Sun 141102 羽田からの大渋滞 とーり♡とりとり♡とーり天 カメラ目線がコワすぎる | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Sun 141102 羽田からの大渋滞 とーり♡とりとり♡とーり天 カメラ目線がコワすぎる

 自分のブログをたまに読み返すことがあるが、その場合の基本は「客観視」である。あくまで他の人の目で冷静に読んでみて、「おやおや、ずいぶん贅沢な日々ですね♨」と、温泉に宿泊したり、来る日も来る日も美食の連続だったり、反省もしきりなのである。

 しかし諸君、全国行脚の日々が必ずしも「幸せいっぱい」というわけでもないことは、一応わかっていてくれたまえ。例えば昨日、今井君は札幌から東京に帰ってきたのだが、羽田から渋谷までのリムジンバスは、滅多に経験しないほどの大渋滞に巻き込まれた。

 大渋滞の原因は、まず「ゴトー日」。5の倍数の日と10の倍数の日をまとめてゴトー日、首都高速は営業車がドッと押し寄せて、タダでさえ大渋滞になる。そこへ、初冬の冷たい雨が降った。雨降り&ゴトー日は最悪の組み合わせであって、夕暮れの首都高はグリッドロック状況に陥った。

 羽田から超満員のバスに乗ったのが16時45分、浜崎橋を通過したのが18時。中間点を通過するのに75分もかかったバスは、目的地の渋谷セルリアンタワーホテル到着が18時40分。羽田から渋谷まで、何とまるまる2時間近くかかったのである。
九州料理
(日々旅にして旅を住処とし、ある夜は九州料理屋に入ってみた)

 「だったらタクシーに乗ったらいいじゃないか」という人もいるだろうけれども、バスとタクシーの通る道は全く一緒であって、バスで2時間近くかかるなら、タクシーだって2時間近くかかる。

 スペース的にはいくらか楽だろうが、タクシーの場合「メーターが上がる」というロクでもない欠点があって、2時間もエラそうにふんぞり返ったお返しに、メーターは「15000円」とか、トンでもないお返しをしてきかねない。

 「定額タクシーを利用する」という手もなくはない。羽田から渋谷区まで、定額タクシーならいくら時間がかかっても7800円である。大渋滞に巻き込まれてメーターが15000円まで上がっても、払わなきゃいけないのは7800円なのだから、まあこっちは文句なしだ。

 しかし諸君、その場合、「運転手さんの機嫌が際限なく悪くなっていく」という事態に耐える強靭な精神力が必要。何しろメーターは15000円付近を指しているのに、客が払うのはほぼ半額の7800円。これで機嫌を損じない運転手さんはいないだろう。

 クマ君はたいへん気の弱い生物なので、機嫌を損ねた運転手さんと互角に渡り合う自信がない。欧米の街に行けば、不当な要求をしてくる運転手さんも存在するから、その場合のクマ君は自分でもホレボレするほど毅然と対応する。しかし諸君、東京の運転手さんの不機嫌に対応するのは難しい。
柳川屋
(うなぎの柳川屋。有名でも無名でも、旨ければそれでいい)

 こうして、羽田に降りてから渋谷区のネグラにたどり着くまでに、何と3時間近くが経過していた。さすがの今井君もヘトヘトのヘト之助であって、あんまりヘト之助すぎて、ベッドに入ってスヤーッとしようとしても、ちっともスヤーッとならないのである。

 確かに諸君、温泉や祝勝会の御馳走以外にも、全国行脚は楽しさに満ちあふれているので、九州に行けば活イカ刺しにウナギのセイロ蒸しも満喫できる。今年1年だけでも、唐津「竹屋」・柳川「本吉屋」・博多「柳川屋」など、旨いウナギで旅の疲れを癒すことができた。

 しかし「やっぱりオウチが一番」という部分は譲れない。何しろ日本の交通機関は騒音に満ちていて、静寂の中で旅を楽しむという贅沢は許されない。「できればゆっくり読書して」みたいな欲望は、新幹線でもヒコーキでも滅多に満たされはしない。

 今井君は新幹線車内の騒然たる雰囲気がキライだから、完全に脱新幹線派。やむを得ない場合を除いて新幹線はつかわないが、「じゃあヒコーキは?」ということになると、「五十歩百歩の域を出ない」と言わざるを得ない。
せいろ蒸し
(柳川屋のセイロ蒸し)

 もちろんヒコーキなら、沖縄を除けば目的地までせいぜいで1時間半であるから、どんなに騒然としていても、余程のことがない限り忍耐の限度内である。90分を耐えられないオトナは、オトナの名に値しない。

 しかし諸君、11月だけで14回もの搭乗回数を誇るヒコーキ人間♡クマ蔵にとっては、機内スクリーンの「エンタテインメント」が、やがてウンザリの対象になる。11月は「大分観光案内」と「カンロ飴の奇跡」の2本立て。この同じ番組をそれぞれ7回ずつ見せられることになった。

