Wed 141126 「音読の正しいやり方」について① 石神井の大盛況 寒波の中の仕事納め | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 141126 「音読の正しいやり方」について① 石神井の大盛況 寒波の中の仕事納め

 12月18日夕方、とうとう2014年も仕事納めの日がやってきた。お昼に吉祥寺スタジオで1分間の「受験生応援メッセージ」を収録。収録を終えて帰ってきたクマ助は、いったんオウチでいろいろな雑用をこなした後、17時半の電車で練馬区石神井を目指した。

 何しろ「参加者215名」。首都圏の公開授業としては、前代未聞と言っていい大盛況が待っている。もちろん「新宿」とか「渋谷」とか「池袋」というなら話は別だが、諸君、「練馬区石神井」である。特急停車のターミナル駅ですらない、私鉄沿線の小さな街で「215」という数字は、2014年の仕事納めをマコトに華やかなものにしてくれた。

 この日は東京でもマコトに冷たい風が吹きすさび、「北国はさぞ寒かろう」「雪国では目の前も見えない猛吹雪だろう」と、しみじみ自らの受験生時代を思い出した。あの年は、記録に残る豪雪で、秋田から上野に向かう特急電車は軒並み5時間近い遅れになった。

 若き今井君は電車が遅れた5時間を利用して、山川出版の日本史の教科書を最後にもう1度通読できた。確かに「電車の中で音読」というのはムリ。他の乗客に迷惑がかかるだけではなく、「変なヤツが乗ってるぜ」という奇異の視線で見られてしまうことになる。

 やむを得ず、若き今井君は山川の日本史を洪積世から昭和まで、むっと黙って一気に通読したのであるが、いやはや、「血わき肉踊る」「小説より面白い」のは確かであったが、日本史であっても出来れば音読して、もっともっと集中していたかった。
石神井1
(仕事納めの石神井、200名超の大盛況。私鉄沿線の普通の住宅地で、この大盛況は驚異と言っていい)

 兵庫県西宮でもらったお手紙もそうだったが、今井君があんまり「音読」「音読」「意地でも音読」と繰り返すものだから、「音読のやり方を教えてください」というお手紙が年に30通も50通も届けられる。公開授業に集まった生徒たちからの質問も「音読って、どうやってやるんですか?」が最も多い。

 しかし諸君、クマ助の側から言うと、「何でそんなに難しく考えるの?」であって、音読とは「声を出して読みさえすれば、それでカンペキ」なのである。受験生たちは難しい顔をして「何に気をつけて?」と尋ねるのであるが、物事は出来るだけ単純に、複雑にしないほうが間違いなく長続きする。

 一番いけないのは、複雑化しすぎて長続きしないことである。よく分かっていない予備校講師なんかが、
「ただ声を出しているだけでは意味がない」
「重要構文に気をつけながら音読せよ」
「どれがSで、どこからどこまでがOで、何がVなのか、常に意識しながら音読せよ」
「1文1文、日本語にしながら音読せよ」
「意味の切れ目ごとにスラッシュをいれて、スラッシュごとに和訳しながら音読せよ」
など、いやはや、「あれもこれも全部気をつけながら」「せよ」「せよ」「せよ」と話をコムズカシく掻き回してしまうせいで、可哀そうな生徒諸君は右往左往&目を白黒させるばかりである。
ケーキ
(ケーキ2個と、「普通のリポビタン」な風景)

 「そんなこと、一切気をつけなくていい」「何も気にせずに声を出しているだけで十分」「その代わり1年365日、出来れば1日も休まず継続してください」というのが正しいのである。コムズカシく考えて音読を複雑でメンドーなものにしてしまい、メンドーだから3日か5日でヤメちゃうのが一番イケナイのだ。

 まず諸君は、クマ助の授業みたいに♡「異様によく分かる授業」を選んで出席する。カンタンなことも難しくしてしまう困った授業もあるが、そういうのは出来るだけ敬遠して、とにかく分かりやすい授業を選択、30秒に一度は爆笑し、そのぶん真剣にメモを取りまくって、どんどん集中力を高める。

 こうして100%も150%も文章を理解したら、復習として徹底的に音読する。授業を受けたらすぐに、10回でも20回でも音読を繰り返し、1回の音読が済んだらそのページにハンコを1つ押す。

 受講したテキストの全てのページにハンコが30個貯まるのが目標。30個のハンコが貯まったら、新しく別の講座を受講して、また同じことを繰り返す。おお、こんなに楽しい単純な勉強があるだろうか。

 その繰り返しで、「全部のページにハンコ30個ずつ貯まったぞ」というテキストを増やしていく。本棚の隅っこにそういうテキストを積み重ね、受験直前までテキストの山が10冊☞15冊☞20冊と、どんどんうずたかくなっていく。

 その山の高さこそ、諸君の実力のバロメーターであって、誰にも文句を言わせない強烈な努力の証明になっているはずだ。受験前夜の緊張の中、「自分は誰にも負けないはずだ」と諸君を支えてくれるのは、まさにその山の高さなのである。
石神井2
(石神井の大盛況 2)

