Fri 150619 神奈川県秦野で大熱演 ミノベとハタノとサザエさん 下北沢がトップに選ばれた | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 150619 神奈川県秦野で大熱演 ミノベとハタノとサザエさん 下北沢がトップに選ばれた

 7月11日土曜日、東京も久しぶりに申しぶんのない青空になった。一昨日から山口県ではいかにも「夏休み間近」を実感させる晴天。田舎のバーチャンが包丁でスカパっと鮮やかに切ってくれるスイカが恋しくなったが、土曜日は渋谷区でも気温は30℃超まで上昇した。

「長かった今年の梅雨もとうとう明けたか」であるが、お空がスカッと晴れようが、高温注意情報も出て熱中症で搬送されるヒトが続出しようが、気象庁の気難しいオジサマたちが「いやいや、まだ梅雨は明けておりません」と意地を張りつづければ、シロートには反論のしようもない。

 今日も今日とて今井君は、神奈川県の「秦野」という町までお仕事に行かなければならない。秦野と書いて「はだの」と読む。普通の人なら「はたの」と読み、アクセントも冒頭の「は」に置くところだが、「た」には濁点がついて「だ」。アクセントも不明確で、HA-DA-NOの3音節に同等の力が入る。

 「上野」と全く同じことで、もし人の名字なら明らかにアクセントは「う」にあり、「U-eno」なイメージ。ところが地名になると「U-E-NO」であって、アクセントはマコトに曖昧になる。

 「秦野」の場合も、人名なら「HA-tano」であるが、地名になると「HA-DA-NO」。人名になるか地名になるかでどうしてアクセントが変わるのか、諸君、ぜひ研究してみてくれたまえ。
秦野
(神奈川県秦野の大盛況)

 昭和の人間が「秦野」で思い出すのは、大激戦になった1971年の東京都知事選挙である。本命は社会党と共産党が推薦し、2期目を狙う現職都知事 ☞ 美濃部亮吉。対抗馬として自民党が推薦したのが、元警察官僚の秦野章であった。

 この場合もやっぱりアクセントは「Ha-tano」。美濃部亮吉が「ストップ・ザ・サトウ」を掲げ、自民党の佐藤栄作首相に都政からストップをかけようと呼びかけたのに対し、Ha-tano氏の公約は「4兆円ビジョン」。環状7号線を高速道・一般道・地下鉄の3層構造にするなど、大胆な東京再生を訴えた。

 何しろ40年以上昔の日本の選挙だ。21世紀の目線で見ると、いろいろスッテンコロリな事態も発生した。「第2美濃部」なんてのもあって、美濃部亮吉をもじった「美濃部亮」とか「水戸」とか、選挙民を混乱させるような立候補者が登場したのである。

 美濃部亮は、「美濃」が姓で「部亮」がファーストネームだというのだが、さすがに「ぶすけ」じゃ認められずに、別の名に変えての立候補を余儀なくされた。「水戸」で「みのべ」と読ませようと思った御仁もいらっしゃったそうな。
秦野駅
(小田急線♡秦野駅)

 マスメディアでは「泡沫候補」と呼ばれたそういうヒトビトも含め、合計13名が立候補。美濃部が360万票、HA-tanoが195万票を獲得。天皇機関説・美濃部達吉の長男が圧勝で2期目の当選を果たした。マルクス経済学者・大内兵衛の愛弟子として、東京大学でも活躍した人である。

 選挙当日、朝日新聞の4コママンガはまだ「サザエさん」の時代。投票所を出たばかりのサザエ&マスオさんに、新聞記者がインタビューするシーンだった。今で言えば「出口調査」で、「どちらに投票なさいましたか?」というのである。

 サザエさんは「みのべ!!」。マスオさんは「ハタノ!!」と答える。驚いたインタビュアーは「ご夫婦なのに、別々ですか?」と尋ねると、2人は「新聞マンガでしょ、迷惑がかかるといけませんから」とニッコリ声を揃えて、記者さんをケムに巻いてしまう。

 その程度のマンガで国民も都民も明るく笑っていた時代なのであるが、そういうマンガを記憶しているクマ助の記憶力もまた驚きである。昔のヒトは「明治は遠くなりにけり」と慨嘆したが、まさに「昭和も遠くなりにけり」なのだ。
焼き鳥
(秦野駅前「鳥こまち」のドデカいキャベツ君)

 代々木上原から小田急線で1時間、「秦野」の駅で降りたクマ助は、そういう慨嘆で目くるめく思いであった。町田や厚木を越えてここまで来れば、もう新宿より小田原のほうがずっと近い。

 目の前には丹沢と箱根の山々が迫り、無数のセミが声を限りに夏の到来を祝ってミンミン鳴いている風景は、いやはやまさに「日本の夏」であり「金鳥の夏」である。

 山からは「水無川」の急流が流れ下っている。「水無川」という名前を聞いて、さすがに古老クマ助はピンと思い当たることがあった。雲仙・普賢岳の噴火の時にも、長崎の水無川で土石流が発生した。火山の噴火や大きな地震と「水無川」という地名は、何か密接な関係があるのだ。

