2015年02月28日(土)

Wed 150204 マルセイユのオミヤゲは、マルセル石鹸2個(夏マルセイユ滞在記40 最終回)

テーマ:ブログ
 今井君はコドモのころからたいへんな読書家であったから♡、小学校の図書館に潜り込んでは、外国の児童文学の世界にはまり込んだ。新聞広告によると「10歳までの読書量でアタマのよさが決まっちゃう」らしいから、今井君のアタマはおそらく相当いいのである♨

 もっとも、「児童文学」の世界はその多くがどうも女子向き。というか、男子が児童文学なんかのコーナーに行くと、うるさい仲間たちの冷やかしの対象になりやすいから、友だちといっしょの時には、恥ずかしくて文学コーナーには行けなかった。

 文学でない時は、そりゃ男子としては「図鑑」しかないだろう。実験と観察の図鑑、気象と天文の図鑑。地球の図鑑、交通の図鑑、採集と標本の図鑑。昔の小学生男子には「やっぱ理系でなきゃ」というステレオタイプがあったので、地理や歴史みたいな文系の図鑑は、やっぱり避けて通らないとカッコ悪かった。

 だから、文学コーナーをうろついているのを見つかると、小学生男子として何となく屈辱。女の子が主人公の童話なんか読んでいるところを発見されたら、仲間たちから手をたたいて囃し立てられかねなかった。
マルセル1
(マルセル石鹸こと、マルセイユ石鹸。7cm角の立方体で売られていることが多い。左がハチミツ、右がローズ)

 そういう状況だから、コドモ時代の今井君がコッソリ読んだ文学書の主人公は、多くの場合イタズラばかりしているヤンチャな欧米男子。いつでも泥だらけになり、服も靴下も靴も泥んこにして、毎日ママに叱られているようなヤツらの話が多かった。

 昔の今井君の理解では、
「欧米では、泥んこになって帰ってくると、ママに厳しく叱られるらしい」
「その時ママたちは、必ず『マルセル石鹸』というものを持ち出すらしい」
ということになっていた。

 そのぐらい、「マルセル石鹸」は頻繁に登場した。それがまた憧れにもなった。昔の日本で石鹸の定番と言えば「牛乳石鹸」「エメロン石鹸」「レモン石鹸」など。今みたいに「ビオレ♡ママ」などという優しい存在はまだ登場していなくて、「牛乳石鹸、よい石鹸」というCMが白黒テレビの画面を占拠していた。

 欧米児童文学でのマルセル石鹸は、まるでカタキのような扱いを受ける。たとえば、
「泥んこになってウチに帰ると、ママがカンカンになってボクをお風呂につれていく。マルセル石鹸をからだ中にゴリゴリなすりつけるから、ものすごく痛い。ママなんか大嫌い。泥んこ遊びしてきたぐらいで、そんなにガミガミ言わなくたっていいじゃないか」
みたいなことになる。
マルセル2
(半年後、2015年2月28日のマルセイユ石鹸。ハチミツ君は、こんなに小さくなりました。大きさの参考のために時計の写真も掲載。15年目のユリス・ナルダンは、戦友みたいなものである)

 こういう物語を友人たちに隠れて読みふけるうちに、ますますマルセルへの憧れがつのっていった。
「ウチの洗面所に、いつか『マルセル石鹸』が姿を現さないか」
「マルセル石鹸が登場する日こそ、日本が欧米に追いついた記念すべき日になるだろう」
幼い今井君はそう考え、来る日も来る日もマルセル石鹸を待ちわびたが、ついにその日は来なかった。

 大学に入学式が近づいて、故郷の秋田を旅立つまで、我が家の洗面所には意地でも牛乳石鹸が「よい石鹸」の代表選手として君臨し、お腹のデップリ垂れた牛さんマークの石鹸を、今井君は18歳まで使い続けた。