 カンロ飴のほうは、まあ感動のストーリーである。若手女子社員が国立音楽大学の教授や学生とともに「ボイスケアのど飴」を開発していく物語。今井君自身はその「ボイスケアのど飴」を一度も目撃したことがないが、感動の物語をみてチャンと感動することぐらいはできる。

 しかし問題は「大分観光案内」のほう。大分空港の女子グラウンドスタッフが、何故か福沢諭吉先生を案内するというストーリーなのだが、この20歳女子のカメラ目線がマコトに強烈なのである。

 無理して大分コトバをつかいながら、決して目線はカメラから外れることがない。いきなり「ヒダリーノ?」と粘っこく尋ねられ、字幕には「お腹が減ったんですか?」と出るのだが、その粘っこい恐るべき視線で「ヒダリーノ?」と尋ねられたら、今井君なんかは「いいえ、ミギーノ♡」と口ごもってしまう。

 やがて20歳女子は「ヒダリーなら、おいしいもん作っちゃる」「鳥の唐揚げって、大分に来たら鳥天じゃろーが」とちょっと怒った表情でカメラに向かってフクれてみせるのである。
活イカ
(活イカ、九州バージョン。明日は函館バージョンを掲載予定)

 こうして彼女は大分名物「とり天」を作りはじめる。鍋で油を熱し、コロモをかぶせた鶏肉を油に投入し、「とーり、とりとり、とーり天」「とーり、とりとり、とーり天」と何度でも繰り返し唸りながら、カメラ目線のままで鶏の天ぷらをあげていくのである。

 そのシーンが、20秒も続く。続くというより、終わらない。終わってくれないのである。ずっとこっちを見つめたまま、油の鍋の中がどうなっていようがおかまいなし、ずっとずっとカメラ目線で「とーり、とりとり、とーり天」と唸りつづけるのだ。

 「とーり、とりとり、とーり天」がようやく終わってくれたと思ったら、「じゃ、ウチの好きなお店を紹介したるけん」と、20歳女子は温泉旅館のバーに福沢諭吉クンを誘い入れる。アニメキャラクターとなった諭吉君は、我が1万円札とは似ても似つかない若きイケメンであって、もちろんそのお誘いを断りはしない。

 バーのカウンターで20歳女子が諭吉君に紹介するのは、大分で一番旨いとっておきの焼酎。しかし諸君、クマ君は納得がいかないのだ。20歳と言えば、やっとお酒を飲みはじめたばかりのころ。どうして諭吉君もトロリとするほど旨い焼酎の銘柄を知っていて、しかもロックでグビグビ飲んじゃうんだ?

 番組内のバーは、靄のかかった怪しい雰囲気。ロックの焼酎を両手で支え、構わずグイグイ飲むうちにお目目のほうもトロンと潤んで、マコトに怪しい表情である。「諭吉君、危うし」であって、こんな危うい雰囲気では、将来1万円札の肖像になり損ねちゃうんじゃないか。クマ君は心配でならない。
とり天
(とーり、とりとり、とり天)

 まあおそらく大分バージョンは11月で終わりだろうけれども、このシリーズは全国各地の空港を舞台にして、このところずっと続いているから、今井君は視線をスクリーンに上げるのがコワいぐらいである。

 ついこの間は、広島空港のグラウンドスタッフがお好み焼きを焼いてみせていた。「とーり、とりとり、とーり天」の広島バージョンは、「じゅーじゅー♡じゅーじゅー」「じゅーじゅー♡じゅーじゅー」の連続で、今井君の記憶では「じゅーじゅー♡じゅーじゅー」は4回も5回も繰り返された。

 まあ「定番」ということらしいが、この類いの機内エンタテインメントって、コドモたちもみんな見ているのである。天ぷら鍋を一切見ず、ずっと斜め後方のカメラに怪しい視線を流しながら「とーり、とりとり、とーり天」とか、やっぱりカメラ目線で延々と「じゅーじゅー♡じゅーじゅー」なんてのは、ヤメにしたほうがいいんじゃないか。それが人生のベテラン♨クマ蔵の意見である。

 ある時、九州料理屋で「とり天」を発見。活イカ刺しや焼酎お湯割りと一緒にその「とり天」も注文しながら、思わず「とーり、とりとり、とーり天」と歌ってみたが、諸君、なかなか旨い食べ物ではあった。

 最後にお断りしておくが、番組に出演している彼女たちには全く罪はない。番組を制作しているスタッフや演出家のカタ、番組を採用した航空会社の皆さんに「コドモも見てるんですよ」と一考を促したいだけのことである。

1E(Cd) Candy Dulfer:LIVE IN AMSTERDAM
2E(Cd) Patti Austin:JUKEBOX DREAMS
3E(Cd) Richard Tee:THE BOTTOM LINE
4E(Cd) Brian Mcknight:BACK AT ONE
5E(Cd) Norah Jones:COME AWAY WITH ME
total m10 y1980 d14910