴ言わせながらオネーサマを睨み放題に睨みつけた。カタカタ打撃音にオネーサマ同様に若干の苛立ちを感じていたワタクシは、この睨み合いにおいて完全にオネーサマの味方であった。

 カタカタオジサマ。そもそもみんなの共同作業に参加しようとしなかったアナタが悪いのだ。「何を今さらそんなにマナコ真っ赤で睨みつけてらっしゃるの?」であって、札幌からドッと乗り込んできた乗客の皆様にも迷惑だ。ホラ見なさい、アナタのせいで通路はさっそく大渋滞になっちゃった。
駅舎
(増毛駅、駅舎)

 ま、そんなニュアンスの無言のニラミ合いが2~3分続くことになったが、諸君、今井君は何故かその数分後に、深い眠りに落ちていた。今朝の早起き、留萌や増毛での疲労、空腹にグビグビやった日本酒と焼酎の酔い、そうした全てが重なって、新千歳までマコトに幸せな惰眠を貪った。

 そして諸君、大混乱はここから始まった。惰眠の真っただ中だったから、途中どんな嵐や吹雪に見舞われたのか記憶がないが、目が覚めると終着の1つ手前・南千歳の駅。珍妙なほど物柔らかな男子の声で「10分ほどの遅れでございます」とアナウンスが続いた。

 新千歳空港着、17時15分。モトモトの予定ではヒコーキまで一時間ちょいの時間があるので、空港のレストランでカニやウニやイクラのタップリ入った丼物でもワシワシやっていこうと思っていたが、この遅れではそのプランも諦めなきゃいかん。

 とりあえずプレミアムラウンジに入って、素直に東京を目指そう。外は雨というかミゾレというか雪というか、晩秋から初冬の北国ならごく当たり前の荒れ模様。「この程度でヒコーキが遅れるとか、そんなことにはならないだろう」とタカをくくっていた。
しゃぐま
(間もなく廃止になる予定の留萌⇔増毛間。「舎熊」と書いて「しゃぐま」と読む)

 そこへ、「伊丹に向かう機材に落雷がありました」「伊丹ゆきのお客様は、神戸便に振り替えができます」のアナウンスが入った。「おやおや、伊丹便は落雷で欠航になるらしい。ご苦労なことですな」と思っていた矢先、「羽田便の機材にも落雷」の知らせ。うぉ、一気に状況は緊迫してきた。

 使用する機材に落雷があれば、点検に当然たくさんの時間を要する。ところが新千歳空港付近には分厚い雷雲が次々と襲ってきて危険が高まり、とても点検作業どころではないとのこと。朝の天気予報で繰り返していた「大荒れ予想」は、どうやらここに来て事実になってしまったようだ。

 天候も人生も最後の瞬間まで分からないものであって、深川 ☞ 留萌 ☞ 増毛と北海道の大地を奥の奥まで踏み分けていっても大丈夫だった天候は、ホントの最後、羽田行きのヒコーキに乗り込む20分前になって、一気にクマ助の行く手を阻んだのである。
舎熊駅
(舎熊駅、駅舎。出入り口の向こうに冬の日本海が見える)

 その10分後、マコトに唐突な感じで「羽田便・伊丹便とも『欠航』と決定いたしました」のアナウンス。「うぎゃ、来ましたね、いきなりの欠航」であるが、このとき今井君の頭には、2008年11月のフランクフルト空港での光景が生々しく蘇ったのである。

 300人ほどの搭乗予定客がルフトハンザのカウンターに殺到した長蛇の列は、まさに悪夢をみるが如し。遅々として前進しない列が解消するには、約4時間を費やした。

 あの時のクマ助は、どういうわけか10分ほど列に並んだだけで助かった。大混乱の時でも、どうも日本人には特別扱いが待っていたりする。しかし「またあの悪夢か♨」「長蛇の列の再現か」と思うと、目の前が暗くなる思いだった。

 しかし諸君、今のワタクシはあの頃とは比べ物にならないぐらい対応がスピーディーだ。すぐにPCを開くと、① 札幌市内にホテルを確保、② 明日午後1番のヒコーキの座席も確保。ありゃま、たった3分で処理が済んで、要するに北海道での宿泊がオマケみたいに1日増えただけのことである。

 あとは空港職員と談笑しながら10分ほど、最終手続きを済ませた。最初の予定通り、空港のレストランで美味しい海産物の丼を貪ってから札幌に戻るだけのことであるが、その詳細はまた明日の記事に書くことにする。

1E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 6/18
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3E(Cd) Haydon Trio Eisenstadt:JOSEPH HAYDN:SCOTTISH SONGS 8/18
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