Thu 150416 ホントに連休は終わりだ おじけづいて「速読」に頼る 速読はまず日本語で | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 150416 ホントに連休は終わりだ おじけづいて「速読」に頼る 速読はまず日本語で

 考えてみれば、今日こそホントにホントに「大型連休の最終日」であって、今ごろは泣きそうなオカタも多いはず。5月6日は持ちこたえられても、5月10日のちびまる子ちゃんとサザエさんに耐えられるヒトは少ないんじゃないか。

 特に、受験生はそうだ。この連休中に、「模擬試験」というものがあり、それがメッタヤタラに難しく、英語なんか惨憺たるアリサマ。結果が返却される日が、今から恐ろしくてたまらない。

 しかも、連休が明ければいきなり「夏期講習の申し込み」だ。昔ながらの浪人生対象の予備校なんかだと、「模擬試験が悪かったこと」を材料に「あれも申し込め」「これも申し込め」と、事務職員の大合唱が始まる。

 するとやっぱり、浪人生はオジケづく。いや、もちろん現役生だっておじけづく。模試が思わしくなかった直後、講師や予備校スタッフに
「オマエは速読力がないからダメなんだ」
「時間が足りなかったなら、速読力を鍛えなきゃ」
と言われれば、「そっか、ヤッパ速読か!!」と思いつめるのも無理はない。
ちゃんちゃんこ
(春まで世話になったチャンチャンコ。ニャゴはクマ助のチャンチャンコで寝るのが好きだ)

 そういう不安な心理を刺激するのが上手な講師は多い。夏期講習のパンフレットとか、先生本人のHPなり何なりに
「ゴマカシのない『ミラクル速読』で、真の速読を伝授♡」
「ボクの『ハイパー速読』で、今こそ羽ばたこう♡」
など、魅力いっぱいの宣伝文句が並び、数限りない速読法が乱立する。

 こんなに魅力的な言葉が並ぶと、ダメな受験生から順番に飛びついて、大切な時間をムダにするハメになる。諸君、ビシッと言ってあげるから、よく聞きたまえ。今のキミたちに、「速読」は無理である。

 もちろん天才的なヒトは例外だ。しかし天才なら、別に受験勉強なんかしなくたって、どこの大学にも合格できるはずだから、天才の存在についてここで論ずる必要は皆無である。

 今井君が浪人して東京大学を目指していた太古の昔、その後マスコミで大スターになったある数学講師が(A山仁先生であるが)、天才気取りの東大受験生が300人も詰め込まれた教室で、「キミたちは凡人だ」と喝破された。

「キミたちがもし天才だったら、微分でも積分でも試験会場で自力で開発できたはずだ」
「それができずに浪人したんだから、要するにこの教室には凡人しかいない」
とおっしゃるのである。
拡大図
(ちゃんちゃんこネコ、拡大図)

 さすがですな。確かにキミがもし例外的な天才なら、予備校講師なんかに速読法を伝授されなくても、1ページ3秒もかからずに世界中の名著をサクサク読み進められるはずだ。

 そこで「なぜ諸君に英語の速読が無理なのか」であるが、「じゃあ、日本語で速読ができるのか?」と自分に問いかけてみれば、「英語速読」が無理なことを、誰でも瞬間的に悟るはずである。

 どうだい諸君、キミは日本語で速読ができるかい? 日本語を母語として20年近く生きてきた者が、「日本語では速読ができないけど、外国語なら速読できます」と発言したら、滑稽なんじゃないか?

