Sun 151101 旅に出なはれ 永観堂と真如堂 団子・あま酒・わらびもち きすの天ぷら | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 151101 旅に出なはれ 永観堂と真如堂 団子・あま酒・わらびもち きすの天ぷら

 確かに、読んで一瞬目を疑う人もいるだろう。鹿児島から広島に移動の翌日、いくら「仕事は19時から」と言ったって、いきなり広島から京都に日帰り旅行を企てるだなんて、いくら何でも積極&果敢すぎないか。

 しかし諸君、もしも積極果敢がいけないなら、まずこのフザけすぎなMac君を叱ってくれないか。「企てる」で「桑田照」だの、「積極果敢」で「積極化感」だの、クマ助のオフザケをさらに助長するような変換を連発し過ぎだ。

 そして今井君は、積極果敢をイケナイことだなどと認識したことは一度もない。そういう姿勢をかつて「軽挙妄動」と厳しく非難したヒトもいる。何を隠そうクマ助の母:快傑ババサマであるが、若いモンに積極果敢と軽挙妄動の区別なんかつくはずがないじゃないか。

 やりたいことは何だって「やってみなはれ」であって、人に迷惑をかけるとか、法律に反するとか道徳&倫理に悖るとか、そういう可能性ナシと判断したら、躊躇するほうが負けである。

 そもそも、広島 ☞ 京都は「のぞみ」で1時間40分。帰りの京都 ☞ 福山は1時間15分。所要時間はちょっとした通勤遊学と変わらない。せっかくの旅と冒険が待ち受けているのに、それを躊躇するのはマコトにつまらない。
だんご
(京都・永観堂で揺れていた「みたらし団子」のノボリ)

 何しろ世界は高速鉄道の時代。リヨン ☞ マルセイユ、ボローニャ ☞ ナポリ、ミュンヘン ☞ ケルン、マドリード ☞ セビージャ、そのぐらいの移動なら2時間で可能だ。確かにヒコーキで日帰りとなるとキツいが、鉄道でそういう日帰り往復旅行を試みるぐらい、恐るるに足らない。

 9時の「のぞみ」に飛び乗れば、10時45分にはもう京都に着いている。もちろん若干のオカネはかかるが、鉄道は自由席、ヒコーキはエコノミー、そうやって着実に節約を続ければ、旅の頻度はどんどん上昇する。

 若い頃に節約 ☞ 貯蓄なんかしても、大したオカネはたまらない。しかし若い時代に旅をしなければ、世界中を旅して回るチャンスなんか、結局めぐってこないのだ。年をとれば疲労が蓄積して、せいぜい団体ツアーにくっついていくのがやっと。今は節約より旅、クマ助はそう信じるのである。

 京都で最初に目指したのは、永観堂。「京都で紅葉なら永観堂」で、クロートたちの意見が一致する。南禅寺からすぐ近く、徒歩でも行ける。ただしこの日の京都は「何だこりゃ?」「これじゃ朝の新宿駅と一緒じゃん」という大混雑。徒歩で前進するのも難行苦行というアリサマであった。
黒谷
(京都黒谷「金戒光明寺」でキレイな紅葉に出会う)

 そう言えば、世間は3連休の真っただ中。日本中を飛び歩いているうちに、クマ助はそんなことも失念していた。「おお、日本人もずいぶん積極果敢に旅に出るようになったねぇ」であって、諸君、マコトにおめでたい。

 すぐに気づくことだが、例年にない混雑は外国人観光客の増加が原因である。何と言っても欧米人の姿が目立つ。中国の皆さまはまだまだスーパーやドラッグストアで爆買いに夢中なのか、少なくとも永観堂にはそれほど多くはない。

「日本人はどうか」と見るに、いやはややっぱり団体の旗振りツアーで、ゾロゾロくっついて歩いていらっしゃる。胸には「TRAPICS」「クラブツーリズム」のシール。意外なほど若い人まで、そのゾロゾロ集団に加わっている。

 むしろ中国の若者たちのほうが、積極果敢に個人旅行を楽しみはじめたような気がする。そのぶん韓国の若い人々を見かける頻度がググッと低下したが、まあその辺は「諸般の事情」ということで、今のところ致し方ないのだろう。
わらびもち
(京都・四条河原町で、わらびもちの巨大ピラミッドを発見)

 永観堂、もう1週間ぐらいは紅葉に間に合いそうだ。ヒマと余裕のある諸君は、これからでも遅くない。行ってみなはれ。今年の紅葉はどこも色づきが悪くて、鹿児島でも広島でも京都でも、地元の人と話すたびに「今年の紅葉はダメですね」と、あきらめ顔の人ばかりだが、諸君、ダメな紅葉もいいものだ。

 むかしから日本の人々は「ダメな子ほど可愛い」と言う。「花は盛りに、月はくまなきをのみ見るものかは?」なのである。徒然草・137段でござるよ。

 これもまた今井君が大好きな段であって、高校生の頃の音読のおかげで、少々長いが今もなおビシッと暗誦できる。盛りが過ぎた桜もいいものだし、欠けた月も風情がある。色づきの悪い年の紅葉も捨てたものではない。

