Sun 150125 道後の湯けむり 科目横断型に賛成できない OA日時とYouTubeのこと | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 150125 道後の湯けむり 科目横断型に賛成できない OA日時とYouTubeのこと

 2月17日、今日は松山から東京に帰るだけである。他には何にもすることがない。ヒマと言えばマコトにヒマであって、何かしっかり世の中の役に立つことをして1日を過ごしたい。

 しかしその熱々の熱意が、湯気やらケムリやらがムクムク&ワラワラ湧き上がる勢いであるにも関わらず、「松山14時発のヒコーキに乗り、15時半に羽田着」というスケジュールが1日の真ん中に厳然と立ちふさがる。せっかくの24時間をキレイに真っ二つに分断されたアリサマでは、なかなかまとまったお仕事をする気になれない。

 こういう時は、とりあえず温かいお風呂にでも浸かって、緩んだ精神をキリッと整えるべきである。幸い、今朝のクマ助が滞在しているのは愛媛県の松山だ。日本一の名湯 ☞ 道後温泉は目と鼻の先にある。

 一昨年11月の松山訪問時は、夏目漱石も大好きだったという道後温泉本館・「坊ちゃんの湯」は改修工事中。せっかく道後まで行ってみたのにお風呂に入らずに帰るという、言語道断に歯がゆい思いをした。あれから14ヶ月、さすがに工事は完了しただろう。
正門
(道後温泉本館、正門)

 昭和天皇も何度か入浴されたというマコトにありがたい温泉は、午前6時から入湯が可能。今井君は午前8時半に出かけ、窓口で大枚1770円を支払って、「3階個室・霊(タマ)の湯」を選んだ。

 急な階段を2つ昇って個室に案内されると、そこは4畳半ほどの畳の間。カギがかかるから部屋に荷物を置いていけるし、入浴後にもお茶を飲みながらゆっくり休憩できる。「個室での飲酒はご遠慮ください」というのも、朝の時間帯だからちっともかまわない。

 朝9時前ということもあるのか、「霊の湯」はガーラガラ。クマ蔵どんの入浴中、最後まで他のお客の姿はなかった。その「クマ蔵どんの入浴」は驚くべき長っプロであって、お風呂の中だけで分厚い文学全集を30冊も読みあげた実績もある。その長風呂の最中に誰も来なかったんだから、余程のガーラガラだったにちがない。

 その長風呂の最中、朦々と立ち込める湯気の中でいったい何を考えていたのだろう。もちろん今井君は超ベテラン予備校講師であるから、静まり返った広い浴槽にたった1人というシチュエーションになら、当然のように頭の中は大学入試の問題でいっぱいになる。
側面
(道後温泉本館・側面図)

 つい最近もNHKの朝のニュースショーで「センター試験の制度改革後をにらみ、各予備校でも取り組みを開始しました」と、何だか素晴らしい夢の世界が始まるような調子でこの問題を取り上げていた。

 何しろ「科目横断型」である。いやはや、たいへんな難事業が始まった。S台予備学校では小学6年生だったか中学1年生だったかの保護者を集め、
「お子様方の年代から、大学入試が変わります」
「時代の変化に備えて、今から準備しなければなりません」
と、マコトに商魂たくましいところを見せつけた。

 しかし諸君、そのS台が「試しに作ってみました」という「科目横断型の問題」が、「滑稽」というか、「ただのひっかけクイズ」というか、「見るも無惨」というか、マトモに検討したものとはとても思えないシロモノ。良心的予備校講師の代表・今井クマ蔵としては、信じがたいとしか言いようのないものであった。
屋根
(道後温泉本館、お屋根の鳥どんが勇ましい)

 NHK「おはよう日本」を見なかった諸君のために、ここにその「科目横断型」を再現してみると、S台制作の問題は以下のようなものである。

次の松尾芭蕉の俳句のうち、最北の地でつくられたものはどれか。
① 荒海や 佐渡に横たふ 天の河
② 松島や ああ松島や 松島や
③ 五月雨を あつめて早し 最上川
④ 旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる

 正解は、③。②の松島と③の最上川の位置が微妙であるが、「松島や」は「実は芭蕉の作ではない」ということになっていて、だから意地でも③が正解だというのである。

 まず今井君は、「何でこれが科目横断型なの?」と目を白黒させることになった。予備校側の言い分では、「国語の知識と地理の知識を兼ね備えていなければならないから」というのであるが、おやおや、こんなんじゃ、番組改編期に急いで制作した特番クイズ番組にすら負けちゃうじゃないか。

