Sat 150516 ラヴェッロの名店「ダ・サルヴァトーレ」 押し花の思い出(ナポリ滞在記31) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 150516 ラヴェッロの名店「ダ・サルヴァトーレ」 押し花の思い出(ナポリ滞在記31)

 アマルフィからバスで30分、曲がりくねった険しい山道を登り、最後のトンネルを抜けると、ラヴェッロという名の小さな集落に到着する。トンネルに入った瞬間、屋根なしバスの2階に座っていると、一瞬息が止まりそうになるほど冷たい風が吹きつけてくる。

 せっかくアマルフィを訪問しても、もしもアマルフィ市街だけで終わりにしてしまえば、
「11世紀の海の都にしては、意外に狭い町だった」
「見るところがあんまりなかった」
「狭い入り組んだ街路に、同じような土産物屋が並んでいただけだった」
と、おそらく不平と不満が渦を巻く。
眺望
(ラヴェッロ、レストラン「ダ・サルヴァトーレ」からの絶景)

 クマ助がこうやって2日連続でナポリからここにやってきたのは、「意地でも断崖の上のラヴェッロを散策したい」と思ったからであり、標高350メートルの断崖の上の集落には、アマルフィ海岸のMustが3つ揃っている。

 「ラヴェッロ3つのMust」とは、
① 「ドラゴンに飲み込まれるヒト」のモザイクが有名なドゥオモ。東方ビザンチン帝国の影響のもと、11世紀後半に建てられた。「いよいよ十字軍時代」の頃である。
② 13世紀の庭園2つ、「ヴィラ・ルーフォロ」と「ヴィラ・チンブローネ」。特に後者からのティレニア海の眺めは圧巻であるらしい。
③ 断崖の上のレストラン「ダ・サルヴァトーレ」。

 ①と②については、明日&明後日の記事の中で詳細を書く予定、とっておきの写真も楽しみにしてくれたまえ。
サルヴァトーレ
(ダ・サルヴァトーレ、エントランス)

 特にモザイク「ドラゴンに飲み込まれるヒト」については、フライイングでも何でもかまわないから、今日のうちに写真を掲載しちゃいたいぐらい。湧き上がる衝動と欲望を、ギュッと漬け物石で押さえつける。4~5日も経過すれば、夏休みの宿題にピッタリの押し花でも出来上がりそうだ。

 諸君は知っているだろうか、むかし小学校の音楽の教科書で習った「押し花」。市川都志春の作品である。

  開いた本の間の かわいい花よ押し花
  今もきれいな 小さな野ばら
  遠足の日の記念に はさんでおいた 押し花
  今もなつかし 野道のばら

 というわけで、今日も今日とてまた大きく話がそれて行きそうな所を、ギュッと両足を踏ん張って気を取り直す。アブナイ&アブナイ。市川都志春が戦前の東京府立二中の出身だった話から、その後身にあたる名門・都立立川高校について長々と書きそうになってしまった。
ワイン
(アマルフィ海岸産の赤ワイン。おいしゅーございました)

 ラヴェッロは断崖のドンヅマリの町であって、これ以上ムリに進むと、眼下の海に真っ逆さま。当然ここがバスの折返点である。集落も何も、ホントにここで生活している人はごくわずか。レストランと小さなホテルと、ヴィラとドゥオモの他には、レモン畑が延々と続くぐらいである。

 そのバス停の正面に、ラヴェッロのMustその③「ダ・サルヴァトーレ」の入口があって、時刻もちょうど13時、「散策は後にして、まずはさっそくランチ」と決めるのに時間はかからない。

 アウトサイドのテーブルが10脚ほど、インサイドにもやっぱり同じぐらいの数のテーブルが並んでいるが、ここまできてインサイドを選ぶというのは、ヒドい風雨の日でもなければちょっと考えられない。

 何しろ諸君、眼下には4月のアマルフィ海岸が続く。こんな絶景を眺めながらのランチなら、クマ助でさえ「毎日でもいい」と考える。そして先回りしていってしまえば、実は翌日も同じラヴェッロに来て、同じサルヴァトーレを訪れ、同じテーブルについたのであった。
生ハム
(生ハムのセット、どれもこれも絶品でござった)

 マコトに気さくで優しいオジサマ&オネーサマに注文したのは、アマルフィ海岸産の赤ワイン、生ハムとチーズのセット、イカのグリル。こんなに眺望に恵まれていたんじゃ、何を食べたって「旨い!!」と絶叫するに違いないが、まず運ばれてきたパンの豪華セットに感激。パン各種をツマミつつ、赤ワインはどんどん減っていく。

 生ハムセットは、サラミ系がクマ助の好みであって、全身に汗が滲んでくるほど辛味の濃厚に凝縮したヤツをワシワシやっていると、メインの料理が来る前にもうワインの残りが心細くなってくる。

 メインの「イカ」については、2週間のナポリ滞在中にいったい何バイのイカをクマの胃袋の犠牲にしたか分からないほどであったけれども、何と言ってもこの「サルヴァトーレ」が抜群であった。

 下の写真の黒い一線はイカスミであって、いつもなら酸味が気になるトマトのソースも、このイカスミと絡めると間違いなく「うぉ、絶品だ」である。諸君、クマの決断は早い。この段階で、「明日もこの店でランチ」と決意は固まっていた。
イカのグリル
(イカのグリル。「また明日も来よう」と心は決まった)

 ならば、明日はポジターノへ。今日とほとんど同じルートであって、早起きしてナポリ ☞ サレルノ ☞ ポジターノ ☞ アマルフィ ☞ ラヴェッロと回ることにする。

 諸君はきっと、
「ホントにバカなクマだな」
「やれやれ、非効率な旅行だな」
「同じ場所を2日連続で訪問するなんて、よくも飽きないな」
と舌打ちでもする気分かもしれないが、そりゃ諸君、「了見が狭い」というものである。

 今井君は、いったん気に入ったら、10年でも15年でも20年でも、同じ街、同じレストラン、同じ飲み屋に入り浸って、それで何の後悔も反省もない。

 せっかくの南イタリアだ。濃厚な辛味のサラミと、イタリアで一番旨いイカと、この絶景を心ゆくまで満喫するのに、「2日連続」だなんてのは、まだお話にならないほど生温いのである。

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