Sun 150208 室蘭で仕事 室蘭にまつわる記憶 昨年の生徒たちが訪問 祝勝会と高清水 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 150208 室蘭で仕事 室蘭にまつわる記憶 昨年の生徒たちが訪問 祝勝会と高清水

 3月3日「お耳の日」、今井君のお仕事は北海道室蘭である。前日から北海道に移動して万全を期し、13時には会場近くの東室蘭駅に到着した。仕事の開始は14時半である。

 室蘭は、昭和の街。新日鉄の城下町として栄え、人口も20万に手が届いていた。昭和の小学生♨今井君は、日々地図帳を眺めながら「さぞかし室蘭は大都会なんだろうな」と、一種の憧れを心に居抱いていた。

 中3のクラスに「正木君」という少年がいて、彼は「室蘭にオジサンがいる」のが自慢。高校受験の勉強に関しても、「室蘭のオジサンがこう言っていた」「室蘭のオジサンの意見はこうだった」と、自慢のオジサンの意見を盛んに開示してみせた。

 こうして正木君は、担任の佐藤先生としょっちゅう意見が対立していたのである。佐藤先生が「毎週月曜日に1週間分の学習計画表を提出するように」と指示しても、正木君は「室蘭のオジサンは、そういうやり方に反対していた」と、1人だけガンコに抵抗した。
東室蘭駅
(ひがしむろらん)

 今井君がどっちの味方だったかと言えば、「心ヒソカに」ではあるが、正木君のほうにシンパシーを感じていたと告白せざるを得ない。さすがに中3だ。そろそろ自主性を尊重してほしいところ。担任の先生に毎週スケジュールを提出するだなんて、小学生並みの扱いじゃないか。

 しかし諸君、佐藤先生は当時30歳になるかならないかの若い女性教師。担当科目は、社会。帝国主義の世界を熱く論じては、第1次世界大戦時におけるアメリカのあり方を強烈に批判した。同じように、クラスの中でただ1人スケジュールを提出しようとしない正木君を、「エゴイズムだ」と言って責めたてた。

 とうとう怒り心頭に発した正木君は、「でも室蘭のオジサンの意見では…」と顔を紅潮させて反論をはじめ、佐藤先生は「キミの室蘭のオジサンは、この議論に何の関係もないはず」と突っぱねた。

 正木君も決して諦めない。イスから立ち上がることもせず、「こっちにも計画がキチンとあるし、それをいちいち先生に見せなければならない理由は1つもないと思います」と、低く迫力満点の声で言い放って、それで議論は終わりになった。もう何を言われても、彼は何1つ答えなかったのである。
東室蘭
(東室蘭での大盛況)

 今井君にとって室蘭とは、そういう記憶の街である。バブルがはじけて以降、室蘭の人口は最盛期の20万からジリジリと減り続け、今では9万人を切り、8万人+α千でさらに逓減中である。

 メインの繁華街は室蘭駅よりも東室蘭の駅前であるが、特急電車から下りる人もまばら、大規模店舗もピカピカなホテルも見当たらない。平成の日本に例の多い「見渡せば店もホテルもなかりけり」な街であって、目立つのは塾ばかり。早春の生暖かい風が、背の低い街を吹き抜ける。

 何故こんなに人が減ってしまったのか、その原因は分からない。地元の人々に尋ねると、「札幌から遠いことが全て」のようである。お隣の苫小牧は昭和の頃は室蘭より目立たない小さな街だったが、札幌までJR特急で約45分。室蘭から札幌までは1時間40分もかかる。

 北海道で「札幌に近い」というのはマコトに有利な決定的条件として働くようで、札幌近郊の「江別」という街も、札幌至近という条件を目いっぱい生かして発展中である。

 それに対して、かつての花形 ☞ 室蘭・函館・釧路・北見あたりは、昭和以来の低落傾向から抜け出せない。一極集中と産業空洞化が同時進行する、あまり望ましくない状況に歯止めがかからないようである。

 この室蘭で、クマ助は昨年も3月3日に大熱演を繰り広げた。昨年は「盛り上がりすぎたんじゃないか」と心配になるぐらい盛り上がって、90分間大爆笑が途切れることは一度もなかった。
焼トリ1
(祝勝会は東室蘭「鳥辰」で。室蘭焼き鳥の旨い店であった。写真は「しろ」である)

 「おかげで」なのかどうなのか、我々の室蘭はいま絶好調である。すでに校舎の定員パンパンに近づき、あと1人か2人で校舎として「超満員・締切」を宣言しなければならないところまできた。ま、今井君の威力はホントに凄まじい。

 塾でも予備校でも、3月3日の段階で「定員に達しましたので締切といたします」なんてのは、まさに憧れの対象。問い合わせの電話に対して「申し訳ございません。現在は満員の状況でございます」「万が一空きが出ましたら、ご連絡いたしますが」などと応答できるのは、普段の努力のタマモノなのである。

