Thu 150115 新宿京王プラザでセンター講評会 速読力は必要か 基礎基本徹底が先だ | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Thu 150115 新宿京王プラザでセンター講評会 速読力は必要か 基礎基本徹底が先だ

 2月6日、夕方から新宿に出かけて、京王プラザホテルでの「センター試験講評会」に出席。英語科分科会で60分の講演をおこなった。今井君の話に耳を傾けてくださったのは、首都圏の高校の英語教員の皆さま。先生方が約70名もズラリと顔を揃えると、さすがに素晴らしい雰囲気である。

 高級ホテルの中ホール、高い天井に豪華シャンデリアが輝き、辣腕政治家のパーティーみたいな世界。まさかこんな高級会場で「黒板」「ホワイトボード」などという原始的なモノは使えないから、今井君もチャンとパワーポイントを使用した。

 普段とは違う年齢層の人々を相手に、使い慣れないモノを使って話をすれば、最初は手も震え&声もくぐもって、何となくぎこちない。しかし何しろ豪胆な今井君だ。手が震えたのは最初の3秒か4秒、思うように声が出なかったのも15秒ほど。すぐにイヤになるほど調子に乗って、いわゆる「今井節」が炸裂しはじめた。

 もちろん「今井ブシ」が「炸裂」していかどうかは時と場合によるのであって、我々の予備校サイドとしては、高校の先生方を相手に「今井ブシ炸裂」なんてのは、遠慮しておいたほうがよかったのかもしれない。

 しかし諸君、「後悔先に立たず」であって、せっかくブンブン炸裂し始めたものを、「いやいや、時と場合を考えなくちゃ」などと制止しようとしても、そりゃもう無理であり、無駄であり、無粋とさえ呼んでいい。

 そう考えたクマ助は、その後もブンブン炸裂を続けたのであるが、もちろんワタクシにも「限度」という意識はある。何しろ「センター試験講評会」であって、天下に名高い今井節と言えども、高校の先生方を相手に延々とバカ話を続けるほど、限度を逸脱した勇猛や粗暴まで行き着く気づかいはない。
京王プラザ
(京王プラザホテルでセンター講評会。パワポの前のクマの勇姿)

 そこで2015年のセンター試験英語であるが、何と言っても際立ったのは「長文化」である。試験時間80分で読みこなさなければならない単語の数は、合計で4041 words。2014年の3669 wordsとか、2013年の3742 wordsから、300 wordsも400 wordsも増加している。

 これは諸君、つまり30行から40行ぐらいの読解問題が1問、新たに付け加えられたほどのボリュームであって、2011年にはたった3328 wordsだったことを考えると、ほとんど隔世の感がある。

 単語の総数を毎年毎年キチンと数え上げているヒトが存在することを考えると、その勤勉さとご苦労には頭の下がる思いであるが、2015年の4041語は「50分で読みこなし、残り30分で問いを解く」という前提で割り算してみると、何と「1分に85 words」というスピードで読み進めなければならない。

 しかも読解問題の配点は圧倒的に高い。200点満点のうち、142点が読解問題。読解問題をスバヤク正しく処理する能力がないと、センター試験を勝ち抜くことはできないのである。
飲み会
(講師3人の楽しいウチアゲ。新宿南口「鳥茂」にて)

 以上のデータをパワポで示せば、もちろん磁石の針が指し示す方向は「速読だ!!」「速読力の養成が必須」ということになる。むかしの磁石の針はブルブル震えながら「北は、あっちだと思うんですが…」と気弱そうに真北を差したが、これだけデータが揃っちゃうと、今井君の磁石は「意地でも速読!!」みたいにガンコ&強硬な態度を示すように思われた。

 しかし諸君、そう素直に数字に踊らされないところが、今井ブシの武士の魂なのである。「素材の文章が長くなった、単語の数がグッと増えた、だから速読が必要だ」☞「オレは夏期講習で速読のやり方を教える。全員オレの講座をとれ」。それじゃ何だかバブル絶頂期の佐々木ゼミみたいじゃないか。

 これはあくまでクマ助の意見であるが、今の受験生の現状を見るに、「速読なんてムリ」「夢のまた夢」。☞「速読なんかより、他にもっとやるべきことがあるんじゃないでしょうか?」「他にやるべきことがナンボでもある」であって、同じひと昔前でも、小沢サン率いる民主党時代に戻る感覚である。
ポスター
(青森県八戸で発見。「クマ来襲」のポスター)

