Mon 141117 思わぬ曲がり角 キツネたちの哄笑 酸っぱいお蕎麦 焼酎とカレーに突進 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Mon 141117 思わぬ曲がり角 キツネたちの哄笑 酸っぱいお蕎麦 焼酎とカレーに突進

 人生に挫折はつきものであって、「挫折を一切認めない」とか「始めたことは必ず最後までやりぬく」とか、あんまり依怙地になりすぎると、人生の可能性自体を摘み取ることになりかねない。

 思わぬ曲がり角をふと曲がってみたら、そこから新しい夢のような世界が広がっていることもあり得るので、それが人生の妙味である。頑迷なほどの頑固一徹は、マイナス要素が大きすぎる。

「予備校講師を始めたんだから、どんなに衰えを感じようと、死ぬまでこの道を突き進む」
「この道しかない。金融緩和して、どんなに緩んでもええじゃないか。緩めて&緩めて、緩めまくろうじゃないか」
「国民のフトコロを温めよう。熱すぎてウザくなっても構わない。ほーれ&ほれ、ヤケドしたってバブルになったって、ええじゃないか&ええじゃないか」
こういう頑固一徹で周囲が迷惑するのは当たり前として、本人の可能性を甚だしく摘み取ることもまた明らかである。
豊川稲荷
(東京赤坂・豊川稲荷。すでに「初詣」「初午」の文字が目立つ)

 そこで12月9日、初冬の午後を散策中の今井君は、最初に「参宮橋 ☞ 明治神宮 ☞ 千駄ヶ谷 ☞ 青山 ☞ 赤坂 ☞ 二重橋 ☞ 竹橋」と決めたコースを、あえなく「赤坂までで中止」とした。

 赤坂御苑を右に眺めながら青山通りを突き進み、遥か遠くに「とらや」の暖簾が見えたあたりで、息切れ。
「今日はまあ、このあたりまででいいだろう」
「日が暮れかかって、風が急に冷たくなってきた」
「お腹がすいた」
など、言い訳には事欠かないのである。

 ちょうど赤坂御所の入口で、警戒に当たっていた若い警察官に「こんにちは♡」と声をかけられた。そう言えばこの日は、確か雅子様のお誕生日であって、東宮御所の近くをヒゲのクマが猛然と歩いていれば、それだけで十分に怪しいのである。

 そこで諸君、長すぎた散策の予定をここで中断。ちょうど左手にあった「豊川稲荷」にズンズン入っていって、迎えてくれたたくさんのキツネさんたちに挨拶して帰ることにした。

 どうもこのところ、キツネどんとの付き合いが多い。つい数日前も、夕暮れの鎌倉・薄暗くなった佐助稲荷で、無数のキツネどんたちに化かされそうになった。今日もまた大小さまざまのキツネどんが、耳まで避けそうな口をニカーッとあけて、日暮れのクマを迎えてくれた。

 中でも、優しそうな「子だきキツネ」の表情がいいでござるね。今井君は寒くてお腹が減って、境内に3軒並んだ同じようなお蕎麦屋のうちの一軒に、ノコノコ入り込んだ。
子だきキツネ
(豊川稲荷、子だき狐)

 まあ、そのあたりですでにキツネどんに化かされていたのかもしれない。いま思えばその瞬間、背後で一斉にキツネ連の甲高い笑い声が湧き起こったような気もする。「初詣」「初午」の貼紙がそこいら中に貼られて、いよいよ年の瀬。新年ももうすぐだ。

 選んだお蕎麦屋は、3軒並んだうちの一番右側。明治か大正か、おそらくそのぐらいの時代からずっと続いている店で、店構えも働くオバサマたちも明治大正そのまま。キツネ連もたくさん住みついていそうである。

 熱いお酒が欲しかったのだが、あいにくメニューには「蕎麦」「うどん」「稲荷寿司」の類いのみ。甘酒はあっても、ビールも日本酒もない。確かに、バーチャン3人でやっているこんな小さな店でお酒なんか出していたら、とても続けていけないだろう。