 実はその後も数年間、牛乳石鹸の呪縛から逃れることができなかった。一人暮らしを始めて、練馬区石神井のスーパー西友で最初に買い揃えたのが洗面セットであった。

 この春大学に合格して地方から上京する諸君も、きっと同じ経験をすると思う。歯ブラシ、歯ミガキ、タオル、石鹸、シャンプーなど、初めて自分で買い揃えるときには、ついつい実家と同じものに手が伸びる。若き今井君は、近くの銭湯に通うのに、洗面器の中に白く軟らかい牛乳石鹸を入れて出かけたものである。
大聖堂
(朝のノートルダム・ド・ラ・ギャルド大聖堂。朝日をウケてピンクに染まる)

 マルセル石鹸とは、正確には「マルセイユ石鹸」なのである。マルセイユは、石鹸の原料となるオリーブ油と海藻類が豊富。17世紀後半、ルイ14世がマルセイユ石鹸について厳格な基準を定め、高級石鹸としての地位が定着した。

 それまで一般の石鹸は、動物の脂と木灰を原料にしていたから、強烈な香りというかカホリというか、要するに悪臭がつきものだったのに比較して、格段にスンバラスイ香りがウリの石鹸なのであった。

 マルセイユのスペルがMarseilleであるから、フランス語国民以外が発音すれば確かに「マルセル」に聞こえないこともないだろう。いつの間にか日本の翻訳版児童文学では、男子は必ず「マルセル石鹸」をゴリゴリ塗りたくられて、ママにカラダを洗われることになった。
アンコウ
(朝のマルセイユ旧港で。何と、アンコウ君が並んでいた)

 こういう流れがあって、マルセイユの雑貨店で「本場のマルセル石鹸」を発見したときはホントに嬉しかった。店は、アラビア系の人々で溢れかえるアラビア人街。「アラビア」のイメージとはちょっと違うが、チュニジアとアルジェリアとモロッコの人の多い街だった。

 5cm角とか7cm角とか、立方体に切って売られているものが多い。もちろんもっとはるかに大きなカタマリもあって、切断する前のトコロテンみたいに長いのもあれば、カタマリのまま端っこに紐をくっつけて、水道の蛇口にぶら下げておくシカケのものもある。

 その中からオミヤゲに選んだのは、7cm角の立方体を2つ。一つはハチミツの香り、もう1つはバラのカホリ。9月12日、チェックアウトは12時であったが、ぎりぎりの午前11時になってようやく重い腰をあげ、スーツケースのパッキングを始めた時も、まずこの石鹸2個を大事にしまい込んだ。
眺望
(Hotel Dieu 332号室、テラスからの眺め)

 こうして、長かったマルセイユ滞在は終わりになった。素晴らしいお部屋だったし、大きなフランス窓を開けてテラスに出れば、いつでも正面にノートルダム・ド・ラ・ギャルドの大聖堂が見えた。

 大聖堂は、朝は左から、夕方には右から、地中海の太陽の光を一杯に浴びてオレンジやピンクに染まった。最終日はちょっと早く置きて朝焼けの大聖堂を写真に収め、ちょっと港をぶらついて、漁師のオジサマ夫婦が売っているお魚のや山を眺めたりした。

 漁師夫婦だから、ガイドブックには「威勢のいい呼び声」「底抜けに明るい人々」と書かれているけれども、正直にいえば、別にそんなことはない。威勢がいいどころか、どの店のダンナもオバサマも、ちょっと眠たげで、寂しそうである。何しろこの夏の賑わいも、間もなくいったん幕を閉じるのだ。

 12時、InterContinental Hotel Dieuをチェックアウト。マルセイユ空港までは、タクシー。マルセイユに別れを告げて、パリ経由で羽田に向かった。しかし諸君、心に固く誓ったことが2つある。

 そのうちの1つは、「必ずマルセイユに戻ってくること」。もう1つは「必ず半年後までにマルセイユ旅行記を書き終え、『マルセイユ石鹸が半年でこんなに小さくなりました』と写真を掲載すること。「出来るだけ、立方体の姿を崩さすに丁寧に使うんだ」と、クダランことに夢中になりながら、あれからホントに半年が経過したのである。

1E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DAS RHEINGOLD 1/2
2E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DAS RHEINGOLD 2/2
3E(Cd) Solti & Vienna:WAGNER/DIE WALKÜRE 1/4
6D(DPl) 桜間道雄 本田秀男:金春流 黒塚/豊嶋弥左衛門 江崎金治郎 金剛流 葵上
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