「箱根が近いですから噴火の記憶もあるんでしょうけれども、このあたりに大きな断層でもあるんじゃありませんか」と尋ねたクマ助に、秦野地区のブロック長は大きく頷いた。「1923年・関東大震災の時、震度が最も大きかったのがこのあたり。確かに活断層があります」というのである。

 秦野の公開授業は、19時半開始、20時50分終了。「あれれ、80分?」であるが、事前に「会場からの最終バスが21時30分、その前のバスが21時10分です」「バス停まで徒歩で5分かかります」と聞かされていた今井君は、生徒の帰宅の安全を最優先して、20時50分の終了としたのである。

 完全授業バージョンの「C」テキストだったにも関わらず、出席した約130名の諸君からは最後まで大爆笑が途絶えない。「徹底してメモをとろう」の合言葉が今夜もまた功を奏して、居眠りしそうになる生徒は完全に皆無。「こんなに笑ったのは初めて」「こんなにメモをとったのも初めて」という感激とともに、80分の授業を締めくくった。
つくね
(秦野駅前「鳥こまち」のつくねセット。「絶品ですよ」とのことだった)

 終了後は、もちろん秦野の駅前に戻って恒例の「祝勝会」であるが、何しろ諸君、「最終バスが9時半」という世界だ。秦野から東京都渋谷区まで直通で戻ろうとすれば、最終電車は22時32分。オジサマ4人の祝勝会は1時間ちょいで切り上げなければならない。

 おそらく秋田比内地鶏の店である「鳥こまち」は、お隣のビルに「多国籍パブ」という看板も見える怪しい地域であったが、中年4人組はマコトに健全な1時間ちょいを過ごして、健全に帰途についた。

 ところが諸君、今井君は直通の最終電車の時間を10分間違えていたのである。秦野駅のホームに降りた瞬間、最終の新宿行き急行のドアが厳しい音とともに閉じられた。唖然であり、かつ茫然であるが、こうなってはもうどうにもならない。

 それでもまだ電車を乗り継げば何とかオウチに帰り着ける。22時44分発、本厚木ゆきの急行があり、すぐに本厚木始発の新宿行き各駅停車がやってきて、新宿には0時15分ごろの到着予定だ。
 
 それにしても、本厚木から新宿までヨッパライだらけの各駅停車で帰る難行苦行を思ってみたまえ。余りのことにアタマがクラクラしたクマ助は、「途中の下北沢で飲み直して帰ろう」と、よからぬ思いつきにワクワクし始めた。
枝豆
(クールな下北沢では、枝豆にもトウガラシでヒト工夫。ただしのヒト工夫のせいで、アブラまみれの枝豆になっちゃった)

 代ゼミ時代に6年暮らした下北沢は、オウチからも徒歩で30分ほど。ナジミのお店がズラリと並ぶ。ついこの間アメリカの雑誌「VOGUE」の中で「世界のCOOLな街15選」に選ばれたばかり。順位はつけていないが、間違いなくトップ扱いされている。

「15選」に選ばれているのは、まさに錚々たるメンバーばかり。
① WEST QUEEN WEST / TORONTO / CANADA
② CENTRO / SÃO PAULO / BRAZIL
③ CANAL SAINT-MARTIN / PARIS / FRANCE
④ BUSHWICK / NEW YORK CITY / U.S.A.
⑤ BRERA / MILAN / ITALY
⑥ FITZROY / MELBOURNE / AUSTRALIA
⑦ HACKNEY / LONDON / U.K.
⑧ KREUZBERG / BERLIN / GERMANY
など、こりゃ下北沢の住民も光栄な話だろう。

 VOGUEの記事によれば、「有名なシブヤやハラジュクもいいけれど」とした上で、
But it’s the more low-key Shimokitazawa that’s known for its casual-cool fashion and oddball boutiques. The area has all the nuance and niche of pop Japanese culture, without the neon & the frenzy. Keep an eye out for quirkily curated vintage shops.
なのだそうだ。

 世界で最もcoolな街の真夜中、郊外の人がみんな終電で家路についたその後で、coolな中年♡クマどんが〆の一杯をやっていくのは悪くない。三軒茶屋も吉祥寺もいいだろうけれども、下北沢のcoolさは確かに格別なのである。

1E(Cd) Anita Baker:RHYTHM OF LOVE
2E(Cd) Luther Vandross:SONGS
3E(Cd) Casals:BACH/THE 6 CELLO SUITES②
4E(Cd) Casals:BACH/THE 6 CELLO SUITES①
5E(Cd) Casals:BACH/THE 6 CELLO SUITES②
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