Sat 150103 今日こそバロン・デ・ゾフ ロゼ ☞牡蠣 ☞ピザ(夏マルセイユ滞在記30) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sat 150103 今日こそバロン・デ・ゾフ ロゼ ☞牡蠣 ☞ピザ(夏マルセイユ滞在記30)

 ホンのヒト昔前のこと、世の中には「何が何でも、もったいない」というブームがあった。

「こんな辺鄙な場所に、道路なんか作るのはもったいない」
「こんなところに橋なんかかけて、もったいない」
「1番じゃなきゃ、ダメなんですか?」
「2番でもいいじゃないですか」
「もったいない。今の状況でガマンしたらいいじゃないですか」
と、そういう発想が一世を風靡。その類いの主張のヒトビトに、マスメディアの風はほとんど無批判に靡いていた。

 しかし諸君、この場合、「こんな辺鄙な」とか「こんなところ」とハッキリ言われてしまった場所に住んでいる人間たちがどれほど傷ついたか、ほとんど論じられていない。
イラスト
(テーブルマットに描かれたバロン・デ・ゾフの風景)

 「こんな所に橋なんかかけて、いったい何になるんですか」
「こういうムダを削減すれば、財源はナンボでもある」
「こんな所に…を作るなんて、もったいない」
こんな無神経な発言を繰り返して、地方のヒトビトの神経を逆なでし続けてきた政治家のみなさんが今のテイタラクなのは、むしろ当然の報いなんじゃないかとクマどんは考える。

 何しろクマ君のふるさとは「そんなところ」「こんな辺鄙な場所」と呼ばれるド田舎の真っただ中である。2010年、「政権交代!!」「一度○○党にやらせてみようよ」と雛壇タレント諸君がダラしなくニタニタしていた頃、朝日新聞の「我が世の春」の時代、どうせ「そんな辺鄙な場所ですよ」「スミマセンね」と、今井君はホゾを噛む悔しさでいっぱいだった。「八ッ場ダム」って、いったいあれからどうなったんざんす?

 嘉田由紀子どん率いる「日本未来の党」の旗揚げは2012年11月末。「ナンボでもある」の小沢サン「生活の党」に吸収されたのは1ヶ月後の12月末。きっと受領したであろう「政党助成金」は、いったいどこへ行ったのか。税金をマコトに正直に払っているクマ助としては、それこそ「もったいない」の極みである。
実際
(バロン・デ・ゾフ、「シェ・ジャノー」からの風景)

 それに比較して、クマ助はやっぱりアヴィニョンのサン・ベネゼ橋が大好きだ。12世紀に建設して、17世紀にはメンテナンスさえ放棄。それでも21世紀には、「半分しかない」という事実を逆に観光資源として利用する。

 「もったいない」か否かは、愚かな人間の判断を超えているのである。河の氾濫で半分しかなくなった橋を保存するなんて「もったいない」と普通のヒトは考える。ところが、「もったいない」と言われ続けた橋を保全することで、橋は素晴らしい観光資源に脱皮した。

 クマ君は、そういうのが大好きだ。目先だけしか見えなくて、いま利用するヒトがいないとすぐに怒り心頭に発し、「もったいない」「ムダだ」「ムダ削減が1丁目1番地」と絶叫するようなヒトは、落ち着いて人間の歴史をキチンと読み返したほうがいい。

 というか、そういうのは全て神様の配剤であって、人間として橋や道路の「ムダ」や「有効or無効」を論ずるのは、傲慢ないし不遜である。というか、「ムダ!!」という判断自体、そこを生活の基盤とするヒトビトにとっては甚だ失礼である。

 青函トンネルでも上越新幹線でも、「ムダ」「もったいない」という反対を押し切ってがんばって作ってみたら、10年後か20年後、ウンニャ、100年後か200年後に「こんなスゴいものを、よくぞ作ってくれました」ということになる可能性があるのだ。
Tシャツ
(シェ・ジャノーの売店で購入したTシャツ)

 9月9日、クマ助は再びマルセイユのバロン・デ・ゾフを訪問した。昨日の訪問は「フォンフォンもシェ・ジャノーも、この一帯のメボしい店は全てお休みです」ということで冗談になってしまったが、諸君、今井クマ蔵はこの世で一番しつこいクマだ。その程度でメゲルような淡白なヤツとはワケが違う。

 午前11時、マルセイユ旧港からバスに乗って、今日もまたバロン・デ・ゾフを訪れる。昨日の午前中あてもなくウロついたおかげで、安全第一の日本人旅行者には思いもよらないぐらい、今井君はもう「バロン・デ・ゾフのお馴染みさん」である。

 どのぐらいお馴染みかというに、ネコもイヌももうとっくにこのクマどんをご存知だ。船の上のイヌくんも、オウチの陰で日向ぼっこ中のネコ助たちも、
「おやクマさん、またここに来たんですか?」
「よくメゲませんね♡」
「しつこいヒトですね♨」
と、居眠りの途中の片目だけ開いて、面倒くさそうに挨拶してくれる。
入口
(入り江に降りる階段で)

 午前11時半、開店直後の「シェ・ジャノー」に入りこんだクマ助は、ロゼワイン1本と、タップリの生牡蠣と、トマトソースのピザを1枚注文。それがどんなものだったかについては、明後日か明&明後日のブログに写真を掲載する予定でいる。

 何より注目すべきなのは、普通のブログのトップに掲載される料理やワインのハナシではなくて、諸君、バロン・デ・ゾフの橋の美しい景観である。

 建設当時、きっと多くのヒトビトが
「こんな場所にこんな立派な橋はムダ」
「もったいない」
「もっと他にオカネのつかい道があるんじゃないでしょうか」
「こんなムダを削減すれば、財源はナンボでもある」
と、ニヤニヤ笑いながらツマラン主張を繰り返していたんじゃないか。
ロゼワイン
(シェ・ジャノーのロゼワイン。おいしゅーございました)

 しかし諸君、今この橋の絶景を眺めながら、クマ助は2014年南フランス滞在のクライマックスを楽しんだのである。注文したのは、まずカシスのロゼワイン。マルセイユ周辺で獲れた生牡蠣クンたち15個あまり。そしてもちろん、シェ・ジャノーご自慢のピザを1枚。いやはや、おいしゅーございました。

 ただし、何しろ場所が場所だ。「観光客です」と言わんばかりのヒトビトはきわめて少ない。もちろん「団体です!!」という感じムキ出しのヒトはほぼ皆無。ほぼジモティで占められた穏やかな空気の中、ピザも牡蠣もロゼも、ごく普通でありながら、十分にクマ助を満足させるだけのものはあったのである。

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