Fri 150206 福岡での祝勝会 暴風雪の北海道に到着 歓喜の波濤 猜疑心への愛の勝利 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 150206 福岡での祝勝会 暴風雪の北海道に到着 歓喜の波濤 猜疑心への愛の勝利

 2月28日、福岡・西新での祝勝会は、お馴染み「初喜」。「肉の勉強屋」というお肉屋さんが経営している焼き肉&しゃぶしゃぶの店で、この2~3年、福岡での祝勝会はいつでもここである。昔は決まって「博多華味鳥」で水炊きの鍋を囲んだが、あんまり何度も行ったので、きっとちょっと飽きてしまったのだ。

 前回が焼き肉だったので、今回はしゃぶしゃぶ、ブランド豚のしゃぶしゃぶを選択して、写真の
ような最高級の豚しゃぶをオジサマ4人で、鍋に入れては貪り&鍋に入れて貪り、歓談の花も乱れ咲いて、素晴らしい一夜になった。
豚しゃぶ1
(福岡祝勝会、ぶたしゃぶの豚肉。何だかラグビー日本代表の桜のジャージーみたいであるね)

 そしていま、これを書いているのが3月2日午後8時。数時間前、無事に北海道に到着した。明日は午後2時半から室蘭でお仕事である。昨年も同じ日に室蘭で大熱演、素晴らしく明るい生徒諸君のおかげで、マコトに素晴らしい90分を過ごした。明日がホントに楽しみである。

 もっとも今日の北海道は、オホーツク海の爆弾低気圧の影響で大混乱。午前9時の羽田空港スイートラウンジでは、釧路ゆき・稚内ゆき・中標津ゆき・女満別ゆき、次々と「欠航が決まりました」のアナウンス。そのたびにあちこちから「あああーー♨」の嘆声が上がった。

 今井君自身、搭乗予定の10時の便が危機一髪。なんと直前の9時30分の便が、いきなり「欠航となりました」。一気に緊迫感が高まったが、無事であった証拠に、こうやってホテルで今夜も駄文を連ねている。

 新千歳空港でも、やっぱり「欠航」「欠航」のアナウンスが続く。テレビ画面には「暴風雪大雪警報」のテロップが流れ、「釧網線など終日全線運休」「国道244号線など通行止め」「避難所情報」など、緊迫は頂点に達している。

 思い起こせば一昨年のこの日にも今井君は北海道にいて、暴風雪の真っただ中を新千歳から釧路まで鉄道移動した。釧路からホンの少し北の根釧台地で、大規模な「ホワイトアウト」が発生した夜のことである。

 たくさんの凍死者が出た悲劇の夜であった。吹きだまりに突っ込んで動きが取れなくなったクルマの中で、9歳の子供を抱っこして守りながら、お父さんが凍死した事件は、まだ記憶に新しいはずである。
豚しゃぶ2
(この店のしゃぶしゃぶは、スープで食べてもいい。塩ラーメンの出汁のようなスープが美味である。)

 考えてみれば、昨日も今日もずいぶんスレスレで綱渡りの移動を繰り返している。昨日は正午まで福岡にいて、午後3時のヒコーキで東京に戻った。その2時間後、福岡空港はANA機のブレーキトラブルで滑走路が2時間閉鎖される大混乱。いやはや、2時間違ったら立ち往生するところだった。

 だから今ごろ、室蘭スタッフの皆さんも「今井先生はチャンと北海道にやってきただろうか」とヤキモキしているに違いない。心配はご無用。ワタクシは、北国で育ったクマのような大オジサンだ。ちょっとやそっとの地吹雪なら、必ず生徒諸君の前に姿を現してみせる。

 では、何故3月1日の今井君がお昼まで福岡のホテルでイジイジしていたかであるが、それは久しぶりの福岡グランドハイアットホテルが懐かしかったから。前回ここに宿泊したのは、記憶をたどれば、2006年3月のことである。

 「何でそんな記憶があるの?」であるが、宿泊したその夕暮れ、後の「祐ちゃん」「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹投手を有する早稲田実業高校が、春のセンバツ高校野球に登場、岡山の関西高校を相手に大熱戦を演じていたからである。

 今井君としては、胸にエンジで「WASEDA」と記された爽やかな白いユニフォームをみれば、ほとんど自動的 or 本能的に夢中で応援してしまう。あまり上背に恵まれない斎藤佑樹の、マコトに粘り強い投球を続ける姿が印象的だった。「ハンカチ王子」として人気が爆発するのは、この直後である。
イカ
(3月1日、福岡空港の一杯飲み屋でイカの姿づくりを堪能。ゲソとミミは後から天ぷらにしてもらえる)