 昨日に続いて吉田兼好どんの表現を少々つかわせてもらえば、雨の夜に「お月さまは今どうしているかな?」と語り合ったり、花が散り月が傾く風情を楽しむのも、また素晴しいことである。

 昨日の記事の写真に示した通り、永観堂の紅葉もまた同じ。真っ赤に染まった美しさを思いながら、お寺の庭を散策する。色づきそこねて縮んでしまったカエデが多いが、日当りのいいあたりに思いがけず真っ赤に色づいた樹が1本だけ、枯れ葉の中にスックと立っているのが見つかったりする。

 永観堂でタクシーをつかまえ、真如堂に向かう。昨年も11月に真如堂を訪ね、今年も11月13日に来たばかりだ(Thu 151022参照)。昨年は紅葉の当たり年だったのか、眩しいぐらいに真っ赤に紅葉していたが、今年は13日の段階で「おやおや、今年は少なくとも「当たり年」ではなさそうだった。
くろねこ
(京都・真如堂のそばで巨大な黒ネコ君と出会う)

 それでも、どうしても今年のうちに再び真如堂を見ておきたかった。言わば「定点観測」であって、紅葉に埋もれた「あま酒」のノボリが、晩秋の風に揺れる様子をもう一度見たかったのである。

 クマ助がこうして「あま酒」の所まで来てみると、ノボリはいかにも嬉しそうにユラユラ揺れながら迎えてくれた。ホントは明るい秋の陽光の中で揺れているノボリ君を見たかったのであるが、こんなに嬉しそうに「あま酒」の文字が大きく揺れて迎えてくれれば、クマ助はもう大満足なのであった。

「おかしなヤツだ」「幼稚なヤツだ」などと冷たく突き放さないでくれたまえ。「あま酒」のノボリが大きく揺れて迎えてくれただけで、もう熱い涙がこみあげてくる。クマはヒトよりずっと繊細に出来ているのかもしれない。

 実は永観堂から真如堂に回ってきたのも、永観堂の「みたらし団子」のノボリの文字に触発されたからなのである。諸君、今日の写真の1枚目、永観堂の団子の文字の、「団」の字に注目してくれたまえ。「そう言えば、真如堂の『あま酒』はどうしているだろう?」と、ふと懐かしく思ったのも無理はないだろう。

 今は「太り過ぎたかな」「ダイエットしなきゃな」ということで、公開授業のたびに校舎サイドで準備してくれるケーキをみんなお断りしているけれども、本来クマ助は和菓子だってお酒に負けないぐらい大好きなのだ。

 酒まんじゅうなら、20個でも朝飯前だ。秋田名物「金萬」なんか、30個入りの箱を30分もかからずにカラッポにしてみせる。味噌まんじゅうもいいですな。昔ながらの素甘(すあま)だの、お汁粉だのぜんざいだの、いやはや、キリがないぐらいだ。
あま酒
(真如堂の紅葉に埋もれて「あま酒」のノボリが揺れていた)

 真如堂の周辺には、マコトに懐かしい「吉田山荘」なんてのもある。葉皿料理で有名な店だ。その吉田山荘の近くで夢のように大きな黒ネコ君にも出会い、いやはや、こんなに楽しいんじゃどうも立ち去りがたいが、「19時から福山」という仕事のシバリがある。そろそろ京都駅に向かわなければならない。

 14時、京都グランヴィアホテルの天ぷら屋さんでランチ。「天ぷらランチ」とはまた豪勢であるが、ワガママなクマ助が「お好み」で注文する天ぷらは、ひたすら魚介のみ。野菜の天ぷらはイヤなので、ひたすら「きす」「きす」「きす」「きす」の連発になる。

 普段なら連発するのは「めごち」「めごち」「めごち」「めごち」なのだが、この2~3年、どこの天ぷら屋さんでも「めごち」があまり手に入らないらしい。手に入らないものは口にも入らないので、ここはちょいとガマンして「きす」の7連発にとどめた。

 しかしたったそれだけで「今井サン、今日の『きす』はもう残り1匹になりました」「ホンマに申し訳ございまへん」ということになってしまった。「ええっ、きす、もうないんですか?」であるが、「ないものは♡ない」であって、ないものを出せと言って大騒ぎしてもどうせラチがあかない。

 諸君、こうして晩秋の京都の旅は無事に終わりを告げた。真如堂のすぐ近く、黒谷の金戒光明寺で紅葉のキレイなこじんまりとしたお庭を発見。今年の京都で見た一番美しい紅葉であった。

1E(Cd) Incognito:LIFE, STRANGER THAN FICTION
2E(Cd) Incognito:FUTURE REMIXED
3E(Cd) Incognito:ADVENTURES IN BLACK SUNSHINE
4E(Cd) Incognito:WHO NEEDS LOVE
5E(Cd) 村治佳織・山下一史&新日本フィル:アランフェス交響曲
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