Mon 150427 東京は夜通し雷鳴 南米の力士たち レモンのスプレムータ(ナポリ滞在記16) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 150427 東京は夜通し雷鳴 南米の力士たち レモンのスプレムータ(ナポリ滞在記16)

 まだ夏でもないのに、5月21日の東京は、真夜中から夜が明けるまでずっと激しい雷鳴が轟いた。クマ助はマコトに愚かな動物であるから、雷が大好き。ピカピカ光る稲妻のほうは少々苦手であるが、ゴロゴロ君の重々しい轟きは、思わずヨダレが出そうなほどの大好物である。

 旅行記としては「予告」に該当するが、実はナポリ滞在の終盤、今井君は南イタリアのウルトラ雷雨の直撃を受けた。むかし英作文の時間によく登場した「rain cats and dogs」で、「ズブ濡れになりました」☞ まさに「drenched to the skin」だったのである。

 詳しくはそのうちまた異様なほど詳しく書くけれども、ナポリの人々と頼りないテントに身を寄せあってウルトラ雷雨の去るのを待ちながら、寒さにブルブル震えたものである。

 それでもなお、雷鳴好きは変わらない。あの時、ナポリの海岸は闇夜のように真っ暗になって、強烈な稲妻が次々と、それこそマンガに描いた稲妻みたいにジグザグに走り抜けた。神主さんが打ちふる棒の先についた、例の和紙のペラペラみたいなヤツである。
カプリ島
(帰り着いたナポリの海岸から、夕暮れのカプリ島を望む。向かって左がカプリ、右の高台がアナカプリである)

 昔の大相撲に「琴稲妻」という力士がいたし、横綱の土俵入りを見ていると、やっぱり「和紙のペラペラ」が数本ユラユラしているから、カミナリさまとお相撲にも何か深い関係があるに違いない。

 何しろ史上最強の力士は「雷電為右衛門」だ。まあ、Mac君によれば「為右衛門」は「貯め衛門」。信用金庫か郵便貯金のチラシになりそうな「貯め衛門」ではあるが、とにかくお相撲と雷の関係が密接であることは間違いない。

 その横綱・白鵬が珍しく2敗目を喫し、「おやおや」と思う間もなくみんなが3敗に後退する。これじゃお相撲も「優勝争い」という面ではちっとも面白くない。今井君は弱すぎる横綱「日馬富士」を応援しているが、12日目で4敗ということになると、なんだか土俵入りのペラペラ和紙が哀れにしか見えない。

 自分があんまり弱いことに悩んで、彼はせっかくの大学院を休学しちゃったとのことである。せっかく日馬富士の文武両道について、豪風(たけかぜ)のワチャワチャ相撲とワンセットで絶讃した直後だけに、マコトに寂しいニュースであった(4日前、Thu 150423参照)。

 諸君、夏場所を観戦しながら、クマ助は寂しくてたまらない。「たまらない」であって「貯まらない」ではないから、「貯め衛門」に叱られることはないと思うが、とにかく寂しい。寂しくてたまらない。
お参り
(イースター前の日曜日。教会に向かうカプリの人々は、みんなこんな飾りを手にしていた。日本の正月の〆飾りみたいなものですかね)

 しかし諸君、お相撲に全く興味のない人も、今はぜひ「魁聖」に注目だ。彼はブラジル・サンパウロの出身。「魁」のほうはともかく、「聖」はサンパウロの「サン」をシコ名に取り入れた。きっと子供時代には、サンパウロの日本人町「リベルダージ」で何度もラーメンをすすったことだろう。

 むかしむかし1990年代に、同じ南米の出身で、ブエノスアイレスからやってきた「星安出寿」「星誕期」なんてのもいた。それぞれ「星アンデス」であり「星タンゴ」である。

 「おお、いかにもアルゼンチンであるね」であるが、残念ながら2人とも十両止まり。その後はサッカーやプロレスの世界に転身して、第2の人生を満喫しているようだ。

 それに対して諸君、ブラジルの魁聖はどうだ。5月21日現在、彼は10勝2敗。白鵬と並んでトップであり、「下手すりゃ優勝」の目も出てきた。前頭11枚目なのに、明日は大関・豪栄道との対戦。うぉ、明日のサンパウロ、どうしても応援しなきゃいかんね。
香水屋
(ホテル「GATTO BIANCO」至近、歴史ある香水の有名店)

