Thu 151022 仕事の前に、高山寺・西明寺・真如堂 今年の京都は紅葉が早い こりゃまた来週 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 151022 仕事の前に、高山寺・西明寺・真如堂 今年の京都は紅葉が早い こりゃまた来週

 パリでのテロ事件から一夜が明けて、日本のマスメディアの論調はまさに「テロリストの思うツボ」になってきた。「フランス出張は自粛の動き」「フランスへの旅行も自粛」「現場で難民パスポートを発見」など、まるでフランスの治安が絶望的に悪化してしまったかのような印象の記事が目立つ。

 テレビでは朝から論客の皆様が「安保法制のせいで日本も巻き込まれはしないか」「地球の裏側のことに首を突っ込もうとするのはいかがなものか」と難しい顔を並べ、何だか「それ見たことか」みたいな表情を見せていらっしゃる。

 しかし諸君、いまはまず、テロの犠牲になったたくさんの人々のために祈りを捧げるだけである。京都や奈良のお寺でも、日本全国のキリスト教会でも、代々木上原のモスクでもいい。修学旅行で訪れた街の寺院でも構わない。犠牲者のために黙祷を捧げることから始めようじゃないか。

 いやはや、日本のマスメディアはマコトに困ったものであって、今日もまたバラエティに次ぐバラエティ。日本は2016年の国連安保理非常任理事国である。国際平和に責任をもたなければならない国のメディアが、こんな日に連ドラだのバラエティだの時代劇で浮かれていてはいけないんじゃないかね。
高山寺
(11月13日、京都の仕事の前に栂尾・高山寺を訪ねた)

 11月13日午後、出張で京都を訪れていたワタクシは、夕暮れの仕事まで時間があるのを幸い、京都の紅葉を眺めに出かけた。例年なら11月中旬の京都は「色づきはじめ」の段階であり、紅葉真っ盛りになるのは11月下旬過ぎ。このごろは温暖化の影響で、洛南なんかは12月上旬まで青葉というありさまである。

 ところが諸君、今年の京都はどうも様子が違う。伊丹空港からのバスで通りかかった鳥羽・洛南でも、京都駅八条口からのタクシーで眺めた祇園・三条・東山でも、もうイチョウは黄金色、桜の葉っぱも赤く染まって、すっかり晩秋の趣きである。

「これならそろそろ、永観堂・真如堂・北野天満宮あたりも見頃なのかもしれない」と思い、タクシーの運転手さんに尋ねてみた。彼もやっぱり「今年は紅葉が早いですね」と頷くものの、「しかしさすがに洛中はまだです。大原か高雄あたりまでいらっしゃらなくては」との答えだった。
西明寺
(槙の尾・西明寺。ここでも紅葉はそろそろ終わりを迎えていた)

 京都の誇るMKタクシーの運転手さんのご意見だ。クマ助はすっかり信じ込み、ホテルにチェックインした後は、早速またタクシーに飛び乗って、京都北山の奥、三尾の山の中を目指した。

 三尾とは諸君、高雄・神護寺、槙尾・西明寺、栂尾・高山寺であって、京都で早めの紅葉を眺めようと思ったら、まあ誰でも思いつく地域。蹴上のウェスティン都ホテルからなら、タクシーで30分強。ちょいとオカネがかかるが、そこはまあ許してくれたまえ。

 高山寺は、鳥羽僧正の「鳥獣戯画」で有名。前回ここを訪れたのは2012年のことであって、ススキを捧げたウサギさんが走るTシャツを購入した思い出のお寺である。

 しかし諸君、驚くなかれ、このあたりはもうすっかり紅葉は終わりのようだ。というか、「今年は色づきが悪いようですね」であって、鮮やかに紅葉する前にちょっと気温が下がりすぎ、真っ赤に染まる前段階で、茶色く枯れてチリチリ縮んでしまったらしい。

