Wed 141105 ナマリはどこへ? 今朝も「御相席!!」 優しい店がたくさん 函館の大盛況 | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 141105 ナマリはどこへ? 今朝も「御相席!!」 優しい店がたくさん 函館の大盛況

 11月23日、函館は朝から快晴になった。「北海道の11月下旬、朝から快晴」ということになれば、それはまさしく「放射冷却」というヤツであって、地上の熱がみんな大気に奪われ、マコトに寒い朝になる。

 もちろん21世紀北海道のヒトビトは、もうみんな完全に東京コトバであって、北海道独特の言葉遣いは、懐かしい東北ナマリと全く同じ絶滅危機の状態に瀕している。昭和中期にはこんな朝こそ「しばれる」と言ったはずだが、今や「しばれる」も死語に近い。

 ついでに、温暖化も追い討ちをかけた。この程度の寒さでは全く「しばれる」な感覚はないので、函館の人たちももっとずっと東京っぽく、スマートに「寒いですね♡」でしかないのである。

 昔の函館は、北海道全域で見ても最も強くナマリが支配していた地域であった。札幌や小樽の人、旭川や苫小牧の人がどんどんナマリを忘れてしまう中、「せめて函館だけは」と、何しろ今井君は「日本のナマリ保存会」代表であるから、函館には大きな期待をかけていた。
4種丼
(函館朝市、4種丼。毛ガニ、ウニ、イクラ、シャケの4種)

 もちろん諸君、「日本のナマリ保存会」などと言っても、その会員は今井君1名だけであって、東北も九州も四国も北陸も、もう昔ながらのナマリなんかに見向きもしない。あえて言えば、頑固なのは関西のヒトビトだけであり、だからクマどんは関西が大好きだ。

 言語の多様性こそ、文化の多様性を支える柱であり、文化の多様性は生物多様性とともに世界の豊かさの指標であるはずだが、クマ君はナマリをなくした21世紀の日本文化が心から心配である。

 ついでに言うと、ドイツも心配だ。ドイツのヒトビトは今やその多くが英語とドイツ語のバイリンガル。ドイツ映画も最初から英語で制作される。英語で制作されたドイツ映画を2本連続で見せられて、うーん、ドイツはこのままで大丈夫なんだろうかと、居ても立ってもいられない。

 あんまり心配だから、今井君は朝7時の函館朝市にたっぷり朝御飯を貪りに行くことにした。心配なときこそ、「腹が減ってはイクサができぬ」であって、別にクマどんはイクサなんかしにいくわけではないけれども、腹が減ってはナマリを保存できないし、ドイツ語の危機の前にデカいクマとして立ちはだかることもできない。
看板
(函館朝市、有名店の看板。旨そうだ)

 そこで朝のクマどんが攻撃対象としたのは、函館朝市で最も有名なお店。「あれれ、その手の店は昨日のランチで無理やり『御相席』をさせられそうになって、ウンザリしたんじゃないんですか?」であるが、諸君、今井君は1回や2回イヤな目にあっても、たったそれだけのことで「2度と行ってやるもんか」と激怒するほど狭量な生き物ではない。

 やり直しのチャンスは、3度でも4度でも与えられるべきである。ボクチンはそういう有名店にしつこい恨みを居抱いているわけでも何でもないから、昨日行ってダメだったけれども、今朝もしも気持ちよく対応してもらえたら、是非また何度でも繰り返し訪れようと思った。

 しかし諸君、こりゃダメだ。ガラスの引き戸を引いて中に1歩入るか入らないかで、すかさず「御相席をお願いします!!」のヒト声が飛んできた。まるで自動音声か何かが設定されているかのように、「一切容赦はしない」という気合いがこもっている。

 お客がどんな様子であろうと一切おかまいなし。まるで江戸時代の関所の門番みたいに、
「他の客との相席以外は決してありえない」
「それがイヤなら、入店まかりならぬ」
「ええい、メンドーな要求をするなら、さっさと出て行ってくれ」
という、この上なく突慳貪な声である。
かに行列
(カニさんたちの大行進)

 それでも今朝の今井君は、ガマンにガマンを重ねてとりあえず席につくことにした。「ならぬ堪忍、するが堪忍」というコトバもある。奥のほうにカラッポの4人テーブルがいくつも並んでいるが、従業員が「相席以外は意地でもダメ」と、関所の番人みたいに目を尖らしているんじゃ、素直に従う他に方法はない。