 ま、そういう具合であって、諸君も気づいただろうけれども、今日のクマ助は全然やる気がないのである。タマにはこんな日があってもいいじゃないか。夜中ずっとカミナリさまに夢中になっていたせいで、ほとんど一睡もしていない。これで「やる気を出せ」と言うほうが無理というものだ。

 ついでに言うと、今日の東京は朝から快晴。爽やかな北風が吹いて、湿度も20%台。あんまり清々しいから「よし、鎌倉か城ヶ島にプチ旅行してくっかな?」と、朝のうちだけちょっと張り切っていた。

 クマ助は、三浦半島への小旅行が大好きだ。このブログを始めた2008年6月にも、江ノ島のシマシマなネコの写真とか、三浦半島の先っぽ ☞ 城ヶ島の「カネア」という店で、名物の巻貝「しったか」をつつきながら酔っぱらった話が登場する。毎年6月には必ず湘南に出かけ、アジサイに囲まれつつ日本酒を楽しむのである。
ジューススタンド
(カプリ島、ホテル「GATTO BIANCO」近くの生ジュース屋)

 ところが、ウキウキしながら時刻表を開いてみるに、今年3月のダイヤ大改正のせいで、どうも鎌倉行きは楽しそうにない。東海道線を見ても横須賀線を見ても、「東京駅始発」と言ふものが姿を消しちゃったのだ。

 東海道線は、宇都宮線とか高崎線とか、はるか遠くからやってくる電車とつながっちゃったのである。東京駅にたどり着く頃には、もうグリーン車ですら満員。満員電車でモミクチャにされながら鎌倉まで行っても、ちっとも楽しくなさそうじゃないか。

 眠い目をこすりつつ午前10時まで時刻表をめくり、ゆっくり座って湘南にたどり着ける手段がないことを確認。あとは完全にムクれ、ムクれ放題にムクれたまま、いつの間にか午後になり、いつの間にか夕暮れになり、白鵬が2敗目を喫したことを確認してから、じっくりフテ寝することにした。

 以上のようなアリサマであっても、今井君はウソはキライだから、ブログにもその通りを書いておく。予備校講師だって、いつもいつも「今日も頑張りました」「オマエらも頑張れよ」というわけでもないのだ。
生レモンジュース
(カプリ島、レモン4個分の生ジュース)

 それでも諸君、さすがに3月29日のカプリ小旅行については、そろそろ締めくくりにしておかなきゃイカン。あの日の夕暮れ、4つ星ホテル「GATTO BIANCO」の前で何となく躊躇した後のクマ助は、まだ踏ん切りがつかないまま、ホテルの周辺をいつまでもウダウダ歩き回っていた。

 有名な香水屋さんがあり、そのそばにスプレムータ・ダランチャの屋台がある。「は? スプレムータ・ダランチャとは何ぞや?」であるが、要するに生オレンジジュースである。オレンジを4個か5個、目の前でギュッとしぼって、氷を入れて手渡してくれる。

 「スプレムータ」とは生ジュースのこと、「アランチャ」がオレンジ。Dの音は、「…の」の意味の前置詞である。さすがカプリ島であって、スプレムータにはアランチャ以外に「レモンのみ」という激しいのもある。

 迷ってしまったクマ助は、思わず「レモンのみ」を選択。レモン4個を生しぼりしたドエリャー酸っぱいジュースに腹の底からビックリして、火星の裏側まですっとんでいくような衝撃が走った。マナコの奥が黄色く染まり、胃袋のリトマス試験紙が真っ赤に染まる世界である。

 いやはや、物には何ごとにも限度と限界があって、諸君、もしもカプリを訪れるチャンスがあったら、是非ともスプレムータはアランチャにしておきたまえ。

 それでも今井君は「もったいない」の世界の住人であって、意地でもそれを飲み干した。そのせいで、ナポリに帰るお船に揺られながら、こみ上げてくる生レモン果汁に辟易し続けることになった。というか、もっとハッキリ言えば「胃薬♡」「胃薬♡」と、頭の中はまさにそればかりなのであった。

1E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.1
2E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.2
3E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.3
4E(Cd) Solti & Chicago:BRAHMS/SYMPHONY No.4
5E(Cd) Menuhin:BRAHMS/SEXTET FOR STRINGS No.1 & No.2
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