Sat 151024 ゲスト出演の早稲田塾で話した中身 辞書は復習までガマン 英単語道場の剛健 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 151024 ゲスト出演の早稲田塾で話した中身 辞書は復習までガマン 英単語道場の剛健

「そろそろ受験勉強を始めなきゃな♨」とソワソワし始めるのは、高2の11月ぐらいが普通だろう。かつて昭和の今井君は、その「普通」よりまるまる1年遅れ、高3の11月に「そろそろ始めなきゃな」と、のこのこ本屋さんに出かけて参考書を買い込んだ。

 その話はいろんな所でしているし、7年ぶりの新刊「さあ、音読だ」の中でも触れたから、これ以上詳しく自らの過去に踏み込むつもりはない。11月の末に返却された模試の偏差値が43.9。10月までの医学部志望から11月に文転した直後の模試は、惨憺たるアリサマだった。

 というか、「医学部志望」とかカッコつけてみても、要するに11月までカンペキに怠けていた。数学も物理も化学も、英語も古文も日本史も、11月下旬までほぼ白紙の状態。秋の文化祭に熱中し、ついで難解な本格小説なんかも書いて、マコトに暢気に暮らしていた。

 マトモな受験勉強は、だからたったの3ヶ月。1年半か2年半じっくり受験勉強に取り組んだ人たちの話を聞くと、今も羨ましくてたまらない。高3の今井君は医学部進学希望者が多いクラスにいたから、慶応大医学部とか東北大医学部に現役で進んだ秀才もいた。

 慶応・医に行ったS君の体験記には、「高1から高2にかけて『解法のテクニック』をミッチリやって基礎を固めた」とあった。高2までで「解法のテクニック」を数Ⅰから数Ⅲまで全て3回ずつ解いた、それが「基礎固め」だったというのである。
町田1
(ゲスト出演、町田の早稲田塾の大盛況 1)

 21世紀の今もなお「解法のテクニック」が健在なのかどうか分からないが、当時の位置づけとしては「チャート式」と「大学への数学」の中間に位置し、矢野健太郎先生というマコトに偉い先生が書いた超定番の参考書であった。

 1冊500ページもある本が3冊、文系でも理系でも、とにかく高級志向の受験生なら誰でも本棚に並べて、「これを何度も繰り返したら、さぞかし数学が得意になるだろう」と、しばしウットリしたものである。

 そこへいくと、東北大医学部に現役合格したO君のほうはもっとずっと質実剛健。彼は「参考書なんか買ったことがない」という驚きの男子であって、参考書ゼロ、塾通いゼロ、それでビシッと現役で東北大医学部に合格した。

 彼は「教科書傍用問題集」の大ファン。数学なんか、数研出版の教科書傍用問題集を鬼のようにひたすら繰り返すだけ。実戦的なB問題やC問題だけじゃなくて、基礎基本のズラリとならんだA問題も繰り返し繰り返し、もうペンを動かさなくても一瞬で正解が出るぐらいに、解いて解いて解きまくった。

 あの17歳 ☞ 18歳の1年間、若きクマ助の周囲には人生の基本を熟知したスゴいヤツらがズラリと並んでいたわけである。そういうドエラいヤツらの影響をちっとも受けず、「今日は文系」「明日は医系」と揺れ動き、作家だの医師だの、漠然と夢を追いかけるばかりだったクマ助はマコトに愚かであった。
町田2
(ゲスト出演、町田の早稲田塾の大盛況 2)

 もっとも、かつての自分の愚劣さに対する深い反省があるからこそ、いまの今井君の話には滋養強壮成分がタップリと行き渡っている。

「基礎基本徹底から始めたまえ」
「まずしっかり文法。文法はマンションのクイみたいなものだ」
「とにかく単語。単語もマンションのクイと同じである」

 11月15日日曜日、早稲田塾町田校に集まった200名に迫る高校生諸君にも、文法問題7問を詳細に解説しながら、そういう当たり前のことをしっかり訴え続けた。
 
 若い諸君がいま直ちに始めるべきことは、基本の英単語を一気に覚えきることである。設定すべき〆切は、2ヶ月後。今日から始めるなら1月31日が〆切であって、その〆切を周囲の人々にもビシッと宣言すべきである。

 1月末日に英単語集1冊を覚えきったら、さっそく友人全員に「オレは(ワタシは)英単語集1冊やり終えた」とメールを送りたまえ。LINEをつかって、高校のクラス全員に「やり終えた」と知らせたまえ。うぉ、嫌われるぞぉ。みんなが既読スルーするぞぉ。諸君、大いに嫌われたまえ。
ポスター
(早稲田塾、「英単語道場」の質実剛健)