「おやおや」であるが、清滝川の流れに沿って下った槙の尾・西明寺でも状況は同じ。紅葉の前に枯葉に変わってしまったカエデが、茶色の葉を散らしながら寂しく立ち尽くしているアリサマだった。
真如堂1
(真如堂。ここはまだ「色づきはじめ」の段階だった)

 高雄・神護寺はどうなのか、若干の興味はあったけれども、神護寺には360段のキツい石段を登っていかなければならない。大事な400名の公開授業を控えたカラダで、360段の上り下りだなんて、そんなのさすがにイヤでござる。

 さらに言えば、クマ助が神護寺まで行けば、「カワラケ投げ」に興じるに決まっている。谷底に向かって素焼きのカワラケをビュンビュン投げ飛ばすのであるが、いい年をしてクマ助は相変わらずカワラケ投げ大好き人間。50枚でも100枚でも、カワラケを売る店の人が呆れるほど投げ続ける。

 しかもボクチンは、自他ともに認めるカワラケ投げの名手。飛ぶは&飛ぶは、どこまででも遠くはるかに飛んでいく。下手をすると、カワラケが届くはずのない下の民家を直撃する勢いだ。するとますます楽しくなって、完全に止めどがつかなくなる。
真如堂2
(真如堂。「あま酒」の文字が秋風に揺れる)

 そこで諸君、今回はあくまで孤独な晩秋の旅でもあり、石段360段を昇って神護寺にお参りするのは自粛することにした。西明寺前に偶然通りかかったタクシーに乗り込んで洛中に引き返し、紅葉が始まったばかりの真如堂に向かった。

 真如堂は、2013年の秋以来2年ぶりである。ちょっと写真集を探してみたら、前回は2013年11月21日。よく晴れた日で、模範的な赤に色づいたカエデの葉の間で、「あま酒」の文字が誘うように揺れていた。

 あれから2年、11月13日の真如堂にもやっぱり「あま酒」の文字が旨そうにヒラヒラしている。公開授業の4時間前、「酒」は御法度でも、「あま酒」なら許されるんじゃないかとフト思う。

 店のほうに足がフラフラ動きかけたが、「あま酒だろうとなんだろうと、オマエは仕事に来てるんじゃないのか?」と、厳しい天の声・ホトケの声・神の声が頭蓋骨の中でキンキンと反響。真如堂のクマ助は「あま酒」でさえガマンするほどエラいクマになったのである。
2年前
(2013年の真如堂。一昨年はこんなに鮮やかだった)

 しかしさすがに真如堂は、まだ紅葉の序の口に過ぎない。ほんのり赤く染まり始めてはいるけれども、2年前に感激した鮮烈な赤とは大差がある。うーん、どうしようかねえ。今日あたりは、鷹ケ峯の光悦寺・源光庵がよかったのかもしれませんね。

 しかしこの段階で時計の針は15時を回っていた。お仕事の待ち合わせは京都烏丸口の「京都駅前校」で17時半。そろそろホテルに戻って、しっかり仕事モードに切り替えなきゃいけない。

 スケジュールを見直してみるに、来週の水曜日に大阪・泉大津での公開授業がある。その翌日は大阪ミナミの国立文楽劇場で人形浄瑠璃を楽しむ予定。こりゃいいや。うまく京都を組み込んで、永観堂、または真如堂へもう一度、ついでに足をのばして鷹ケ峯にも行こうじゃないか。

 そう思うとまた心が浮き立って、400名に迫る勢いの今日の京都のお仕事もまたますます盛り上がりそうだ。パラパラ雨が降り始め、クマの心も少し萎え気味になってきたけれども、パンパンの京都会場がどんなふうに激しく盛り上がったか、それはまた昨日の記事を読み返してくれたまえ。

1E(Cd) Anita Baker:RAPTURE
2E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 1/3
3E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 2/3
4E(Cd) Karajan & Berliner:BACH/MATTHÄUS-PASSION 3/3
5E(Cd) Schreier:BACH/MASS IN B MINOR 1/2
total m110 y1831 d17142