 では「他にやるべきこととは何か?」であるが、もちろん① 単語 ② 文法&語法 ③ 音読。①+②+③=基礎基本であって、基礎基本をもっともっと鍛えなければ読解はどこまでも上滑りする。悪夢の中の逃亡や逃走みたいに「急いでも急いでも先に進めない」「焦っても焦っても足が砂にめりこんでいく」というアリサマになりかねない。

 その意見を、今井君は実際の2015年の問題とデータから示したのである。まず、「次の4語のうち、下線部の発音が他と異なるものを1つ選べ」であるが
  ① flood  ② hook  ③ shook  ④ wooden

この問題で、正解の①を選択した受験生が55%。②が06%、③が15%、④は25%も存在した。うーん、半数近い生徒が、この程度の発音問題すらこなせない。

 「洪水」の発音すら知らない生徒に「速読だ!!」と指導していいものかどうか。むしろ教師として講師として、生徒たちと一緒に何度でも英文の音読をしてあげるほうが先決、「先にやるべきこと」なんじゃないか。
ケーキ1
(八戸でいただいたリンゴのケーキ。おいしゅーございました)

 次に、今回のセンター試験で「最も正解率が低かった問題」がこれだ。長文読解より何より、この前置詞の4者択一問題が惨憺たる結果だったのだ。お馴染み「空欄にあてはまる適切なものを1つ選べ」であるが、
  Mt.Fuji stands impressively (   ) the blue sky.
   ① against   ② among   ③ behind   ④ by

 正解の①を選べたのは、わずか17%。「青空をバックに」「青空を背景に」富士山がスックと立っていたというのであるが、ここでagainstを入れるなんてのは、下手をすれば中学英語でだって登場する話である。

 ②を選んだのが25%、③の「お空の後ろに」が何と何と40%、④「お空のそばに」も18%。特にbehindの人気が高く、全受験生の半数に迫ったことは、今井君のドギモを抜いた。クマのドギモなんか、そんなに無遠慮に抜かないでもらいたい。

 だって諸君、「お空の後ろに」ということになると、お空がカーテンみたいに中空にかかっていて、「そのカーテンの向こう側に」という状況になっちゃうじゃないか。

 「空のカーテンを開いてみたら、その向こうに富士山がスックと立っていた」。ゴーストライターが書いたアイドルのポエムじゃあるまいし、クマ助はそんなのはイヤでござる。

 というか、そういうコトを平気で考える生徒諸君に「ミラクル速読をマスターせよ!!」「情報構造を把握せよ!!」みたいなことは、ワタクシはとても言えないのである。ごく基本的な前置詞さえ理解しないまま、「急げ」「スバヤク」と絶叫しても、それはむしろ「アタフタ」に等しい。
ケーキ2
(八戸にて。フルーツケーキもおいしゅーございました)

 慌てふためいて間違いばかり積み重ね、間違いの巨大なミルフィーユを作成するような読解に、何か意味があるんだろうか。今日はもう長く書きすぎたから、この話はまた明日とか明後日のブログに引き継いで、さらに話を具体的にしていくつもりである。

 しかし諸君、この2問の出来を見る限り、今井君の
「何よりも① 単語 ② 文法&語法 ③ 音読。①+②+③=基礎基本」
「速読より先にやることがナンボでもある」
という主張が、そんなに間違っていないことが分かるんじゃなかろうか。

 最後に、今日の写真の説明だけしておく。1枚目は、パワポをバックにスックと立った、富士山みたいなクマの勇姿。2枚目は、センター講評会の後の講師ウチアゲ。数学の志田先生、現代文の宗先生と3人で、新宿南口「鳥茂」の旨い焼き鳥を満喫した。シャンペンも、たいへんおいしゅーございました。

 3枚目は、青森県八戸で発見した今井君のポスター。
「抱腹絶倒の90分、キミの腹筋は耐えられるか」
「公開授業に来てほしい先生ランキング第1位」
など、マコトに嬉しい文字が並ぶ。

 4枚目と5枚目は八戸の校舎で出していただいたケーキの数々。「ケーキ好き」という噂がドーンと地平線に屹立しているので、3種も4種も用意して歓待くれる校舎が増えた。特に4枚目、青森名産リンゴのケーキは絶品であった。

 なお、2月7日の青森県八戸の大盛況と、記録的なウルトラ&ハイパー大成功について、またその直後の激しい祝勝会については、後日必ずこのブログで生き生きと記録しようと考えている。

1E(Cd) Michael Davis:MIDNIGHT CROSSING
2E(Cd) Santana:EVOLUTION
3E(Cd) Sheila E. & The E-Train:HEAVEN
4E(Cd) Tower of Power:TOWER OF TOWER
5E(Cd) Tower of Power:URBAN RENEWAL
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