 例えばアナタは、朝日新聞の天声人語を3秒で読めるのか? 太宰治の「走れメロス」を3分で読めるのか? 三島由紀夫の「金閣寺」、文庫本で200ページ以上あるはずだが、10分で読めるのか?(なお、今井君はこのレベルの速読ができます。タネ明かしは、明日の記事で書きます)

 岩波新書を1冊読むのに4時間もかかっている人間が、「英語の論文なら1ページ1分で読めます」と言いだしたら、ハッキリ間違っていると思わないか? というか、誰が考えても「英語ミラクル速読」とか「真の速読を伝授」なんてのは不可能だとわかるじゃないか。
お目覚め
(お目覚め)

 だから諸君、もしも速読能力を鍛えたかったら、まず日本語で鍛えるのがスジというものなのだ。塾や予備校で「速読」のノボリや看板やポスターを出しているところは少なくないが、もしそれが「まず日本語の速読から」ということなら、それはたいへん素晴らしいことであって、十分にチャレンジのしがいがあると思う。

 しかし「日本語ではできないが、英語ならできる」という話になると、さすがにオススメできないというか、「いやはや」というか、それも夏期講習のたった5日間で「真の速読を伝授」できるほどの達人が、果たして予備校講師をやっているものだろうか。

「日本語の速読はできないが、外国語ならできる」という発想はつまり、
「単語も知らない」
「文法もアヤフヤ」
「構文さえマトモにとれない」
「でも、速読ならできる」
ということ。つまり「知らなければ知らないほど速く読める」であって、そういう困ったことを言っていると、チャンとした先生方に笑われる。

「ほほお、ロシア語ならきっと早いだろうな。トルストイの『戦争と平和』なんか、30分で読み切れるんじゃないかね?」
「アラビア語だったら、もっと速いだろうな」
であるよ。
不機嫌くん
(目覚め直後は、不機嫌だ)

 その発想は、例えばサッカーで
「ドリブルも下手」
「ヘディングは論外」
「パスはみんなカットされる」
「しかし、ヨーロッパサッカーでなら、スターになれる」
とホザいているようなものだと、諸君は思わないだろうか。

 野球の例でもいい。
「守備をさせればトンネル」
「バットを持たせれば三球で三振」
「投げるボールは暴投ばかり」
「しかし、メジャーリーグでなら、大活躍できる」
その言葉に乗せられる方も乗せられる方だが、乗せちゃうヒトがどういう神経でいらっしゃるのか、ほとんど見当もつかない。

 だから諸君、予備校の「英語ミラクル速読講座」みたいなものに出席してしまうと、まさに驚きの経験をする。チャイムが鳴ると、満面に笑みをたたえたセンセが、紫とかピンクとかワカクサ色とか、バカクサいほどド派手な衣装で姿を現す。

 下手をすると、ヒップホップに合わせて登場。マコトに軽いノリで、マイクを異様に口に近づけ、
「速読なんか、カンタンだ♡」
「できないヤツは、いないんだ♠」
「あきらめるのは、バカなんだ♢」
と、余裕の表情で踊りだす。
はこ寝
(今度は、ハコで寝る)

 その次に続くのも、まさにヒップホップ。
「急いで読めば、わかるんだ♣」
「すばやく読めば、できるんだ♡」
「だいたい分かれば、それでいい♠」
「要点だけを、把握しろ♢」
おお、なかなかカッコいいじゃないか。

 こうして、ビックリマークだらけの講義が始まり、「不必要な情報は捨てろ!!」「必要な情報だけをつかむんだ!!」と続くが、諸君にとって問題なのは、「どうしたら、すばやく読めるのか」「どうしたら、必要な情報だと分かるのか」であって、ヒップホップ講師がどんなにノリノリでしゃべってみせても、知りたいと思う「そこんトコロ」はちっとも理解できない。

 唖然&茫然とするうちに、30分程度経過したところで、「要するにムダだった」という結論に至る。あきらめて席を立つ受講生すら続出しかねない。クマ助がニヤニヤ笑って、「だからそんなの、うまくいかないって言っただろ」とツブヤク瞬間である。(明日に続く)

1E(Cd) Oortmerssen:HISTORICAL ORGAN AT THE WAALSE KERK IN AMSTERDAM
2E(Cd) Philip Cave:PHILIPPE ROGIER/MAGNIFICAT
3E(Cd) Savall:ALFONS V EL MAGNÀNIM/EL CANCIONERO DE MONTECASSINO 1/2
4E(Cd) Savall:ALFONS V EL MAGNÀNIM/EL CANCIONERO DE MONTECASSINO 2/2
5E(Cd) RUSSIAN MEDIEVAL CHANT
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