Fri 150116 なぜ第6問の得点が低いのか どこをどう縮めるか 青森県八戸での大盛況 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Fri 150116 なぜ第6問の得点が低いのか どこをどう縮めるか 青森県八戸での大盛況

 では(スミマセン、昨日の続きです)、いったいなぜ昨日の記事で示したようなアリサマになるのかであるが、今井君が考えるに「指導の現場がマスコミの論調に流されているから」である可能性がきわめて高い気がする。

 大昔から、日本のマスメディアでは
「英文法なんかやらなくていい」
「重箱のスミの文法知識にとらわれているからダメなんだ」
「楽しく英語で歌ったり踊ったりしていれば、自然にコミュニケーション能力は上がります」
という論調が支配的。文法の旗色は限りなく悪い。先生方がマジメに単語を記憶させたり、基礎文法を教えたりしている姿を、「だからダメなんだ」と冷笑する雰囲気がある。

 すると、高校教師も予備校講師も当然のように及び腰になり、文法を丹念に教える努力を回避する。やがては
「高校の英語の授業は全て英語で」
「文法や単語の知識なんか、努力しなくても後からついてくる」
など、「無理が通れば道理が引っ込む」みたいな議論になってしまう。

 オトナが冷静に考えれば「そんな無茶な」としか思えないが、「単語を知らなくても通じるぞ」「文法を知らなくても読めるぞ」「歌って踊ればつながりあえるぞ」という風潮である。

 マスコミが結果に責任を持ってくれるかと言うに、「大学受験生の大半は、againstとbehindの区別がつかない」というトンデモナイていたらくになっても、新聞もテレビも「すみませんでした」とは絶対に言わない。「2015年、文法問題の成績が急降下しました」というデータに責任をとるどころか、報道することさえしない。
八戸1
(2月7日、青森県八戸の大盛況 1)

 センター試験の結果を見ながら、「日本の高校生は長文読解が苦手」という結論を導きだすヒトもいる。というか、圧倒的に多い。「オマエらはァ、長文が読めないんだァ。だってセンターの結果を見ろよォ。第6問の点数がものすごく低いじゃないかァ」と、予備校講師たちが声を揃えるのである。

 確かに、第6問の点数は低い。だからコンピュータ君たちも同じように「コノクニノワカモノハ、チョウブンガヨメマセン」と判断。コンピュータが打ち出してくる模試の成績表などに「キミハ長文読解ガ弱イヨウデス。モット速読力ヲツケマショウ」というアドバイスが印字されていたりする。

 しかし諸君、それはコンピュータというデジタルの神が、ヒューマンでアナログな受験生の事情を考慮することができないから。受験生が一様に第6問で得点が取れないのは、要するに「時間配分を上手にできなかったから」なのである。

 まあ、下の表を見てくれたまえ。理想の時間配分と、現実の受験生の現実を対比させるとこんなふうになる。素直に1番から順番に解いていく中で、理想との乖離がドンドン進んでいく。第5問を解き終わった段階で、ズレの合計は11分に達している。

   1番 2番 3番 4番  5番 6番
理想 2分 13分 15分 15分 15分 20分
現実 2分 15分 18分 18分 18分
ズレ 0分 2分 3分  3分  3分

 すると諸君、いざ「さあ、いよいよ第6問の長文読解だ!!」と思って時計を見ると、彼または彼女は「ゲロッ!!」と絶叫することになる。本来20分あれば満点を取れる実力があっても、「9分しかないよ♨」という状況に追いつめられているのである。
ストーブ
(八戸の祝勝会は「ぼてじゅう」で。トロトロ燃えるストーブの炎が懐かしかった)

 このズレは、もちろん受験生一人一人の英語力や得意不得意で違いがあって、「3分しかないよ」「5分しかないよ」という言語道断な状況から、「13分しかないよ」という若干恵まれた立場まで様々である。

 しかし少なくとも「20分あったら満点が取れる」という余裕シャクシャクな受験生と比較すれば、要するに五十歩百歩の違いにすぎない。そこを考慮するなら、決して「長文を速読する力がない」「速読力養成が必須」という結論にはならないはずである。

 だからクマ助が受験生や高校の先生方を前にして、
①「第2問と第3問、第4問と第5問で、どう時間を短縮するのか、そっちを考えるべきだ」
②「なぜなら第6問は、難易度的にはむしろ『やや易』の程度。時間さえあれば多くの受験生は満点がとれるぐらいである」
と力説する。