 そして諸君、「覚えるべき単語は覚えた」という前提で、その後は長文読解の予習でも、辞書を引くのはガマンする。知らない単語があっても、辞書を引くのは極力ガマンして、推理と類推で対処する。

「今この文脈なら、この単語はどうしてもこういう意味にしかならない♨」と考え抜くのである。そういう予習に徹すれば、あっという間に長文読解の授業がスリリングなものに変わるはずだ。

 事前に辞書で調べたことの確認に過ぎないのでは、授業はそりゃ眠くてたまらない。数学の授業に出るのに、先に答えを見ちゃったようなものだ。

「ネミー」「カッタリー」の世界に陥るのは、授業が予習の確認にすぎないからである。「推理」に徹すれば「自分の推理が当たっているかハズれているか」の緊張感をタップリ楽しめるじゃないか。

「当たった!!」とガッツポーズをとるのもヨシ。「外れちゃった♡」とガッカリ感にうちひしがれるのもヨシ。周囲の友人たちが「アイツ、何であんなに興奮してるんだ?」と不思議がるほど、授業はエキサイティングなものに変わる。

 1回の授業で、10回のガッツポーズと、5回の落胆。そのぐらい激しい感情の浮き沈みがあれば、少なくとも睡魔に「ネミー」と唸る頻度はグッと低くなる。初めて出会う単語が強烈に脳に刻みつけられることにもなるだろう。
炭火
(晩秋の一夜、西麻布の炭火焼き肉で大いに暖まろうと思う)

「でも、『外国語は辞書を引けば引くほど伸びる』って言われましたよ」という諸君。その場合、「辞書は復習の時に引く」という原則を忘れなさんな。

 予習では文脈から推理して頭の体操を楽しむ。授業では「当たった!!」「ヤラれた!!」をエンジョイ。そして復習で辞書を引いて知識を定着させるのである。

 ついでに、もしもアナタが優秀なオカタなら「復習で英英辞典」がいいんじゃないですかね。「予習で英英辞典」は挫折のモトだろうけれども、「復習でロングマン」なら、おそらく楽しくって仕方がないはずだ。

「予習の段階で辞書を引いちゃう」なんてのは、せっかく美味しい焼きタラコがあって、ドンブリ一杯の白いゴハンを楽しみにしていたのに、『今日は栗ゴハンよ♡』『今日はちらし寿司よ♡』と言われた瞬間に似ている。

「何てことをしてくれたんだ」「白いゴハンがほしいよ」であって、せっかく焼きタラコ・塩ジャケ・旨い梅干しがあるのに、諸君は辞書を引きまくって炊き込み御飯をこしらえちゃっているのである。ネミー・カッタリーの原因は、実は諸君自身が作ってしまっていたのだ。

 いま必要なのは、まず単語集1冊をキチンとやりきること。「1冊やりきった」という前提のモトで、「予習は推理に徹する」「辞書は復習までガマン」という姿勢を貫くこと。白いゴハンは白いゴハンのまま、授業という焼きタラコなり明太子なりを満喫すればいいのである。
ヒレカク
(西麻布トラジのヒレカク3人前)

 11月15日、ゲスト出演した早稲田塾で熱く語ったのは、そういう話である。幸い早稲田塾には「英単語道場」という伝統があって、「ビシッと英単語をやり切る」「文法というクイを打ち込む」など、質実剛健な文化が健在だ。200名に迫る受講生諸君も、違和感なくクマ助の話を受け入れてくれた様子であった。

 終了後は、ホントに久しぶりの西麻布「トラジ」へ。おそらく1年半ぶりぐらいであって、メニューもかなり変更されていたが、従業員諸君はクマ助のことを記憶していらっしゃる様子だった。

 何しろテーブルについていきなり「ヒレカク3人前!!」と注文する姿は異様。これを記憶しないでいるほうが難しい。ついでに「チャミスル、ボトル1本」。焼酎ボトル1本を1時間で飲み干す豪快なクマどんも、やっぱり忘れがたいだろう。

 食欲のほうも健在。「ヒレカク3人前」は30分で胃袋に消え、「もう1人前!!」だの「ツラミも追加!!」「豆腐チゲ!!」だの、そういう豪快なことをやっているうちに、西麻布の夜はグングンどこまでも深く更けていくのであった。

1E(Cd) Anita Baker:RHYTHM OF LOVE
2E(Cd) Anita Baker:RAPTURE
3E(Cd) Akiko Suwanai:SOUVENIR
4E(Cd) Karajan&Berlin:HOLST/THE PLANETS
5E(Rc) Amadeus String Quartet:SCHUBERT/DEATH AND THE MAIDEN
total m120 y1841 d17152