 音読のポイントは
① 声を出すことによって、一定のスピードを確保し
② 日本語に頼らずに英語だけで理解する練習を積むこと
である。

 黙読では、いくらでも時間をかけられるせいで、なかなかスピードを確保できない。声を出して「I love you」なら1秒で終わるが、黙読で「I love you」はホントにいくらでも時間をかけられる。

 まず「I」であるが、黙読では「1人称単数代名詞、この文の主語である」「次のloveはこの文の動詞、現在形1人称だから三単現のsはつかない」。ここで当然、
「しかし待てよ、愛していたのは昨日も一昨日も1年前もそうだった。現在形でいいのか? 愛は明日も明後日も10年後も続いているはずなのに、未来形でなくていいのか? 分からない。先生に質問しなくちゃ♨」

「次のyouは、もちろん単数2人称代名詞の目的格。しかし待てよ、オレはどうして「単数」と認識したんだろう。同じ『you』で単数も複数も表わせるはずだはずだ。なぜオレは『あなた』であって『あなたがた』じゃないと判断したんだろう。先生に質問だ」
「ボクのセンセは、『形で全てが判断できる』と力説していた。あれはウソだったんだろうか? 「あなた」と「あなたがた」、どう判断するんだ? いったい誰を信用していいんだ? 困った。ボクは困ったよ♨」

 まあそこまで極端でないとしても、黙読というものは「いくら時間をかけてもいい」というのがメリットでもありデメリットでもあって、時間内に処理する能力を試されている受験生諸君にとっては、あまりメリット面を強調できる方法ではない。
富士の湯
(18歳の今井君が通った銭湯「富士の湯」。まだ健在らしい)

 音読は、声を出すことによって一定のスピードを確保する。一定のスピードとは、1行5秒程度であるが、1行5秒なら、80行でも400秒(7分弱)、150行でも750秒(13分弱)。80行とは国公立難関大の長文1問の分量。150行とは超難関私立大の長文1問の分量。音読で確保したスピードがあれば、巷にあふれる奇妙な「速読」なんかやらなくても、悠然と難関大で「時間が余りました」という状況を作れるのである。

 ついでに、「いちいち日本語に頼らない」ことの重要性にも一言触れておきたい。「1文ごとに和訳する」「意味の切れ目ごとにスラッシュを入れ、フレーズごとに和訳する」など、名付けて「同時通訳方式」みたいなものが、かつて流行したことがあった。「No one knows…」☞「誰にも分からない」のたぐいである。

 しかし諸君、そういうことをやっていると、「日本語に頼らないと英語が理解できない」という困った状況ができあがる。目指しているのは「英語を英語のまま理解する能力」であるのに、「間に日本語を介さないと理解できない」という、およそ理想とかけ離れた事態を招くだけである。

 だから諸君、もっと単純に「授業を受けては音読」「授業を受けては音読」を繰り返して、本棚の片隅の山が高くなっていくことだけを楽しみに音読を継続したまえ。和訳に頼らない、和訳から早く卒業することこそ、諸君の目標であるべきなのだ。
石神井3
(いかにもクマ助らしいビールケースとともに、今年の仕事納め)

 今日は長くなりすぎたから、その他の「あれにも気をつけろ」「これにも気をつけろ」の類いの話は、また明日の記事で続けたい。今日のところは、練馬区石神井の感激を書いて終わりにしたい。

 集まったのは、間違いなく215名。校舎が狭すぎるので、駅前の大きなホールを借りて実施。石神井は、上京直後の18歳の今井君が初めて一人暮らしをした懐かしい街である。いかにも「私鉄沿線」の小さな街で、この受講生数は「快挙」の名に値する。

 石神井の校舎長は、かつて千葉の我孫子校で頑張っていた男。石神井に転勤になって、ますます明るく頑張っている。今井君がかつて通った銭湯「富士の湯」が今も健在であることを知って、その写真を撮ってきてくれた。こういうのもまた、マコトに嬉しいものである。

 終了、21時05分。90分の予定だったが、余りに大爆笑が激しく続くものだから、思わず5分だけ延長してしまった。実は今井君は事情があって、その直後の池袋ゆき準急にどうしても乗らなければならない。どういう事情かはまたそのうち明示する。

 こうして、華やかな「仕事納め」の余韻もそこそこに、懐かしい石神井を後にすることになった。とりあえず、この1年お仕事の成功の連続をバックアップしてくれた皆様に、感謝&感謝&大感謝のクマ助なのである。

1E(Cd) Schreier:BACH/MASS IN B MINOR 2/2
2E(Cd) Hilary Hahn:BACH/PARTITAS Nos.2&3 SONATA No.3
3E(Cd) Richter & Münchener:BACH/BRANDENBURGISCHE KONZERTE 1/2
4E(Cd) Richter & Münchener:BACH/BRANDENBURGISCHE KONZERTE 2/2
5E(Cd) Lucy van Dael:BACH/SONATAS FOR VIOLIN AND HARPSICHORD 1/2
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