 何しろ、懐かしい思い出もたくさん残っている店である。前回来たときは、4人テーブルを単独で占領して活イカの刺身を満喫したし、仕事のない日だったから、コリコリおいしいイカを味わいつつ、熱い日本酒もゆっくり楽しんだ。

 クマどんとしては、あの楽しい記憶を台無しにしたくない。記憶を反芻するためだけにでも、もう一度ここの雰囲気を楽しんで置きたかったのだ。いつの間に、こんなに融通の効かない店になってしまったんだろう。こんなんじゃ、昭和中期の市役所か国鉄窓口みたいじゃないか。

 ま、致し方ない。相席になった臆病そうなオジサマが、クマどんと目が合わないように完全に顔を俯けてイカソーメンをすすっているのを眺めつつ、クマ君は「4種丼」を大急ぎで搔き込むことにした。

 6つの具の中から4つの選択を迫られ、大慌てで「イクラ、シャケ、ウニ、毛ガニ」と応える。この辺のやり取りもマコトに冷たく事務的であって、ほとんど「早くしてくれないと困ります」と叱られているような雰囲気。しょんぼりグマは、「もう、この店にくることはなさそうだ」と唇を噛みしめつつ、懐かしい店内をもう一度見回したのだった。
函館1
(函館での大盛況)

 店を出て、しょんぼり&ショボショボまだ眠い目で周囲を眺めると、他に旨そうなお店がたくさん並んでいて、盛んにしょんぼりグマに声をかけてくれる。店の中では暖かそうなストーブの炎がチラチラ揺れて、テーブルも椅子もたっぷり並べてクマどんの闖入を「今や遅し」と待ち受けている。

 優しそうなオバサン、イタズラっぽいオジサン、みんなむかし懐かしい函館ナマリで、ニコニコ&ニヤニヤ、「お腹、空いてないの?」「もう食べちゃったの?」「だったら焼きガニだけでもつまんで行きなさいよ」と声をかけてくれる。

 おお、ベテラン♨クマ蔵としたことが、昔の店の名声に目がくらんで、入るべき店を間違えてしまった。10年前の名声なんか、もうどうでもいいのだ。

 どこまで優しくしてくれるか。どこまで楽しく爽快に朝食を味わえるか。選択の基準はそこであって、店先の最初のヒトコトが「御相席でお願いします」であるような店には、やっぱり入るべきではないのである。
函館2
(函館で奮闘する)

 こうして諸君、仕事の日の朝は何だかイヤなムードで始まってしまった。それでもチャンとリカバーするのが大ベテラン。昼すぎにスタッフとホテルロビーで待ちあわせる頃には、難しいクマの機嫌もすっかり上向きになり、今日の仕事が楽しみで楽しみでたまらない。

 函館でのお仕事は、13時半スタート、出席者は約110名。函館の路面電車に今井君のポスターをたくさん貼り出してくれるなど、スタッフの大奮闘のおかげもあって、完全外部生も30名集まってくれた。大盛況に、感謝&感謝、大感謝である。

 会場には、保護者の顔も目立つ。今井君は保護者の年齢層がまたまたウルトラ大得意であって、ちょうど年齢層もパパやママと重なっている。保護者をグッと引き寄せる話術も心得たもの。開始ホンの3分もかからないうちに、生徒も保護者の皆さんも大きく頷きながら大波のように爆笑を続けるお馴染みのシーンが始まった。

 そのままの盛り上がりを維持しながら、会は15時10分すぎに終了。この頃どうしても10分ほど延長する悪いクセが抜けない。90分と言ったら90分でキチンと終わるのが信条であるから、このへんでテキストの変更を考えるなど、若干の反省が必要かもしれない。大ベテランは、常に反省だって忘れないのである♨。カッカ。

1E(Cd) Shelly Manne & His Friends:MY FAIR LADY
2E(Cd) Sarah Vaughan:SARAH VAUGHAN
3E(Cd) José James:BLACKMAGIC
4E(Cd) Radka Toneff/Steve Dobrogosz:FAIRYTALES
5E(Cd) Billy Wooten:THE WOODEN GLASS Recorded live
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