 注文したのは「おでんそば」。お稲荷さんにちなんで「きつねそば」でもよかったが、おでんの入った熱いのを寒さしのぎにツルツルやるのも悪くないだろう。店の奥でバーチャン2人が早速ウロウロやりはじめ、5分もかからずに「おでんそば」が運ばれてきた。
おでんそば
(豊川稲荷境内のおでんそば)

 それが旨かったかどうかは、諸君のご想像にお任せする。というか「人による」のであって、「大好き」という人もいるだろう。しかし、酸っぱいとろろ昆布の入った酸っぱい蕎麦が、酸っぱいものの苦手な今井君の鼻をツーんと突き、「うお、酸っぺぇ」であって、息を止めて一気に啜りこむのがやっとというアリサマであった。

 こうなれば、その後の今井君が
① 赤坂見附から丸ノ内線で新宿に出て一杯やり、
② 〆は下北沢でカレーを貪る
という行動に出たのも、致し方ない自然な流れではなかっただろうか。

 なるほど「全国行脚の暴飲暴食で太っちゃった」「ちょっとはダイエットしておかないと、突然の授業収録に差し支える」という理由でウォーキングに出たのであるが、キツネ連に化かされて酸っぱいとろろ昆布の蕎麦を食べさせられたら、たっぷり「口直し」の必要があったのである。
下北沢駅
(下北沢駅に停車中の昭和な小田急電車)

 今のクマ君にとって、「新宿西口」とは「ユニクロの上の魚民」とほとんど同義語である。丸ノ内線を猛然と降りた後は、口と鼻に残る酸っぱさにムカつきながら、脇目もふらずにビル9階の「魚民」に突進した。

 「いやはや、飲んだ&飲んだ」であって、ホット烏龍茶割にした焼酎を6合が、2時間もかからずにカラッポになった。食欲のほうはお蕎麦で満たされていたからいいとして、問題は口に残った酸味を押し流すこと。ホット烏龍茶から「財宝」の温泉水に切り替えたりして、ひたすら酸っぱい記憶を打ち消そうと努めた。

 こうして「ダイエット」も何も台無しになったが、「毒を喰らわば、皿まで」であり、それを言い換えれば「蕎麦を喰らわば、カレーまで」ということになるので、酔っぱらった今井君は小田急線で下北沢へ。下北沢の名店「マジックスパイス」を目指した。
ベーコンエッグカレー
(下北沢南口でベーコンエッグカレーを食す)

 しかし、昔ながらの昭和な小田急電車を写真に収めているうちに、カレーも懐かしいのを食べたくなった。ラーメンでも、いろいろ工夫しすぎてワケのわからなくなった「麺入り肉野菜煮込み」なモドキ君より、昔懐かしい普通の中華そばが欲しくなることは少なくない。

 カレーだってそうだ。サラサラにしすぎてお茶漬けみたいなカレーより、ドロドロのルーに半熟タマゴを乗っけて、「何だこりゃ。学食カレーかよ♨」と罵声の上がりそうなヤツを、今は乱暴に貪りたい。

 こうなったら、太っちゃったこともダイエットも今夜はオアズケであって、「いいから、普通の学食カレーを大盛りで持ってきてくんろ」な気分である。面倒な「マジックスパイス」はヤメにして、下北沢南口、三井住友銀行のお隣のごく普通のカレー屋になだれ込んだ。

 注文したのは「ベーコンエッグカレー」。期待した通りのドロドロカレーに、半熟タマゴを絡めて口に運ぶ。ちょっと辛さの調節もお願いできて、2倍だったか3倍だったかの辛さを選択。おお、燃える燃える。とろろ昆布と、安い焼酎と、カレーと半熟タマゴが、みんなヒト混じりになって激しく炎をあげる。

 若い読者諸君、
① 確かに、こんなダラしないオトナのマネをしちゃイカン。
② しかしタマには、こんなふうにハメを外さなきゃダメだ。品行方正すぎてストレスがたまり、顔にシワを寄せて年寄りじみたタメイキばかりついてたんじゃ、人生はちっとも面白くならんよ。

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