 このうち②のほうは、また明日のブログでキチンと論ずるとして、①の戦術論にはおそらく反対するヒトは少ないはずだ。理想と現実のズレを少しでも縮めることによって、第6問の長文読解をラクにしてあげる。精神的な余裕が持てれば、ますます満点の可能性は高まるはずだ。
うに
(八戸祝勝会で生ウニをいただく。おいしゅーございました)

 しかも、第2問から第5問は、問題形式が多彩であるぶん、戦術もいろいろに立てやすいところ。塾や予備校の熱心な先生方のまさに腕の見せ所だし、そういうプロに頼らなくても、受験生本人が工夫すれば、理想の時間配分にどんどん近づいていける。

 それどころか、ただ単に練習量を増やして問題形式に慣れただけでも、解答のスピードはグンとアップする。マラソンなら、「中盤で一気に他者を大きく引き離して、終盤の戦いに精神的余裕を残そう」という戦い方である。

 だから来年の受験生が今すぐやるべきことは、「自分がそれぞれの大問に何分かかっているのか」という現実を把握すること。いきなり「80分」という時間を設定するんじゃなくて、「第2問に何分かかるか」「第3問は何分か?」「第4問は?」と、個別の大問ごとに今の現実を把握することである。

 それが把握できたら、「では、どこをどうやって短縮していくか」という戦術の問題に進む。ただ単に問題形式に慣れるだけでも縮められるのか、それとも予備校講師の戦術を学びにいくか。その選択は自由だし、時間もまだ11ヶ月タップリ残されている。
おすし
(八戸祝勝会でお寿司をいただく。おいしゅーございました)

 さて2月7日、青森県八戸の駅に降りてみると、予想外に暖かいし、雪も降っていない。「3月上旬から中旬」という感じの、麗らかな風が流れていく。青森県でも太平洋側の冬は、こういうウラウラと晴れた日に恵まれることが多いのである。

 宿泊は「ダイワロイネットホテル」。まあ一応「おやおや」であるが、他の選択肢がないのだから、生意気に文句を言っている場合ではない。1時間ほどお部屋にいて、ブログを1本アップしてから、今日の会場に向かった。

 今日の主催の「八戸中央校」は、全国にズラリと1000校舎が揃う我々の中でも、まさに「伝説の校舎」という位置づけが相応しい。今井君が移籍してくるよりずっと前から、全国トップクラスに君臨し、生徒数でも合格実績でも、なかなか他者の追随を許さない。

 「校舎開催」は一般に地味で小規模な舞台になるけれども、この校舎には最上階に写真のような大ホールがあって、しかも今日もまたパンパン。司会の先生も見事なトークを繰り広げ、今井君がステージに上がる前から、湯気が濛々と上がるようなたいへんな盛り上がりを見せていた。

 こういうふうだから、割れるような拍手の中でいったん話が始まると、もう盛り上がりは留まるところをしらない。ポスターにあった「公開授業に来てほしい先生ランキング1位」「抱腹絶倒の90分にキミの腹筋は耐えられるか」というセリフには、ウソも偽りもなかったのである。
八戸2
(2月7日、青森県八戸の大盛況 2)

 90分で何回爆笑したか。「20秒に1回」が今井スタンダードであるが、おそらくそれを軽く凌駕して、遠慮がちに見ても「15秒に1回」には達していたはず。すると諸君、1分に4回、90分なら360回。腹筋も背筋も、耐えられるギリギリだったと思う。

 しかも集まった200名超のヒトビトが、徹底的にメモを取った。最近の今井君は、「板書以外のこともどんどんメモをとりたまえ」と冒頭に訓示するから、ホントにみんな熱心にメモをとる。メモで集中力が急上昇しているからこそ、集中のバロメーターである笑いもいっそう激しさを増すのである。

 いやはや、話すほうも聞くほうも、あんまり集中したせいでヘトヘトに疲れた。写真が何だか湯気に霞んでいるように見えるのは、きっとホントに湯気が上がっていたせいである。

 終了後、校舎近くの関西料理屋「ぼてじゅう」で祝勝会。しかし諸君、今日もまた長く書きすぎた。楽しかった祝勝会の様子は、今日は写真を見てもらうだけにとどめ、詳しくは明日のブログで読んでいただくことにする。

1E(Cd) Tuck & Patti:CHOCOLATE MOMENT
2E(Cd) 村田陽一 & Solid Brass:WHAT’S BOP
3E(Cd) RUSSIAN MEDIEVAL CHANT
4E(Cd) Menuhin:BRAHMS/SEXTET FOR STRINGS No.1 & No.2
5E(Cd) Holliger & Brendel:SCHUMANN/WORKS FOR OBOE AND PIANO
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