 4~5年前には、「グランドハイアットでトイレを借りた」という悩ましい思い出もある。近くに有名な中洲の屋台がズラリと並んでいるのだが、馴染みの「栄ちゃん」で2時間ほど目いっぱい盛り上がった後で、万やむを得ずグランドハイアットのトイレに駆け込んだ。

 ホントにあくまでも「万やむを得ず」であったので、諸君は決してマネをしないこと。何しろ「栄ちゃん」で見知らぬオジサン達との会話が異様に盛り上がったキッカケが、「この辺って、トイレが全然ないんですね」という話からだったんだから、状況は「推して知るべし」である。

 そしてこの時、今井君はトイレに置き忘れられた分厚いおサイフを発見。その分厚さたるや、どう少なく見積もっても現金100万円、いや、200万円近く入っている感じのマコトにズッシリした感触である。

 もちろん今井君のおサイフみたいに、「千円札で50枚」の冗談サイフなら別のことだが、こりゃ落とし主はさぞかし真っ青になっていらっしゃるに違いない。正直オジサン♡今井君は、もちろん直ちにホテルフロントに急行。トイレからフロントまで、ボルト選手並みの猛ダッシュで駆け抜けたのであった。
メニュー
(空港の一杯飲み屋。こんな雰囲気の店である)

 ま、そういうことをツラツラ思い出しながら、ホテルの部屋で昼まで過ごした。福岡は、春の雨。春の雨というにはずいぶん雨脚が強かったけれども、その雨を降らせた低気圧が太平洋側を駆け抜けて、今日の北海道東部の暴風雪をもたらしている。クマ助は、キントウン低気圧に乗ってきた孫悟空みたいなもんである。

 タクシーに乗って、福岡空港へ。素晴らしい運転手さんで、次から次へと裏道を駆け抜ける。福岡はどこもかしこも大渋滞になっていたから、この裏道疾走にはビックリ。普段なら1700円かかる道のりに、1500円しかかからない。さすが年期の入った地元オジサマである。

 ヒコーキの時間まで2時間ほどあったので、ここもすっかりお馴染みになったが、空港の一番奥の一杯飲み屋に入った。お腹がそんなに空いているわけではない時にラーメンはきつい。この日はもう帰るだけで仕事はないから、何の遠慮もなくロックの焼酎を注文した。

 ついでに「イカの姿づくり」。するとお店のオバチャンが「今日は鯖がおいしいですよ」とヌカリなくオススメしてくれた。鯖料理にもいろいろあって、今井君は胡麻鯖を選択。この選択は間違っていなかったらしくて、オバチャンも大喜びで頷いた。
胡麻鯖
(店のおばちゃんオススメの胡麻鯖。おいしゅーございました)

 ところがこの直後、今井君は後ろのテーブルを占拠したオバサマ6人組の会話に、ドギモを抜かれることになる。ついこの間も「クマのドギモなんか、そんなに気軽に抜かないでほしい」と書いたばかりであるが、諸君、注意深く生きていると、ホントにドギモを抜かれ放題の世の中だ。

 「ところで『ドギモ』って何ですか?」と素朴な疑問を呈するのは、今日はヤメときたまえ。
そんなことは後でじっくり解決すればいい。それより、後ろのテーブルのオバサマ6人組の会話に耳を傾けたまえ。みんなで激しく頷きあいながら、会話はどこまでも熱く燃え上がっていくのだった。

「その日から、猜疑心との戦いが始まったのよ」
「あら、猜疑心に対する愛の勝利は疑いないことのに」
「そうなのよ。やがて押し寄せた歓喜のハトーは、約束された通りのものだったの」
「それは当然よね。憎しみの滅びに向かって、喜びのハトーが押し寄せてくる姿は、何物にも敗北することのない愛の勝利を讃える歌声みたいだったわよ」

 諸君、イカの刺身だの胡麻鯖だのをムシャムシャやってる場合じゃないでござるよ。まずボクチンは、「演劇集団の朗読パフォーマンスか?」と思い、「ところで『ハトー』ってのは? もしかして『波濤』でござるか?」と理解した。

 しかしチラッと視線を投げてみると、ごくごくフツーのオバサマ6人組であることを確認して、ますますボーゼンと、歯に詰まったイカを指でつまんで引っ張り出してみるしかないのだった。

 日本と言ふ国は凄まじい。「愛の勝利」「猜疑心との戦い」「歓喜の波濤」「敗北」「讃える歌声」。そういう20世紀の小説用語がスイスイ&ポンポン飛び出す討論を、ごく普通のオバサマ連が、空港の一杯飲み屋で戦わせている国なのだ。おそろしや&おそろしや、である。

1E(Cd) Mascagni & Teatro alla Scala di Milano:MASCAGNI/CAVALLERIA RUSTICANA
2E(Cd) Molajoli & Teatro alla Scala di Milano:LEONCAVALLO/I PAGLIACCI
3E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 1/2
4E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 2/2
5E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 1/2
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