 マジメに勉強している受験生の「地理の知識」を試すのに、「新潟と最上川と松島と大垣、どこが一番北ですか?」で済むとでも思っているのかい? クマ助は怒りが込み上げて、さっき白黒していた両眼が、赤と紫に染まりはじめるほどだった。
柑橘王国
(松山空港にて。愛媛県は柑橘王国である)

 K合塾のほうは少しマトモであって、シューカツのグループ面談みたいなことを試してみていた。朝日新聞の大好きな「単なる知識の詰め込みでは対処できない問題解決能力や人間力を問う」なんだから、何か1つの問題を与えておいて、グループ討論の中でこれを解決するプロセスを観察すれば、受験生の中から素晴らしい大学生候補を発見できるという発想である。

 しかし諸君、今井君はこういうタイプの試験にもあんまり賛成できない。今井君なんかに反対されても、やってるヒトビトは痛くも痒くもないだろうけれども、
「では、日本の就職活動は成功しているのか?」
「では、『知識よりも人間力&問題解決能力を重視』を旗印に掲げたシューカツ現場は、例えばこの4半世紀、社会や会社をよくしてきたのか?」
という問題は、賢い識者の皆様がたで作る諮問委員会に任せておかないで、一度みんなで真剣に討論したほうがいい。

 シューカツが楽しかったヒトって、いるんだろうか。そりゃシューカツの勝利者たちは、シューカツの充実や楽しさを語り、内定を取りまくった栄光の日々の記憶をマンガにしたりするだろうけれども、大多数のヒトビトにとってシューカツは、人生で最も苦しくモドかしい戦いの時代なんじゃないだろうか。

 シューカツがツラいのは、判定する者の主観に任されるからである。判断基準すら明確でない中で悪戦苦闘を続けるのは若者に不公平感を与え、これがフェアな戦いではないことを、若者は痛いほど思い知らされる。
セット
(松山空港にて。今日は授業がないから、和風おつまみセット ☞ 1000円を注文してみた)

 もちろん実際の世の中はフェアでない戦いに満ちているので、大学を卒業してしまえば、客観的で公正な判断基準などというものを求めた瞬間「キミは甘えているな」「世の中はそんなに甘くないよ」と一蹴される日々が続く。 

 しかしそれはあくまで「世間」とか「世の中」の真実であって、高校や大学の入学試験の段階で、試験を行う側の主観的判断が持ち込まれるのは間違いだとクマ助は考える。

 グループ面談をどう採点するのか。グループ分けの段階ですでに有利と不利が生じているのではないか。判定する側の能力はどうなのか。判定者の機嫌1つで有利&不利が生じないか。

 こうして諸君、今井君としては「科目横断型」に対する疑問を払拭できない。今のセンター試験のほうが、はるかに公平で公正で正確な判定を実現できるように思う。そもそも「問題解決能力」などという難しいものを、短時間で客観的に判定できるほど優秀な教員が、今の日本にどのぐらい存在するのか。

 そういう優秀な教員の育成が先行しなければ、「科目横断型」なるものは、不満と不公正と不公平の巣窟になるような、イヤな予感がするのである。

 この茹で上がったクマの思考は、このあともまだ長々と続くのであるが、さすがに今日はもう長く書きすぎた。「明日の記事に続く」ということで、今日はひとまず筆をおくことにしたい。

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 なお、昨日書いた「ヒ・ト・ミ目線」OAは2/28(土)16:00から「ヒ・ト・ミ目線スペシャル」です。通常は木曜日の深夜ですが、今回は土曜日の夕方 ☞ 特番の中でOAされます。

 さらに、昨日のブログの中でついつい「YouTube」のくだりを書いてしまいましたが、TVの番組を個人がYouTubeなどの動画サイトにアップするのは「違法」。現在「民放連」で、「違法ですよ、やめましょう~」というキャンペーンをやっているところです。諸君、やめましょうね。

1E(Cd) Barbirolli & Hallé:THE DREAM OF GERONTIUS 2/2
2E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBERIUS/SYMPHONIES 1/4
3E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBERIUS/SYMPHONIES 2/4
4E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBERIUS/SYMPHONIES 3/4
5E(Cd) Ashkenazy & Philharmonia:SIBERIUS/SYMPHONIES 4/4
total m143 y143 d15472