 今年の会場は、「ホテルサンルート」。室蘭市が人口20万に達して、昭和のヒーローみたいだった頃の建物である。「築50年ぐらいですか?」という古色蒼然とした結婚式場。「もう30年も使ってるんじゃないですか?」と聞きたくなるような穴だらけのホワイトボード。今井君の大好きな環境である。

 お仕事は、14時半開始、16時終了。平日であるが、明日が北海道立高校の入学試験なので、高校はその準備のために午後からお休みになる。だから遅刻者もなし。出席予定の115名が揃ったところで、大熱演の開始となった。

 使用したテキストは、Dタイプ。今年に入ってから大人気の「センター試験への戦略と戦術編」である。大爆笑と真面目な授業が5:5の絶妙なバランスでタッグを組み、大爆笑編の「Bタイプ」「Cタイプ」に勝るとも劣らない迫力と破壊力である。
焼トリ2
(鳥辰の「精肉」。「精肉」の名前の由来を質問するのを忘れてしまった)

 「今井の破壊力とは何か?」であるが、要するに90分の授業後に「こりゃここに来て頑張るしかないな♡」と、全員が固く決意をしているということである。わざわざヒコーキやグリーン車で室蘭まで来て、そのぐらいの仕事が出来なかったら、ウルトラ♨ベテラン講師失格じゃないか。

 終了後、昨年の室蘭公開授業に参加していた生徒諸君の訪問を受ける。昨年高2だったわけだから、現在は卒業間近の高3生。つい5日ほど前に、今年の受験本番を終えたばかり。今はジリジリしながら発表を待つばかりである。

 訪れてくれたのは、女子2名、男子2名。女子のうちの1名は、すでに高校推薦で明治大学政経学部に合格を決めている。当然まもなく上京するわけで、「都内に住みます」と嬉しそうに笑った。

 もう1人の女子は、北海道教育大学を受験した。「センターはうまくいったが、2次試験の小論文が心配」「採点の基準がよく分からないので」と明るく笑う。学部入試の小論文採点の要点は「誠実さ」であって、誠実に書いたものほど評価は高いはずと思うのだが、その意味で、彼女ならきっと大丈夫だと信じている。

 男子2名のうち、1名は北海道大学法学部を受験、もう1名は東京大学理科一類を受験。2人ともすっかりオトナな対応であって、こんなにキチンとオトナの態度がとれるなら、北大でも東大でも、ちっとも問題ないと信じている。
高清水
(徳利に書かれた文字は「たかしみず」だが、何となく「たかしです」に見える。その程度のことで爆笑できるのが、オジサマグループの素晴らしいところである)

 祝勝会はオジサマ6人。近くの「鳥辰」で室蘭焼き鳥を満喫した。室蘭焼き鳥は、「鳥」とは言っているが実際には豚がメイン。正しくは「焼きとん」のはずだが、とにかく旨ければメンドクサイことをいう必要は皆無である。

 いやはや、マコトに楽しい祝勝会であった。6人のうち、「日本酒大好きニンゲン」が今井君を入れて3人いて、この3人で2合徳利を10本カラッポにした。合計20合、一人あたり7合近い勘定になるけれども、旨ければ&楽しければ、量のことなんかどうでもいいのである。

 お酒は、何故か秋田の「高清水」。これで「たかしみず」と読み、かつて奈良時代に秋田城が築かれた丘の名をとっている。733年、東北地方日本海側の軍事&行政拠点として、「出羽柵」を高清水の丘に設置。760年、出羽柵を秋田城と改称。今井君が生まれ育った秋田市土崎港から至近の地である。

 徳利には「たかしみず」と平仮名で書かれている。おお、こういうのは嬉しいね。その文字が何となく「たかしです」に見え、「たかしです」の話から「ヒロシです」に飛んだ。

 オジサマたちの話題はあちらからこちらへ、こちらからあちらへ、際限なく宇宙と時空を駆け巡って留まるところを知らない。夜7時半に散会になるまで、気がつけば何と2時間半、ずっと笑い通しに笑っていたのであった。

1E(Rc) Muti & Philadelphia:PROKOFIEV/ROMEO AND JULIET
2E(Cd) Midori & Mcdonald:ELGAR & FRANCK VIOLIN SONATAS
3E(Rc) Walter & Columbia:HAYDN/SYMPHONY No.88 & 100
4E(Rc) Solti & Chicago:R.STRAUSS/DON JUAN ・ ALSO SPRACH ZARATHUSTRA・TILL EULENSPIEGEL’S MERRY PRANKS
5E(Rc) Collegium Aureum:HAYDN/SYMPHONY No.94 & 103 
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